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hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

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聖なる夜の三つ巴の戦い! -前編-

くるくるくる。
紅茶の中に甘ーい甘ーいジャムをふた匙入れて、そうっと紅茶に溶けるまでかき混ぜたら、美味しいジャムティーの出来上がり。



毎年クリスマスパーティーをするのは美作さんちと決まってる。
何故なら、そこより素敵なパーティー会場が他に無いからだ。
西門さんちや類のお家では、クリスマスパーティーなんてとてもとても場違いだし。
あたしのアパートの部屋なんてもっと無理。
どこかのお店で・・・は可能なんだろうけれど。
美作さんち程に素敵で、心置きなくゆっくり過ごせて、ご飯も美味しいお店なんてそうそうない。
という事で、毎年皆で美作さんちにお邪魔しているのだ。
今年はおじさまがイタリアでお仕事中という事で、双子ちゃんとおばさまはそこに駆け付けて、クリスマスから年末年始迄をイタリアの別荘で過ごされるそうで。
お邸には美作さん1人がお留守番。
いや、使用人さんはいるんだろうけどさ。

今は花が咲いていない蔓薔薇のアーチには、キラキラのイルミネーションが点されて、お庭のあちこちにも可愛らしい光るオブジェが配置されてる。
何だかどこかテーマパークにでも来たみたい。
そもそも美作さんちはクリスマスじゃなくても夢の国に入り込んだみたいな世界なのだ。
エントランスを入ったところの吹き抜けのあるホールには大きなクリスマスツリー。
偽物じゃないのよ、生木なのよ。
シックなオーナメントは、どこか遠い国からやって来た物なんだろう。
そんじょそこらで売られてるのとは雰囲気が違う。

「おー、いらっしゃい、牧野。」

迎えに出て来てくれた美作さんに案内されて入ったお部屋は、すっかりパーティーの用意が調っていた。
ここにも小さなクリスマスツリー。
その前にはプレゼントボックスがいくつも置かれている。
暖炉にも火が入っていて、見ているだけでポカポカしてきそう。
綺麗なオレンジ色の火がゆらゆら揺れている。
バイオエタノールの暖炉は、煙突も換気も要らないんだって、前に美作さんから聞かされた。
そう聞いてもどうしてなのか分からないんだけど。
そもそもバイオエタノールが何なのか知らない。
更に燃焼すると水蒸気が出るから、薪の暖炉と違って乾燥しすぎなくていいんだとも言ってたけど、ますますあたしには意味不明だ。
でもそんな暖炉のおかげで、一気にクリスマス気分が盛り上がってきた。
皆が揃うまで・・・と暖炉の火が見えるソファを勧められ、「牧野、外寒かったろ。」と、美作さんの手ずからほんのり湯気が立ち上る紅茶がサーヴされる。
紅茶に添えられているのは、ミルクとお砂糖・・・だけかと思いきや、今日はマーマレードが入った小皿があった。

「ね、美作さん、何でマーマレード?」
「あぁ、それ、お袋が作った自家製マーマレードなんだよ。
紅茶に入れて飲むと、味が変わって面白いからさ。
牧野、そういうの好きそうだと思って。」
「え! すごい! 美味しそうっ!」

そう言った時に背後から声が聞こえてきた。

「ホントつくしちゃんは食べ物が出て来ると目の色が変わるよなー。」

声だけで誰だか分かる。
そしてムカっとする。

「うるさい、西門っ!
あたしの顔も見えてないくせに、目の色なんか分かんないでしょ!」
「声だけで分かるんだよ。」

ふふんと鼻であたしを笑いながら、あたしの隣に優雅な仕草でとさり・・・と腰掛けた西門さんは美作さんに「あ、あきら、俺にはアペリティフ。キールがいいかな。」なんてオーダーしてる。
あたしは知らんぷりしてマーマレードを紅茶に入れてみた。
芳しい紅茶と一緒に爽やかな柑橘系の香りがふんわりとしてきて、もうこれだけで絶対美味しいに決まってる!と確信してしまう。

「うわあ、いい香り・・・」
「つくしちゃん、小鼻膨らませ過ぎ。」
「ホントうるさいよ、西門さんは。
いい香りがしてるんだから、それだって堪能したいでしょうが!
いただきまーす!」

甘く、ほのかにピールの苦味もある、マーマレード入りの温かいジャムティーは、あたしを幸せな気持ちにしてくれる。
紅茶も美味しいし、マーマレードも味わえて一石二鳥なのに、隣の男は『何やってんだ、こいつ?』と言った風情であたしの方をちろりちろりと見ては小馬鹿にしたように笑ってるからまるっと無視した。

茶道には精通していても、特に甘いものや紅茶を好きでも無さそうなこの人に、この幸せの味は分かるまい。
寒いところから来て、あったかくて甘い飲み物を頂くと、物凄ーく満足感が得られるのよ!

