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花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
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秋色片想い -前編-

秋分を過ぎてもなお、汗ばむ暑い日が続くな・・・と思っていたのに、数日しとしとと雨が降る日が訪れて、その雨は急に秋を呼び寄せた。
少しひんやりとした空気の中にはオスマンサスの香りが甘く漂っている。
講義終わりにばったり顔を合わせた牧野は、衣替えが間に合っていないのか、お気に入りだと言って夏の盛りに愛用していた半袖のブラウスの上に薄いカーディガン、更にその上に薄手のパーカーを羽織っていた。

「あたし、今日バイトないんだー!」

と清々しい笑顔で言うから、

「それならウチに遊びに来るか?
それとも何処かに出掛けるか?」

と提案してみた。

「んー、何したいかなぁ・・・
えーっとねぇ・・・、ちょっと散歩して、映画観て、ご飯!」

という3本立ての希望を出してくる。
いつも大学の授業とバイトばかりで予定が詰まっている牧野。
偶の自由時間を満喫したいのだろうと、その希望を叶える事にした。
テイクアウトしたホットのカフェラテを手にしながら広い公園を通り抜ける。
ちょっと飛び跳ねるみたいに軽やかに歩いていく牧野を追いかけた。
行き交う散歩中の犬に顔を綻ばせ、遠くで誰かがかき鳴らしている下手なギターに合わせて鼻歌を歌う。
それを見聞きしているだけで俺の頬は弛んでいった。
映画は牧野が選んだ、主人公が過去へとタイムスリップしてしまうドタバタコメディ。
俺の好みではないから、特に期待していなかったのに、観始めたらその世界に引き込まれ、2時間の上映時間はちっとも長く感じなかった。
映画館を出るとすっかり日は暮れていたが、代わりに街の灯りがこれでもかと言わんばかりに煌めいている。
まるで光の洪水だ。
夜の街の空気は思いの外冷えていて、薄着の牧野を歩かせるのを躊躇って、近くにある俺の知っている店で食事をする事にした。

「今日の映画、面白かったねー!」

テーブルの向こう側で、牧野は機嫌良さそうに顔を綻ばせてる。
料理が運ばれてくる合間に、各々映画の感想を言い合った。

「もしあの映画の主人公のように過去に戻れるとしたら、牧野ならいつの時代に戻る?」

そう聞いたら牧野はきょとんとした表情を浮かべた。
ぱちりぱちりと瞬きをし、小首を傾げて、暫し遠くを見詰めるように思案して。

「あたし、戻らない。
どの時間にも戻らないなぁ。」

と答え、ふふふっと小さな声を上げて笑った。

「今がいい。
こうしていられる今がいいの。」

「そうなのか?」

「うん。」

「ちっちゃな子供の頃とか、戻ってみたくないか?」

牧野はゆらゆらと首を横に振る。

「ううん。
それはアルバムの写真を見て懐かしむだけでいいな。
じゃあ美作さんは?
美作さんならいつに戻りたい?
4人でわちゃわちゃしてた子供時代?
中等部? それとも高等部時代?
でもさぁ、ずっと4人一緒だったんでしょ?
いつに戻っても同じ顔触れだねえ。」

俺の過去を想像しつつ楽しそうにクスクス笑って、デザートのモンブランにフォークを入れている牧野。
その『4人』の中に司が含まれている事は、牧野を切なくさせないのだろうか?と勝手に気を揉んでしまう。

「俺も今がいい。
戻りたい時間なんかないな。」

「ほーらね。
タイムマシンなんてあっても、案外使わないものなんだよ、きっと。
あれは映画の中の出来事だからさ。
未来が分かりすぎるのも怖いから、見に行きたくないし。
だってどうする?
未来に行ってみて地球が滅亡してたら?
怖いじゃない、そんなの!」

「・・・うん、そうかもな。」

そう呟いて、俺は牧野にそっと笑い掛けた。
でも胸の内には言葉には出来ない思いが湧き上がっている。

なあ、今言った事は本当なのか?
本当に戻りたいとは思わないか?
司が刺された、あの時より前に。
あの悲劇を回避出来たなら、牧野の運命は大きく変わっていた筈だ。
司は牧野を忘れる事なく、2人は今も想い合って、共に過ごしていられたかもしれない。
そうしたら俺はそんな2人を見守っていたんだろうな。

そう思ったらつい身震いしてしまった。
そんな『ifの世界』を想像する事に恐怖を覚えたから。

俺はもう、司と牧野を見守る立場には戻りたくないんだ。
司が記憶を取り戻すことを望んでいない。
牧野を秘かに想いつつ、友として手を差し伸べられるこの距離を護りたい。
いや、できる事ならば、この想いの丈を伝えて、俺だけをその瞳に映して欲しいと望んでる。

