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hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

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氷の礫と熱い涙 1

キリ番踏んで頂いて早4ヶ月…
お待たせしました。
やっと…やっと、77777キリリク第2弾、始めます。
CPは類つくでとのリクを頂いてました。
拙宅の今迄のピュアな類とは一味違った、某お部屋のDNAを色濃く受け継ぐ類の登壇です。
書ききれるか不安ー!


__________


<つくし 大学1年、F3 大学2年の冬の事>

気に入らねぇ。
兎に角気に入らねぇ!
連日、目の前で繰り広げられる類と牧野のイチャイチャがムカつく!
ここは大学のラウンジだ!
てめーの部屋のソファじゃねえ!
俺やあきらだっているっつーのに、「世界は二人のために」なんて曲がバックに流れ出さんばかりに、2人で引っ付いて、ベタベタやってる。
合間合間に牧野の
「ねえ、擽ったい! 類、少し離れてよ…」
だとか、
「ちょっと、類、止めてってば! もー、怒るよ!」
なんつー、全く怒る気なんか無さげな甘えた声が聞こえてくる。
類に至っては声すら聞こえねえ。
牧野にしか聞こえない小声で、牧野の耳元に口を寄せて話してる。
バッカじゃねえ、あいつらっ!


類のじわじわ攻撃が実を結び、晴れて付き合い出した2人。
牧野が司を追ってNYに行き。
類が牧野をNYに迎えに行って、2人で帰って来た牧野高2の冬。
あの時から、そんな予感はあったけど。
結局司は1日だけ帰国して、牧野と鍋をしてNYに戻って行った。
それも後から牧野から聞いた話で。
俺達は一目も会っていないから、司と牧野の間に何があったのか、どんな話をしたのか全く分からない。
ただ、全てが終わって俺達に報告してくれた時、牧野はさばさばした顔をしていた。
NYから帰って来た時の牧野の話ぶりで、司を思って別れを選ぼうとしていると感じてた。
だから、話を聞いた時、「そっか。」と言って、頭をぐしゃぐしゃと撫でてやる以外、俺が牧野にしてやれる事は無かった。
勤労処女は失った恋の事なんて振り返る暇も無く、バイト漬けの日々。
俺やあきらも心配してはいたけれど、ろくに顔をあわせるタイミングすら無かった。
そんな時でも類は、牧野をずっと見守り、声を掛け、手を差し伸べ、時にぽきんと折れそうになる牧野を支えて。
司との別れから丸2年も経った頃、牧野は類の告白に頷いた。
2年だぜ?
1人の女落とすのに2年も待てる類には脱帽だ。
まぁ、あいつの気に入ったものへの執着心は凄いんだけど。
その間に俺は日本一のチャランポラン男の称号を手に入れ、あきらはマダムキラーの名を欲しいままにしたっつーのに。
イチャつく2人を見るのは何故か腹が立つ。

「おい、あきら。あれ、どーにかしろ!」

つい、隣にいたあきらに声を荒げた。
ふっと含み笑いをしたあきらが、ちらっと牧野と類を見遣りながら平然と話す。

「あんなの、俺にどうにか出来るわけないだろう。
自分で類に言えよ。」
「近寄りたくもねえから頼んでんだろ!」
「総二郎、それは人にもの頼む態度じゃねえぞ。
そもそも何をそんなに怒ってんだよ?
付き合い始めの3ヶ月なんて、誰だってベタベタしてるもんなんだよ。
3回寝たらサヨウナラなんてお前には縁がない事だけどな。」
「マダムとばっか遊んでるあきらにそんな事言われたかねえよっ!」
「あのなぁ、俺はお前と違って、1人と長く付き合うタイプな訳。
ただ、それが同時進行だったり、お相手の都合で急にお別れする事があるだけ。
最初の頃の近づいてく感じの楽しみだって知ってるんだよ。」
「何だよ、近づいてく感じって。
あいつら元々べったり2人の世界だったじゃねえか。」

あきらが俺を気の毒な…と言わんばかりの目で見てくる。

「どんなに心を許してる相手でも、友達と恋人の距離感は全く違うものなんだよ。
女友達のいないお前には分からないかも知れないけど。
その証拠に、付き合い始めてから牧野は毎日ああやって類の隣にいるだろ。
あいつの事だ、本気で嫌ならとっくに逃げ出してる。
結局、2人共好きでああやってる訳だ。
ほっといてやろうぜ。」

何であきらはこんなの見せつけられて、何も無かったかのように振る舞えるんだ?
いや、待てよ。
司と牧野が付き合ってた時は、俺もあきらと一緒に、ドタバタやってるあいつらを笑って見てたよなぁ。
何で類と牧野の組み合わせに変わるとこんなにイラつくんだ?