のんびりと、甘くも爽やかな紅茶を頂いていると、3番目に類がやって来た。

「お待たせ、牧野。」
「あ、類・・・、全然待ってないよ。
あたしもさっき着いて、お紅茶頂いてたところ。」
「ふうん、美味しいの、それ?」
「うん、すっごく。
美作さんに勧めてもらってね、おばさま手作りのマーマレードを入れたら、香りも風味も良くなって、ストレートティーとは違った美味しさ・・・」

と言ったところで、類があたしの飲んでいたティーカップをすっと持ち上げて、ジャムティーの残りを飲んじゃった!

「えー? 類ー?」
「ん・・・、ちょっと甘いし、ピールが口に残る、これ。」
「だってどうしてもカップの底の方にピールが沈んじゃうんだもん。
これから紅茶をちょっと足してそこを飲もうと思ってたのに。」
「おい、あきら!
新しいティーカップ!」

何故か西門さんが機嫌悪そうな声を上げてる。

「え? いや、いいよ、ティーカップ取り替えなくたって。」
「だってそれは類が口付けたカップだろうが!」
「うん、でももう皆揃ったから、晩ご飯、そろそろ始まるでしょ?
ご飯の前にお紅茶飲み過ぎて、お腹チャプチャプしちゃってもいけないし。」

はぁーーーと深ーい溜息を吐いてる西門さん。
そんな西門さんとあたしが座っているソファの狭間にするりと滑り込むように、類が座る。
あたしはちょっとお尻を左にずらして、類が座りやすいようにした。

「何で態々ここに座るんだよ?」
「だって俺、牧野の隣がいい。」
「狭いだろうが!」
「そお? 3人掛けじゃないの、このソファ。」
「もうメシなんだから、テーブルに就けよ!」
「総二郎こそ。」

何でこの2人は言い合いしてんのかしら?

「お前ら、いい加減にしろよ。
ほら、総二郎、キールロワイヤル作ったから。
類の分もあるぜ。」

美作さんがすっかりセッティングが済んでいて、あとはお料理が運ばれてくるばかり・・・となったダイニングテーブルに、食前酒のグラスを置いている。
全部を使用人さんにやらせずに、こうやって皆のお世話をしてくれるところが美作さんのいいところだ。

「牧野のはノンアルコールカクテルにしたから。」

グラスの中は可愛いらしい黄色の飲み物が入っていて、グラスの縁にカットされたオレンジが飾られているから、あたしは嬉しくなった。

「さあ、乾杯しようぜ。」

美作さんの声に導かれて、各々の席に就く。
あたしの右隣はいつも通りのすまし顔の類、左隣は何だか機嫌の悪そうな西門さん。
向かいの席には美作さんの華やかな笑顔。
この1年、皆と楽しく元気に過ごせた事に感謝しつつグラスを掲げて、クリスマスディナーが始まった。


_________



F3&つくしのクリスマス。
誰がアドバンテージがあるのかな?
好印象なのはあきらみたいですけどー(笑)

Tverで「花男2」が公開中なので、家事しながらとか、お話書きながらとか観てます。
総二郎メイン回もあるよ。
12月29日(水) 23:59 終了予定との事なので、お時間ある方は是非。

クリスマスですねえ。
準備に大わらわです。
親戚の子、お友達の子、家族にプレゼントをあれやこれや買い求め、ラッピングして。
遠方の人には荷物を送って。
誰かこんな頑張ってる私にクリプレくれるのかしら?と思ってたら、友達が大好きなミルクティー向きの紅茶葉と、抹茶味のお菓子を届けてくれました。
ウンウン、やっぱり持つべきものは友達よねー。


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聖なる夜の三つ巴の戦い! -中編-

鈍感に効く薬があるなら飲ませたい。
今飲んでいるマーマレード入りの紅茶にそんな効能があったらいいのに。
切実にそう思いながら横顔を見てるけど、そんな事がある筈も無く。
牧野の鈍感が改善される事はきっとこの先もないのだろう・・・と、諦めの溜息をこっそり吐き出した。



