ちょっと楽しそうなネタを頂いたので、あきつくSSで。
「early summer vacation」の続編です。
__________
<つくし24歳 あきら25歳 立秋の頃>
「ね、あきら、あたしちょっと日本に帰ってきてもいいかなぁ?」
週末、2人でキッチンに立つのがこの頃の習慣だ。
ハウスキーパーを雇うことを良しとしないつくしは、家事を全て引き受けている訳で。
一緒に居られる週末ぐらい、ちょっと肩の荷を下ろさせてやりたい…と思って、料理や片付けの手伝いをしながら、つくしと話をしたり、笑顔を見たり。
俺にとっても楽しい一時。
そこに降って湧いたような帰国話。
俺は一瞬驚いた顔をしてしまったと思う。
何故?来月からは大学への編入も決まっているのに…
疑問と不安が交錯する。
その表情を読み取って、くすくすと笑うつくしがいた。
「そんなに驚かないでよ。
ちょっとって言ったでしょ。
あのね、中学の時の同級生から手紙が来たの。
突然なんだけど、再来週、親しい人だけ呼んで結婚式を挙げるんだって!
ほら、あの…おめでた婚っていうのかなぁ?
お腹に赤ちゃんがいるのが分かって、急に決まったらしいの。
それで遠いけど来れたら来て欲しいって言ってくれてるから…」
なんだ、そういう理由か。
一瞬焦ってしまった自分を笑ってやりたい。
つくしが俺を置いて日本へ戻ってしまうなんてありえないって思ってるのに、心のどこかでは一抹の不安を拭いきれないでいるというのを実感してしまった。
やっぱり異国で暮らすのは、つくしにとってどこか負担なんじゃないか?って。
日本に置いてきた家族や友人に会えないのは辛いんじゃないか?って。
いつもその事は気掛かりで。
でもこの忍耐の塊みたいな女であるつくしは、絶対にそんな事ないって言い張るから。
本当の心の内は、俺にも解らず仕舞いなんだ。
「あぁ、そうか。折角の招待なんだし、行って来いよ。
つくしも久しぶりに日本で会いたい人がいたり、やりたいこととかあるんじゃないか?
今から大学が始まるまで、日本にいたらどう?」
「うーん、でもあんまり長く行くのはちょっと…。
1週間位行って来てもいい?」
「うん、1週間と言わず、もっと長くてもいいんだぞ。
俺の事は心配要らないから。
食事は適当に外で済ませればいいし。
お陰様で洗濯も出来るようになったから、1人でも大丈夫だよ。」
俺の話を聞きながら、ずっと顔が笑っているつくし。
なんだよ、俺、変な事言ってるか?
「ふふっ! あの何でも使用人さんにしてもらってた『美作さん』が、今では家事まで熟す『あきら』なんだもん。
人は変われば変わるものだよねぇ!」
そうか、そういうことで笑ってる訳か。
別に今だって身近にそういう人間が居たら、あっさり任せてしまうと思うけど。
この俺達が2人で暮らすフラットの中では、つくしの意思が最優先。
ここは俺のお姫様の小さな小さな城だから。
俺はそれを護りたいだけだよ。
「人は幾つになっても成長出来るって証だろ?
でもあいつらが知ったら驚くかもな。
俺がつくしの従順な僕で。」
「人聞き悪いっ!
それってまるであたしがあきらをいいように使ってるみたいじゃない!
そんな風に思ってたの?」
「ふっ。冗談だよ。
ちょっとからかっただけさ。
で、いつから帰るんだ?
急いで飛行機のチケット押さえなきゃだろ?」
「ちょっと待ってて。」
濡れた手をタオルで拭い、自室へと一旦消えたつくしは、手に封筒と手帳を持って、ダイニングテーブルまで戻って来た。
俺もその横に腰を下ろす。
白い封筒の中から出て来た招待状。
横から覗き込むと、すっと俺の前に差し出してくれた。
日付は2週間後の土曜日。
場所は都内の下町情緒あふれる観光名所のホテル。
「花嫁さんがつくしの同級生なんだよな?」
「そう、あたしの中学の時のクラスメイトってホントに皆仲良くてね。
時々同窓会したり、女子だけでご飯食べたりしてたんだよね、日本にいた時は。
佳世はそういう時にいつも音頭を取ってくれるしっかりしたコでね。
そのしっかり屋さんがおめでた婚っていうのが可笑しいんだけど。」
招待状をそっと指でなぞりながら、花嫁となる友達の事でも思い出しているんだろうか。
つくしは優しく微笑んでいる。
手帳をペラペラ捲り、首を捻ったり、頬に手を当てたり。
何やら悩んだ挙句、希望の日取りを決めた。
「うーんと、再来週の水曜日位の飛行機であっちに行って。
土曜日が結婚式でしょ。
で、その次の水曜日に戻って来ようかな?」
「片道12時間だぞ。
折角の機会だから、もっとのんびりしてくれば?」
「いいの、1週間で!
…そんなに長くあきらと離れていたくないのっ!」
顔を真っ赤に染めたつくしが愛しくて。
背中に手を回して、ぐっと抱き締しめた。
俺も同じだよ、つくし。
__________
ちょっとご無沙汰してたラブラブなあきつく。
甘ーいやつを書きたいな(〃艸〃)ムフッ
「心の器」63話、お待たせしております。
書けてないのです。
今、ホント時間無くて…
徹夜の日もある位で…
落ち着いて書けるようになったら必ず!



