今日は総つくSSで。
総二郎の夏の悩みです。
__________
夏。
とにかく暑いし、明るい日差しの下で誰もが開放的な気分になる季節。
世の女達が薄着になって、惜しげも無く素肌を晒しながら街を行き交う。
嘗ての俺は、その恩恵に与り、目の保養をしたり、時には摘み食いをしたりと、その光景を夏の楽しみだと捉えていたが…
牧野と過ごすようになってからは全く正反対の考えを持つようになった。
何処で誰がどんな邪な思いを抱いて見てるか分かりゃしねぇ。
牧野の白くて華奢な肩や、ほっそりした手脚を他の奴に見られてたまるか!
これを堪能出来るのは俺だけでいいんだよ!
だと言うのに、この鈍感で天然で能天気な女は、見る度に眉をひそめたくなる格好をしている。
肩が丸出しのキャミソールにデニムのホットパンツだ?
おいおい、お前、どこまで見せるつもりなんだよ?
まるで水着だろ、その格好。
「だって暑いし。」じゃねぇ!
そのチュニックワンピースだって、腕も脚も丸出しなんだよ。
下は辛うじてショートパンツを履いてるが、見様によっては薄っぺらな布一枚纏っているようにしか見えねぇだろ!
「これ、涼しいんだもん!」って、少しは人目を気にしろよ!
お、今日のワンピースは気持ち丈が短めだが、パフスリーブで肩も隠れてほっと一息…と思ったら、背中がばっくり空いてやがる。
だーーーーっ!
この女、俺の話聞いてねぇのか!?
そんなこんなで、この季節は会う度にまず服を買いに行く事になる。
勿体無いと嫌がる牧野をギロリと睨みつけて黙らせて、手近なブティックに引きずりこむ。
暑くならないように、でも肌を出し過ぎないように…と俺が選ぶ服を、仏頂面で試着するもんだから、店員の「良くお似合いです。」の言葉もどこか及び腰だ。
白いコットンの薄手のブラウス。
ロールアップすると半袖になるけど、そのまま着てれば7分丈。
下は膝下まである細身のカーゴパンツ。
うん、いいんじゃねえの?
これなら許容範囲だ。
「これ、このまま着ていくから、着て来た服を包んで貰ってもいい?」
「はいっ! 少々お待ち下さいっ!」
「お客様、タグ、お取りします!」
固まっていた店員達が急に動き出した。
会計をしながら待っていると、新しい服を纏い、仏頂面をした牧野がこっちにやって来る。
「ねぇ、なんで会う度会う度服買っちゃうのよ?」
「はぁ? お前がちゃんとした服着てこねぇからだろ?」
「ちゃんとしてなくて悪かったわねっ! どうせあたしは西門さんと違ってビンボーですからっ!」
「おいおい、つくしちゃん… 大きな声出すから、店の人達びっくりしちゃってるぜ。」
はっとした牧野が慌てて店員にぺこぺこ謝ってる。
このバカオンナ!
俺はな、別に高い値段の服買えって言ってる訳じゃねぇよ。
他の男が振り返りたくなるような服着るなっつってんの!
「誰もあたしなんか見てないって!」とか言って、能天気にしてるけど、その横でどんだけ俺が睨み利かせてるのかまるっきり分かっちゃいねぇくせに。
この分だと、会社でどんなに言い寄られてるか分かったもんじゃねぇな。
牧野の腰をぐっと抱いて俺に引き寄せ、店を出る。
「ちょ、ちょっと西門さん、恥ずかしいってば…」
「何でだよ? 俺達恋人同士なんだから別にいいだろ?」
「や、それにしたって、こんなに人通りのあるところで密着しなくたって…」
顔を赤らめて、俯きがちになる牧野。
それでも無理矢理身体を離したりはしないで、俺のなすがままになっている。
ふん。お前ね、人通りがあるからこそ密着してんの。
このオンナは俺のものって見せびらかしてんだよ。
ま、誰もいなくたって離さないけどな。
「ごめんね…」
不意打ちの濡れた上目遣いの視線にズキュンとハートを撃ち抜かれ、一瞬言葉が出てこない。
「…何が?」
「またお洋服買ってもらっちゃって… ありがと。」
「俺が勝手に買ってるだけだからいいんだ。別に気にすんな。」
「うん、でも… ホントは嬉しいんだけど、ついつい文句言っちゃうし…」
「つくしちゃんの意地っ張りは重々承知してるって。
俺が選んだ服着てるの見てるのって、それはそれで嬉しいんだぜ。」
「そういうものなの?」
「そういうもんなの。」
俺が見たてた服を着て、牧野が俺色に染まってくのは、なんとも言えない満足感がある。
そうして2人きりになった暁には、あのボタンに手を掛けて、その内側に手を這わせって、そんな邪な事考えてんのは無茶苦茶胸が湧き立つ時間だ。
服買ってやる醍醐味だろ、そこは。
俺の腕から飛び出して、ペットショップのショーウィンドウにへばり付いた牧野。
妙なオーバーアクションと口パクで、ガラスの向こうの仔犬と仔猫が可愛いと俺に伝えてくる。
振り上げた華奢な腕が、陽に透けた薄いブラウスの中で泳ぐのを見て、心臓がどくんと跳ねた。
肌の露出を隠したつもりでいたけど、この透けてる感じって妙にエロいじゃねぇか!
