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hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

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夢なら覚めないで 前編

もう春なのに。
桜もすっかり散っちゃって、色んな花がカラフルに咲いていて、木の枝は萌黄色の新芽がぐんぐん伸び出してる春なのに。
暖かいダウンや厚手のコートなんかもうしまっちゃって、手元にはペラペラのスプリングコートしかないっていうのに!
今日の寒さは一体何なのよ?
寒の戻りって言われたって、身も心も急過ぎる変化についてけない。
頼りなさ気な薄くて軽いナイロン生地を、無駄だと知りつつぎゅうっと身体に巻き付けて、寒風吹き荒ぶバス停に立ってた。
こんな日に限ってバスは時刻表通りにはやって来ない。
じりじりしながら、腕時計とバスが走って来る筈の道路を見比べること3回。
いや、間にもう一度時刻表も確認した。
それでもバスはまだ来ない。

そんな時、突然背中からふわんと温かなものに包まれた。
それが何なのか考える間もなく、耳元に甘い囁きが流れ込んで来る。

「牧野…」

ただ単に苗字を呼ばれただけなのに、この人の声で耳に届くと、途端に身体がふわふわと浮き上がるような感覚に襲われる。
聞き取った耳がどこか擽ったくて。
その擽ったさが漣のように耳から首筋、肩、腕を通して指先まで、そして背中にもじわんと広がって、あたしはそっと息を吐き出した。

「西門さん…?」

そんな声の持ち主の名前を呼んでみる。
あたしを緩く抱き締めてる腕を指先でなぞりつつ。
疑問形で聞いてはいるけど、あたしがその声の主を間違える訳ない。
世界中で一番好きな声。
ちょっと低くて、深みのある、それでいて通りのいいその声が聴こえるだけで、あたしは幸せになっちゃうんだから。
もっとその声が聴きたい。
さっきあたしを呼んでくれた声を頭の中でリフレインさせながら、そう思った。

携帯電話がぴぴぴと鳴って、はっとした。
目を開けて飛び込んで来た景色は、見慣れたあたしの部屋。
深呼吸を繰り返すと、とくとく鳴ってた心臓が、段々ゆっくりと落ち着きを取り戻してく。

なあんだ、夢か。

寒かったのは寝相が悪くて布団から転がり出たかららしい。
そしてふんわり包んでくれたのは、優しい温かな腕なんかじゃなくて、あたしのお気に入りの毛布だった。
それをぎゅっと握り締めてた指を解く。

もっと夢見てたかったな…
目覚まし、掛けなきゃ良かった。

夢でもいいから会いたいなんて、まるで恋する乙女みたいな事を思っちゃってる自分が女々しい気がして。
それを振り払うようにえいっ!と気合を入れて身体を起こした。
今日も1日が始まる。
いつもと変わらない1日。
西門さんがここにいない1日。

西門さんは京都だ。
宗家所縁の禅寺での修行中。
そろそろそれも1年になる。
お家元はまだまだお若いしお元気だけれども、もしかしたら東京に帰ってきた暁には、西門さんの身には大きな動きがあるのかも知れない。
襲名とか… 婚約とか…?
一般庶民のあたしにはとても理解できない世界だけど。
兎も角、あの煩悩の塊みたいな人が、世間から隔絶された山奥のお寺で、真面目にお坊さんをやってるのを想像すると自然に笑いが込み上げてくる。

美味しいお酒もご飯も封印されて、夜遊びも出来ず、テレビも観れない、携帯電話も使えないところで暮らしてる西門さんって、どんな事になっちゃってるんだろ?
頭も一休さんよろしく丸めてたりして?
僧衣に身を包んだりしてるのかな?
でも、きっと本気になったら何でもやり遂げちゃうんだよね…

ちゃらんぽらんを装ってはいたけれど、本当は次期家元として茶の道に真摯に力を注いでいたのを知ってる。
自分の立ち位置に甘んじる事なく、常に弛まぬ努力を続け、その姿勢は流派の人達にも認められていた。

お寺でもお茶、点ててるのかなぁ?

茶室での西門さんの流れる様な美しい所作を思い浮かべながら、そんな事を思う。
折に触れ短い手紙を出していた。
自分が出掛けた先で撮った風景写真を添えて。
この1年の間に何通出したかは忘れたけど、返事は一度も届かなかった。

忙しいんだと思う。
あたしになんか返事を書く暇すら無いのかも知れない。
それでも手紙を出し続けたのは、読んでくれてたらいいな…と願ったから。
厳しい修行の合間に、ほんのひと時でもあたしの手紙を読んで、和んで欲しいと思ったから。

案外、封も切らずにそこら辺にうっちゃってたりして…
有り得る。
あのオトコなら有り得そうでヤダ!

