プロフィール

hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

アクセスカウンター
近況とかつぶやいてます
カテゴリ
最新記事
ランキングボタン
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ



ご訪問有り難うございます
カウントダウンタイマー
花男Blogリンク
君を愛するために
明日咲く花
お友達Blogリンク
恋花-koibana-
沫雪の唄
ブログ村ランキング
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR

憂鬱な夢の終わり 前編

「心の器」をお待ちの方、スミマセンー。
いきなりですが今日と明日は類つくですー。
大学生の2人。新緑の季節です。

____________


<つくし19歳 類20歳の初夏>

何だかあまり夢見が良くなかった気がする。
どんな夢だったかは定かじゃないけど、ベッドから身体を起こしてみても、心のどこかが沈んだままだ。
何の夢か思い出そうとしても、どんどん頭の中から掻き消えていく。
深く息を吐いて、ベッドから下りた。
今日も一日が始まる。

大学に着いてみると、構内の掲示板の前に牧野の後ろ姿。
何かを一所懸命に見ている。
その姿を見るだけで、自分の表情が和らぐのが分かる。
俺をこんな風にさせるのは牧野だけだ。

「牧野。」

くるっと振り返った牧野は、一瞬目を見開き、俺を確かめるとふわっと笑った。
その笑顔で、目が覚めてから続いているどんよりした気分が霧散する。

「お早う、類!」

「ん、おはよ。何見てるの?」

「あぁ、いいバイトないかな~?と思ってさ。ビンボー暇無しですから。」

まだ働くのか?と思ったら、ちょっと俺の顔が曇ったらしい。
顔をくしゃっとさせて牧野が言う。

「類、心配しないで! あたしは大丈夫なんだから。バイトって楽しい事もあるんだよー。色々覚えられて社会勉強にもなるし。友達もできるしさ。あたしに言わせればあんた達こそちょっとやってみて、知らない世界学んだ方がいいと思う。」

と逆にバイトを勧めてくる。
全く力が抜けるよ。
いつだって何だって手助けしたい。
でも頑ななあんたは自分の力だけで立ちたいって肩肘張るから、隣で見守るだけでいるんだ。
見守ってるだけの俺の気持ち、あんたは考えた事あるのかな?

「じゃあ、あとでね~!」

と手を振って、牧野は講義にと消えて行った。
1人になって、ゆっくりと歩きながら俺は考える。

ずっと隣にいたけれど、このままじゃダメなんじゃないか?
いつまで経っても、俺と牧野の距離は変わらない。
司と牧野が別れて、もうどれだけの季節が過ぎたろう。
俺は牧野の傷が癒えるのを待っていた。
きっと牧野の胸の痛みはまだ残っている。
それならその痛みごと、俺が包んでしまえばいい。
思い出になって、笑って話せるようになる日まで、優しく優しく薬を塗って、包帯を巻いて。
そうやって2人で新しい場所に歩き出したい。

新緑溢れる構内の並木道を歩きながら、俺はそんな事を思っていた。

午後の講義が終わった牧野をカフェテリアで待ち伏せして、車に乗せた。

「ねぇ、類ってば。さっきからどうしたの? あたし、夜はバイトあるの!」

「大丈夫、時間までに送って行くよ。だからそれまで俺に付き合って。」

「いいけど… どこに行くの?」

「公園。」

「公園? 珍しいね、類が外に出掛けたいなんて。」

「ん… ちょっと風が感じられる所に行きたいんだ。」

車を広い芝生が広がる公園に着けさせた。
牧野と一緒に柔らかい芝生の上を歩いて、木陰にブランケットを敷いて座った。
青い空。
すうっとたなびく白い雲。
緑の芝生。
零れる木漏れ日。
初夏の爽やかな風が吹き抜けていく。

「広々してて気持ちいいねー!」

サッカーボールを蹴る子供達。
キャッチボールしている人達。
ベビーカーを押しているお母さん。
白詰草を摘んでいる女の子。
楽器の練習をしている人。
柔らかな日差しの中、日向ぼっこしているお爺さん。
芝生の上には、のんびりした光景が繰り広げられている。

リラックスした牧野は、澄んだ空気を思い切り吸って深呼吸してる。
陽の光がキラキラと牧野を縁取る。
黒髪を風が揺らす。

サーモマグに入ったコーヒーを手渡した。
牧野のはピンクの水玉のマグにカフェオレ。
俺のは黒のマグにブラックコーヒー。

「ありがと。可愛いね、このマグ。」

そう言ってマグを受け取った牧野は、両手でそれを包み込みながらゆっくり飲んでいる。
穏やかな表情で、芝生の上で思い思いに過ごす人達に目をやって。
俺はそれを横目で見ていた。


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ





ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

憂鬱な夢の終わり 後編

牧野、そっちじゃないよ。
俺を見て。
そして俺の本当の気持ちを知って欲しい。

もう喉元まで出かかっている。
何かのきっかけ一つで溢れ出しそうなこの想い。
今手を伸ばしたら、牧野は俺のものになるのかな?