あー、もう、何着せときゃいいんだよ、このオンナはー!
夏はずっと部屋に閉じ込めておくべきなのか?
実際には出来もしない考えが頭を過ったりする。
それ程俺は牧野に夢中だ。
だというのに、牧野自身はどこまでも無頓着。
ったく、人の気も知らないで。
そんな笑顔してんじゃねぇよ。
通りすがりの奴等が、見てんだろうが。
お前の笑顔って、相当破壊力あんだぜ。
この俺の澄まし顔なんて、一瞬にして吹っ飛ばす。
そんじょそこらの男なら、簡単にハートに矢がつき刺さるんだ。
俺がヤキモキしてんの、わかんねぇのか、鈍感牧野?
あぁ、服装だけ気をつけたって意味ねぇな。
あの笑顔は季節問わねぇもん。
やっぱり早く〈俺だけのもの〉にしちまわねぇと、この身が持たねぇよ!
__________
今日は「心の器」をUPする予定だったのですが、今、公私共に多忙でして…
なかなか時間が取れませんー!
と言うことで、夏っぽいSSが残ってたので、出してきました。
独占欲の塊になってる総二郎。
くすりと笑ってもらえたら嬉しいです。



ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
総二郎の夏の悩みです。
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夏。
とにかく暑いし、明るい日差しの下で誰もが開放的な気分になる季節。
世の女達が薄着になって、惜しげも無く素肌を晒しながら街を行き交う。
嘗ての俺は、その恩恵に与り、目の保養をしたり、時には摘み食いをしたりと、その光景を夏の楽しみだと捉えていたが…
牧野と過ごすようになってからは全く正反対の考えを持つようになった。
何処で誰がどんな邪な思いを抱いて見てるか分かりゃしねぇ。
牧野の白くて華奢な肩や、ほっそりした手脚を他の奴に見られてたまるか!
これを堪能出来るのは俺だけでいいんだよ!
だと言うのに、この鈍感で天然で能天気な女は、見る度に眉をひそめたくなる格好をしている。
肩が丸出しのキャミソールにデニムのホットパンツだ?
おいおい、お前、どこまで見せるつもりなんだよ?
まるで水着だろ、その格好。
「だって暑いし。」じゃねぇ!
そのチュニックワンピースだって、腕も脚も丸出しなんだよ。
下は辛うじてショートパンツを履いてるが、見様によっては薄っぺらな布一枚纏っているようにしか見えねぇだろ!
「これ、涼しいんだもん!」って、少しは人目を気にしろよ!
お、今日のワンピースは気持ち丈が短めだが、パフスリーブで肩も隠れてほっと一息…と思ったら、背中がばっくり空いてやがる。
だーーーーっ!
この女、俺の話聞いてねぇのか!?
そんなこんなで、この季節は会う度にまず服を買いに行く事になる。
勿体無いと嫌がる牧野をギロリと睨みつけて黙らせて、手近なブティックに引きずりこむ。
暑くならないように、でも肌を出し過ぎないように…と俺が選ぶ服を、仏頂面で試着するもんだから、店員の「良くお似合いです。」の言葉もどこか及び腰だ。
白いコットンの薄手のブラウス。
ロールアップすると半袖になるけど、そのまま着てれば7分丈。
下は膝下まである細身のカーゴパンツ。
うん、いいんじゃねえの?
