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hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
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Sweet sweet strawberry

「ねえねえ、見て見て、西門さん!
こーんなにおっきな苺! すごくない?」

そう言いながらキッチンからリビングへとやって来た牧野。
両手にやたらと大粒で真っ赤に色付いて艶々している苺を持ちながら、目をキラキラ輝かせてる。
どうしてこいつは食べ物にこんなに心を動かされてしまうのか・・・。
俺を見てこういう顔すりゃいいのに。
あーあ、こいつにとって俺って苺以下の男なのか?
敗北感がひたひたと忍び寄って来るのを無理矢理知らない振りをする。

「大きいけど・・・ 。
そういうのって大味なんだろ?」
「それが! これはおっきくても美味っしーの!
甘くてー、ジューシーでー、練乳かけなくてもいくらでも食べれちゃうくらい!
ね、食べてみて! はい、あーん!」

目の前に突き出された苺。
そして期待いっぱいの眼差しでこちらを見上げてくる牧野。
それを交互に見遣って、どうやらこの俺の敵とも言える苺を食べるしかないと判断し、仕方なく口を開けた。
牧野の手によって近付いてきた赤い実が唇に触れる。

「カプって齧りついて!
これ、一口で食べるの無理だから!」

ひと齧りすれば、牧野の言う通り、甘酸っぱく瑞々しい苺の味が口に広がる。

「ね? ね? 美味しいでしょ?
齧るとじゅわーって苺のジュースが溢れてくるの!
で、とっても甘ーいでしょー!」
「うん、そうだな。」

そう言うと途端に牧野がぱあっと眩しく破顔した。

「でしょ、でしょ、でしょ!
美味しいんだよ、この苺ー!」

俺の口に齧りかけの残りをぐいっと押し込んで、反対の手に持っていたもう一つの苺に今度は自分が齧り付いてる。

「あっまーい!
あー、新鮮な苺、美味しっ!」

口に余る程のサイズの苺だから、齧ると汁が溢れて、牧野の唇を濡らす。
それを舌でぺろりと舐めてるのが、某洋菓子店の前に立っている頓狂な女の子の首振り人形を連想させるから、俺は1人で笑いを堪えた。

あの人形に似てるなんて言ったら、臍曲げるに決まってる。
だってあれ、小さな子供だろ?
でもホントよく似てるよ。
くりくりしたデカい目も。
寸胴体型なのも。
一目見ただけで明るく元気な女子だって分かる表情も。

「これね、優紀が彼氏と苺狩り行って美味しかったからって、お土産買って届けてくれたんだよー。
あとね、苺ジャムと、苺の入ったチーズケーキも!
ケーキは晩ご飯の後で食べようねー。」
「へえ、そうなんだ。
今度優紀ちゃんに何かお礼しないとな。」
「あ、西門さんにお茶のお稽古つけてもらえたら嬉しいって言ってたよ。
あたしのお稽古の時に優紀も誘っていーい?」
「そんなのはお安い御用だけど・・・。
そんなんじゃお礼になんないだろ?」
「そうかな? 優紀がお稽古がいいって言ってるんだから、それでいいと思うけど・・・。
んー、じゃあその後何か美味しいものでも食べに行こっ。
何がいいかなぁ?」
「お前じゃなくて優紀ちゃんに決めてもらえよ。」
「優紀は西門さんに遠慮しちゃって、あれ食べたいこれ食べたいなんて言ったりしないもの。
優紀の好きな物・・・、やっぱり甘い物かなぁ。
お稽古でお茶菓子頂くなら、洋菓子がいいかもね!」

自分が食いたいだけじゃね?と喉まで出かかったが、既のところで何とか飲み込んだ。
危ない、危ない。
それを口にしたらキーキー怒るに決まってる。

「いやー、これ、ホンっト美味しい。」

苺の残りの部分を口に詰め込みながら、指に付いた果汁を気にしてるそぶりを見せたから・・・、すかさずその手を捕まえて、指先をちゅうっと吸ってやった。
驚いて目を丸く見開いた後、一瞬遅れて顔が真っ赤に染まってく。
まるで今食べた苺みたいだ。
態と思わせ振りに指先に唇を這わせて、流し目で牧野を見詰めてみる。

知ってるぜ。
お前にはこういうのが効果的だって。
いつまで経っても初心なまんまで。
セクシャルな事匂わせた途端にアワアワし出す。
でもこうでもしないと、お前、苺より俺を意識しないだろ?

