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hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

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この気持ちに名前はない。 -前編-

実はあたし、こう見えて、アート作品を観に行くのが好きだったりする。
海外から遥々運ばれてきた絵画も、国内の芸術家の造形作品も、興味深く観に行っている。
小さなギャラリーでこじんまりと開催されている個展や、新進気鋭の写真家さんの展覧会まで、時間があるとちょこちょこ足を運んでいた。
今日も『バイトがお休みだから、どこか行けるところはないかなー?』なんて、ラウンジのソファで食後のあったかいミルクティーを飲みながら調べていたら、ドンピシャの展覧会を発見!
興味はあってもまだ一度もちゃんと作品を見た事が無かった海外の有名アーティストの絵が来てるなんて!
早速『これに行こう!』と決めて、周りの皆に声を掛けた。

「ねえ、誰か一緒に行かない?」

「・・・私はその方のドローイング、好みではないんですよね。
花沢さんか美作さんをお誘いになったらいかがです?」
(桜子が冷たいのなんか、今に始まった事じゃないし!)

「・・・俺、帰って寝たい。
絵なんか観に行ったら、美術館で寝そう・・・」
(美術館で立ったまま寝られても、そこらのベンチとかで寝られても放置出来ないし困るわ!)

「あー、牧野、悪い!
俺、午後は先約があるんだ。
又の機会にしてくれ。」
(これからどこぞのワケありマダムとデートなのね。うーん、褒められた事じゃないけど、あたしが口出しするのもなんだし・・・これは放っとこう!)

必然的に1人だけ候補に挙がっていなかった西門さんに視線が集まる。
でも西門さんこそ、毎日女の人との予定がみっちり詰まっている筈だし・・・と思ったのに、驚くべき返事が返ってきた。

「まあ、誰も相手がいなくて寂しいってんなら、付き合ってやってもいいぜ、つくしちゃん。」

ふっと小さく笑って。
片方の口角だけくいっと上げ、流し目でこっちを見てる男が妙に忌々しい。
あたしはそんなのには引っかからないんだから!

「ぜんっぜん寂しくなんかないから、1人で行ってくるね。
じゃ、皆また明日ー!」

そう言い置いてラウンジを飛び出した筈なのに。
コンパスの違いなのか、後からやってきた西門さんにあっさり追い抜かれ。
それどころかあたしが肩に掛けてた勉強道具入りのトートバッグまで、あれよあれよという間に奪われて。
今度はあたしが西門さんの後を追う羽目になった。

「何よ!あたし、1人で行くって言ったでしょ!」
「ふふん、本当は誰かと一緒に行きたかったくせに。
俺がお供してやるよ。」
「結構です!西門さんはどうせお忙しいでしょうから。
あたしの事なんか構わずに、今日の待ち合わせ相手の所に行ってよ。」
「別に誰とも会う約束なんかしてねえし。
牧野の美術鑑賞に付き合ってやるって。
お前、俺をアシに出来るだけでも名誉な事だぞ。喜べ。」
「そんなの頼んでないっつーの!」

そんな事を言いつつも、バッグを持たれたままじゃ、こっちはお財布すら持ってない訳で。
ついこの鼻持ちならない自信満々な男を追い掛けてしまい、そのまま車にも乗せられてしまった。
ふかふかのシートに身体をもたせ掛けると、何故だか「はぁ・・・」と長い溜息が溢れ出た。

「六本木だろ?」
「うん・・・」
「何ぶすくれてんだよ?
この車に乗せて、そんな顔するのはお前だけだぜ。
フツーはワーキャー喜ぶもんだ。」
「どーせあたしはブスですよっ!」
「んー、つくしちゃんはその卑屈な根性から直した方がいいなー。
だからお前男にモテねーんだよ。」
「余計なお世話っ!」

どうしてか西門さんと喋ると、会話が全部喧嘩腰になっちゃう。
昔道明寺と付き合ってた時も、いっぱい言い合いしたけど、ここまでじゃ無かった気がする。
類や美作さんとは、あたし、喧嘩なんてしないし・・・
なんで西門さんだけ?
根性捻くれてるのはそっちじゃないの?
そしていつもこういう不毛な会話をしていると、怒っているのはあたしだけで、西門さんは余裕綽々な感じでニタついてばっかりだ。
どうにも掌の上で転がされているようで面白くない。
挙げ足を取られないように黙り込んだら、暫くして静かなトーンの声が車内に響いた。

