今日・明日はクリスマスSSですー。
設定は… 社会人になってるけど、お付き合いして初めての冬を迎えた2人です。
__________
西門さんはお仕事柄、年末年始は忙しい。
それはあたしもよく分かってる。
あたしは26日の金曜日が今年の仕事納めで、それからはお正月休みになるけれど、西門さんは12月の後半から1月の初釜まで予定がびっちりだ。
だけど、お付き合いするようになって迎える初めての12月。
この間は西門さんのお誕生日を2人きりで過ごした。
そして、24日の夜と、28日の夜だけは絶対予定入れさせないって宣言してくれた。
特別なイベント事は女の人とは過ごさないって決めてた西門さんが、あたしの為にそんな事言ってくれるって、すっごく嬉しくて、心が震える。
だから、24日はどこに行こうか、何を食べようか、1人でワクワクしながら考えていたんだけど…
お家元が急病で、今後のタイトな予定の事も考慮して、京都でのお仕事は代理を立てることになった。
穴を埋められるのは西門さんしかいないだろうと声が上がり、お家元直々のご指名もあって、西門さんは冬至の前日から京都に行く。
帰りは25日の予定。
辛そうな表情であたしにそれを告げて、物凄くいっぱい謝ってくれるから、あたしはにこやかに送り出す以外出来ることは無い。
「大丈夫だよ、そんなに謝ってくれなくたって。
あたしだって24日は普通に仕事なんだし。
25日の夜、帰ってきて疲れてなかったら、一緒にご飯食べよ。
でもすぐにあたしの誕生日だし。
28日に纏めてやっちゃうんでもいいかもね?」
「ん… ホント悪いな、牧野。
この埋め合わせは絶対するから!」
「だってお仕事なんだから仕方ないじゃない。
お家元だって、好きでお加減悪くなられたわけじゃないんだし。
あたしのことは気にしないで!
何、お土産に買って来てもらおうかなー?
うーん… あたし、わらびもち食べたい。
あと、練り香水も欲しいなあ。
京都でクリスマスプレゼント代わりに買って来てね!」
やっと顔の強張りを解いて、優しく笑ってくれた西門さん。
「仰せのままに。」と呟いて、そっとキスしてくれた。
もうそれだけであたしは幸せになる。
触れ合ってる唇から、そっと添えられた掌から、じんわりじんわり西門さんの体温が沁みてくる。
25日の夜まで、この西門さんの声と温もりを憶えて、待ってる。
そう思った。
-*-*-*-*-*-
23日は祝日で、あたしは優紀と2人で、ちょっと早めのクリスマス・ランチ。
東京駅で待ち合わせて、お気に入りのブラッスリーで食事した。
女の子同士の他愛もないお喋りと、美味しい食べ物の組み合わせは、右に出る者なし!
ここのランチは、メイン一皿+パンと、プチデザートとコーヒー。
前菜やスープは別料金で追加になる。
メニューを見て気になった、リエットとパテの盛り合わせを前菜に。
スープ代わりにムール貝の白ワイン蒸しを追加した。
プチデザートとコーヒーを頂いた後も、まだ食べれるね!なんて言い合って、タルト・タタンを一つ注文して、優紀とシェアして食べちゃった。
「優紀ー、これはカロリー摂り過ぎだよぉ!」
「うーん、流石にそれは否めないね…」
「でも美味しそうで、目が欲しがっちゃって、注文せずにはいられなかったよね!」
「ホント、ホント! ね、つくし、ちょっとでもこれを消化させるために、この辺りお散歩して歩こうよ。
私、行きたい所が色々あるんだ!」
「うん、いいね!」
優紀がバッグから取り出したのは、プリントアウトされたこの周辺の地図。
所々赤ペンでマルがしてある。
優紀によると、この辺一帯では今、クリスマスの為の沢山のイルミネーションやら、綺麗なツリーやら、オブジェがかざられていると。
それの中でも特別綺麗そうなのをいくつかネットでチェックしてきたから見に行きたいとのこと。
もちろんあたしもそんな素敵なツリーやオブジェがあるならぜひ見てみたいと思ったので、2人で店を出て歩き出した。
「わ、お店出ると、案外暖かくてびっくりした!」
「今日は風が吹いてないから、歩きやすいね。
コート、前開けてる位で丁度いい感じ。」
優紀がマークしてた一つ目の場所は、最近オープンした商業スペース。
中に入るとすぐに、大きなツリーが聳え立つ。
広々としたアトリウムの真ん中には真っ白に雪化粧したかのようなツリー。
上からはキラキラと光を反射して輝く氷の粒のようなモチーフがのれん状に下げられていて、室内だと言うのに、本当に雪が降って来るかのように見える。
「ステキー、このツリー!」
「つくし、写メ撮ろう!」
互いの携帯で写真を取り合ったり、2人で思いっきり手を伸ばして自撮りしたり、ツリーの前ではしゃいでしまった。
次の目的地は斜め向かいのビル。
そこに向かう人の波があるから、つられて付いて行くと、奥の四角いアトリウムの方が水色に輝いている。
