「西門さん、お願い! 迎えに来て! 滋さんが放してくれない!」
牧野からのSOSのメール。
何やってんだ、あいつ。
今日は滋の家で、桜子と3人で食事するって言ってたけど。
怪訝に思いながら大河原の邸に来てみれば、大広間に通された。
そこは写真スタジオさながらの機材が持ち込まれ、プロのカメラマンがアシスタント数人を使いながら写真を撮影してる。
もちろん撮られているのは、牧野と滋と桜子。
だがその恰好が頂けない。
3人が着ているのは色違いのセクシーチャイナ服。
どこまで足を見せれば気が済むんだ?ってぐらい太股を露わにした超ミニ。
そんなミニ丈なのにスリットまで入ってるって。
何処の誰とも分からない男達にそんな姿見せてんじゃねえよ!
俺の中のイライラセンサーの針が一気に振り切れそうだ。
滋と桜子がどんな格好しようが一向に構わないが、牧野は別。
俺を認めた牧野が、半分泣きそうな縋り付くような目で、助けを求めてる。
「あ、ニッシーきたー! まだ撮影中だからちょっと待っててー!」
能天気な滋の声が響くが、待ってなんかやらねぇよ。
「おい、滋、牧野連れて帰るぞ。」
「え? だからもうちょっと待ってよ。この衣装での撮影、済んでないんだって。」
「もう充分だろ? この分じゃ相当楽しんだみたいだし。
ほら、牧野、さっさと着替えてこい。」
俺にぎろりと睨め付けられて、身体を縮こめた牧野。
「滋さんっ、ごめんねっ!」と小さく叫んで、走り去った。
「あーあ、折角3人でお揃いでオーダーした衣装だったのにぃ。
ニッシーの短気で2人になっちゃったじゃないのよ!」
「滋、コスプレなんて好きなだけやってもいいから、牧野を巻き込むな!」
「コスプレじゃないもん! 仮装だもん!
今日はハロウィンのコスチュームで写真集作るための撮影なんだからー。
そんなこと言ってると、ニッシーには写真集あげないぞ!」
写真集だぁ? 俺の預かり知らぬところで牧野がこんな写真を撮られるってだけでもイラっとするってのに。
「お前… そんな写真集作って、どうするつもりなんだ?」
「え? F4とT4に配る…でいいんじゃないの?」
滋のぶっ飛んだ発想にはいつも驚かされるが、今回ばかりは許しちゃおけねぇ。
「配るな、そんなもん。お前と桜子が持ってるだけで十分だろ!」
「西門さん、口うるさい事仰ってると、これ、花沢さんかNYの道明寺さんに差し上げてしまいますわよ。」
それまで沈黙を守ってた桜子が、扇子のように白いカード状の物を半円形に並べて、パタパタと揺らしながら、こちらに歩いてくる。
イラつきを載せた流し目を送ったって、こいつには何の効き目も無いことは分かっちゃいるけど、やらずにいられない。
素知らぬ顔して、まるでトランプの表を見せるように、手首を返して俺の目前に差し出したのは、牧野が色んなコスプレ衣装を纏って、恥ずかしそうにポーズを取らされてるポラロイド写真。
思わず無言で桜子の手からもぎり取る。
網タイツの小悪魔衣装、とんがり帽子のセクシー魔女っ子、ネズミの耳付けた赤ドットのフワフワワンピ、臍が見えてる白熊着ぐるみ、ピンクの折れ耳付けたバニーガール、黒のミニ丈ワンピにフリフリレースたっぷりのメイド服…
こんなもん、類にも司にもやれる訳ないだろう!
「ね、ニッシーはどれが好きー?
滋ちゃんはね、この魔女っ子つくしが飛び切りカワイイと思うんだけど。」
どれもこれも可愛いに決まってんだろ、俺の牧野は!
でもこれはどこの誰にも見せたくない!