俺、類、あきらが三角形を作っていて、その中心に牧野がいる。
牧野と司が別れてから暫くは、傷心の牧野が立ち直って前を向いて歩ける迄、それぞれのやり方で見守っていたけど。
そのうち雑草牧野はあっけらかんとし始めた。
その姿は恋に破れ傷付いた女・・・というよりは、憑き物が落ちてさっぱりしたといった風情で。
まあ、空元気の部分もあったんだろうが、どんどん本来の明るさを取り戻していった。
そうしたら、俺はどうにも落ち着かなくなった。
牧野をかまいたくてかまいたくてうずうずする。
何かにつけては揶揄いたい。
キーキー騒がれても、牧野にちょっかい掛けるのをやめられない。
そして、過剰反応する牧野を見てはニヤニヤしてしまう。
それを白い目で見つつ、牧野にべったりへばりついていたのは類。
元から牧野をべたべたに甘やかしてたから、そのまんまと言えばそうなんだけど。
冷たい視線と、ぼそりと呟く厭味で俺を牽制し、牧野からの絶大なる信頼をいい事に、2人の世界を作り出そうとするから腹が立って仕方ない。
そのうち、牧野になんか興味無い筈のあきらまでじわりじわりと間合いを詰めてき始めた。
おいおい、マダムはどうした?
鉄パン穿いてる牧野なんてターゲットになり得ないだろ?
そう思ってたのに、いつの間にかそういう歳上の女達との関係を綺麗に清算して、『品行方正な御曹司』という偽の仮面を被り始めた。
単純な牧野はコロリと騙されるんだ。

「美作さんも大人になったんだねー。
うんうん、ご主人がいる女の人になんか、ちょっかい掛けちゃいけないって、やっと気付いたんだ! エライ!」

とか何とか言って、あきらを褒めてる始末。
それをいい事に、あきらは牧野の前では『優しくて、仲間思いの美作さん』『完璧な気遣いの出来るジェントルマン』を演じてる。
これは多分、あきら一流の罠なんだ。
良い人の振りをして、牧野を油断させる為の計画。
という訳で。
俺、類、あきら。
3人で牧野のハートを射止めるべく、牧野からは見えない水面下でバチバチやってるんだ。
そして鈍感牧野は何も気付かない。
俺達がただ単に仲良く戯れあってると思ってるし、3人が3人共牧野を想ってるなんて想像すらした事ない。
毎日暢気に生きている。
牧野らしいっちゃそうなんだが、いかんせん鈍感過ぎるんだ。


クリスマスだからといって、他の2人を出し抜いて牧野と2人きりでデート・・・なんて事は不可能。
そんな事したら、絶対に居場所を見付けられて踏み込まれる。
まあ、類かあきらに牧野が攫われたら、俺だって絶対邪魔してやる!って思ってるから、他の2人の気持ちも分かるし。
仕方なく例年通りあきらんちでクリパする事にした。
あきらんちってのは、牧野が他の場にいる時よりも寛いだ表情を浮かべるのが見られる反面、あのお袋さんに加え絵夢、芽夢迄牧野に纏わりつくから、それが煩わしい。
かと言って、俺んちの茶室でクリパって訳にもいかないし、類んちは牧野の事を歓迎してないみたいだ。
結局あきらんちで集まってしまう。
だけど今年はお袋さんと双子はいなかった。
ちょっとほっとするけど、ひと時考えを巡らせて、今度は逆に心配になる。

もしかしてあきらは何か良からぬ事を企んでんのか?
もしそうなら、絶対にそれは阻止してやる。
今夜「酔って眠いなら泊まってけよ!」なんてあきらが言い出しても、必ず邪魔してやる!
お目付役のいない美作邸に牧野だけ置いて帰る・・・なんて事はしてやらねえよ。

あきらは先に着いていた牧野に過剰とも言える接待をしていたらしい。
部屋の中に使用人の姿がないところを見ると、あきらが自分で紅茶を淹れて、牧野にキラースマイルと共にサーヴしたのだろう。
牧野はえらくご機嫌だ。
面白くない。
牧野は俺が隣に座ったのにろくにこちらを見もしないで紅茶に夢中。
憂さ晴らしにあきらに食前酒を頼んだが、牧野の前じゃ『優しい美作さん』になり切ってるあきらは異言を唱えない。
紅茶を飲んでる牧野の横顔をちらちらと盗み見ては、牧野に会えて嬉しくてにやけるのを堪えてた。
そして類のお出ましだ。

「お待たせ、牧野。」って。
俺とあきらも待たされてたんだって!
ホントに類は牧野以外の人間は目に入らない。
問題ありまくりな性格。
何故牧野はそんな類を嗜めたりしないんだ?