俺の気持ちになんて全く気付かない牧野は、幸せそうに紅茶とモンブランを堪能している。

今ここにタイムマシンが無いから・・・
考えても仕方ないから・・・
諦めているのかもしれないな。
本当に目の前にあったとしたら・・・
牧野はそれに飛び乗って、あの時の司を救いに行くのだろう。

想像の中だけの『ifの世界』は、起こり得ない事なのに俺を途轍もなく切なくさせた。
迎えの車を呼び寄せ、牧野を部屋へと送り届け、1人になったリアシートに身体を沈めたら、口からは大きな溜息が吐き出されていく。

片想いって・・・、こういう事か。

今までこんな思いをした事がなかった。
こんなに胸が苦しかったり、切ない気持ちに苛まれた事がない。
山程に恋愛をしてきたつもりでいたけれど、今胸を占めているこの想いを恋と呼ぶのなら、これまでの出会いと別れの数々は、恋愛にすらなっていない、それ以前の感情だったらしい。

俺は初めて本当に人を好きになった。
それは記憶を失くした男をずっと想っている人だった。


_________



ご無沙汰しております。
hortensiaです。
生きてます。
生きてはおりますが、スランプのドツボに嵌って苦しんでおります(~_~;)
色んなお話の続きを待って下さっているんだろうに、全然違うSSをUPしちゃう事をお許し下さいー。
何とかこれを書き終えられた気がするので、久々に戻って参りました。
他のお話は・・・気長にお待ち頂ければ有り難いです、はい。


スタバでコーヒー買って代々木公園をお散歩、坂を降りてきて渋谷で映画。
お食事はセルリアンタワーのフレンチで。
そんなデートコースを頭の中で歩きつつ書いてみました。
昔渋谷で働いていたので、自分の庭気分でイメージしましたが、多分その時からは物凄ーく変わっているのだろうと思います。
渋谷って、いつでも人の波が引かない街で。
不思議なところだなぁと思いながら毎日通ってました。
文化村通りを上がっていったところ右側にあるブーランジェリーが好きです。(パンをたっぷり食べられるモーニングが魅力的なの!)


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秋色片想い -中編-

10月になって、急に街の中にはオレンジ色の南瓜や蝙蝠のディスプレイが目立つようになり、それに影響されたのか、テレビで何かを観たのか、それとも絵本でも読んだのか、双子がハロウィンデコレーションが施された遊園地にコスプレして行きたいと言い出した。
この家でそういう我儘を聞いてやるのは俺の役目なのが常。
1人で双子を連れて行くよりも、牧野と一緒に行けたら楽しくなるな・・・と思って声を掛けてみると、「バイトが休みの日なら是非行きたい!」と返事があった。
互いの予定を摺り合わせ、双子の運動会が終わった翌週の土曜日に、海の近くの遊園地へと出掛けた。
牧野は揃いの魔女っ子衣装に身を包んだ双子の専属カメラマンになったかのように、「可愛い」「可愛い」と褒めちぎりながらあちらこちらで写真を撮っている。
双子は幼稚園児らしく、ふわふわとしたチュールたっぷりなスカートでも困らないような、まったりとした動きのアトラクションばかりを選んで乗っていた。
水の上をゆーっくりと進んでいくボート。
メリーゴーランドの馬車。
パークの中を大人の早歩きくらいの速度で走る蒸気機関車型の乗り物などなど。
果たしてこれで遊園地を満喫しているんだろうか?と多少疑問に思いつつも、なんの衒いも無く牧野に甘えている2人と、それを楽し気に受け止めてくれている牧野の様子が微笑ましくもあり、嬉しくもあり。
あちこち巡っていく3人の後を、俺は付いて回った。
けれど、どんな双子の我儘にも笑顔で付き合ってくれていた牧野が否を唱えたのは、観覧車の下に来た時だった。

「あたしはここから手を振るから。
これは家族3人水入らずで乗っておいでよ。」
「そんな・・・、つくしお姉ちゃまもご一緒しましょ?」
「そうだよ、俺達に遠慮なんかするなよ。
牧野も一緒に乗ってくれた方が楽しいから。
な、絵夢、芽夢?」

そう言って誘った俺と双子にちょっと目尻を下げて笑い掛けながら、

「あたしね、観覧車は乗るより外から見ている方が好きなんだ。
下で写真撮りながら待ってるから。
3人で行ってきて。ね?」

と、俺の背中を観覧車に向かう階段へと優しく押し出した。
単に遠慮しているのでは無いのだとやっと気付いた俺は、牧野を困らせたくなくて、双子にこう話しかけた。

「じゃあ俺達は下で手を振ってくれる牧野の写真を撮ってこよう。
それで後で両方の写真を合わせて見たらきっと面白いぞ。」

牧野に甘えきっていた為に、ちょっと寂しそうな雰囲気になっていた2人も、

「そうね、そうするわ。」
「お姉ちゃま、行ってきます。」

と、牧野に小さな手を振って、観覧車の乗り口へと歩き出した。
牧野は朗らかに笑いながら、「行ってらっしゃーい!」と俺達を送り出している。
さっきまで4人でいたのが1人だけ欠けると、こんなに狭い観覧車のゴンドラだというのに、空席があるのが妙に気になった。