「あきら…
司と類、何が違うんだ?」
「司? どうして司が出て来るんだ?」
「司と牧野が付き合ってた時、こんなイライラした事なかったなと思ってな。
何の違いが原因だ?」

あきらが一瞬口を噤む。
そしてはああああと大きな溜息を吐いた。

「総二郎、自覚ないのか…
お前って、トコトンまで自分の見たくないものには蓋して無視してやり過ごしてんだなぁ。
まあ、そんな捻くれた性格になるには十分な環境に置かれてるんだろうけど。」
「は? あきら、何言ってんだ?」
「だからな、司と類に大した差は無いんだよ。
司は元カレ、類は出来立てホヤホヤの今カレってやつだ。新旧の違いだけ。」
「じゃ、何が違うんだよ?」
「…お前の気持ち…だろ?」
「はぁっ?」

思わず眉をしかめた。
口から飛び出た声は妙に甲高くて大きい。

「お前が牧野にオンナを感じてるかどうか。
いや、もっとはっきり言ってやろうか?
牧野に惚れてるかどうかの違いだろ。」

俺が牧野に惚れてる?
あの鈍感牧野に?
勤労処女だぜ?
全然オンナなんか感じた事ねえだろ。
あの凹凸の少なそうなボディ。
眉と口紅だけのテキトーな化粧。
髪の毛なんか、お金払うの勿体無いとか言って、類にカッターで切らせてるビンボー人だ。
ちゃらんぽらんな事してる俺のこと、「エロ門、寄るな! 妊娠するっ!」と睨み付けてくるあの女に俺が惚れてる?

「イヤイヤイヤイヤ、あり得ねえっ!」

ぶんぶんと首を振る。
あきらに植え付けられた変な考えを振り飛ばしたくて。

「別に俺は総二郎が認めようが認めまいが、どうでもいいよ。
そんなのお前の問題だから。
後は自分で考えろよ。」

あきらは俺を置き去りにして、ラウンジから出て行こうと歩き出した。

「おいおい、あきら!
変な事言い逃げすんな!
誤解したまま行くな!」

此方に背中を見せたまま、手を振ってあきらは去っていく。
ぼけっとそれを見送ってた俺に、類から冷たい視線が突き刺さる。
睨み返してやると、

「総二郎、ウルサイよ。
牧野の声が聞こえない…」

なんてほざきやがる。

「そんなにベタベタくっ付いといて、声が聞こえないなんてことあるかっ!」

牧野がさっと顔を赤らめて、類との間に距離を取ろうとするけど、類はぴたりとへばり付いて離れない。

「ふう… 牧野、どっか静かなとこ行こ。
ここ、気持ちが休まらない…」
「え…? でももう少ししたらあたし授業行かなきゃ。」
「ん…、じゃ、俺もその授業受けよ。」
「類、全然関係ない講義だよ?」
「教養を積みつつ牧野と一緒にいられるなら、一石二鳥でしょ?」
「自分の授業は?」
「ない。」
「ない訳ないと思うんだけど…」

ごにょごにょ言いながらバカップルも消えていった。
俺に一言の挨拶も無く!

ぽつんと取り残されたような俺。
頭の中はパニックだ。

俺が牧野に惚れてる?
類とイチャイチャしてんのがムカつくのはそのせいだって?

訳が分からん!


__________


類つくなのに語りが総二郎!(爆)
この1話目、類とつくしが殆ど出て来ないし!
いや、でもきっとこれでキリリクオーダー通りなんだと思います。
自分の抽斗に無いものを書かせて頂くのでドキドキです。
うん、あんまり類とつくしのラブラブを書くお話にはならないんじゃないかな?と言うことはお伝えしておきますね(笑)


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氷の礫と熱い涙 2

小さくて、ふわふわと柔らかくて、温かくて。
元気いっぱいだけど華奢な身体で、庇護欲を掻き立てられる。
黒く濡れた瞳は無邪気にこっちを見つめていて。
牧野って子犬みたいだなって思う。
大人しく俺の腕の中に収まっていてくれずに、すぐにどこかに飛び出そうとしちゃうのも。
美味しい食べ物には滅法弱いとこも。
一度眠りについたらぐっすり朝まで寝ちゃう無防備さも。
ホントに子犬みたい。