ふわっと風が吹いて、また牧野の黒髪が踊る。
俺の顔を毛先がくすぐって…
思わず一瞬目を瞑った。
目を開けて、木漏れ日が当たる牧野の横顔が見えた時、急に胸が苦しくなった。

限界かなぁ、俺。

「牧野。」

「んー? なあに?」

牧野がこっちを向く。
目と目が合う。
牧野の黒い大きな瞳に吸い込まれそうだ。
俺の右手が牧野の後頭部に伸びていく。
気が付いたら、牧野の唇に自分のそれを重ねていた。
そっと触れるだけのキス。
仄かなコーヒーの薫りがした。
呆然としている牧野に想いを告げる。

「好きだ。」

フリーズしてるからもう一度。

「牧野が好きだよ。」

俺の予想では、顔を真っ赤にして、慌てる牧野が現れるはずだった。
だけど牧野は…
声をたてずにポロポロと涙を零し始めた。

なんで泣くんだよ?
牧野を悲しませたくない。
いつも笑っていて欲しい。
俺は牧野を幸せにしたいと誰よりも願っているのに。

頬に手を伸ばして、親指で涙を拭う。

「ごめん、泣かせるつもりじゃなかった。」

風が2人の間を吹き抜けていく。
そんな距離を無くしたい。
もどかしい想いが俺の中に渦巻く。

「…ううん、違うの。悲しくて泣いてるんじゃなくて… 有り難う、類。ずっと待っててくれたんだよね、あたしが大丈夫になるのを。」

牧野が俺の手を取る。
俺より温かくて、でも小さい牧野の手。
泣き笑いの顔で牧野が言う。

「あたしも類が好き。やっと言えた。」

その言葉が耳から入ってきて、頭の中で理解できた刹那、抑えがたい衝動が俺の中に湧き起って、牧野を抱き寄せてた。
華奢な牧野の身体。
きつく抱き締めたら折れてしまうかもしれない。
壊れ物を抱くように、そっとそっと自分の腕の中にしまう。
小さな肩口に顔を埋めた。
石鹸の香りがする。

牧野が俺の腕の中にいる。

緊張が解けていく一方、何故か吐息が震える。

「牧野、有り難う…」

石鹸の香りを吸い込みながら、小さな声で告げると、耳元で小さく笑う声が聞こえる。
鼻声の牧野が言う。

「何で類がお礼を言うの? ずっと待たせてたのはあたしだよ。」

「うん… でもやっぱり有り難う…」

「変なの。いつも有り難うはあたしの台詞なのに。」

「そうだね…」

牧野から離れたくない。
一度離れたら、この手の中から牧野が消えてしまいそうで怖いんだ。
やっと手にしたこの温もり。
もう絶対に手放すわけにはいかないんだ。

額と額を合わせる。
なんだかくすぐったい気持ちになる。
こんなことするの、初めてだから。

「牧野。」

「ん…何?」

「どこにも行かない? 俺のそばにいてくれる?」

「うん… どこにも行かないよ。あたしこそ類のそばにいていいの? あたしでいいの?」

「牧野がいい。あんたじゃなきゃ駄目なんだ。俺に必要なのは牧野だけだよ。」

「有り難う、類。」

思わずくすりと笑いが零れた。

「俺達、さっきから有り難うばっかり言い合ってる。」

「ふふふ。ホントだね。でもそれ以外の言葉がないんだもん。」

顔を見合わせて笑い合う。
俺の心がじんわり温かくなる。
俺に欠けていたものをやっと手に入れた。
もうきっと今朝みたいな憂鬱な夢は見ない。
だって俺には牧野がいるから。
これからはいつだって笑顔の牧野の夢だけ見るのだから。

-fin-

原っぱpola

いや、ただ単に、風の吹く公園に行ってきたので。
それをネタに何か書けないかなー?と。
告白シーンなんて書いてみちゃいました。


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ





ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学