「あ、あそこ!
つくしお姉ちゃま、あそこにいらっしゃるわ!」
「お姉ちゃまー!」

声を上げても牧野に聞こえはしないけれど、2人は牧野に向かって大きく手を振っている。
牧野もそれに応えてくれているのが見えて、さっきの約束通り、俺はその姿を写真に収めた。
ゴンドラが徐々に高く上がって行くと、牧野の姿は見えなくなり、双子は左右の景色を眺め始める。

「お兄ちゃま、あの天辺が白いお山は富士山?」
「ああ、そうだなぁ。
雪の帽子を被ってるな、もう。
この前そんなニュースをテレビで観たよ。
「こっちは海が綺麗よ、芽夢!」

柔らかな日差しを反射してきらりきらりと輝く海は、青と言うよりも灰色がかった秘色〈ひそく〉色で、空の色はそれよりも更に淡く、秋の訪れをしみじみと感じさせた。
興味津々な様子で窓の外の風景を眺めている双子の横で、俺はとても寂しかった。
牧野の不在が。
この景色を共有出来ない事が。
牧野が観覧車に乗れない理由がある事が、俺を寂しくさせていた。
観覧車を降りて牧野と再び合流すると、双子は見て来た景色をちょっと興奮気味に話して聞かせ、牧野もうんうんと笑顔で頷きながら相手をしてくれている。
それからまた遊園地の中をあっちだ、こっちだと歩き回って、カフェでおやつのパンケーキを食べ終わった途端に、双子はがくんとトーンダウンした。

「絵夢ちゃん、芽夢ちゃん、疲れたんじゃない?
ちょっと元気なくなってるねー。」

牧野が2人の顔を覗き込みながらそう尋ねると、
「眠たくなってしまったの・・・」なんて言う2人はまだまだ幼い。
すると、牧野が小さな声で俺に囁いた。

「美作さん、もう帰ろう?」
「でも牧野、双子の世話ばかりで、乗りたいものにも乗れてないだろう?」
「そんなのいいよ。
2人疲れてるもの。
お迎えの車、回してもらって?」
「・・・悪いな。」

ふるふると頭を横に振って、「ううん。」と軽やかな響きの声で言ってくれた。
牧野は腰を屈めて絵夢と芽夢と同じ目線になり、2人に聞いている。

「もうちょっとだけ歩けるかなぁ?
絵夢ちゃん、芽夢ちゃん、頑張れる?」
「ん・・・」

こっくり頷きながらそう答えたものの、2人の足取りは重く、結局俺が絵夢を、牧野が芽夢を抱っこして、遊園地の中を移動する事となった。
出口の近くで待っていた車の中からは、家に居る筈のお袋が出てきたから、牧野は少し驚いている。

「あらあら、つくしちゃん、重たかったでしょう?
ありがとう。」
「大丈夫です。このままお席に乗せますね。」

チャイルドシートにまず牧野が芽夢を下ろし、次に俺が絵夢を下ろすと、牧野がほっとしたような表情を浮かべた。

「2人ともぐっすりだね。」
「はしゃぎ過ぎだよ。」

そう小声で言って2人で顔を見合わせ、お互いくすりと笑いを溢す。
ほんのりと色付いた牧野の頬が極々近くにあって、うっかりすると手を伸ばして触れたくなる自分にストップを掛けた。
胸の内で自分に言い聞かせる。

牧野と俺は友達で。
家族でもなければ、恋人でもない。
何でもない2人なのだから。


_________



暗っ!
あきらが暗いよーん!
これを何とか光が差す方へと向けるんですか?
大変だなぁ、オイ!←自業自得

このお話では、絵夢ちゃん&芽夢ちゃんは、幼稚園の年長さんという設定にしております。
ちなみにあきらは大学3年生、つくしは2年生です。
原作にはあきらの「早く幼稚園行かねーかなー」というモノローグがあるんですね。
原作のあきらは高校3年だから、翌年の春双子が3年保育で入園すると仮定して、この年齢設定としました。

海の近くの遊園地。
八景島シーパラダイスをイメージしつつ、でもあそこは観覧車ないので、妄想物件かな。
管理人も観覧車は乗るより見てる方が好きです。
あ、全く深い意味や思い出はありません笑
フォトジェニックですよね、観覧車って。




