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hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

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2人で見る月<Whiteday 2015> 後編

俺の腕の中でカチンコチンに固まってる牧野。
んーーー、なんかもうちょっと、自然に抱き合えないもんか…?
これじゃまるで俺が嫌がってる牧野に纏わりついてるだけみてえじゃん?

「牧野…」
「な、なにっ?」

そんな裏返った声出すな。
俺ってホント信用ねえのな。
ま、自業自得なんだけど…
嫌がるオンナ、どうこうしようなんて思ってねえよ。
そもそも俺の腕の中で、そんなに緊張して、ビクビクしてるオンナは、お前が初めてだし…

「もちっと力抜こうぜ。
なんか俺、牧野の形した岩でも抱き締めてるみてえ。」
「だ、だ、だ、だって、緊張しちゃってっ!
どうしたらいいのか分かんないんだもん。」
「お前さぁ、俺がお前の気持ち無視して、何かスルと思ってんの?」
「ひえっ? スルとか言わないでよっ!
あ、たし… 今まで西門さんがお付き合いしてきた女の人達と違って、そういうの免疫ないって言うか…」

へー、へー、重々承知ですよ。
だから大事にしてるだろ!
1ヶ月だ! 1ヶ月、キスとハグだけで堪えてんだぞ!
この西門総二郎がだぞ!
お前、これ、物凄いことだって分かってんのか?
今だって俺の忍耐、総動員させてんだ。
それもこれも全部、お前の事好きだからなんだぜ!

「お付き合いしてきた女なんていねえよ。
ちゃんと向き合った女はお前だけ。
好きだって告白したのだって、お前だけ。
俺の恋人って呼べる存在は、お前が初めて。
お前だけがトクベツなんだ。
そろそろ俺の本気に気付いてくれてもいいんじゃねえ?」

そう告げて、牧野の髪にキスを落とす。

「じゃ、じゃ、じゃあ、あの男のロマンとか言って、周りに侍らせてた女の人達って一体何だったのよっ?」
「んーーー、あれは、若気の至りというか、暇つぶしと言うか。
お前が俺に振り向いてくれない憂さ晴らしみたいなもんだったワケ。
でも俺は今はつくしちゃん一筋で、他の女なんか目に入んない。」

きゅっと腕に力を込めて身体を引き寄せて。
俺の気持ちが伝わるようにって思うのに、こいつはつれない。

「あんなにあたしのことバカにしてたくせに!
勤労処女!とか、鉄パン牧野!とか、貧弱ボディとか、色気ねえ!とか散々言って来たじゃないの。」
「お前… 好きな女の気を引きたくて、そういう事言っちゃう男心解れよ!
それに全部事実だろうが。
でも1番目と2番目は、牧野次第でいつでも卒業できるって知ってた?」

1番目と2番目を卒業したら、3番目と4番目も徐々に改善されたりしてな。
そんな事をちらりと思い、ついつい笑みを浮かべつつ、牧野を見下ろす。
自分のセリフを頭の中で反芻したんだろうか?
一瞬静かな時が流れた…と思ったら、今度は腕の中でジタバタし始めた。

「あたしの気持ち無視して何かしたりしないんでしょっ?!」

しねえよ。
っていうか、出来ねえんだよ。
お前の事、大事過ぎて、絶対に傷つけたくなくて、手が出せない。
それがホントのとこ。

「牧野がしたいって思うまでしない。
お前の気持ちが一番大切だって思ってるから。」

その言葉で、ジタバタが止んだ。
牧野の身体から徐々に力が抜けていく。
次第に俺の身体に寄り添ってくる、その熱と重みが嬉しい。

「ありがと… そんな風に言ってくれて。」

牧野の頭がこてん…と俺の胸にぶつかった。

「西門さんってさ、ホントは優しい人なのに、それを隠してるよね。
特にお邸にいる時。
自分のお家にいるのに、いつもどこか緊張してて、リラックス出来てなくてさ。
ホントの自分でいられないでしょ。」
「あそこは俺の職場でもあんの。
使ってる人間も大勢いるし、次期家元って立場もあるんだ。
それなりの顔してないとダメなの。」
「そうかなあ。若宗匠だって、お茶のお師匠様でいる前に1人の人間でしょ。
色んな顔出してもいいと思うけど?」
「誰もそんな事望んでねえし。」
「…あたし、思うんだけど、西門さんがもうちょっと、自分の気持ちを人に伝えるようになったらね、相手の人からも色んな気持ちが溢れてるっていうのが分かると思うの。
西門さんは気付いて無くても、西門さんの周りには、色んな思いが集まってて、それってとっても幸せな事だから。
ちゃんと目を開いて見て欲しいなあ。」