だけどとうとう俺は捕まえたんだ、その子犬を。
いや、俺だけの牧野を。
事あるごとに好きだって言ってきたけど、その度に「類… あたし…」と言葉を濁されてた。
でもそれでいいって思ってた。
俺は牧野が1人じゃないって伝えたかったんだから。
牧野が笑っててくれたらそれで幸せだった。
だから側にいた。
でも心のどこかでは、いつか俺の気持ちが牧野に届いたらいいのにって願ってたんだと思う。
だからある日、俺の方を向いて柔らかく笑った牧野に、ついぽろりと何度目になるか分からない告白をした時、幸せで目が眩みそうになった。

「牧野、好きだよ。いつもそうやって笑ってて。」

いつもなら、しょぼくれた犬みたいに眉根を寄せて困った顔をする牧野が、真っ直ぐ俺を見て微笑んでた。

「類、ありがと。あたしも類の事が好き。」

と言って、ふわっと優しい唇を合わせるだけのキスをしてくれた。
今迄幸せだって思ってたものの何十倍も、いや、何百倍、何千倍もの幸せが俺の胸に押し寄せたんだ。
その時から俺達は恋人同士になった。
もう絶対に離さない。
いつも手を繋いで、見つめ合って、想いを伝えて。
誰よりも幸せな2人になるって俺は決めたんだ。

いつも一緒に過ごしていた大学のF3&牧野専用ラウンジのソファ。
今迄は隣に座ってはいても、こんなにくっついていたことは無い。
でも恋人になったんだから、もう遠慮しない。
ぴたっと身を寄せて、あいつらには絶対邪魔する隙を与えない!
照れ屋の牧野が恥ずかしがって離れて座ろうとするけど、俺はそんなの許さないんだ。
あきらと総二郎に見せつけなくちゃダメなんだから。
他愛のない会話でも、態と擽ったがりの牧野の耳元で、こそこそ話して。
照れて赤くなったり、首をすくめたり、困りながらも甘えたような視線で俺を見つめたり。
今迄誰にも見せてなかった、女の子らしい牧野の仕草を引き出してく。
どうしてここでこんなことしてるかって言うと…
あきらも総二郎も、本当は牧野が好きだから!
F4全員が牧野の事好きって、ホント嫌になる。
俺の牧野なのに!
でも牧野って、俺達にはないものが詰まってるから、惹かれずにはいられないんだってのも良く分かる。
司は別れたって牧野の事忘れられないで、牧野の様子を知ろうと、時間も考えずに電話掛けてくるし。
まあ、俺は夜中の電話は、牧野以外は出ない事にしてるからいいけど、あきらや総二郎は宵っ張りなせいもあって、結構しつこく攻撃を受けてるらしい。
あきらも総二郎も、大学に入ってからはますます女遊びに磨きをかけ、牧野には気のない振りをしてるけど、意識してるのはバレバレだ。
特に総二郎。
「鉄パンの勤労処女!」なんて、いつも牧野をからかって。
牧野に「エロ門っ!」と呼ばれてニマニマしてる。
あんなの、牧野の気を引きたいが為にやってる、小学生のスカート捲りと変わらない。
そんなこんなで、付き合い始めてからずっと俺は態とあきらと総二郎の前で、牧野とくっついてるってワケ。

今日はとうとう総二郎のイライラが頂点に達したらしい。
こっちを見て、あきらに何か言い募り、当初は相手をしていたあきらにも邪険にされた挙句、大声で騒いでる。
あーあー、やだな、短気な男って。
あんまり五月蝿いから、牧野には気付かれないように、ギロリと抗議の視線を向けると、今度はこっちをターゲットにしてきた。
大きな声出すと牧野がびっくりするだろ。
総二郎も司ほどじゃないけど、頭に血が上るのが早いよね。
短気は損気って言葉、知らないのかな。
牧野が講義に出るというから、こんな総二郎なんかほっぽっといて、それに付いて行く事にした。
そう、悪い虫は其処彼処にいるからね。
牧野は自覚が全然無いから、今迄も俺がこっそり排除してきたけど。
これからは俺の彼女だってキャンパス中に知らしめた上で、鉄壁の守りを張り巡らせていくつもり。
実は女のSPも、こっそり2人付けてるんだ。
牧野に教えたら絶対怒るから、内緒だけどね。

やっと人前でも恋人繋ぎしてくれるようになったのが嬉しくて、最近はいつも手を繋いで歩いてる。
まあ、牧野はよく照れて赤くなってるけど。
その握った手をくいくいっと引っ張った牧野が上目遣いで話し掛けてきたから、思わず目を細めた。

「ねえ、類。自分の講義に出なよ。
終わったら待ち合わせすればいいでしょ?」
「だって、講義終わったら、あんたはバイトに行っちゃうでしょ。
今しか一緒にいるタイミングないじゃん。」
「いつもバイト先まで送っていってくれるじゃない。
その時一緒にいられるもん。
あたしのせいで類が講義サボるの、イヤなの。」