「大丈夫か?」
「え? 何が?」
「車にでも酔ったか?」
「いや、別に何ともないけど・・・」
「ふうん、それならいいけどよ。」
「な、何よ?」
「急に静かになったから、具合でも悪いのかって心配してやったんだよ。
牧野はこんな車、乗り慣れてねえからなぁ。」

そう言って今度は打って変わって可笑しそうにくつくつ笑ってる。
優しい事言ってくれたのかと思いきや、庶民を馬鹿にしてるだけ?
ホントにお坊っちゃまには腹が立つ。
一度庶民生活を体験してみたらいいんだわ!
そうしたら色んなものの有り難みってのが分かる様になる筈よ!

慣れた様子で車を駐車場へと入れた西門さん。
ここへは何度も来ているような雰囲気だ。
まあ、有名なランドマーク的な場所だし。
美術館だけじゃなくて、沢山の飲食店やお店、映画館だって入ってるんだから、知らない所じゃないんだろう。
車を降りる時に後部座席に置かれていたトートバッグを取ろうとしたら止められた。

「お前、その重たいバッグ邪魔だろう?
ここに置いてけよ。」

まあ、そうだわね。
美術館って大抵入り口にコインロッカーがあったりするけど、そこに預けるのも、車に置かせて貰ってるのも大した違いはない。
いや寧ろ、空いてるコインロッカーを探したり、小銭を取り出したりする手間が省ける。
ここは素直にお言葉に甘えて、いつも片隅に忍ばせている買い物用のエコバッグにお財布、携帯、ハンカチ、ティッシュとルージュだけ放り込んで、ドアを閉めた。
どんな時にもルージュを持つのは桜子からきつく言われている事。

「先輩、ルージュというのは朝一度塗ったらそれでOKっていうものじゃないんですよ。
折々に鏡を見て、きちんと塗り直してこそ、塗ってる意味があるんです。
取れかかったルージュの女なんて、見苦しいばかりですから。」

そう。桜子は一緒にお化粧室に行くと、いつも念入りに唇を尖らせたり、にっこり笑ったり、鏡でチェックしながらお化粧直しをしている。
それを横目で『可愛いって大変ね』なんて思いつつぽけーっと見詰めていたら指南された。
怒られたって言うとまた怒られる。
あくまでも『指南』なんだそうだ。
あたしのビューティーアドバイザーはとっても口煩い。

ペラッペラなナイロンのエコバッグを携えたあたしを見て、ちょっと眉を潜めたような表情を浮かべた西門さん。
仕方ないじゃん。
これしかないんだもん。

「行くぞ。」

くいっと顎で進むべき方向を示してから、西門さんが歩き出す。
その後ろを付いて行けば、きっとちゃんと美術館に辿り着けるんだろう。
ワンテンポ遅れて、あたしも足を踏み出した。


__________



またまたお待たせ致しました。
リハビリ活動第3弾のお話です。
そしてもうちょっと続きます!

連日、疲労困憊なhortensiaでございますー。
リアル拙宅の病人がまたまた入院してしまいまして・・・
毎日病院通ってます。
疲れ過ぎちゃったみたいで、昨日は地元の駅前でお友達とすれ違ったのにすら気付けず、「大丈夫なの?」と心配されちゃいました。
で、電車に乗って着いた病院の最寄駅。
毎日使ってるんですよ、この駅!
なのに、改札出て一瞬自分がどこに居るのか分からなくなってしまい、そんな風にパニクった自分にビックリしました。
疲れは人をおかしくするね・・・
早く落ち着きたいものです。

そろそろ紅葉の季節でしょうか?
色付いた葉を愛でる余裕もないのですけれど。
良かったら皆様の紅葉見物のお話、お聞かせ下さいな。
それを読ませて頂いて、綺麗な景色を見た気持ちになりたいと思います!