牧野は訳が分からない事を言う。

「つくしちゃんが俺の事好きだったのに気付いてやれなかったって言ってんの?」
「そ、それは… あたしだって必死に隠してたし…
そうじゃなくて!
普段、西門さんが触れ合ってる人達からも、西門さんはいっぱい愛されてるよ!ってこと!
お母さんも、お邸で働いてらっしゃる方達も、沢山のお弟子さんも。
皆、次期家元だから、西門さんのいう事聞いてくれてるんじゃなくって、西門さんの事、大切に思ってくれてて、大好きだから、支えてくれてるって、知って欲しいの。」

牧野と一緒にいる様になって変わり始めた、お袋の様子や、邸の中の空気を思い起こす。

あれって俺が牧野のお蔭で人間らしくあれるようになったから、周囲の目が変わって来たって事なのか?
てっきり、長年の片思いを実らせたバカな跡取り息子のことを面白おかしく見ているのかと思ってた。
だからこっ恥ずかしいと思ってたし、擽ったく感じてもいたんだが…
牧野を想うことによって生まれる新しい変化。
開けられる新しい扉。
こいつっていとも簡単にそういうことをやってのけるから驚きだ。

「それって全部、お前のお蔭だな。」
「え?」
「お袋や邸の人間に俺が認められるようになったっての、全部お前のお蔭。
お前に相応しい男になりたくて。
良い師匠になりたくて。
そう思ったら、真剣に茶と向き合えるようになったんだ。
それに気付いてる人間がいるって事だろう?」
「あたしは関係ないと思うけど…
お邸にいるとね、皆さんが西門さんの事大好きなのが伝わって来るんだよ。
西門さんは気付かないふりして通り過ぎてるみたいに見えたからさ。
ちゃんと知って欲しいなって思ってたんだ。」

柔らかく微笑みながら、俺を見上げる牧野がいる。
俺は途轍もない宝物を手に入れちまった。
こいつ1人側にいるだけで、俺の世界は色を変えていく。

「有り難う、牧野。」

顔を近づけていくと、牧野は逃げずにそっと瞼を閉じた。
ゆっくり長く優しいキスを交わす。
幸せがじわりじわりと沁み出して、心を満たしてく。

2人顔を見合わせて笑い合って。
その幸せを噛みしめる。
牧野がふいに声を上げた。

「あ、やっとお月様、出てきた。」

振り返ると、牧野の部屋の小さな窓の向こうには、上り始めた下弦の月。

「この前、西門さんが寝込んだ時も、あんな半分のお月様だった。」
「ああ、それって、俺達が一緒にいる様になって1カ月経ったってことだ。」
「そっか。丁度一月だね。」

これからは2人でずっと同じ景色を眺めてく。
月の満ち欠けも、季節の移ろいも。

「もうちょっとだけ待っててね、あたしの気持ちが固まるまで。」

俺の胸に凭れ掛かってる牧野からのドッキリ発言。
思わず心臓が跳ねた。

「待つよ。待つけどさ。せめてあとどのくらいとか、目安を教えてもらえると、俺も助かるんだけど…」

そう、この忍耐力ギリギリの状態がいつまでか、聞いとかないと持たなくなる。

「…あの月が満ちたら。そしたらあたし…」

その後の言葉は、俺の胸の中にぐっと抱き込んだせいで掻き消えた。
だってこんな顔見られる訳にはいかないんだ。
俺、きっと今、お前と同じように赤くなってる。
そんなとこ、お前に見られたら、恥ずかしくってやってらんねえだろ!


