すみません、中々落ち着かなくて…
いつものように更新できませんで…
今日もストックからSSを。
夏の午後を一緒に過ごす2人です。
__________
真夏。
外に出れば日差しがギラギラと照りつけ、じっとりと汗が滲み出す。
俺は仕事柄、あんまり日焼けしたくないから、夏は自然と日中の外出が少なくなる。
朝茶事の為に早起きが身に付くこの季節、昼の一番暑い時間を仮眠に充てて、夕方から活動を開始するのが俺のパターンだ。
今日は朝茶事の後、牧野の部屋に転がり込んで、昼寝していた。
目が覚めて寝室を出ると、キッチンで甲斐甲斐しく働く牧野の姿が見えた。
「あ、西門さん、起きた?
お腹減ったでしょ。ちょっと遅くなったけどお昼にしよ!」
そう言ってにっこり微笑む牧野は、食事の支度をしているらしい。
「はよ。」
シンクの前の牧野に近づいて、腰に手を回す。
それだというのに俺の彼女は
「ねぇ、動きにくいんですけどー?!」
とつれない態度。
巻き付けた手を外されて、背中を押されて、テーブルに着かされた。
飯なんて、作るのが面倒なら何処かに出掛けて食べてもいい訳で。
俺としては2人でイチャイチャ出来る方が有意義な時間の過ごし方だ。
なのにこんな扱い、不本意極まりない。
今日のランチはツナとコーンクリームの冷製パスタ。
微かに和風出汁の風味がするそれは、牧野の得意料理だ。
コンソメスープとサラダとパスタを食べ終わったら、もう既に4時を回ってた。
随分のんびり昼寝していたことになる。
「何処か出掛けるか?
牧野、行きたい所あるのか?」
「うーん、何処に行っても暑いよねぇ。
涼しいとこってどこだろ? プール?」
バカ牧野!
俺がお前の水着姿、他の人間なんかに見せる訳ねぇだろ!
そんな提案は即刻却下だ、却下!
そのうちプライベートプールかビーチがあるホテルにでも連れてってやるよ。
でも流石に今日これからという訳にはいかない。
「じゃあ、ドライブでもして、晩飯食って、どっかで夜景でも見るか?
日が暮れれば少しは涼しくなるだろ。」
「うん、西門さんに任せるよー!」
エンジンスターターで事前に車内を冷やしておいたお陰で、快適にドライブに出発した。
こんな便利機能ですら、牧野には贅沢に思えるらしく、
「地球温暖化に拍車をかけてる」
「暫く窓開けて走ればいい」
「ガソリン勿体無い」
などのお小言を頂く。
勿論そんなの総スルーだ。
今夜は何処の夜景を見せようか?
明日も朝茶事があるから、そう遠くには行けないし。
そう思って、箱根方面へと車を走らせた。
東名高速道路を西に向かい、厚木からは小田原厚木道路へ。
周りの景色がどんどん変わっていく。
走れば走る程空が広くなって来た。
その空が段々色付いてくる。
綿菓子のようにふわふわと浮かんでいた白い雲の淵が桃色になり、西の空は蜜柑色にと変化する。
「うわあ… 夕焼け。綺麗だねぇ、空の色。」
牧野が夢見心地で呟く。
そんな牧野を見つめたくて、平塚のPAに車を滑り込ませた。
車の外に出てみると、都内を出て来た時よりも、幾分凌ぎ易くなっている。
牧野の手を引き、PAの端にあるベンチへと誘った。
蜜柑色に染まった景色の中に小さな三角形のシルエットが浮かび上がっている。
「ねぇ、あれってもしかして…」
「そう、富士山。」
「えっ! すごい! なんか気分上がるね、富士山見ると!」
「今日天気良かったから、よく見えるよな。」
夕焼け空と富士山を見つめる牧野。
その牧野を見つめる俺。
太陽が沈み行く西の空は、蜜柑色から緋色へと色を変え、俺達の後ろから夜が忍び寄る。
最後の煌きが消えて、俺は牧野の頬に手を伸ばした。
ふっとこちらに向いた牧野が、目を細めて、そっと笑いかけて来た。
ふっくらした頬を親指でなぞる。
「そろそろ行くか?」
こっくり頷いた牧野と車に戻った。
まだ夕焼けの名残を残した西の空を見ながら車は進む。
カーラジオから流れてくるDJの声は
「日の入りは、さっき、6時42分でした。」
と告げている。
「なんか贅沢だね。」
「ん? 何が?」
くすっと笑ってから牧野が更に言葉を紡ぐ。
「好きな人と綺麗な夕焼けを見る時間があるって、凄く贅沢だなって思ったの。
だって、あたし、とっても幸せなんだもん、今。」
俺、今、顔が赤くなってるかもしんねぇ。
牧野、こっち向くなよ。
空、見てろよ。
__________
珍しく、つくしじゃなくて、総二郎が顔を赤らめるというお話でした。
照れてる総二郎。
管理人はそういうの、好きであります。



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今日もストックからSSを。
夏の午後を一緒に過ごす2人です。
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真夏。
外に出れば日差しがギラギラと照りつけ、じっとりと汗が滲み出す。
俺は仕事柄、あんまり日焼けしたくないから、夏は自然と日中の外出が少なくなる。
朝茶事の為に早起きが身に付くこの季節、昼の一番暑い時間を仮眠に充てて、夕方から活動を開始するのが俺のパターンだ。
今日は朝茶事の後、牧野の部屋に転がり込んで、昼寝していた。
目が覚めて寝室を出ると、キッチンで甲斐甲斐しく働く牧野の姿が見えた。
「あ、西門さん、起きた?
