ちょっと「心の器」をお休みして、SSでも。
お付き合い中の総つくの一コマです。
__________
「ね、ね、西門さん! これやりたいの!」
そう言って牧野が俺の目の前に突き出してるのは、380円の値札が付いている、子供向けの手持ち花火のセット。
妙にカラフルな花火と派手な包装のそのセットを、牧野は買ってきていたらしい。
マジか?
こんなのやるって?
俺が?
いや、牧野がやってるのを見てればいいのか?
「晩ご飯食べ終わったら、ほら、川縁の遊歩道のところにちょっと小さな広場があるでしょ。
あそこでこれやろう?」
子供みたいに瞳をキラキラさせて俺に笑いかけてる牧野に、頷くしか術は無い。
お前なぁ、飯が終わったら、その後は大人のお楽しみの時間って相場が決まってんだよ。
俺だってお前とアンナコトしたり、コンナコトしたりしようって、夢膨らんでんだ。
んー、でも、この話突っぱねて、ショボくれた牧野なんか見たくねぇし。
その後の計画がおじゃんになるのはもっと避けたい。
かくなる上は、俺がちょっと忍耐力を働かせるべきなのか…
「花火か。何? 牧野はこういうの好きなの?」
「うん! 子供の頃からだーい好き!
でもそんなにしょっちゅうは買ってもらえなかったからさぁ。
一夏に一回だけ、進と奪い合うようにやったの覚えてる。
夏休みの絵日記にその絵を書くのも楽しかったな。
今日、ご飯の材料買いに行ったスーパーで売っててね。
思わず買っちゃった。
西門さんとしたいなって思って。」
そのちょっぴり桜色に染めた頬と、小首を傾げた上目遣いでこっち見るの止めろ。
その最後の台詞だって、前振りが無かったら、誘ってるようにしか聞こえねぇ。
晩飯も花火もすっ飛ばして、今すぐ押し倒すぞ。
俺の気も知らないで、能天気な牧野は俺の胸に飛び込んできた。
手を俺の胸に当てて、俺を見上げてる。
「あー、良かった!
こんなのやらないって言われちゃうかなってちょっと思ったんだよねー。
西門さんにこんな安物の花火なんて不釣り合いだし。
でも2人でやったらきっと楽しいよ!」
お前なぁ、さっきから何度も口にしてるけど、気軽にヤるとかヤラないとか言うな!!!
密着してる身体が反応したらどーするんだよっ!
胸のモヤモヤをどうにか抑え込んで、頭の天辺にキスを落とす。
「じゃ、晩飯食ったらな。今日の飯、何?」
「暑いからねぇ、さっぱりしたものがいいかと思って、冷麦なの。
トッピングいっぱい用意して、好きなの入れて食べれるようにしたからー。
すぐ支度するねっ!」
やんわり抱き締めて牧野の感触を確かめようと思ったのに、落ち着きの無い牧野は俺の腕の中から飛び出していった。
行き場の無い俺の両腕。
思わず溜息が零れる。
牧野が晩飯をテーブルに並べ始める。
冷しゃぶサラダに、冷やした大根の煮物に、大量のトッピングの具。
葱、茗荷、大葉、オクラ、大根おろし、とろろ、胡麻、もみ海苔、椎茸の甘く煮付けたものの細切り、油揚げを細く刻んでカリカリに焼いたもの、きゅうりの細切り、キムチを刻んだもの、果ては納豆まで!
これ、2人で食う量なのか?
「今麺茹でるからー。
西門さん、ビール? 冷酒?」
「冷酒がいいな。あ、自分でやるからいい。」
そう言って冷蔵庫から、自分で持ち込んだ酒瓶を取り出す。
牧野が冷酒用の盃とカラフェを出してくれたから、氷を仕込んでそこに冷酒を注ぐ。
ただ、出された盃は一つだけ。
「何? お前は酒付き合わないの?」
「だって花火の前に酔っ払ったらダメでしょ? 行けなくなっちゃう。」
…並々ならぬ花火への情熱。
何だよ、ちょっと位付き合えばいいのに。
お前と差しつ差されつ飯を食うの、俺は心待ちにしてたんだ。
お前の目がちょっととろんとしてきて、何気ない仕草が色っぽくなるのを見つつ、その後の事に考えを巡らせながら酒を呑むのは、至福の時間なのに。
そんな俺の気も知らず、牧野がいそいそと冷麦を入れた笊を運んできた。
「お待たせっ! さ、食べよ、西門さん!」
上手く表情を作れない俺を不思議顔で見つめてる牧野。
「ん? どうかした? 冷麦じゃ嫌だった?」
「いや、そんな事ねぇよ。食おうぜ。」
何とか取り繕って箸をとる。
ホント、こいつは鈍感だもんな。
男心なんて分かる訳ねぇ。
__________
温かいお見舞いのメッセージと拍手、有り難うございました。
まだ様子見てますが、病人は峠は越えたっぽいですー。
「心の器」は更新が難しいので、とりあえずストックの中から、総つくのSSを。
がっついてておバカな総二郎を笑ってやって下さい。
また時間出来たら更新しに来ますので、気長にお待ち頂けたら有り難いです!



ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
お付き合い中の総つくの一コマです。
__________
「ね、ね、西門さん! これやりたいの!」
そう言って牧野が俺の目の前に突き出してるのは、380円の値札が付いている、子供向けの手持ち花火のセット。
妙にカラフルな花火と派手な包装のそのセットを、牧野は買ってきていたらしい。
マジか?
こんなのやるって?
俺が?
いや、牧野がやってるのを見てればいいのか?
「晩ご飯食べ終わったら、ほら、川縁の遊歩道のところにちょっと小さな広場があるでしょ。
あそこでこれやろう?」
子供みたいに瞳をキラキラさせて俺に笑いかけてる牧野に、頷くしか術は無い。
お前なぁ、飯が終わったら、その後は大人のお楽しみの時間って相場が決まってんだよ。
俺だってお前とアンナコトしたり、コンナコトしたりしようって、夢膨らんでんだ。
んー、でも、この話突っぱねて、ショボくれた牧野なんか見たくねぇし。
その後の計画がおじゃんになるのはもっと避けたい。
かくなる上は、俺がちょっと忍耐力を働かせるべきなのか…
「花火か。何? 牧野はこういうの好きなの?」
「うん! 子供の頃からだーい好き!
でもそんなにしょっちゅうは買ってもらえなかったからさぁ。
一夏に一回だけ、進と奪い合うようにやったの覚えてる。
夏休みの絵日記にその絵を書くのも楽しかったな。
今日、ご飯の材料買いに行ったスーパーで売っててね。
思わず買っちゃった。
西門さんとしたいなって思って。」
そのちょっぴり桜色に染めた頬と、小首を傾げた上目遣いでこっち見るの止めろ。
その最後の台詞だって、前振りが無かったら、誘ってるようにしか聞こえねぇ。
晩飯も花火もすっ飛ばして、今すぐ押し倒すぞ。
俺の気も知らないで、能天気な牧野は俺の胸に飛び込んできた。
手を俺の胸に当てて、俺を見上げてる。
「あー、良かった!
こんなのやらないって言われちゃうかなってちょっと思ったんだよねー。
西門さんにこんな安物の花火なんて不釣り合いだし。
でも2人でやったらきっと楽しいよ!」
お前なぁ、さっきから何度も口にしてるけど、気軽にヤるとかヤラないとか言うな!!!
密着してる身体が反応したらどーするんだよっ!
胸のモヤモヤをどうにか抑え込んで、頭の天辺にキスを落とす。
「じゃ、晩飯食ったらな。今日の飯、何?」
「暑いからねぇ、さっぱりしたものがいいかと思って、冷麦なの。
トッピングいっぱい用意して、好きなの入れて食べれるようにしたからー。
すぐ支度するねっ!」
やんわり抱き締めて牧野の感触を確かめようと思ったのに、落ち着きの無い牧野は俺の腕の中から飛び出していった。
行き場の無い俺の両腕。
思わず溜息が零れる。
牧野が晩飯をテーブルに並べ始める。
冷しゃぶサラダに、冷やした大根の煮物に、大量のトッピングの具。
葱、茗荷、大葉、オクラ、大根おろし、とろろ、胡麻、もみ海苔、椎茸の甘く煮付けたものの細切り、油揚げを細く刻んでカリカリに焼いたもの、きゅうりの細切り、キムチを刻んだもの、果ては納豆まで!
これ、2人で食う量なのか?
「今麺茹でるからー。
西門さん、ビール? 冷酒?」
「冷酒がいいな。あ、自分でやるからいい。」
そう言って冷蔵庫から、自分で持ち込んだ酒瓶を取り出す。
牧野が冷酒用の盃とカラフェを出してくれたから、氷を仕込んでそこに冷酒を注ぐ。
ただ、出された盃は一つだけ。
「何? お前は酒付き合わないの?」
「だって花火の前に酔っ払ったらダメでしょ? 行けなくなっちゃう。」
…並々ならぬ花火への情熱。
何だよ、ちょっと位付き合えばいいのに。
お前と差しつ差されつ飯を食うの、俺は心待ちにしてたんだ。
お前の目がちょっととろんとしてきて、何気ない仕草が色っぽくなるのを見つつ、その後の事に考えを巡らせながら酒を呑むのは、至福の時間なのに。
そんな俺の気も知らず、牧野がいそいそと冷麦を入れた笊を運んできた。
「お待たせっ! さ、食べよ、西門さん!」
上手く表情を作れない俺を不思議顔で見つめてる牧野。
「ん? どうかした? 冷麦じゃ嫌だった?」
「いや、そんな事ねぇよ。食おうぜ。」
何とか取り繕って箸をとる。
ホント、こいつは鈍感だもんな。
男心なんて分かる訳ねぇ。
__________
温かいお見舞いのメッセージと拍手、有り難うございました。
まだ様子見てますが、病人は峠は越えたっぽいですー。
「心の器」は更新が難しいので、とりあえずストックの中から、総つくのSSを。
がっついてておバカな総二郎を笑ってやって下さい。
また時間出来たら更新しに来ますので、気長にお待ち頂けたら有り難いです!



ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