別に牧野のせいじゃ無くても、俺は元々テキトーにしか講義出たりしてないんだけど…

「金曜の午後は講義無いんだ、ホントに。
週末はなるべくスケジュール空けるようにしてあるから。
だから、一般教養学び直したっていいでしょ?」
「ホントに…?」
「恋人にウソ吐いてどうするの。
だから静かに隣に座ってるから気にしないで。
牧野が真面目に勉強するとこ、見ててあげる。」
「そんなの見られたら気になるでしょうが…」

ピンクのぷるんとした唇を尖らせながら、やんわり抗議する、俺の恋人はすっごく可愛い。
くすっと笑って見つめたら、頰を染めてそっぽを向いた。
それでも手は振り解かないでいてくれる。
今迄ずっと隣で牧野を見てきたけれど、恋人だと思うと、胸の高鳴り方が違うんだな。
ほんのちょっとした仕草さえ可愛く見えて、胸がときめいてく。
俺の眠っていた恋心。
一度目覚めたらどんどん加速する。
どうしよう、牧野。
俺、あんたの事、毎日どんどん好きになってる。


__________



うぷぷぷぷ。
独占欲の塊の腹黒王子…?
いやー、読むのと書くのは大違い…
難しすぎるよぅ。
またまたボツ原稿出来ちゃいましたっ!
管理人が書くと、全部ピュア類になっちゃうんだもの…
次回拙宅初登場の人物現る…かな?


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氷の礫と熱い涙 3

「類! 静が帰って来るってホントか?」

美作さんがラウンジに入って来るなり、あたしの隣にぺたぁっと寄り添ってる類に言葉を投げ掛けた。

気怠げに美作さんの方に視線だけを向けて、ボソボソと話す、その態度はどーなのよ?
類ってば、最近人とのコミュニケーション能力が更にダウンしてる感じ。
そのせいか、西門さんには八つ当たりされるし。
美作さんには変にやらしい顔でニヤニヤ見られるし。
まるで私のせいみたいじゃないの!

「うん、そうみたいだね。
それにしてもなんであきらが口火を切っちゃうのかなぁ。
俺、その事牧野に話すのは2人きりの時にゆっくりって思ってたのに…」
「ふーん、そりゃお邪魔様。
で、いつ帰って来るんだって?」
「来週位じゃないの? よく知らない…」

不機嫌な顔をしたワガママ王子は、面倒臭さを身体いっぱいで表す為か、長ーいソファにごろりと寝転んだ。
当然のように私の太腿に頭なんか載っけちゃってる。

もー、美作さんの前でこういうのやめて欲しい!
でも無下に頭を落っことせない…
あたしも大概弱いよね。

「パーティーあるんだろ?
まあそのうちに俺達にも声掛かるんだろうけど。
静、勘当解かれたのか?」
「あそこの親父さんが、静を手放せる訳ないでしょ。
親父さんの方が折れて、好きな事しててもいいから、偶には帰って来て欲しいって、静に泣きついたらしいよ。
で、自社のCMにでも静を使って、イメージ回復ってとこじゃない?」
「ふうん。それにしても久しぶりだなー、静に会うの。
いつから会ってなかったんだっけ…」

美作さんは独りごちながら、一人掛けのソファの方に座ってる。

そうなんだ。静さん、帰って来るんだ…
あたしの憧れの人。
そして… 類の好きだった人。
あんな素敵な女性、あたしは他に知らない。
完璧な美貌とスタイル。
知性に溢れ、深く優しい心の持ち主。
大金持ちのお嬢様なのに、そんな立場を捨てて、自分の夢の為にフランスへと移り住んで、勉強に励んでる。
静さんになれる訳はないけれど、ほんの少しでも近付きたいと思って、あたしは大学での勉強に懸命に取り組んでるところがある。
って、勉強以外はどう頑張っても真似出来ないもんね。
類が静さんに対する気持ちは、恋や愛じゃなくて憧れだったと言ってたけれど、小さな頃から一緒に沢山の時間を過ごして、静さんだけを見つめていたら、誰だって静さんを好きになると思う。
静さんはあたしと類が今付き合ってるって知ってるんだろうか?
あたしみたいな雑草… 類の隣にいるの、間違ってるんだろうか?

「牧野。」

いつの間にか類はあたしの膝から身体を起こして、隣に座り直してた。
また耳元に唇を寄せてくる。
そうやって喋られると、くすぐったくて、首がきゅっと縮んじゃうんですけど!