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秋色片想い -後編-

そのまま双子やお袋と一緒に車に乗って帰ろうとしたら、お袋が

「つくしちゃん、子供達のお姉さん役、本当にありがとう。
小さな子と一緒じゃ、遊園地満喫出来なかったでしょう?
今からもう少しあきらくんと回ってきたら?」

と言って俺達に車から降りるように促した。
それは俺も気になっていたところで。
折角ここまで来たのだから、牧野が乗りたいだろうアトラクションに乗せてやりたかった。

「え・・・? どうする、美作さん?」

「是非是非、おチビ抜きで俺とデートしてもらいたいなぁ。
牧野、あの海に迫り出したジェットコースター乗るの、付き合ってくれる?」

「・・・いいけど。」

お袋は日が暮れたら海からの風が冷たくなるだろうから・・・と、牧野に一枚のストールを押し付けて去っていった。
その場に残された俺と牧野は顔を見合わせ、またちょっと笑いあってから、遊園地の入り口へと足を向ける。
入場券の半券を出せばあっさりと再入園させてもらえたので、さっきまで素通りしていた派手な動きのあるアトラクションに挑戦する事にした。
「わー!」「きゃー!」と、大きな声を上げながらジェットコースターやバイキングに乗る牧野はとても楽しそうだ。

「はぁー、ちょっと乗り物は休憩!」

と牧野が言い出した頃には、西の空は蜜柑色の夕焼けに染まり始めていた。
コーヒースタンドで買った俺のブレンドコーヒーと牧野の為のアッサムティーラテ、そして温めて貰ったシナモンロールを手に、牧野が座っているベンチへと戻る。
どこか遠くを見詰め、物憂げな表情を浮かべていた牧野は、近寄る俺に気付いた途端、スイッチを切り替えたかのように笑顔を浮かべた。

「わあ、美作さん、ありがとうっ!」

紅茶のカップとシナモンロールが入っている紙袋を手渡すと、

「あったかーい。いい匂い!」

と更に目を細くしている。
隣に腰を降ろして前を向けば、牧野の視線の先にあったのが、さっき乗らなかった観覧車だと分かった。
その途端、身体のどこかをぎゅっとつねられたような感覚に襲われる。
きっと胸が痛いのは牧野の筈なのに、俺まで痛むなんておかしな話だ・・・と、観覧車を睨みながら思った。
牧野のカップが空になった頃を見計らい、前を向いたまま話し掛ける。
あくまでも重たい台詞にならないように、何気ない事を言うふりをしたかった。

「なあ、牧野。」

「ん?」

「無理に笑うなよ。」

「え?」

「俺の前では無理に笑う必要ない。
笑えない気分の時は、悲しい顔してたり、不機嫌な顔してたって、ぼーっとしてたっていいんだ。
俺はそんな事で牧野を疎ましく思ったりしない。
唯、今はそんな気分なんだなって受け止めるだけだから。」

そう言ったら牧野は黙ってしまった。
口はきゅっと真一文字に結ばれて、硬い表情を浮かべているのが、ちらりと盗み見た横顔からも分かる。
泣くのを堪えているのかも知れなかった。
俺はそんな牧野の肩にそっと手を回し、少しだけこちらに抱き寄せる。
細くて小さな牧野の肩は妙に力が入っていて、それを解したくて、ゆっくり肩先を撫でた。

「牧野、深呼吸してみて。
ほら、胸いっぱいに空気吸って。
ゆーっくり吐き出して。」

深呼吸を繰り返しているうちに、少しずつ牧野の肩の強張りが解けていくのが分かる。

「・・・海の潮の香りと、金木犀の匂いがする。」

「秋だなぁ。
うちの庭の秋薔薇も綺麗に咲き出したぞ。」

「・・・そっか。
薔薇でいっぱいのお庭、綺麗なんだろうな。」

「いつでも観に来たらいい。
お袋も双子も大歓迎するよ、絶対。」

「・・・うん。ありがと、美作さん。」

涙声で名前を呼ばれるのは、まるで耳から入った声が身体の中を鋭い痛みとなって走り抜けていくかのようだな・・・と思いつつ、その痛みをひた隠しにしたまま牧野の肩を抱き続けた。
自分の手でゴシゴシと目元を拭って、溢れてしまった涙を無かったことにしようとしているけれど、全然上手くいっていない牧野に、ほんの少しでも寄り添っていたかった。

秋の夕暮れは早く、お袋の予想通り風も段々冷たくなって来たけれど、俺達は暫くそのベンチに座っていた。
牧野が「乗るより外から見ている方が好き」と言った観覧車には色とりどりの灯りが点いて、群青色の空をバックにゆっくりゆっくりと回っていく。
それを2人で黙りこくったまま、ずっと見ていた。
牧野が観覧車に乗りたくない理由は聞かなくても分かる気がした。
あのゆっくりと空を横切っていく小さな箱の中での短い時間の記憶は、二度と他の誰かと乗る事を望まないほどに、牧野にとって大切なものなのだろう。