そんな事思いながら睨み付けてたら、類は牧野の飲みかけの紅茶を奪って飲んでる。
無邪気な振りして、俺への牽制だ。
牧野は俺がこんな事したって怒らないんだよって、ふふ・・・と微かに笑った声が勝ち誇ってる。
更に俺と牧野が並んで座ってたソファのセンターに無理矢理入り込もうとする類。
俺と牧野を近付けたくないという意図が丸見えだ。
どけ、どかないと小競り合いしていたら、駄々っ子を諌めるかのようにあきらが介入してくる。
どの行動も牧野への点数稼ぎに見えてしまう。
俺と類よりも落ち着きのある所を見せて。
ホストとしての気配りをして。
特に牧野は紅一点なんだから・・・とお姫様扱いして、うっとりさせる。
牧野はあきらの術中に嵌ってる。
どうしたら少々あきら優位になっている現状をこちらに引き寄せられるのかを考えながらテーブルに就いた。
少しでも近くに・・・と思って隣に座ったが、真向かいのあきらに幸せそうに笑い掛けてるのを見て、ちょっと失敗したか?と思ったり。

はあ・・・
クリスマスってのは、面倒な感情が次から次へと湧いてくる日だな、マジで。


_________



新年明けてもクリスマスSSの続きでスミマセン^^;
病人の看病のち、看病疲れで体力低下して管理人がダウン・・・という、クリスマスから年末の日々でした。
まだまだ絶賛大量の薬でドーピング中ですが、家族が初売りへと出掛けて行き、独りでゆっくり出来る時間が出来たので更新してみました。
こんな拙宅ではありますが、今年もどうぞ宜しくお願いしますm(_ _)m

総二郎、類、あきら。
こういうシチュで誰が一番有利かって、やっぱり自分のテリトリーに皆を招き入れてるあきらかな?
総二郎には「短気は損気』と言ってやりたいです(苦笑)


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聖なる夜の三つ巴の戦い! -後編-

食事が始まった時にはアルコールを口にしていなかった牧野は、雰囲気に流されてあきらの作る軽いカクテルを2杯、3杯と飲んで、ちょっと頬が色付いている。
食後のデザートを食べ終えたら、毎年恒例の、俺らから牧野へ、牧野から俺らへのプレゼント交換タイムになった。

「メリークリスマス、牧野。俺からはこれ。」

あきらがさり気なさを装いつつポケットから取り出した小さな包みの中は、凝ったデザインのバレッタ。
「うわあ、キレー!」と顔を綻ばせた牧野のまとめ髪に器用に挿してやってる。

「うん、思った通りだ。似合ってるよ、牧野。」
「えー! ありがとう、美作さん!
ちょっと大人っぽくて、すっごく素敵なデザインだね。嬉しいっ!」

大喜びしてる牧野の心を奪還すべく、類が牧野にプレゼントを手渡す。
ガサガサと包装紙を解いて、牧野がひと時絶句した。

「類、これ・・・」
「欲しかったんでしょ。
あんた、本屋で何度もこの本見てた。」
「でも、でも、この写真集、お値段高くて・・・。」
「またそういう事言う。
あんたが折に触れて何度もこの本のページを捲って大切に読むなら、値段なんてあってないようなものでしょ。
それに俺だってこう見えて時々働いてるから。
自分の力で稼いだお金でプレゼントを買ってあんたに喜んでもらえたら、それは働き甲斐があるなって思えるんだ。」
「えー・・・、ホントありがとう。」

牧野はちょっと涙目だ。
オイオイ?
今の、どこに泣くポイントがあった???
牧野・・・
類は自分の金でその本を買ったかもしれないが、その何百倍って親の金で毎日贅沢三昧しながら暮らしてるんだからな!
分かってんのか???
とか言いつつ、俺だってそうか・・・。

俺が1人でちょっとモヤっている間に、牧野は鼻をスンスン鳴らして、何とか涙を引っ込めたみたいだ。
そして俺の番が回って来た。
ころんとしたマカロンみたいな小さなアクセサリーケースを、態と包装無しのそっけない感じで牧野の手元に押し付ける。