「桜子のオススメはこちらですのよ。」
そう言いながらすっと出してきた最後の1枚は…
黒の猫耳カチューシャに、黒のチョーカー、黒のベアトップのミニ丈ワンピに黒のしっぽ。
黒猫牧野が手をグーにして猫ポーズを取ってる写真だった。
思わず「うっ…」と喉が詰まる。
これはめちゃくちゃ破壊力あり。
俺はコスプレなんて全く興味ないと思ってたのに、ぐっとくるものがある。
それに目ざとく気付いた桜子の目がキランと光る。
口元には悪魔の微笑み。
「私の見る目は確かでしょう、西門さん?」
認めたくはないが、この中じゃ一番そそるな、これが。
だんまりを決め込む俺をくすりと笑い、一つの紙袋を持ってきた。
「これ、先輩のお荷物です。お預けしますわ。」
「あぁ…」
「桜子ー! 2人で続き撮っちゃお!」
「はい、只今参ります。」
しゃなりしゃなりと歩き去る桜子の後姿を苦々しく思いながら見送っていると、いつの間にか隣に立っていた牧野に小突かれた。
「桜子の事、そんなヤラシイ目で見ちゃって… エロ門なんだからっ!」
「あーーー? 何言ってんだ、このバカ牧野っ! お前が迎えに来てって言ったから来てやったんだろうが。
俺はなぁ…」
お前にしか目に入んないんだよっ!と続けそうになって、既の所で口を噤んだ。
滋や桜子の前で態々聞かせる事もない。
「帰るぞ! 滋! 牧野の写真、絶対人目に晒すなよっ!」
そう言い捨て、踵を返してドアへと向かう。
滋と桜子に短い挨拶をして、牧野が俺を追いかけてくる。
ったく、何してくれちゃってんだよ、滋と桜子は。
そして言われるがままになってたこのバカ女も許しがたい。
俺以外の男の前で、こんな姿でポーズ取ったりしやがって。
ポケットの中に仕舞いこんだポラロイド写真。
指先が写真に触れるだけで、さっきの牧野の悩ましげな姿がちらちらして。
胸の中にもやもやが溜まってく。
__________
ハロウィンって、こういうことするための行事じゃないですよねー(苦笑)
そう、でも拙宅ではこんなおバカなことに。
次回は久々にアイツ、呼び出しますか!?
相当頑張らないと書けないな…
えっとね、左肩が激痛で上げられないんですよ。
これって所謂四十肩ってやつですかね…?
もう踏んだり蹴ったり…



ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
牧野からのSOSのメール。
何やってんだ、あいつ。
今日は滋の家で、桜子と3人で食事するって言ってたけど。
怪訝に思いながら大河原の邸に来てみれば、大広間に通された。
そこは写真スタジオさながらの機材が持ち込まれ、プロのカメラマンがアシスタント数人を使いながら写真を撮影してる。
もちろん撮られているのは、牧野と滋と桜子。
だがその恰好が頂けない。
3人が着ているのは色違いのセクシーチャイナ服。
どこまで足を見せれば気が済むんだ?ってぐらい太股を露わにした超ミニ。
そんなミニ丈なのにスリットまで入ってるって。
何処の誰とも分からない男達にそんな姿見せてんじゃねえよ!
俺の中のイライラセンサーの針が一気に振り切れそうだ。
滋と桜子がどんな格好しようが一向に構わないが、牧野は別。
俺を認めた牧野が、半分泣きそうな縋り付くような目で、助けを求めてる。
「あ、ニッシーきたー! まだ撮影中だからちょっと待っててー!」
能天気な滋の声が響くが、待ってなんかやらねぇよ。
「おい、滋、牧野連れて帰るぞ。」
「え? だからもうちょっと待ってよ。この衣装での撮影、済んでないんだって。」
「もう充分だろ? この分じゃ相当楽しんだみたいだし。
ほら、牧野、さっさと着替えてこい。」
俺にぎろりと睨め付けられて、身体を縮こめた牧野。
「滋さんっ、ごめんねっ!」と小さく叫んで、走り去った。
「あーあ、折角3人でお揃いでオーダーした衣装だったのにぃ。
ニッシーの短気で2人になっちゃったじゃないのよ!」
「滋、コスプレなんて好きなだけやってもいいから、牧野を巻き込むな!」
「コスプレじゃないもん! 仮装だもん!