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この気持ちに名前はない。 -後編-

歩く道すがらには、あたしにはちょっと場違いな佇まいの高級そうなお店がずらりと並んでいる。
まあ、西門さんにしたら、どうって事ないレベルなんだろうけど。
偶にしか来ない煌びやかでお洒落な空間に目を奪われ、彼方此方に視線を投げ掛けながら歩いていたら、うっかり西門さんの背中を見失った。
あれ? どこ行っちゃったかな?と探しつつ進んでいくと、とあるショップの前でこちらを振り返りながら立っているのを発見。
慌ててそこに駆け寄る。

「俺、ちょっとこの店入りたいんだけど。」

どーぞどーぞ、お好きなだけお買い物なさって下さいな。
あたしに手が出るような物は多分ないだろうけど、見るだけはタダだから、お店の中をぷらぷらしてればいいんだし。

うんうんと頷いたあたしを認めると、すいすいっと人の流れを掻い潜り、西門さんはお店の奥へと進んでく。
そこはセレクトショップって言うのかな?
雑貨からお洋服まで色々な物が置いてあるお店だった。
あたしは目の前のガラスのショーケースの上に置いてあるアロマキャンドル7000円!だとか、ハンドソープ3000円!や、高級タオルの詰め合わせセット12000円!なんて品物を、『何だってこんなお値段なんだろ?』と思いながら睨んでいる。

うーん、これはそんなに高級な原料で作ってんのかなぁ?
それともこんな場所に出店するテナント料が高額って事?
だあって単にちょっと良い匂いがするローソクでしょ、これ。
それにしては高過ぎる!
ハンドソープも近所のドラッグストアで買ってきたら、泡立ちも良くってたっぷり入ってイチキュッパだよ。
一体どんな人が買うんだろ・・・

頭の中で考えてただけのつもりが、うっかり口に出てたらしい。

「お前、店の中でぶつぶつ念仏を唱えるのはやめとけ。」

いつの間にか隣に立ってた西門さんにそう突っ込まれた。
一瞬にして、ほっぺにかあっと血が上る。

「念仏じゃなーい!」
「それにしたって、独りで何かを小声で呟いてる女って不気味だぜ。
ほら、行くぞ。」

もうお買い物を済ませたのか、西門さんはスタスタと店を出て行く。
んーーー!もうっ!と、今度こそ胸の中で独りごちてから後に続いた。
チケット売り場では、ちゃんと自分でチケット代は出すつもりだったのに、さっさと2人分買われてしまうし、ミュージアムの入り口では、「お前、これに荷物入れろ。」と革製のショルダーバッグが目の前に差し出された。
さっきのお店で買った物ってこれ?

「どうしてよ?
あたし、別に要らないんだけど。」
「そんな薄っぺらで、口もちゃんと閉じれないようなモンに貴重品入れてて無用心だと思わねえの?
気になって絵画なんかゆっくり観られねえから、使えって言ってんだよ。」

言われなくても、このエコバッグじゃちょっと心許無い・・・とあたしも思ってた。
でも代わりのバッグを買う・・・なんて発想はひとっつもなかった訳で。
うーん、お世話になるのは癪だけど、ここまで連れて来てもらったり、チケット買ってもらったり、既に色々してもらっちゃってるのよね。
ここは素直にお礼を言って・・・

「ありがと。じゃあ、今日だけお借りするね。」
「やるよ。返されても困るだけだ。
お前のお下がり、誰かに贈ったりしねえんだよ。」

黒い小ぶりのショルダーバッグがあたしの胸にぐいっと押し付けられる。
その勢いに負けてつい受け取ってしまった。
コロンとしたフォルムで、しっかりマチがあるから、小さいけどなかなか収納力がありそう。
持ち手も付いてるから、ショルダーストラップを外せばハンドバッグとしても使える。
金具は全てゴールドで、とってもお洒落。
西門さんの審美眼に適った物なんだろうけど・・・

「・・・でも、高いんでしょ、これ?」

さっきのお店の雑貨の値段から推察するに、あたしが今日身に付けてるものの総額よりも絶対に高いであろうバッグ。

「大した事ねえ。」
「でも貰う理由ないし。」
「早目のクリスマスか誕生日プレゼントとだとでも思っとけばいいだろ。
つべこべ言ってないで、とっとと財布をそこにしまえ。
こっちが落ち着かねえんだよ。」
「・・・ありがと。」
「それはさっきもう聞いた。ほらよ。」

あたしの分のチケットをひょいと手渡してくれて、西門さんは自分のチケットを手に入場口へと歩いてく。
こういう不意の優しさはあたしを戸惑わせるんだ。
いつも丁々発止とやり合ってるのに、急に優しくなるんだもん。
なーんか調子狂う。