「え、や、ちょ・・・っ!
手、放してっ!」
「ホントこの苺、甘いよな。」

唇だけじゃなく、舌先も使って牧野の指先を弄ぶ。

「もっと食べさせてよ、つくしちゃん。」

苺じゃなくて、苺のように赤く色付いてる牧野を食べたい。
その方が俺には魅力的だ。

「ちょっと! 手、放してってば!
苺取ってくるし!」

ぐいぐい手を引こうとしてるけど、俺ががっしり手首を掴んでるから、どうにも出来ないらしい。
柔く人差し指の先を食んで、にんまり笑いかけてやったら、「あたしの手は苺じゃなーい!」と叫んで、俺の顎に頭突きをかましてきやがった。
そこまでするとは思ってなかったから、俺はそこそこのダメージを被って、牧野の手を放してしまう。
そして俺の可愛い真っ赤な苺は、フーフー背中の毛を逆立てた猫みたいになって、キッチンへと逃げ込んでいった。

「いってぇ・・・。」

顎を摩りながらキッチンを覗くと、「変な事する人は入って来ないで!」と牽制された。

「顎、痛えんだけど。」
「自業自得っ!」
「苺の汁垂れそうだったからちょっと舐めてやっただけだろ?」
「そういう時は舐めるんじゃなくてティッシュ取ってくれたらいいの!」
「ぺろっとする方が早えじゃん。」
「あれはぺろっなんて感じじゃなかった!」
「つくしちゃんが意識し過ぎてんだろ。」
「そんな事ないもん!
あー、もー、これ持ってあっち行ってて!」

ぐいぐいと小皿に載せられた苺とデザートフォークを俺に押し付けて、くるりと俺に背を向ける。
もう自分の手で食べさせてくれる気は全くないらしい。

ふうん、それなら・・・

苺を一口齧り、牧野の後ろに忍び寄る。
俺の気配に気付いて振り返った牧野の顎下に手を掛けて・・・
思いっきり濃厚なキスをした。
互いの口の中に苺のフレッシュな甘さが拡がる。
また俺の手から逃げようと暴れてるけど、それを抑え込むのすら心が浮き立つ。
一頻り唇を貪ってから顔を離したら、そこには熟れきった苺のように一層赤くなってる牧野がいた。

「ホント美味いな、この苺。」

そう言ってにたぁっと笑い掛けたら、お決まりの台詞を叫ばれる。

「こ、このエロ門ー!
いい加減にしなさいよー!」

いやいや、まだまだだって。
もっともっとこの牧野苺の味堪能させてもらってから言って欲しいんだけど。
それにその台詞、俺には『ヤル気スイッチ』入れるきっかけにしかなんねえよ?

「つくしちゃん、苺みたいで可愛いな。」

ほてほてと熱を持った頬を掌で包んで、もう一度口付ける。

ああ、俺は牧野がどんな牧野でも可愛くて仕方ないんだ。
こんなに1人の人間にだけバカになれるって、ある意味幸せだよな。
牧野バカの称号もすんなり受け入れられるよ。

そんな事を思いながら交わすキスは、熱くて甘い苺味。


_________



pretend」を書き終わって、ガラッと雰囲気の変わった、ちょっとおバカなのを書きたくなりましたが、なかなか浮かばなくてウンウン唸ってました。
そういえば苺の季節だなぁ…と思って、こんなのを書いてみました。
例年1月か2月に遠方迄苺狩りに行ってたんですけど、去年はダメで。
今年も行けなさそうですなぁ。
いや、苺狩り出来る所、近所にあるんですけども。
その遠くの苺園の苺が大きくてジューシーで甘くて美味しくてー。
高速代掛けても食べに行きたい苺なんですよ。
来年は行けるといいな。
これこれ↓↓↓この苺(≧▽≦)


立春を過ぎましたが、この週末、とても冷え込んだり雪が降ったりする所があるみたいです。
皆様、どうぞ暖かくしてお過ごし下さいね。


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