お腹減ったでしょ。ちょっと遅くなったけどお昼にしよ!」
そう言ってにっこり微笑む牧野は、食事の支度をしているらしい。
「はよ。」
シンクの前の牧野に近づいて、腰に手を回す。
それだというのに俺の彼女は
「ねぇ、動きにくいんですけどー?!」
とつれない態度。
巻き付けた手を外されて、背中を押されて、テーブルに着かされた。
飯なんて、作るのが面倒なら何処かに出掛けて食べてもいい訳で。
俺としては2人でイチャイチャ出来る方が有意義な時間の過ごし方だ。
なのにこんな扱い、不本意極まりない。
今日のランチはツナとコーンクリームの冷製パスタ。
微かに和風出汁の風味がするそれは、牧野の得意料理だ。
コンソメスープとサラダとパスタを食べ終わったら、もう既に4時を回ってた。
随分のんびり昼寝していたことになる。
「何処か出掛けるか?
牧野、行きたい所あるのか?」
「うーん、何処に行っても暑いよねぇ。
涼しいとこってどこだろ? プール?」
バカ牧野!
俺がお前の水着姿、他の人間なんかに見せる訳ねぇだろ!
そんな提案は即刻却下だ、却下!
そのうちプライベートプールかビーチがあるホテルにでも連れてってやるよ。
でも流石に今日これからという訳にはいかない。
「じゃあ、ドライブでもして、晩飯食って、どっかで夜景でも見るか?
日が暮れれば少しは涼しくなるだろ。」
「うん、西門さんに任せるよー!」
エンジンスターターで事前に車内を冷やしておいたお陰で、快適にドライブに出発した。
こんな便利機能ですら、牧野には贅沢に思えるらしく、
「地球温暖化に拍車をかけてる」
「暫く窓開けて走ればいい」
「ガソリン勿体無い」
などのお小言を頂く。
勿論そんなの総スルーだ。
今夜は何処の夜景を見せようか?
明日も朝茶事があるから、そう遠くには行けないし。
そう思って、箱根方面へと車を走らせた。
東名高速道路を西に向かい、厚木からは小田原厚木道路へ。
周りの景色がどんどん変わっていく。
走れば走る程空が広くなって来た。
その空が段々色付いてくる。
綿菓子のようにふわふわと浮かんでいた白い雲の淵が桃色になり、西の空は蜜柑色にと変化する。
「うわあ… 夕焼け。綺麗だねぇ、空の色。」
牧野が夢見心地で呟く。
そんな牧野を見つめたくて、平塚のPAに車を滑り込ませた。
車の外に出てみると、都内を出て来た時よりも、幾分凌ぎ易くなっている。
牧野の手を引き、PAの端にあるベンチへと誘った。
蜜柑色に染まった景色の中に小さな三角形のシルエットが浮かび上がっている。
「ねぇ、あれってもしかして…」
「そう、富士山。」
「えっ! すごい! なんか気分上がるね、富士山見ると!」
「今日天気良かったから、よく見えるよな。」
夕焼け空と富士山を見つめる牧野。
その牧野を見つめる俺。
太陽が沈み行く西の空は、蜜柑色から緋色へと色を変え、俺達の後ろから夜が忍び寄る。
最後の煌きが消えて、俺は牧野の頬に手を伸ばした。
ふっとこちらに向いた牧野が、目を細めて、そっと笑いかけて来た。
ふっくらした頬を親指でなぞる。
「そろそろ行くか?」
こっくり頷いた牧野と車に戻った。
まだ夕焼けの名残を残した西の空を見ながら車は進む。
カーラジオから流れてくるDJの声は
「日の入りは、さっき、6時42分でした。」
と告げている。
「なんか贅沢だね。」
「ん? 何が?」
くすっと笑ってから牧野が更に言葉を紡ぐ。
「好きな人と綺麗な夕焼けを見る時間があるって、凄く贅沢だなって思ったの。
だって、あたし、とっても幸せなんだもん、今。」
俺、今、顔が赤くなってるかもしんねぇ。
牧野、こっち向くなよ。
空、見てろよ。
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珍しく、つくしじゃなくて、総二郎が顔を赤らめるというお話でした。
照れてる総二郎。
管理人はそういうの、好きであります。



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