21cm。
それは俺と牧野の身長差。
丁度俺の顎の位置と牧野の頭の天辺が同じ高さなんだ。
このまま抱き締めたら、あのつやつやさらさらとした黒髪が唇に触れるんだろうな・・・とか。
バックハグして、俺の顎をあの頭の天辺に載せて、牧野をすっぽりと俺に取り込んでしまいたい・・・とか。
エスカレーターの蹴上げ1段分が丁度同じ目線になる高さだから、上りエスカレーターで牧野が前に乗って、くるりと俺の方に振り向くと、間近で顔を見合わせることになるんだよなぁ・・・なんて思ったりする。
まあ、そういう事は俺が1人で想像しているだけで、実際には起こった事が無いんだけど。
現実の俺と牧野の間には、身長差21cmより、遥かに遠い距離がある。
はらはらと銀杏の黄色い葉が舞い降りる午後。
外の銀杏並木が色付いて落葉しているのがよく見えるカフェの窓際の席。
店の中は温かいけれど、ガラス窓を隔てた外の空気はちょっと肌寒い、そんな季節。
からりと澄んだ大気の中、青空をバックに色付き、風が吹くたびに落ち葉を降らせる木々は、人の目を楽しませているのが嬉しくてたまらない!と思いながらあそこに立ってるのかも・・・なんて思ってしまうのは牧野の影響だろうか。
「皆、来るの遅いねー。」
何故かあきらや類も後からやってくると思い込んでいる牧野の勘違いをそのままにしてここへ連れて来た。
どんなに待っても誰も来るはずないのだ。
牧野しか誘っていないのだから。
控えめな音でかかっているピアノ曲の優しい音色が心地よい。
俺はそれを何となく聴きながら牧野ばかり見ていた。
「別にいいだろ、俺と二人でも。」
「まあね。
この綺麗な銀杏並木、見られたし。
お茶もケーキもとっても美味しいし。」
そう言って少し口角を引き上げた牧野。
そんな淡い微笑みにすら心が躍るのをひた隠しにして、コーヒーカップを持ち上げる。
「お日様が落ちちゃう前に、ちょっとそこら辺歩きたいなぁ。
だって折角こんなに綺麗な季節なんだもん。
見て回らないと勿体無いじゃない?」
「別にいいぜ。
つくしちゃんの食い気が落ち着いたら、散歩しようぜ。」
デート!
それはまるでデートだろ!
2人で落ち葉が舞い降りる並木の下の歩道を散歩するだなんて!
何だかいい雰囲気になりそうじゃねえ?
「もうとっくに落ち着いてます!
全くいつだって人が貧乏でお腹減らしてると思ってるんだから・・・。」
途端にぷうっと膨らみ気味な頬と尖っている唇が現れる。
その頬をつんと突いて笑わせてやりたいし、ヌードな唇を指先でなぞって思わぬ色っぽい表情を引き出したい・・・なんて妄想が一瞬にして湧いてくるから非常に厄介で。
でも勿論気軽には触れられない。
そんな事したら、この女がぎゃーぎゃー騒ぐのは目に見えてる。
これは・・・、他の女には未だかつて感じた事のない気持ち。
それが俺の牧野に対する密やかな想いだ。
カフェのテーブルを挟んで向かい合う。
今の互いの距離は目算80cm。
はてさて、心の距離は如何許り?
_________
ちょっと短いのですが、管理人体調不良により、本日はここまでのUPとなりました、お誕生日SSでございます。
12月3日!
総二郎のお誕生日です!
わーわー!
パチパチ!
お誕生日おめでとー!
今年はお誕生日に託けて、プレゼント企画もご用意しておりますので、奮ってご参加頂ければと思います。
総二郎へのおめでとうメッセージも、チャットやコメントにお送り下さいね!

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
それは俺と牧野の身長差。
丁度俺の顎の位置と牧野の頭の天辺が同じ高さなんだ。
このまま抱き締めたら、あのつやつやさらさらとした黒髪が唇に触れるんだろうな・・・とか。
バックハグして、俺の顎をあの頭の天辺に載せて、牧野をすっぽりと俺に取り込んでしまいたい・・・とか。
エスカレーターの蹴上げ1段分が丁度同じ目線になる高さだから、上りエスカレーターで牧野が前に乗って、くるりと俺の方に振り向くと、間近で顔を見合わせることになるんだよなぁ・・・なんて思ったりする。
まあ、そういう事は俺が1人で想像しているだけで、実際には起こった事が無いんだけど。
現実の俺と牧野の間には、身長差21cmより、遥かに遠い距離がある。
はらはらと銀杏の黄色い葉が舞い降りる午後。
外の銀杏並木が色付いて落葉しているのがよく見えるカフェの窓際の席。
店の中は温かいけれど、ガラス窓を隔てた外の空気はちょっと肌寒い、そんな季節。
からりと澄んだ大気の中、青空をバックに色付き、風が吹くたびに落ち葉を降らせる木々は、人の目を楽しませているのが嬉しくてたまらない!と思いながらあそこに立ってるのかも・・・なんて思ってしまうのは牧野の影響だろうか。
「皆、来るの遅いねー。」
何故かあきらや類も後からやってくると思い込んでいる牧野の勘違いをそのままにしてここへ連れて来た。
どんなに待っても誰も来るはずないのだ。
牧野しか誘っていないのだから。
控えめな音でかかっているピアノ曲の優しい音色が心地よい。
俺はそれを何となく聴きながら牧野ばかり見ていた。
「別にいいだろ、俺と二人でも。」
「まあね。
この綺麗な銀杏並木、見られたし。
お茶もケーキもとっても美味しいし。」
そう言って少し口角を引き上げた牧野。
そんな淡い微笑みにすら心が躍るのをひた隠しにして、コーヒーカップを持ち上げる。
「お日様が落ちちゃう前に、ちょっとそこら辺歩きたいなぁ。
だって折角こんなに綺麗な季節なんだもん。
見て回らないと勿体無いじゃない?」
「別にいいぜ。
つくしちゃんの食い気が落ち着いたら、散歩しようぜ。」
デート!
それはまるでデートだろ!
2人で落ち葉が舞い降りる並木の下の歩道を散歩するだなんて!
何だかいい雰囲気になりそうじゃねえ?
「もうとっくに落ち着いてます!
全くいつだって人が貧乏でお腹減らしてると思ってるんだから・・・。」
途端にぷうっと膨らみ気味な頬と尖っている唇が現れる。
その頬をつんと突いて笑わせてやりたいし、ヌードな唇を指先でなぞって思わぬ色っぽい表情を引き出したい・・・なんて妄想が一瞬にして湧いてくるから非常に厄介で。
でも勿論気軽には触れられない。
そんな事したら、この女がぎゃーぎゃー騒ぐのは目に見えてる。
これは・・・、他の女には未だかつて感じた事のない気持ち。
それが俺の牧野に対する密やかな想いだ。
カフェのテーブルを挟んで向かい合う。
今の互いの距離は目算80cm。
はてさて、心の距離は如何許り?
_________
ちょっと短いのですが、管理人体調不良により、本日はここまでのUPとなりました、お誕生日SSでございます。
12月3日!
総二郎のお誕生日です!
わーわー!
パチパチ!
お誕生日おめでとー!
今年はお誕生日に託けて、プレゼント企画もご用意しておりますので、奮ってご参加頂ければと思います。
総二郎へのおめでとうメッセージも、チャットやコメントにお送り下さいね!



ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