俺にはそんな大切にしたい記憶なんてないかもな。

そう思ったら少し自分を笑いたくなった。
俺は牧野のように、本当に人を好きになった事が今迄なかったんだ・・・と改めて思い知る。
他の人とは同じ事をしたくない程に、色濃く心に残る思い出なんて、どんなに記憶を探っても見付からなかった。
そして、そんな鮮烈な記憶を残して牧野の前から消えていった司に激しく嫉妬していた。

いつの日か、牧野は俺と2人で観覧車に乗ってくれるだろうか?

司との大切な思い出を、俺と過ごす新たな時間で塗り替える、そんな革命を起こすにはどうしたらいいのかと、牧野の肩を抱きながら考えてしまう。
こっそりと口から吐き出した溜息は、紺青〈こんじょう〉の空気に溶けて消えていった。


_________



あ、光が見えないまま終わってんじゃん、この話…と今思いましたよね?
思いましたよね?
うん、収まらなかった笑
続きはつくし視点で書いてます。
2ヶ月位お話書きたくて、でも全然書けなくて、七転八倒してたんですけども、その中でいっぱい書き溜めては寝かしていたお話の断片みたいのを捏ねくり回して、つくしの気持ちも書きました。
もう少しお付き合い頂けたらと思います。
こんな秋のあきらとつくしを応援してやってください。


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秋色片想い〈sideつくし〉-前編-

「俺には好きな人がいるんだ。
どこかのマダムとかじゃなくて。
本当に心の底から好きな人がいる。
だけどその人にはずっと想ってる相手がいて。
その男を心から愛しているから。
俺が胸に秘めてる想いになんか気付きもしないけど。
俺はその人の事だけを想ってるんだ。」

遊園地からの帰り道、車の中でそんな秘密の恋心を漏らした美作さん。
その時のあたしは、ちょっと引き攣っていたかもしれないけれど、一所懸命に作り笑いをしながら「あたしと同じだね。」と口にした。

「あたしの事だけ綺麗さっぱり忘れちゃった男も、あたしになんか見向きもしないもの。
あたし達、片想いの同志だね。」

そう言ったら、美作さんは何処かが痛むかように微かに表情を歪めた。
あいつがあたしを想ってくれる事はもうない・・・と分かっている美作さんからしたら、不憫な女だと思わずにいられないんだろう。
美作さんはきっと、観覧車に乗らなかったあたしの気持ちを汲み取って、こんな話をしてくれた。
想いが一方通行になる事は、美作さんみたいな『選ばれし人』にも起こり得るのだとあたしに教えて、慰めようとしてくれている。
優しい人。
本当に優しい人。
さっきだってあたしが落ち着く迄、ずっと優しく肩を抱いていてくれた。
その優しさが有り難くも、あたしを逆に切なくさせたんだけれど。

忘れてしまえたらきっと楽なのに、簡単には忘れられない記憶。
あたしを真っ直ぐに見詰めていた眼差し。
ふとした瞬間に眩しく輝いたとびきりの笑顔。
鼓膜だけじゃなく心まで震わせたあたしを呼ぶ声。
いつの間にか記憶は徐々に色褪せて、全ては蜃気楼の如く、遥か遠くに揺らめくものになり、この手にはもう掴めない。
観覧車に乗って、そこにいる筈のない人の幻が目の前にリアルに浮かび上がって来てしまったら・・・と思うと乗るのが怖くなった。
朧気なものへと変わりつつある記憶を、タイムカプセルを開けたかのようにまた色濃く思い出してしまったら・・・
もう二度とこんな時間はあたしとあいつの間には巡って来ないのだと、自分にはっきりと知らしめるなんて事、わざわざしたくはなかった。
蜃気楼のように儚く揺らぎ、そのうち遠くに見る事すら出来なくなって消えていってしまうのなら、このまま手の届かないところからぼんやりと見遣っている方がいい。
いつの日か、それが視線の先から掻き消えてしまったら、あたしはどうなるんだろう?
泣くのかな?
その場に崩れ落ちる?
虚無に取り憑かれる?
それとも・・・、重荷を下ろしたような気持ちになるんだろうか?