「な、何?」
「何も心配しないで。
俺には牧野だけだから。」
「へ?」
「俺は牧野しか好きにならない。
何があってもね。」

類の甘い囁きは、背筋をぞくぞくさせて、あたしはそれをやり過ごす為にぎゅっと目を瞑る。

「くすっ。真っ赤で可愛いね、ぷくぷくほっぺ。
林檎みたいだよ、牧野。」

今度はくすくす笑いがあたしの耳を刺激する。
類の指先はつんつんとあたしの頬っぺたをつついてる。
慣れない!
この距離感、全く慣れることが出来ない!
それに、不意に聞かされる愛の言葉も!

「ちょっと、類! あたしで遊ばないでよ!」
「遊んでないよ。スキンシップでしょ、恋人同士の。」

美作さんが、半ば呆れ気味にこっちを見てるのに気付いて、もっと顔が熱くなった。

「お前ら、よくやるなぁ。
しっかし、牧野がこんな類の言いなりになるとは思わなかったよ。
司と一緒にいた時は、しょっちゅう恥ずかしがって逃げ惑ってたのに。
牧野も恋する乙女になったって事なのかなぁ。
オニーサンとしては、感慨深いような、寂しいような…」
「あきら… 変な目で牧野を見ないで。」
「何だよ、変な目って。
お前らが俺の前でイチャついてるから目につくんだろ。
見られるの嫌なら、他所でやれ、他所で。」
「ん、そうする。行くよ、牧野。」
「え? どこ行くの、類?
あたし、この後バイトが…」
「ちゃんと時間迄には送って行くから。」

手を繋がれて、ラウンジから引っ張り出された。
何故だか類はご機嫌で「今日のミッション、完了。」なんて呟いてる。
何よ、ミッションって?
類があたしを連れて来たのは、キャンパス内にあるギャラリーだった。
美術学部の優秀作品が展示してあるみたいだけど、人気は無くてしーんと静かだ。
中にあるベンチに並んで腰掛けた。

「ここ、いつ来てもガラガラなんだ。
時々息抜きに来る。」
「しょっちゅう息抜きしてるように見えるけど?」
「ふふふ、まあね。
ちゃんと必要な勉強はしてるから心配要らない。
それより、牧野。静の事なんだけど…」

そう言われてどきりとした。

「うん、静さん、帰って来るんだね。」
「そう。フランスの大学の冬休みに合わせて少しだけね。
親孝行の為だよ。
今、静の親父さんの所と花沢で進めている合同プロジェクトがあって。
その広告塔に静を担ぎあげたいんだよ、親父さんは。
静がまた表舞台に出て来れば、インパクトも大きいし、話題にもなる。
開発途上国の子供への支援に一部の収益を回すからって口説き落とされたんだってさ。
とか言って、俺は静の親父さんは、ただ単に勘当を撤回するんじゃカッコつかないから、言い訳が欲しかったんだと思うんだけど。」
「へぇー、静さんは優しいから、そんなお父さんの気持ちも分かった上で帰って来るんだね。」
「まあ、そうなんだけど。
それで… 俺は気が進まないんだけど…
親父から命令が下っちゃったんだ。
静の帰国祝いパーティーがある。
その席で、合同プロジェクトの広告塔に静が起用されるのも発表される。
そのパーティーの日、静のエスコート役を俺が務めて、藤堂と花沢の二枚看板だと世間にアピールする為の客寄せパンダになれというのが、親父からの命令。」

類が静さんのパートナー。
たった一夜の事だとしても、それがメディアを通して世間に流れたら…
あたしと類はどうなるの?


__________


なかなかラブコメにならん…
やっぱりコメディ向いてないっす!


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氷の礫と熱い涙 4

何で俺がこの女のパートナーなワケ?

隣ですまし顔で立っている桜子をこっそり見下ろした。
整った顔、綺麗なプロポーション、良く似合ったドレス。
だけどこいつの腹ん中はなにが渦巻いている事やら。
涼しい顔して毒を吐く。

「先輩と私とを取り換えたいとでもお考えですか、西門さん?」

そらきた。
こいつのこういう人の気持ちを逆なでするとこ、ホント頭にくるんだよな。

「ふん、別に。牧野は類以外なら誰の隣にいたってどうせ心ここにあらずだろ。
そんなぽーっとしたやつ、あきらに任せとくのが一番だろうよ。」
「先輩はどうしてもこういう場は慣れてらっしゃらないから、優しいエスコートをされる美作さんが適任ですわよね。
最愛の恋人はああやってスポットライトを浴びている真っ最中な訳ですし。」