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「early summer vacation」の続編です。
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<つくし24歳 あきら25歳 立秋の頃>
「ね、あきら、あたしちょっと日本に帰ってきてもいいかなぁ?」
週末、2人でキッチンに立つのがこの頃の習慣だ。
ハウスキーパーを雇うことを良しとしないつくしは、家事を全て引き受けている訳で。
一緒に居られる週末ぐらい、ちょっと肩の荷を下ろさせてやりたい…と思って、料理や片付けの手伝いをしながら、つくしと話をしたり、笑顔を見たり。
俺にとっても楽しい一時。
そこに降って湧いたような帰国話。
俺は一瞬驚いた顔をしてしまったと思う。
何故?来月からは大学への編入も決まっているのに…
疑問と不安が交錯する。
その表情を読み取って、くすくすと笑うつくしがいた。
「そんなに驚かないでよ。
ちょっとって言ったでしょ。
あのね、中学の時の同級生から手紙が来たの。
突然なんだけど、再来週、親しい人だけ呼んで結婚式を挙げるんだって!
ほら、あの…おめでた婚っていうのかなぁ?
お腹に赤ちゃんがいるのが分かって、急に決まったらしいの。
それで遠いけど来れたら来て欲しいって言ってくれてるから…」
なんだ、そういう理由か。
一瞬焦ってしまった自分を笑ってやりたい。
つくしが俺を置いて日本へ戻ってしまうなんてありえないって思ってるのに、心のどこかでは一抹の不安を拭いきれないでいるというのを実感してしまった。
やっぱり異国で暮らすのは、つくしにとってどこか負担なんじゃないか?って。
日本に置いてきた家族や友人に会えないのは辛いんじゃないか?って。
いつもその事は気掛かりで。
でもこの忍耐の塊みたいな女であるつくしは、絶対にそんな事ないって言い張るから。
本当の心の内は、俺にも解らず仕舞いなんだ。
「あぁ、そうか。折角の招待なんだし、行って来いよ。
つくしも久しぶりに日本で会いたい人がいたり、やりたいこととかあるんじゃないか?
今から大学が始まるまで、日本にいたらどう?」
「うーん、でもあんまり長く行くのはちょっと…。
1週間位行って来てもいい?」
「うん、1週間と言わず、もっと長くてもいいんだぞ。
俺の事は心配要らないから。
食事は適当に外で済ませればいいし。
お陰様で洗濯も出来るようになったから、1人でも大丈夫だよ。」
俺の話を聞きながら、ずっと顔が笑っているつくし。
なんだよ、俺、変な事言ってるか?
「ふふっ! あの何でも使用人さんにしてもらってた『美作さん』が、今では家事まで熟す『あきら』なんだもん。
人は変われば変わるものだよねぇ!」
そうか、そういうことで笑ってる訳か。
別に今だって身近にそういう人間が居たら、あっさり任せてしまうと思うけど。
この俺達が2人で暮らすフラットの中では、つくしの意思が最優先。
ここは俺のお姫様の小さな小さな城だから。
俺はそれを護りたいだけだよ。
「人は幾つになっても成長出来るって証だろ?
でもあいつらが知ったら驚くかもな。
俺がつくしの従順な僕で。」
「人聞き悪いっ!
それってまるであたしがあきらをいいように使ってるみたいじゃない!
そんな風に思ってたの?」
「ふっ。冗談だよ。
ちょっとからかっただけさ。
で、いつから帰るんだ?
急いで飛行機のチケット押さえなきゃだろ?」
「ちょっと待ってて。」
濡れた手をタオルで拭い、自室へと一旦消えたつくしは、手に封筒と手帳を持って、ダイニングテーブルまで戻って来た。
俺もその横に腰を下ろす。
白い封筒の中から出て来た招待状。
横から覗き込むと、すっと俺の前に差し出してくれた。
日付は2週間後の土曜日。
場所は都内の下町情緒あふれる観光名所のホテル。
「花嫁さんがつくしの同級生なんだよな?」
「そう、あたしの中学の時のクラスメイトってホントに皆仲良くてね。
時々同窓会したり、女子だけでご飯食べたりしてたんだよね、日本にいた時は。
佳世はそういう時にいつも音頭を取ってくれるしっかりしたコでね。
そのしっかり屋さんがおめでた婚っていうのが可笑しいんだけど。」
招待状をそっと指でなぞりながら、花嫁となる友達の事でも思い出しているんだろうか。
つくしは優しく微笑んでいる。
手帳をペラペラ捲り、首を捻ったり、頬に手を当てたり。
何やら悩んだ挙句、希望の日取りを決めた。
「うーんと、再来週の水曜日位の飛行機であっちに行って。
土曜日が結婚式でしょ。
で、その次の水曜日に戻って来ようかな?」
「片道12時間だぞ。
折角の機会だから、もっとのんびりしてくれば?」
「いいの、1週間で!
…そんなに長くあきらと離れていたくないのっ!」
顔を真っ赤に染めたつくしが愛しくて。
背中に手を回して、ぐっと抱き締しめた。
俺も同じだよ、つくし。
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ちょっとご無沙汰してたラブラブなあきつく。
甘ーいやつを書きたいな(〃艸〃)ムフッ
「心の器」63話、お待たせしております。
書けてないのです。
今、ホント時間無くて…
徹夜の日もある位で…
落ち着いて書けるようになったら必ず!



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