美術展はとってもカラフルでエネルギーに溢れた絵画が沢山展示されていて、見応えがあった。
好みのアートか?と聞かれたら、自分のストライクゾーンドンピシャってジャンルじゃ無かったけど、良い体験にはなったと思う。
展示を観てる間は各々のペースで会場を回ってたあたしと西門さん。
あんな男にずっと隣にいられたりしたら落ち着かなかったろうから有り難かった。
だって、時々ちらっと視界に入ったけど、絵を見てる西門さんが周りの人に見られてる・・・って状況が発生してたんだもん。
本人は慣れっこだからそんなの気にしてないのかもしれないけど、英徳の外でそんなのを目の当たりにすると、こっちは近付き難くなる。
結局最後のミュージアムショップで一緒になった。
来場の記念にポストカードを何枚か買い、そこを出てくると、「つくしちゃんにもう一ついいもん見せてやるよ。」と西門さんが言う。
何だろ?と思いつつ後をついて行くと、そこは360度周りを見渡せる屋上展望台だった。
丁度夕暮れ時を迎え、少し肌寒く感じられる展望台からの景色は絶景だった。

「すごい・・・綺麗ー。」
「気に入ったろ?」
「うん・・・」

少し霞がかったような東京の街並はほんのり色付き始めている。
明るいオレンジ色とその光を受けて浮かび上がる雲のグラデーション。
刻一刻と空の色は変わり、いつしか太陽の周りはルビー色になり、暮れ行く空はラベンダーに染め変えられた。
あたしはその美しさから目を離せない。
地上には無数の小さな灯りが散りばめられていて、そこを貫いていく一際明るい光の川は首都高速。
いままさにその奥へと太陽が沈んでいこうとしている。
夕焼けも美しいけれど、たなびく雲の色が、東に視線をずらすにつれて、コバルトブルーになっていく様にも心惹かれた。
そこはもう夜が訪れている場所。

「東雲?」
「んん?」
「あっちの雲は東雲って言うんじゃないの?
東の空の雲だもん。」

そう指をさしながら聞いたら、あっさり笑われた。

「つくしちゃんは物知らねえのな。
逆だよ、逆。
東雲ってのは明け方に薄っすら明るくなってくる様を言うんだ。
『東雲の  ほがらほがらと  明けゆけば  おのがきぬぎぬ  なるぞ悲しき』ってな。」
「どういう意味?」
「だから、東の方から段々と明るくなって朝が来て。
お互いの衣を身に付けて別れなければならないのは悲しいなーって昔の人が詠んだんだよ。」
「ふうん・・・ じゃあさ、今みたいに日暮れ時の東の空にある雲の事はなんて言うの?」

一呼吸置いて西門さんが答える。

「そういう雲に名前はない。」
「ないの? 明け方には名前があるのに?」
「ないな。単なる東の空に浮かぶ雲だ、それは。」
「そうなの・・・」

さっきよりも青味を増した東の空の雲は、もうすぐ夜の闇に溶けて行く。
視線を西に戻して、今日最後の光を放ちながら、太陽が消えていくのをじっと見ていた。
小さな煌めきがすっとどこかに吸い込まれたかのようになくなり、あたしはそうっと隣に立っている西門さんの顔を見上げた。
すると同じように西門さんもあたしの方を見ていて・・・
また何か皮肉めいた言葉が口から出て来るのかと思ったのに、予想とは違う台詞と表情に驚いた。

「ここ、来て良かったろ?」

そう言ってふっと表情を緩めたから、一瞬見惚れてしまった。
だっていつもの意地悪な笑い顔や、人を小馬鹿にした憎々しい顔じゃないんだもの。

「う、うん。綺麗だったね・・・」

景色を見る振りをして、そっと視線を他所へと向ける。
何かが胸を過ぎるけれど・・・
この気持ちに名前はない。
そう、今はまだ。
少しだけ早く拍動している気がする心臓。
それを落ち着かせる為にゆっくりゆっくり息をする。
もう少しだけこの空気の中にいたいと願いながら。


__________



リハビリ活動第3弾のお話でした。
こうなると総二郎sideも書きたいような気がしないでもない^^;

リアル拙宅の病人は退院出来ましたー。
暫く自宅療養生活です。
病院通うのも疲れるけど、家で看るのもそれはそれで大変だったりします。
連れ帰れてほっとしてますけどね!
病人の相手をしているうちに、11月も後半になってました。
わー、なんか焦るわぁ。

頂いたコメント、拍手コメントへのお返事が滞っていて申し訳ないです。
ゆっくりPCと向き合う時間がとれなくて・・・
(今お話はちまちまと携帯で書いております)
全部しっかり読ませて頂いています!
気長にお待ち頂けると助かりますm(__)m


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