静の帰国祝いとの名目で開かれたこのパーティー。
実際のところは藤堂と花沢が合同で行っている、発展途上国でのインフラ整備事業の受注成功を大々的にアピールする為のものだ。
円借款も絡むこの事業を受注できたことは、藤堂と花沢にとっては大きなステップアップに違いない。
そしてそこに絡めて、その発展途上国に小学校を建てるという慈善事業を行い、会社のイメージアップを目論んでるとくれば、大量に入り込んでるマスコミの多さにも納得がいく。
壇上では様々な挨拶やらセレモニーが執り行われ、艶やかな笑みを浮かべた静と、いつもながら何を考えているんだか分からない程無表情になってる類が、カップルのように寄り添って立っている。

類は自分の事を客寄せパンダだなんて言ってやがったが、それならそうと、多少の愛想を振りまけよ。

シャンパンを煽りながら、壇上を睨みつけ、そんな事を思う。
いつの間にか離れてしまっていたあきらと牧野が、こちらに戻ってきた。
慣れないヒールが歩き辛いのか、はたまた心細いのか、しっかりとあきらの肘に縋ってる牧野。

何だよ、あんなに毎日類とイチャイチャしてた癖に。
今日はあきらにべったりか?

胸の中がもやもやする。
つい牧野をいじめたくなって、聞こえよがしに桜子に話し掛けた。

「まあ、それにしてもあの2人のツーショット、久々に見るけど絵になるよなぁ。」
「…美男美女ですからね。」
「類がもうちょっと表情崩せば、それこそ理想のカップルって感じなのにな。
お似合いの2人だと思わねえ?」
「西門さん、少しお声が大きいですわ。
先輩がまた気にされますから。」

態と聞こえるように言ってんだ!
連日あんなの見せられて、俺のイライラは相当なもんだ。

あきらに言われた。
俺は牧野に惚れてるって。
そんな訳ねえ、馬鹿言ってんじゃねえ!って思ったけど…
どうやらあきらの読み通り、俺は牧野が好きらしい。
このイライラや胸のムカつきが嫉妬なんだと。
気付けなかったのも無理はない。
生まれて此の方、嫉妬なんて感情とは無縁に生きてきた。
人の物が欲しい、手に入らなくて焦がれる…
そんな思い、した事なかった。
何だって手を伸ばせば届いたんだから。
特に女。
この外見とステータスさえあれば、俺の中身なんて関係無く、吸い寄せられてくる蝶には事欠かなかった。
蝶が俺の周りを飛んでいる時間は短くて、あっという間に目の前から消えて行くけど、また新しい蝶がひらひらと現れるから、俺はその日の気分で好みの蝶が舞い踊るのを見ていれば良かった。
あっさりと手の内に飛び込んでくるものに、執着は湧かない。
手放す時にも、何の痛みもない。
でも牧野は…他のどの女とも違ってる。
俺のものだった事なんか一度もない。
そもそも女だと意識してなかった。
俺の気を引こうともしない。
俺の前で女らしく振る舞ったりもしない。
それどころか、俺の所業を毛嫌いしていて、人の顔見りゃ「寄るな、エロ門!」だとか、「西門さんの側にいると妊娠しちゃう!」なんて叫んでる。
そんな女に俺が惚れてるだなんて。
俺は一体どうしちまったんだ?

目の前であきらと桜子と談笑する牧野を見つめた。
桜子の見立てた淡いグリーンのシフォンのドレスがふわりと牧野を包んでる。
デコルテからは華奢な鎖骨が見えていて、そこには類から贈られたという、ベビーパールのネックレスが揺れて。
いつも梳き流してるだけで、大した手入れもして無さそうな黒髪も、綺麗に結い上げられて、細い首を強調してる。

馬子にも衣装ってか?
それなりの格好させると、それなりに可愛く見えてくるもんだな。
もしこれが俺の女なら…
指で鎖骨をそっとなぞって、頤を捕まえて、ぷるんと潤ってるあの唇を…
って、俺、今、何考えてた?

小さく頭を左右に振って、妙な考えを振り払おうとした。
心なしか、心拍数が上がってる気がする。

どんな美人が裸でベッドに横たわってたって、平常心でいられるこの俺が?
牧野の事考えるだけで、心臓がバタつく?
はあーーーっ!
何なんだよっ!
あいつは人のモン!
類の女だってのに!

一通りの壇上でのセレモニーが終わって、歓談の時間となった。
静と類はステージから降りても、挨拶巡りに忙しそうだ。
俺とあきらも、こんな場にいれば、誰とも会わない訳にもいかず、様々な人と挨拶を交わす。
桜子も三条家という看板があるから、顔も広い。
そんな中、牧野は引きつった愛想笑いを浮かべて、あきらの斜め後ろに突っ立ってる。

おいおい、あきら、もうちょっと牧野に気をつけてやれよ!