これなら許容範囲だ。
「これ、このまま着ていくから、着て来た服を包んで貰ってもいい?」
「はいっ! 少々お待ち下さいっ!」
「お客様、タグ、お取りします!」
固まっていた店員達が急に動き出した。
会計をしながら待っていると、新しい服を纏い、仏頂面をした牧野がこっちにやって来る。
「ねぇ、なんで会う度会う度服買っちゃうのよ?」
「はぁ? お前がちゃんとした服着てこねぇからだろ?」
「ちゃんとしてなくて悪かったわねっ! どうせあたしは西門さんと違ってビンボーですからっ!」
「おいおい、つくしちゃん… 大きな声出すから、店の人達びっくりしちゃってるぜ。」
はっとした牧野が慌てて店員にぺこぺこ謝ってる。
このバカオンナ!
俺はな、別に高い値段の服買えって言ってる訳じゃねぇよ。
他の男が振り返りたくなるような服着るなっつってんの!
「誰もあたしなんか見てないって!」とか言って、能天気にしてるけど、その横でどんだけ俺が睨み利かせてるのかまるっきり分かっちゃいねぇくせに。
この分だと、会社でどんなに言い寄られてるか分かったもんじゃねぇな。
牧野の腰をぐっと抱いて俺に引き寄せ、店を出る。
「ちょ、ちょっと西門さん、恥ずかしいってば…」
「何でだよ? 俺達恋人同士なんだから別にいいだろ?」
「や、それにしたって、こんなに人通りのあるところで密着しなくたって…」
顔を赤らめて、俯きがちになる牧野。
それでも無理矢理身体を離したりはしないで、俺のなすがままになっている。
ふん。お前ね、人通りがあるからこそ密着してんの。
このオンナは俺のものって見せびらかしてんだよ。
ま、誰もいなくたって離さないけどな。
「ごめんね…」
不意打ちの濡れた上目遣いの視線にズキュンとハートを撃ち抜かれ、一瞬言葉が出てこない。
「…何が?」
「またお洋服買ってもらっちゃって… ありがと。」
「俺が勝手に買ってるだけだからいいんだ。別に気にすんな。」
「うん、でも… ホントは嬉しいんだけど、ついつい文句言っちゃうし…」
「つくしちゃんの意地っ張りは重々承知してるって。
俺が選んだ服着てるの見てるのって、それはそれで嬉しいんだぜ。」
「そういうものなの?」
「そういうもんなの。」
俺が見たてた服を着て、牧野が俺色に染まってくのは、なんとも言えない満足感がある。
そうして2人きりになった暁には、あのボタンに手を掛けて、その内側に手を這わせって、そんな邪な事考えてんのは無茶苦茶胸が湧き立つ時間だ。
服買ってやる醍醐味だろ、そこは。
俺の腕から飛び出して、ペットショップのショーウィンドウにへばり付いた牧野。
妙なオーバーアクションと口パクで、ガラスの向こうの仔犬と仔猫が可愛いと俺に伝えてくる。
振り上げた華奢な腕が、陽に透けた薄いブラウスの中で泳ぐのを見て、心臓がどくんと跳ねた。
肌の露出を隠したつもりでいたけど、この透けてる感じって妙にエロいじゃねぇか!
あー、もう、何着せときゃいいんだよ、このオンナはー!
夏はずっと部屋に閉じ込めておくべきなのか?
実際には出来もしない考えが頭を過ったりする。
それ程俺は牧野に夢中だ。
だというのに、牧野自身はどこまでも無頓着。
ったく、人の気も知らないで。
そんな笑顔してんじゃねぇよ。
通りすがりの奴等が、見てんだろうが。
お前の笑顔って、相当破壊力あんだぜ。
この俺の澄まし顔なんて、一瞬にして吹っ飛ばす。
そんじょそこらの男なら、簡単にハートに矢がつき刺さるんだ。
俺がヤキモキしてんの、わかんねぇのか、鈍感牧野?
あぁ、服装だけ気をつけたって意味ねぇな。
あの笑顔は季節問わねぇもん。
やっぱり早く〈俺だけのもの〉にしちまわねぇと、この身が持たねぇよ!
__________
今日は「心の器」をUPする予定だったのですが、今、公私共に多忙でして…
なかなか時間が取れませんー!
と言うことで、夏っぽいSSが残ってたので、出してきました。
独占欲の塊になってる総二郎。
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