__________


お待たせしましたー。やっと後半UPです。
初心いつくしに、手を出せない総二郎…というのを書いてみたくて。
いつでもエロ門じゃねえ(笑)
こんな総二郎も可愛いかなー?と思ったり。

パスワードの件では沢山ご心配お掛けしちゃったみたいで。
コメントも拍手コメントも有り難うございます。
全部読ませて頂いてます。
はい、あの、管理人、大丈夫ですんで!
皆様のお声を胸に、また頑張りますー!
花粉症はメッチャ辛いけど…
今日も咳止まらん。目カユカユ。鼻が滝。頭ガーン。
ついつい、花粉症の辛さを思いっきり詰め込んだ替え歌を考えている自分がいます。
(メロディはTけうちMりやの「Kんかをやめて」でしっとりと歌い上げています。←人は具合が悪くなるとバカになるいい例)

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2人で見る月-Extra-

眠るのが勿体なくて、寝れやしねえ。

カーテンを開け放った窓から入り込む柔らかな月明かりで、部屋の中はぼんやりと浮かび上がっている。
その薄暗い部屋の中で、ずっと牧野の寝顔を見ている。
すうすうと穏やかな寝息が耳に届くとほっとする。
余りにも愛おしくて、触れずにはいられない。
起こさないようにそっとそっと指を滑らせる。
額にかかった髪を流して、顔がよく見えるようにした。
輪郭を確かめるように、ゆっくり触れて。
牧野に触れている指から、心臓までぴりぴりと微弱な電流が流れ込んで、心を震わせる。

「…あの月が満ちたら。そしたらあたし…」

3週間前、そう言った牧野。
その言葉は嬉しかったけれど、本当にあと3週間で俺は牧野の全てを手に入れることが出来るのか…?と、どこか半信半疑でもあった。
毎晩つい見上げてしまっていた夜空。
次第に欠けて、そしてまた満ちていく月を眺めながら、胸を高鳴らせつつも、不安で臆病な俺もいて。
落ち着かない気持ちで過ごした日々。

先週会えた時に、「来週、どこか出掛けるか?」と尋ねたら、恥ずかしそうに頬を染めながら、「ううん、ウチでご飯作るよ。」と答えた牧野。
初めて2人で越える夜なら、思い出深くなるようにどこかのスイートでも取ろうかと思っていたけれど。
そういうのは逆に牧野を追い詰めるのかもしれないと思い直して止めた。
そんなとこに連れてったら、イヤでも牧野は逃げれなくなるだろう。
牧野の部屋で会うのならば、一緒にメシ食って。
そこで牧野がギブアップって言ったら、俺は退散すりゃいい訳だし。
そんな事を考えながら、頭のどこかでは「俺ってどんだけ牧野が大事なんだよ!」と呆れているもう一人の自分もいた。

仕事を終えて駆け付けた牧野の部屋は、玄関に踏み込んだ時から、美味そうな食事の匂いと、暖かな空気に包まれていて。
出迎えてくれた牧野は、「お帰りなさい、お仕事お疲れ様!」って優しく笑った。
ここは俺んちじゃないけど、俺が帰る所は牧野のところなんだから…
そう思ったら素直に「只今。」って言葉が口から滑り出る。
思わず柔く抱き締めて、その存在を確かめた。
頭一つ分違う俺達の身長。
頤の下にすっぽりと嵌ってる牧野の頭の天辺にキスを落とす。
ぱっと顔を上げて、「ご飯出来てるよ!」って言う牧野に微笑みを返す。
俺も「つくしちゃんの喜びそうなモン、買ってきた。」と小さな白い箱が入った紙袋を渡すと、牧野が嬉しそうにぱあっと顔を輝かせた。
そんななんて事ないやり取りまで、俺の胸を暖かくする。

2人で向かい合って食事して。
寄り添い合って食後のコーヒーを飲んで。
牧野に触れてる左腕がちょっとずつ熱を持ってくるのを自覚しつつ、どうしたらいいのか分からないでいたら、牧野がふいに立ちあがった。
このまま逃げられるのか?と一瞬思ってしまった疑心暗鬼な俺。
でも牧野はそんな弱気な俺とは全然違ってた。
部屋の電気をぱちりと消し、カーテンをさっと開けた牧野。
窓の外には満月となった白い月が浮かんでいる。

「西門さん、お月様。」

その声に導かれて、牧野の後ろに立った。
同じように外を眺めて、月明かりを浴びる。

「ああ、満月だな、今夜は。」
「うん。真ん丸お月様。」

この言葉の意味、分かってて言ってるんだよな…?