そう思った時、こっちを睨みつけてる冷たい視線に気付いた。
類だ。
するりと人混みを泳ぎ抜いて、俺達の所に辿り着いた類は、牧野の耳元に何かを囁き、顔を真っ赤にさせて、あきらに何か言い残して、また静の元に戻って行った。

「類、何だって?」
「部屋とってあるから、そっちでアフターパーティーをって。
類と静は後から来るってよ。」

そう言ってあきらが見せているのはカードキー。
そういう事なら、別にこの場に留まって、どうでもいい奴からの挨拶なんて受けてなくてもいいだろう。

「じゃあ、そっちに移動するか?」
「そうだな。4人で一度に消えると目立つから、俺と牧野が先に抜けるよ。
部屋番号は3701な。」

あきらが俺に耳打ちしてから、牧野に優しく笑いかけた。
ほっとしたような表情を浮かべ、あきらの言うことに小さく頷いてる牧野。
人の波が切れたタイミングで、2人はそっと会場を後にする。

「西門さん、先輩のこと、見つめ過ぎですから。
また花沢さんから手痛いしっぺ返し喰らいますよ。」
「お前なぁ… こんな場でそういう事言うか、普通?」
「それを言うなら、こういう場で、パートナーじゃなくて、ご友人の恋人ばかり見つめてらっしゃるのは、マナー違反ではありませんの?」

隣の見た目は完璧ながら、腹の中は真っ黒な女は、本当に嫌な事を言ってくる。

「お前、絶対、嫁の貰い手ないな。」
「ご心配なく。こんな私でも是非にと言って下さる殿方をゆっくり探しますので。
案外、世の中にはマニアックな方って隠れてらっしゃるんですよ。
F4の皆様が先輩に魅了されるように。」

あぁ、やっぱこいつは悪魔だな。


__________


昨晩見事に寝落ちしまして…
スマホ握り締めて、気付いたら明け方でした。


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氷の礫と熱い涙 5

はぁ… もううんざりだ…
仕事の為とはいえ、こうして静の隣に立って、然も藤堂と花沢は円満な間柄であるというようなそぶりを見せること。
馬鹿馬鹿しいけど、これが今夜の俺の役目。
全く、静はよくこんな事笑顔でやってるよ。
親父さんが歩み寄って来た事、嬉しかったのかもしれないけど、その為にこれはやり過ぎなんじゃないの?
時々小声で、「類、souris!」(笑って!)なんて言うけど、俺は全く笑えない。
この場から逃げ出さず役を全うし、あからさまに溜息吐かないだけで精一杯だ。
ごっそり集められたマスコミのカメラが、俺達の一挙手一投足を余すところなく写そうと追い掛けてくる。
これが明日のテレビニュースで流れ、新聞や雑誌に載って、勝手な憶測までくっ付けられて、広まっていく。

静と俺。
今迄も、静が日本にいた時には何度もパートナーとして公の場に出ていた。
その時は俺も、静の隣に立つのは自分しかいないと思い込んでいたから気にならなかったけど。
今の俺が手を取りたいのは、静じゃなくて牧野で。
心の中に棲んでいるのも牧野唯1人。
それなのに、まるで静が俺のプライヴェートでもパートナーであるかのように報道されることは予想がつく。
絶対に牧野を傷つけないようにしないと。
静もそれは心得ていて、俺達は単なる幼馴染で、恋人でもましてや婚約者などでもないとはっきり公言してる。

この話をした時、牧野は弱々しく笑ってた。
「お仕事だもん、頑張ってね。」なんて言葉も付けて。
本当ならこういう華々しい場で、牧野と連れ立って歩きたいのに。
俺の選んだドレスを着せて、それを纏った姿を一番最初に見るのは勿論俺。
俺が牧野の為にと用意したアクセサリーを、俺の手でつけてあげる。
そんなのが理想なのに、今日は…
俺は静を迎えに行かなきゃならないから、牧野を花沢の家で支度させてやることが出来なかった。
それならとあきらと総二郎が「「俺に任せろ!」」なんて言い出したから、それを封じ込める為に、三条に牧野の事を頼んだんだ。
すると牧野のいつもの勿体ない精神が出て、三条の膨大なワードローブの中からドレスを1着借りることに。
せめてアクセサリーと靴だけは俺の選んだものを…とそのドレスに合いそうなものをプレゼントした。
華奢なネックラインを可憐に飾るのは、牧野のイメージにぴったりな薄いピンクのベビーパールのネックレス。
ヒールの高い靴に慣れていない牧野には、もっと可愛らしいデザインのものにしたかったけど、ドレスコードがあるから7cmヒールのフォーマルシューズを選んだ。
それを支えてやるのが俺じゃないってのがムカツク。
あきらと総二郎…
どっちに牧野のエスコートを頼むのがまだマシか…?と考えた時、一応「お兄ちゃま」の仮面を被っているあきらの方が、害が少ないだろうと判断し、牧野のパートナーはあきら。
場に不慣れな牧野のサポートをするための三条のパートナーを総二郎にした。
牧野の幸せを殊更大事に考えている三条の事だ。
総二郎のチクチクイライラ攻撃も封じてくれることを期待しての選択。