ゆらゆら・・・
ゆらゆら・・・

あたしの持ち続けても叶う見込みの無い恋心は、どこかから強い風が吹き付けたら一瞬で消えてしまう、細い細い蝋燭に灯された微かな炎みたいなものになり果てていた。



お庭に咲いた秋薔薇を「いつでも観に来たらいい」と言ってくれた美作さん。
そのお言葉に甘えてお邸を訪ねた。
いつ来ても別世界に紛れ込んでしまったかのような錯覚に陥る、美作さんの住まう場所。
お庭では、ふわふわなレースたっぷりのワンピースに身を包んだ妖精のような姿をした絵夢ちゃんと芽夢ちゃんが、あちらこちらへと隠れんぼしながらあたしの名前を呼んでいる。

「忙しなくて休まらないだろ、双子といると。」
「いやー、そんな事ないよ。
なんて言うのかなぁ、お伽話の中に迷い込んだかのような気分になる。
お庭も凄いし、絵夢ちゃんと芽夢ちゃんは天使みたいだし。」
「天使なんて可愛いものじゃないよ。
ちっちゃな怪獣だ。」
「怪獣? あんなに可愛いのに?」
「お兄ちゃま、お兄ちゃまって甘えまくって我儘放題。
とびきり手の掛かるモンスターだ。」
「お兄ちゃまが大好きなんだよ。
ホントに可愛いよねぇ。」

美作さんは苦笑してるけど、偶に会うあたしにとっては可愛くて仕方ない2人だ。
その2人が、お庭の小径を駆けていく。
その先には1人の女の人がこちらに向かって歩いて来るのが見えた。

「ゆかりお姉ちゃまー!」
「お姉ちゃま、ご機嫌ようー!」

そんな声が聞こえてくる。

「ああ、お袋に来客だ。
ちょっと待っててくれるか? 案内してくる。」
「うん。」

美作さんの背中を見送ると、小径の先でその女の人はあたしに向かって綺麗に会釈した。
あたしもぎこちなく頭を下げる。
美作さんと入れ替わりで絵夢ちゃんと芽夢ちゃんはこちらに戻ってきた。

「つくしお姉ちゃま、隠れんぼの続きしましょ!」
「またお姉ちゃまが絵夢と芽夢を探してね!」
「う・・・ん。」

生返事をしながら美作さん達の方を見ると、美作さんがその女の人に優しく笑い掛けながら手を差し伸べているところだった。
それを受けてにっこりと微笑み返した女の人は、優雅な仕草で美作さんの掌の上にそっと手を重ね、そして2人は歩き始めた。
まるで王子様とお姫様が出会ったかのような場面を見てしまった。

あの人なのかも知れない・・・。

目が2人に釘付けになって、視線を逸らせない。
心臓がいつもより忙しなく鳴っている気がする。
薔薇が咲いている小径をゆっくりと歩いていく2人に気を取られていたら、鈴の音のような可愛い声で名前を呼ばれ、くいっと手を引かれてやっと我に帰った。

「つくしお姉ちゃま?」
「えっ? あっ、うん、何だっけ?」
「今日はお夕食も絵夢と芽夢と一緒に食べましょ!」
「お泊まりしていってもいいのよ!」
「絵夢のベッド、半分お姉ちゃまに貸してあげる!」
「そんなのずるい!
芽夢のベッドだってお姉ちゃまと2人で寝られるわ。」
「いやー、流石にお泊まりはちょっと・・・。」
「そうなの・・・?
ゆかりお姉ちゃまもね、時々ここにいらっしゃるけれど、お泊まりは出来ないのよって仰るの。」
「うーんとね、皆自分のお家でやらなきゃならない事があるから、お家に帰るんだと思うな。」
「お忙しいの?」
「えーっと、うん、そうだね。
あたしは勉強もしなくちゃいけないし、バイトにも行かなくちゃいけないし。
あ、バイトっていうのは、お仕事の事ね。」
「そうなの・・・
皆、お仕事があるのね。
ゆかりお姉ちゃまはね、もうすぐお兄ちゃまのお友達と結婚されるのですって。」
「結婚式で使うお花の事でママとお話しているの。」
「へえ、それはとっても素敵だね。」

絵夢ちゃん芽夢ちゃんの言葉に半分上の空で相槌を打つ。

やっぱりあの人なのかも知れない。
美作さんがずっと想っている人は。

秘めた想いを切なそうに漏らした美作さんを思い出す。
心に棲まわせている片想いのお相手。
その美作さんの想いに気付けないほどに、他の誰かを真っ直ぐに想っている女の人。
遠目に見ただけだけれど、とても美しくて、洗練された身のこなしで、優しい雰囲気を纏う完璧な人だった。
あたしとは違う、美作さんの生きている世界に属する人。

庭の小径を歩いていく2人の事が気になって、振り返りたくなる。
絶対にもうここからは見えない所を歩いているんだろうに。

叶わない想いをひた隠しにして、その美しい人に優しく微笑み掛けるだろう美作さんを見る事に耐えられない気がして。
バイトがあったのを忘れていたと嘘を吐いて、美作邸から逃げ出した。