今日はハロウィンのコスチュームで写真集作るための撮影なんだからー。
そんなこと言ってると、ニッシーには写真集あげないぞ!」
写真集だぁ? 俺の預かり知らぬところで牧野がこんな写真を撮られるってだけでもイラっとするってのに。
「お前… そんな写真集作って、どうするつもりなんだ?」
「え? F4とT4に配る…でいいんじゃないの?」
滋のぶっ飛んだ発想にはいつも驚かされるが、今回ばかりは許しちゃおけねぇ。
「配るな、そんなもん。お前と桜子が持ってるだけで十分だろ!」
「西門さん、口うるさい事仰ってると、これ、花沢さんかNYの道明寺さんに差し上げてしまいますわよ。」
それまで沈黙を守ってた桜子が、扇子のように白いカード状の物を半円形に並べて、パタパタと揺らしながら、こちらに歩いてくる。
イラつきを載せた流し目を送ったって、こいつには何の効き目も無いことは分かっちゃいるけど、やらずにいられない。
素知らぬ顔して、まるでトランプの表を見せるように、手首を返して俺の目前に差し出したのは、牧野が色んなコスプレ衣装を纏って、恥ずかしそうにポーズを取らされてるポラロイド写真。
思わず無言で桜子の手からもぎり取る。
網タイツの小悪魔衣装、とんがり帽子のセクシー魔女っ子、ネズミの耳付けた赤ドットのフワフワワンピ、臍が見えてる白熊着ぐるみ、ピンクの折れ耳付けたバニーガール、黒のミニ丈ワンピにフリフリレースたっぷりのメイド服…
こんなもん、類にも司にもやれる訳ないだろう!
「ね、ニッシーはどれが好きー?
滋ちゃんはね、この魔女っ子つくしが飛び切りカワイイと思うんだけど。」
どれもこれも可愛いに決まってんだろ、俺の牧野は!
でもこれはどこの誰にも見せたくない!
「桜子のオススメはこちらですのよ。」
そう言いながらすっと出してきた最後の1枚は…
黒の猫耳カチューシャに、黒のチョーカー、黒のベアトップのミニ丈ワンピに黒のしっぽ。
黒猫牧野が手をグーにして猫ポーズを取ってる写真だった。
思わず「うっ…」と喉が詰まる。
これはめちゃくちゃ破壊力あり。
俺はコスプレなんて全く興味ないと思ってたのに、ぐっとくるものがある。
それに目ざとく気付いた桜子の目がキランと光る。
口元には悪魔の微笑み。
「私の見る目は確かでしょう、西門さん?」
認めたくはないが、この中じゃ一番そそるな、これが。
だんまりを決め込む俺をくすりと笑い、一つの紙袋を持ってきた。
「これ、先輩のお荷物です。お預けしますわ。」
「あぁ…」
「桜子ー! 2人で続き撮っちゃお!」
「はい、只今参ります。」
しゃなりしゃなりと歩き去る桜子の後姿を苦々しく思いながら見送っていると、いつの間にか隣に立っていた牧野に小突かれた。
「桜子の事、そんなヤラシイ目で見ちゃって… エロ門なんだからっ!」
「あーーー? 何言ってんだ、このバカ牧野っ! お前が迎えに来てって言ったから来てやったんだろうが。
俺はなぁ…」
お前にしか目に入んないんだよっ!と続けそうになって、既の所で口を噤んだ。
滋や桜子の前で態々聞かせる事もない。
「帰るぞ! 滋! 牧野の写真、絶対人目に晒すなよっ!」
そう言い捨て、踵を返してドアへと向かう。
滋と桜子に短い挨拶をして、牧野が俺を追いかけてくる。
ったく、何してくれちゃってんだよ、滋と桜子は。
そして言われるがままになってたこのバカ女も許しがたい。
俺以外の男の前で、こんな姿でポーズ取ったりしやがって。
ポケットの中に仕舞いこんだポラロイド写真。
指先が写真に触れるだけで、さっきの牧野の悩ましげな姿がちらちらして。
胸の中にもやもやが溜まってく。
__________
ハロウィンって、こういうことするための行事じゃないですよねー(苦笑)
そう、でも拙宅ではこんなおバカなことに。
次回は久々にアイツ、呼び出しますか!?
相当頑張らないと書けないな…
えっとね、左肩が激痛で上げられないんですよ。
これって所謂四十肩ってやつですかね…?
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