壇上からの景色は、人、人、人の波だ。
そして眩しいスポットライトと、無遠慮に瞬くフラッシュで、目は眩んで碌に見えやしない。
全てのセレモニーをぼんやりした思考の中で熟して、やっとステージを降りても、また人に囲まれる。
でも眩しさから解放された俺の目は、牧野を探してた。
いや、実際は牧野は小さくて人の波に隠れているから、あきらと総二郎の顔を探してたんだけど。
遠くに見つけた幼馴染は、対照的な表情を浮かべてる。
蕩けそうに甘い微笑を浮かべたあきらと、頗る悪い目付きで渋い顔した総二郎。
牧野の顔が見えなくたって現状が推測できる。

俺の牧野なんだ!
2人ともそんな顔して見ないでよ!

思いっきりそっちの方を睨んでいると、総二郎が俺の視線に気付いた。
気付いたくせに、不機嫌そうにふいっと目を逸らすからイラっとする。
挨拶巡りをしながら、じわじわとそっちの方に近付いて、ちょっと静が昔馴染みと旧交を温めている隙に、4人がいる方へと人波を掻い潜って歩いて行った。
やっとあきらの陰に牧野を見つける。
俺を認めた途端に、ふわっと表情を緩めるから、思わずこの場で抱きしめたくなった。

ああ、流石、口煩い三条のコーディネートだ。ヘアメイクもバッチリ。
柔らかく巻かれた黒髪は軽やかに顔を彩り、白い肌を活かしたナチュラルメイクは派手過ぎないのにポイントを押さえてて、牧野の良さを引き立ててる。
するりとあきらと牧野の間に入り込んで、そっと腰を抱いて身体を寄せた。
耳に唇を近付け、気持ちを伝えてく。

「牧野、すっごく可愛い。
誰にも見せたくない位。
いや、食べちゃいたい位かな。
あとで2人っきりになったらもっとよく見せて?」
「もうっ!あたしは桜子のお蔭で化けてるだけだよ…
類は物語の中の王子様みたい。」

そんな言葉に、蟀谷にキスをひとつ。

「もう、余計な虫がつかないうちに隠しておかなきゃ。
あきら達と部屋に行ってて…
こっちが片付いたら静と駆け付けるから。」

恥ずかしそうに頬をピンクに染めた牧野がこっくり頷いてる。
あきらに用意した部屋のカードーキーを渡し、後から行く旨を伝えて、また馬鹿馬鹿しい役目に戻った。
でも今見た牧野の可愛らしい佇まいを思い出すにつけ、ついつい口元が緩んでしまう。
それを静にからかわれた。

「類ったら…
さっきまであんな顔してたのに、一瞬でこの変わりよう。
牧野さんって本当に素敵な力を持ってるのよね。」

煩いよ、静まで…
恋は盲目って言うだろ?
本当に恋しい相手と巡り会えたら、俺だってこうなってしまう。
だって、俺の心をこんなに揺らすのは牧野だけなんだ。
静とパリで暮らした時だって、俺は淡々と生活してた。
それを知ってる静にすると、こんな俺が珍しいんだろうけど。
牧野といるようになってから、俺は血の通った人間らしい男に生まれ変わったんだ。
牧野は俺に命を吹き込む女神。
やっと俺は生きてる喜びを知ったんだ。

一刻も早くでれっとしたあきらから牧野を取り戻したい!
総二郎のあの嫉妬まみれの視線を遮断したい!
その為にはこの任務をさっさと終わらせないと。

「静、挨拶は簡単に短く、ね。」
「ふふふ、分かってるわよ。」

待ってて牧野! 今行くから!


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類さんがおバカになってる…(笑)

昨日は忙しくて更新飛びました。スミマセン。
明日もねー、忙しいんだよ…
天気予報は雪だし…


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