あの人を見なければ良かった。
・・・ううん、違うか。
あの人を見詰めている美作さんを見ていたくなかった・・・のかな。

帰りの電車の中でも、自分の部屋に戻ってきてからも、そんな事ばかりを考えていた。


_________



ちょっと長くなってしまったのですが、キリのいいところがなかったので、ここまでUPします。
あきらはつくしがタイムマシンに乗って過去に戻りたいだろうと思ってるけれど、つくしはタイムカプセルを開けたくないと思ってる。
タイムカプセルって、開けて、懐かしんで。
ただそれだけになっちゃうのかな?と想像しました。
あんまり現在の自分の状況に変化を齎さないもの。
でも気持ちは揺れるのかも知れませんね。

寒い。
急に寒くなりましたが、まだ暖房入れる程ではないような…
金木犀の花もぽろぽろと落ちて、地面をオレンジ色に染めてました。
もうちょっと愛でていたかったのにー。
お話のご感想、応援のコメント、ありがとうございます。
あきらとつくしと管理人とのトリオで、何とかこのお話の終わりまで頑張ります!


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秋色片想い〈sideつくし〉-中編-

美作さんとは大学に行けば顔を合わせてしまう。
逃げ帰ったあたしは気不味い思いを抱えているのに、あたしに会っても美作さんはいつもとちっとも変わらない態度だった。
 
「この前はごめんなさい、急にお暇しちゃって。」
「ああ、別に気にするなよ。
バイトの時間忘れてたなんて、牧野はうっかりだなぁ。」

美作さんはそう言ってにこやかに笑っている。

「うん、ごめん。
絵夢ちゃん、芽夢ちゃんにもごめんねって言っておいてね。」
「大丈夫だよ。
あの日は他にも来客があったから、牧野が帰った後はその人に遊んでもらってたし。」

その言葉で、あの女の人の姿をまざまざと思い起こした。
美作さんに手を取られて歩いていた、美しい女の人を。
身体の内側で漣が立つような感覚がざわざわと広がっていく。

「・・・綺麗な人だったね、お客様。」
「ん? ゆかりさんの事か?
あの人はお袋の方の親戚だよ。
俺と同学年に菅原っているの知ってるか?
菅原建設グループの息子。
その兄貴ともうすぐ挙式を控えていて、あれこれお袋に相談しに来てるみたいだ。
ウチのお袋、そういうの好きそうだろ。」
「うん・・・。」

『あの綺麗な人が美作さんの想い人?』とは聞けなかった。
聞いたからってどうなるものでもない。
もし美作さんがその人の事をどんなに好きでも、美作さんは絶対にその人の幸せを壊すような真似をしない。
そっと見守って、幸せになってくれたら・・・と胸の内で強く願うんだろう。
美作さんとはそういう人だ。

勝手に美作さんの気持ちを想像して切なくなった。
心の底から好きな人が、他の誰かの元へと嫁いでいくのだとしても、簡単に想いは消せない。
あたしだって、もう未来はないと分かっているのに、全てを忘れてしまう事は出来ないでいる。
きっとあたし達は、似たような感情を抱えて生きているのだろう。

「今日、すごく寒いよね。」
「そうだなぁ、日一日と秋が深まってる。
今日は各地で今季一番の冷え込みだって、朝の天気予報で言ってたぞ。」
「あ、あのさ、美作さん・・・」
「ん?」
「・・・ううん、何でもない。」
「何だよ? 言いかけて止めるなんて、牧野らしくないな。」

美作さんが視線で先を促すように、あたしの顔を覗き込む。
いつも、いつだって、美作さんは優しいから。
相手の気持ちを汲み取ろうとしてくれる。

あたしは何を言おうとしたんだろう?
美作さんをどうにか元気付けたいんだけれど、何て言ったらいいのかわからない。

「何か・・・、この辺にもやもやーっとしたものがあるんだけど、上手く言葉にならなくて・・・。」

と、胃の辺りに掌を当てた。

「ああ、分かる、分かる、そういうの。
人ってさ、全部の感情を言葉に変換出来る訳じゃないだろ。
言葉に出来ない思いって確実にあるし。
うーん、俺が察するに・・・、牧野はちょっと空腹・・・」
「違っ! そんなんじゃない!」

本当に考えている事が読まれてしまったのかと思いきや、ひもじいと勘違いされるなんて心外だ。

「ははは。怒るなって。
牧野、今日はバイトは?」
「今日は家庭教師キャンセル。
生徒さん、風邪引いちゃったから別日にして欲しいって連絡あったの。」
「それなら丁度よかった。
そういう胸のもやもやってのは、あったかいお茶や美味しい食事を摂ると、不思議と治るものなんだよ。
ほら! 何か食べに行こう。」
「もうっ! 人をいつでもお腹を減らしてる可哀想な女にしないでよ!」
「そんな事言ってないだろ。
デートだよ。牧野をデートに誘う口実。
そっちこそ皆まで言わせるなよ。」