でも近くで見るには行列に並んで、パーテーションの向こうに行かないといけないらしい。
「ここ、この間、テレビで見た!」
「あ、つくしも? すっごい人気だね。中に入るの1時間待ちだって…」
「うーん、そんなには待てないから、あの3階の辺りから見下ろすのはどう?」
「うん、それがいいかも…」
エスカレーターで3階まで上り、吹き抜けを見下ろすと、そこには今年流行った映画の、氷のお城をイメージさせるツリーがあった。
「あ、ここからなら良く見える!」
「ホントだぁ!」
また写真を撮りまくる私達。
まあ、周囲の人達も同じようなことしてるから、特に問題は無いけれど。
こうして、いくつかのツリーや、野外に置かれているオブジェを見て回って、あたし達は食べ過ぎたランチ後の腹ごなしをした。
歩いて、喉も渇いたから、どこかでお茶をしようと、カフェを探すけれど、クリスマス直前の祝日。
どこもかしこも混んでいて、2人で座れるテーブルさえ見つからない。
仕方ないねと顔を見合わせて、駅の売店で温かい飲み物を買って、ベンチで飲んで、解散することになった。
優紀は実家に。
あたしは1人暮らしのアパートに。
「つくし、明後日、西門さんと会えるといいね。」
「うん、まだ、分かんないけどね。
優紀こそ、明日は彼とのディナー、楽しんできて!」
「うん、2日続けて美味しい物食べちゃうからヤバいけどね。
じゃ、また忘年会でねー!」
楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。
電車に揺られながら、いっぱい撮った写真の中から写りのいいものを選んで、西門さんにメールする。
お仕事終わって一息ついた時に、笑って読んでくれたらいいな。
そんな事を思いながら。
___________
東京・丸の内にてロケハン。
KITTEと丸ビルのが特に好きだったのでフィーチャーしちゃいました。
丸ビルは夜光ってる時に見たかったなー。
行ったのは午後の早めの時間だったので…
この時期、イルミネーションが綺麗な所、いっぱいですね。
見て歩くの大好きなんですが、この冬は病人もいるしで、あんまり見れてないですー。



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西門さんはお仕事柄、年末年始は忙しい。
それはあたしもよく分かってる。
あたしは26日の金曜日が今年の仕事納めで、それからはお正月休みになるけれど、西門さんは12月の後半から1月の初釜まで予定がびっちりだ。
だけど、お付き合いするようになって迎える初めての12月。
この間は西門さんのお誕生日を2人きりで過ごした。
そして、24日の夜と、28日の夜だけは絶対予定入れさせないって宣言してくれた。
特別なイベント事は女の人とは過ごさないって決めてた西門さんが、あたしの為にそんな事言ってくれるって、すっごく嬉しくて、心が震える。
だから、24日はどこに行こうか、何を食べようか、1人でワクワクしながら考えていたんだけど…
お家元が急病で、今後のタイトな予定の事も考慮して、京都でのお仕事は代理を立てることになった。
穴を埋められるのは西門さんしかいないだろうと声が上がり、お家元直々のご指名もあって、西門さんは冬至の前日から京都に行く。
帰りは25日の予定。
辛そうな表情であたしにそれを告げて、物凄くいっぱい謝ってくれるから、あたしはにこやかに送り出す以外出来ることは無い。
「大丈夫だよ、そんなに謝ってくれなくたって。
あたしだって24日は普通に仕事なんだし。
25日の夜、帰ってきて疲れてなかったら、一緒にご飯食べよ。
でもすぐにあたしの誕生日だし。
28日に纏めてやっちゃうんでもいいかもね?」
「ん… ホント悪いな、牧野。
この埋め合わせは絶対するから!」
「だってお仕事なんだから仕方ないじゃない。
お家元だって、好きでお加減悪くなられたわけじゃないんだし。
あたしのことは気にしないで!
何、お土産に買って来てもらおうかなー?
うーん… あたし、わらびもち食べたい。
あと、練り香水も欲しいなあ。
京都でクリスマスプレゼント代わりに買って来てね!」
やっと顔の強張りを解いて、優しく笑ってくれた西門さん。
「仰せのままに。」と呟いて、そっとキスしてくれた。
もうそれだけであたしは幸せになる。
触れ合ってる唇から、そっと添えられた掌から、じんわりじんわり西門さんの体温が沁みてくる。
25日の夜まで、この西門さんの声と温もりを憶えて、待ってる。
そう思った。
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23日は祝日で、あたしは優紀と2人で、ちょっと早めのクリスマス・ランチ。
東京駅で待ち合わせて、お気に入りのブラッスリーで食事した。
女の子同士の他愛もないお喋りと、美味しい食べ物の組み合わせは、右に出る者なし!