「ほらよ。」
「あ、なあに、これ?
小銭入れ? お薬ケースかな?
Tってイニシャル入ってて嬉しい!
ありがとう、西門さん。」

珍しく俺に対して素直な牧野が、ぱあっと明るく笑って、こっちを見上げてくる。
うるうるしてる目から発せられるビームは効果絶大。
俺のハートを撃ち抜いてく。

「馬鹿、お前。
プレゼントはその中だっつーの。」

牧野がファスナーをぐるりと開けると、中から白い箔押しの一粒ピアスが現れた。

「うわ・・・、可愛いピアス!
真珠じゃないよね。なんかキラキラしてる。」
「この前仕事で金沢行ったから。
金沢って金箔が有名だろ。
その技術を活かしてアクセサリー作ってる店があるんだよ。
それはシルバーも混ぜてあるからそういう色になるらしいぜ。」
「流石西門さん。趣味がいいね。」

そう言われて鼻も高々だ。

「つけてやろうか?」
「え? あ、自分でやれるから!」

あきらにはされるがままになってた癖に。
俺の事は拒むなんて、詰まらない。
そう思ったところで、すかさず類に釘を刺される。

「総二郎、牧野に触んないで。」
「はあ? ピアスつけてやろうか?って言っただけだろ!」
「そんな事言って・・・
牧野に触るのが目的でしょ。やらし・・・。」
「そんな事狙ってねえよ!」

いや、ホントはちょっと・・・、大いに狙ってた。
牧野の柔らかそうな、ちょっとひんやりしている耳朶にそっと触れて、そんな事されるのに慣れてない牧野がひくりと肩を揺らして・・・
そこに俺の手で優ーしくピアスを挿してやり、擽ったそうに首を縮こめつつも、ぽっと頬を赤らめる牧野が現れる・・・ってところまで想像してたさ!
わりーかよ?
絶対絶対、類だってあきらだってよからぬ妄想してる筈だ!

「ちょっとー、2人とも何言い合ってんの?
ね、似合う? 似合う??」

牧野がピアスを俺がやったものに着け替えて、後れ毛を耳に掛けながら聞いてくる。

可愛い。
すげー可愛い。
似合ってる。
俺の好きな白い色のピアスってのがまた牧野の無垢な感じに合うんだよな・・・

「・・・いいんじゃね?」

本心なんか素直に漏らせないから、こんな程度の返事しか出来ない、不甲斐ない俺。

「えへへ。ありがと、西門さん。
はい、あたしから皆にはこれ。」

俺達3人にそれぞれ手渡されたクリスマスのラッピングの中身は・・・、牧野手作りのブックカバーとコースターだった。

「冬の夜長に、文庫本片手にあったかい飲み物でも・・・と思ってさ。
良かったら使ってね。」
「・・・サンキュ。」
「ありがと、牧野。」
「これ、いいな。
使わせてもらうよ、牧野。」
「うん! 美作さんがね、よくコーヒー飲みながら本読んでるじゃない。
それ見ていて思い付いたんだー!」

折角のプレゼントもあきらから連想した物と聞くとちょっと面白くない。

「ブックカバーの内側にはこっそりイニシャル刺繍してあるんだよ。
だからさっき西門さんから貰ったアクセサリーケースにTってイニシャル入ってた時、同じだ!と思って嬉しくなっちゃった。」

こんな事言われたら、あっさり頬が緩みそうで困る。
牧野が俺を思いつつ、一針一針Sって縫い込んでたかと思うとじわじわと喜びが込み上げてくるし。
同じくイニシャル入りのプレゼントを用意してた牧野と俺とのリンクが嬉しい。

「えーっとね、これは絵夢ちゃんと芽夢ちゃんへので。
こちらはおばさまへのプレゼントなの。
美作さんに預けちゃっていいかな?」
「ああ、勿論。
毎年俺の家族の分までありがとう、牧野。」
「いやいや、毎年図々しくこちらにお邪魔しちゃってるの、あたしの方だし。
今年は双子ちゃんに会えなくてちょっと寂しいなあ。
でもイタリアで家族水入らずのクリスマス、してらっしゃるんだろうし。
イタリアで迎えるクリスマス、素敵だろうねー。
美作さんは追い掛けて行かないの?」
「・・・家族旅行が楽しいって歳でもないしな。
行ったら双子の世話してばかりで休まらないし。
こっちでのんびりするよ。」