デートだなんて。
本当はあたしじゃなくて、好きな人と行きたいんだろうな。
あたしはその人と過ごせない辛さの穴埋めみたいなものなのかも知れない。

「・・・この頃デートってよく言うよね。
あたし達、別にそんな仲じゃないのに。」
「デートは恋人とじゃないとしちゃいけないのか?
じゃあ、今夜0時の鐘が鳴るまで、牧野は俺の恋人っていうのはどう?」
「なあに、それ? 突然シンデレラごっこ?」
「まあ、俺じゃ役不足だろうけど。」

完璧な王子様は、ちょっとだけ首を傾げて、戯けた振りをしながらあたしを見て笑ってる。
灰被り娘は王子様との素敵な時間を過ごした後、0時の鐘で魔法は解け、いつもの自分の部屋へと帰るんだ。
そして王子様は王子様のまま、あのお伽の国へと帰っていく。
あたしと美作さんはそんな役まわりが運命だ。

「役不足だなんて・・・。
誰もが羨む、『F4の美作あきら』だよ?」
「まあ、そうなんだけど・・・。
そんなの意味がないって人もいるからなぁ。」
「・・・そうそういないでしょ、そんな人。」
「いるよ。牧野つくしって女の子には、そんな肩書きも、立場も、この見てくれも、俺の財布の中身も、乗ってる車も、特に魅力的じゃないみたいで。」
「だって・・・、そういうのは美作さんの一部ではあっても、一番大事なところじゃないもの。」

ちょっとむきになってそう言い募ったら、不思議な事に美作さんは一際目を細めて柔らかく微笑んだ。

「ほらな。
じゃあ今日は何か食べながら、俺のその大事なところっていうのを聞かせてもらって、自信を付けるとしようかな。」
「・・・自信なんてたっぷりあるでしょ?」
「ないよ、全然ない。
特に牧野の前にいる時は。」
「どうして?」
「牧野は俺を取り巻くものじゃなくて、俺の中身を見てるから。」

美作さんが言ったことが分かったような、全然分からないような、変な気分になる。
そして、胸の中のもやもやは更に増えたような気すらした。
それを抱えたまま美作さんの車に乗せられて。
連れて行かれた先は、お邸じゃなくて、大正時代に建てられた洋館を改築したという、クラシカルなカフェだった。

「わぁー、素敵、この雰囲気。」
「落ち着くよなぁ。
俺はウチのあのインテリアなんかより、こっちの方がよっぽど居心地がいい。
そして・・・」

美作さんは声を顰めてあたしの耳元に口を寄せた。

「いつ来ても何故か空いている。穴場だろ。」

低い響きの声と、ふっと笑った吐息まで耳に吹きかかって、思わず肩がきゅっと縮こまった。
レトロなデザインの制服に白いエプロンをしたウェイトレスさんが、お庭に向かって並んで座る窓際のテーブル席に案内してくれる。
目の前のお庭はまだ紅葉には少し早く、だけどその準備が始まっているモスグリーンの世界が木製の窓枠で切り取られている。
夕方の傾き掛けた柔らかな陽の光が射し込む、くすんだ緑のモザイク画みたいな景色はとても目に優しくて、初めて来た場所なのにほっとする。
メニューをあたしの前に差し出しながら

「ここはパスタも美味しいぞ。」

なんて美作さんは言うけれど。

「だから! お腹空いてるんじゃないってば!」

と小声で抗議して、あたしはケーキセットをお願いした。

「ねえ、メニューに書いてあるお値段が、いつも美作さん達が行ってる馬鹿高い店みたいじゃなくて、至って普通なんだけど・・・。」
「そう。良心的だろ?
この建物で静かにティータイムを楽しむのには安過ぎるくらいだ。」

内緒話をする為に顔と顔を寄せ合っていると、頬っぺたがくっつきそうに近付いてしまう。
流石にこれは近過ぎる!と慌てて体勢を変えようとした時、頬っぺたを掠めるように温かで柔らかな何かが触れて、直ぐにすうっと離れていった。


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カフェはモデルはあるんですが妄想物件です。
一度だけお邪魔した事のある知人のお宅なんですが。
都内の静かな住宅街に、ぐるりを緑に囲まれた和洋折衷の広ーいお邸がありまして。
佇まいが素敵でした。
ただ寒かった…(古いお家あるある)。
え?これをあと1話でどうにかするんですか?
至難の業じゃないか?
四苦八苦しています…

いやぁ、早いもので今日から11月ですって。
今年があと2ヶ月しか残ってない!
やらなきゃいけない事沢山ある気がするー。
何もしないうちに1年が終わっていく気がして焦ります!


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