「あたしね、毎晩、この窓からお月様見てたよ。」
「…俺も。気が付くと空見上げてた。」
「いっぱい待たせちゃったよね…」

牧野が俺の胸に身体を預けてきた。
急に息苦しくなって、牧野を抱き締める腕にも力が入りそうになる。

ダメだ。怖がらせないように、そっとそっと触れないと…

そう思った時、牧野が俺の腕の中でくるりと回って、俺を見上げた。

「ありがと、あたしの気持ち、大事にしてくれて。」

俺の腕を掴んで、背伸びして、目を閉じた牧野の唇が俺の顔に近付いてくる。
その仕草に、我を忘れた。
さっきまでの決意はどこかに吹き飛び、きつく抱き締め、唇を重ね合せる。
理性を掻き集め、やっとの思いで唇を解放すると、牧野は俺の腕の中でくたりとしながら肩で息をした。

「いいのか? 今を逃したら、俺、もう止まらねえぞ。」
「…いいよ。お月様が段々丸くなってくのと一緒に、あたしの気持ちも、ちゃんと準備できたもん。」

そこから先はもう無我夢中だった。
兎に角、牧野を怖がらせないように、出来るだけ痛みが少ないように…
そんな事を考えながらも、口から零れてくる小さな声に煽られて。
しがみ付いてくる手の熱さに、自分ももっと熱くなり。
初めての花を散らす罪悪感と喜びとに心は痺れて。
己の欲望で牧野を満たしながら、自分の心は歓喜で満たされる。
零れる涙を唇で掬い取り、「ごめん…」と耳元で呟くと、「ううん、嬉しいの。」と吐息混じりに返され、天にも昇る気持ちになる。

そうか… 想い合う人と身体を重ねるって、こういうことか。

初めて知る幸せを胸いっぱいに感じながら、牧野を抱いた。

きっと疲れたんだろう。
もしかして、良く寝れていなかったのかもしれない。
全てが終わって気も抜けたことで、牧野はすうっと寝てしまったけれど。
俺はとても眠れない。
俺の横に、一糸纏わぬ牧野がいる。
全てを俺に委ねてくれた。
そんな牧野が愛おしくて仕方ない。

ひやりとした頬を撫でて。
俺のせいで涙を流した眦をなぞって。
今の穏やかな表情を目を細めて見つめる。
さっき組み敷いた時の表情が思い起こされ、腹の底がずくんと疼く。

ったく、反則なんだよ、あんな顔。

潤んだ目で、必死に痛みを堪えつつ、一瞬ふわりと笑った。
「嬉しい。」と呟いた声が耳に残ってる。
寝返りを打った牧野が、俺の方を向いた。
首の下に腕を潜り込ませると、すりすりと頬を寄せてきた。
その頭の重みを感じることさえ心地よくて、思わず笑いを漏らす。

朝までこうしていよう。
牧野に触れて、顔を見つめて。
そうして大切な夜を全部全部覚えておこう。

___________


続きを!とのお声がいっぱいかかったので書いてみましたが。
皆様の望むような展開にはなりませんで(苦笑)
うん、でもさ、この初心いつくしとつくしを想うあまり臆病な総二郎にはこのぐらいがお似合いかな?と思ったのよ。
たまには宜しいんではないでしょうか?(笑)
これはホントは4月4日の夜のお話。
でも時間が開いちゃうので今夜UPとなりました。
悪いヤツはそのうちガツンと別口で登場してもらうことにいたしますー。

疎ら更新で申し訳ないです。
色々大変であります。

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