ここのランチは、メイン一皿+パンと、プチデザートとコーヒー。
前菜やスープは別料金で追加になる。
メニューを見て気になった、リエットとパテの盛り合わせを前菜に。
スープ代わりにムール貝の白ワイン蒸しを追加した。
プチデザートとコーヒーを頂いた後も、まだ食べれるね!なんて言い合って、タルト・タタンを一つ注文して、優紀とシェアして食べちゃった。
「優紀ー、これはカロリー摂り過ぎだよぉ!」
「うーん、流石にそれは否めないね…」
「でも美味しそうで、目が欲しがっちゃって、注文せずにはいられなかったよね!」
「ホント、ホント! ね、つくし、ちょっとでもこれを消化させるために、この辺りお散歩して歩こうよ。
私、行きたい所が色々あるんだ!」
「うん、いいね!」
優紀がバッグから取り出したのは、プリントアウトされたこの周辺の地図。
所々赤ペンでマルがしてある。
優紀によると、この辺一帯では今、クリスマスの為の沢山のイルミネーションやら、綺麗なツリーやら、オブジェがかざられていると。
それの中でも特別綺麗そうなのをいくつかネットでチェックしてきたから見に行きたいとのこと。
もちろんあたしもそんな素敵なツリーやオブジェがあるならぜひ見てみたいと思ったので、2人で店を出て歩き出した。
「わ、お店出ると、案外暖かくてびっくりした!」
「今日は風が吹いてないから、歩きやすいね。
コート、前開けてる位で丁度いい感じ。」
優紀がマークしてた一つ目の場所は、最近オープンした商業スペース。
中に入るとすぐに、大きなツリーが聳え立つ。
広々としたアトリウムの真ん中には真っ白に雪化粧したかのようなツリー。
上からはキラキラと光を反射して輝く氷の粒のようなモチーフがのれん状に下げられていて、室内だと言うのに、本当に雪が降って来るかのように見える。
「ステキー、このツリー!」
「つくし、写メ撮ろう!」
互いの携帯で写真を取り合ったり、2人で思いっきり手を伸ばして自撮りしたり、ツリーの前ではしゃいでしまった。
次の目的地は斜め向かいのビル。
そこに向かう人の波があるから、つられて付いて行くと、奥の四角いアトリウムの方が水色に輝いている。
でも近くで見るには行列に並んで、パーテーションの向こうに行かないといけないらしい。
「ここ、この間、テレビで見た!」
「あ、つくしも? すっごい人気だね。中に入るの1時間待ちだって…」
「うーん、そんなには待てないから、あの3階の辺りから見下ろすのはどう?」
「うん、それがいいかも…」
エスカレーターで3階まで上り、吹き抜けを見下ろすと、そこには今年流行った映画の、氷のお城をイメージさせるツリーがあった。
「あ、ここからなら良く見える!」
「ホントだぁ!」
また写真を撮りまくる私達。
まあ、周囲の人達も同じようなことしてるから、特に問題は無いけれど。
こうして、いくつかのツリーや、野外に置かれているオブジェを見て回って、あたし達は食べ過ぎたランチ後の腹ごなしをした。
歩いて、喉も渇いたから、どこかでお茶をしようと、カフェを探すけれど、クリスマス直前の祝日。
どこもかしこも混んでいて、2人で座れるテーブルさえ見つからない。
仕方ないねと顔を見合わせて、駅の売店で温かい飲み物を買って、ベンチで飲んで、解散することになった。
優紀は実家に。
あたしは1人暮らしのアパートに。
「つくし、明後日、西門さんと会えるといいね。」
「うん、まだ、分かんないけどね。
優紀こそ、明日は彼とのディナー、楽しんできて!」
「うん、2日続けて美味しい物食べちゃうからヤバいけどね。
じゃ、また忘年会でねー!」
楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。
電車に揺られながら、いっぱい撮った写真の中から写りのいいものを選んで、西門さんにメールする。
お仕事終わって一息ついた時に、笑って読んでくれたらいいな。
そんな事を思いながら。
___________
東京・丸の内にてロケハン。
KITTEと丸ビルのが特に好きだったのでフィーチャーしちゃいました。
丸ビルは夜光ってる時に見たかったなー。
行ったのは午後の早めの時間だったので…
この時期、イルミネーションが綺麗な所、いっぱいですね。
見て歩くの大好きなんですが、この冬は病人もいるしで、あんまり見れてないですー。



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