分かってんぞ。
あきらは絶対に牧野とクリスマスをここで過ごす為に残ったんだ。
あわよくば他の日も会おうとか思ってんだろ?
あーあ、俺はここから暫くは滅茶苦茶忙しくなるんだよな・・・
あきらと牧野のデート企画を邪魔する役目は類に任せるしかねぇ。
ま、俺に言われなくても類はしっかりその任務を遂行する事だろうが。

この後更に上機嫌になった牧野は、「だって美作さんが作るカクテルって美味しいんだもーん!」と言って杯を重ね、見事な酔っ払いになった。
身体は骨が抜けたかようにふにゃふにゃとしてて、呂律も怪しい。

「桜子にさーあ、皆へのプレゼントは何がいーと思うー?って相談したんだけど。
あーの子ってば、ヘンテコリンな事言うんだよぉ。
『先輩がぁ、頭にちょこんっとリボンを着けてぇ、プレゼントはあ・た・し!とか言うのが一番喜ばれるんじゃないですかぁ?』なーんて。
そーんなのプレゼントになんないのにねぇ!」

えへへとしまりなく笑ってる牧野の目は半分閉じている。

そんなプレゼント・・・、貰いたいに決まってんだろ!
問題は俺達は3人で、牧野は1人しかいねえとこだ!
3人で共有・・・はとてもじゃないが無理だ。
出来る気がしない。
自分だけで独占したいって俺達誰もが思ってる。
ちらっと類とあきらに視線を流すと、奴等もこっちを見ていた。
空中にバチバチ火花が飛んでるが、酔っ払い牧野は気付かない。
暫く睨み合いが続いていたが、類が牧野の方へと顔を向けたから、一時休戦になった。

「牧野、もう帰ろ。送ってくから。」
「えー? やだぁ! まだ帰らなーい!
折角のクリスマスの夜なんだもーん。
もっと皆で飲もうよぉ!」
「あんたもう限界でしょ。眠そうだもん。」
「ダイジョーブ、ダイジョーブ!
美作さぁん!
さっきの美味しいの、もう1杯下さーい!」

あきらも苦笑いしている。

「牧野、客間用意させるから泊まってけよ。
もうこの分じゃ部屋に戻る車の中で寝るだろ。」
「そんなこと、ない・・・もん・・・。」

そう言ってる声がもう眠そうだ。
だけど、あきらしかいない邸に牧野を泊めて、明日の朝もあきらに牧野を独占されるなんて許せない。

「お、それじゃ、俺も泊めてもらおっかな。
帰るの怠くなっちまった。外もえらく寒そうだし?」
「車なんだから外の気温なんか関係ないだろ?」
「んー? あきら、俺を泊めると不都合な事あんのか?」
「いや、別に、そんな事は・・・」
「じゃ、俺も泊めてもらおうっと。
あきら、俺の部屋は牧野の隣にして。」
「何だよ2人して。
いつでも帰れるように車待たせてる癖に。」

軽く溜息吐きながらあきらが困り顔しつつ笑ってる。
抜け駆けなんてさせねえよ?

「ねえ、牧野寝ちゃったよ。あきら、部屋どこ?」

ソファで船を漕ぎ出した牧野に類が歩み寄る。

ちょーっと待て。
牧野を抱き上げ運ぶ役目は俺がやる!

慌てて俺もソファに近付く。
同じ事を思ったらしいあきらもこちらに向かって来て、牧野抱き上げ権の争奪に参戦してきた。
また3人での睨み合いが始まる。

俺、類、あきら。
俺達3人の戦いは終わる事が無さそうで怖い。
誰か1人だけが牧野の心を射止める日なんか来んのか?

そんな事を思いながら、聖なる夜の無言の戦いは続くのだった。


_________



やっとクリスマスSSを書き終わりました^^;
ちょっとペース配分間違えて、後編がボリューミーになってしまいました。
悪しからず・・・
まあ、こんな3人の中から1人抜け出すなんて無理そうです。
つくしは「みーんな友達!」と思ってるから、いつでも楽しくて3人から構われるのは居心地いいかもですけど。
鈍感は罪ですなぁ。

病人から貰ってしまった酷い風邪も、やっと少し抜けて来ました。
こっちに感染した本人はもうケロッとしてるというね(苦笑)
鼻風邪だったので、柔らかティッシュの消費が花粉症の時並みでした。
在庫無くなってきたから買いに行かなきゃー!
まだまだ寒い日が続きそうですから、皆様も首、手首、足首を温めて、風邪引かないようにお過ごし下さいね。


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