家を出る時と、帰って来た時、1日2回郵便受けをチェックするのは、この1年の間に習慣になってしまった。
今朝もぱくりと開けた金属製の箱の中には、夜中にポスティングされたらしいチラシが数枚入ってた。
それを確認して扉を閉じる。
待ち焦がれているものは届かない。
来ないと分かっていても毎日見てしまう。
ふう…と小さな溜息が自分の口から漏れた。


__________


本日、拙宅開設1周年を迎えました!
わー! パチパチパチ*\(^o^)/*
偏にいつも遊びに来て下さってる皆様のお陰です。
そして、記念すべきこの日に60万HIT達成となります。
本当に有り難うございます!
これからもぼちぼち頑張りますので、応援、どうぞよろしくお願い致します!

1周年記念SS、色々なネタが浮かんでしまって。
書いてたら長くなり過ぎました!
ので、途中でぶった切りました。
今日中に後編のUPが目標です!
書けますように…


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夢なら覚めないで 後編

「朝っぱらから溜息なんか吐いちゃって。
ったく、牧野は辛気臭えな。」

唐突に背中の方から聞こえてくる、笑いを堪えた様な声。
あたしの身体は金縛りにあったみたいに動かない。
声すら出て来ない。
立ち尽くしてるあたしの後ろに、人の気配が近づいて来て。
そして今朝見た夢の様に、柔く腕が巻き付いてきた。

「只今、牧野。」

どっくどっくと心臓が早鐘を打っているのが聞こえる。
息が苦しい。
何とか唾を飲み込んで、声を出した。

「…え、これ、夢…?」
「ふっ。夢じゃねえよ。
つくしちゃんは起きてる時でも夢見ちゃうのか?
お前、それ、ヤバいぜ。
夢は寝て見ろ。」

この物言い。
1年もの間何の音沙汰もなく、それでもあたしの胸の中に棲みついていた厄介な男に違いない。
分かっていても問わずにいられなかった。

「西門さん…?」
「うん?」
「ホントにホントの西門さん…?」
「こんないい男、この世に2人といねえだろ?」

余りにも俺様な台詞に、首を思いっきり捻って、ニヤつく顔を睨み付けた。

あれ?
斜め上にある頭、短髪ではあるけど、予想してたツルツル坊主じゃない。
でもこの人を食ったような笑い顔は、紛れもなく西門総二郎、その人だ。

「なあ、お帰りなさいって言ってくんねえの?」
「…いつ帰って来たのよ?」
「昨日の夕方。」
「ふうん…」
「オイオイ、ふうん…じゃねえよ!
1年頑張って来た俺に言う事あるだろ?」

その整った綺麗な顔がニタニタして崩れてる様が気に入らない。
そんな人を小馬鹿にしたような表情を浮かべてるのに、見れて嬉しいって思っちゃう自分にイラっとする。
だから思いっきり憎らしい表情を作りながら、小首を傾げた。

「んーーー、お務めご苦労様でした?」
「…それ、刑務所から出所した奴に言う台詞じゃね?
そうじゃなくて。
会いたかったよとか、寂しかったとか。
何かあるだろ?」
「なっ! 何であたしが西門さんにそんな事言わなきゃなんないのよっ?」

自分の心を見透かされたようで、慌てたら声が裏返った。

「35。」
「へ?」
「この1年の間にお前が俺に出したラブレターの数。
35通あんの。
俺、通し番号打ってるから間違いない。
あんだけラブレター書いてくれるんだから、俺に会いたかっただろうなって思ってな。」
「ラブレターじゃないっ!」

そんな、気持ちが伝わっちゃうような言葉、書いた事ないし。
ただ単に、綺麗な風景や、季節の花や、通りすがりの猫の写真に、ほんの少し自分の近況を書き添えてただけだもん。

「そうなのか?
嬉しかったんだけどな、俺は。
つくしちゃんからの愛のこもった手紙の数々。」
「…愛なんかこもってないし。
それに、嬉しかったって仰る割に、一度も返事貰ったこと無いんですけど?」
「今日まとめて持って来た。
35通分の返事。ほら。」

そう言われて、何処にあるんだろ?と視線を彷徨わせた。
見たところ、それらしきものは無いんだけど…?と思った時、頤先をくいっと掬われる。
上向き加減になったあたしの顔に、西門さんの整った顔がすうっと近づいてきて、拒否する間もなく唇が塞がれた。
柔らかくそっと重ねられる熱い唇。
そこからじんじん痺れてきて。
コントロールが利かなくなって。
自然と自分の口がキスを受け入れちゃってる。
ちょっと離れてはちゅっと音を立ててまたキスが降ってくる。
何度も何度も角度を変えて落とされるキスにクラクラして。
西門さんの服に縋りつく。
温かくて大きな掌で頬っぺたが包まれて。
指先で優しく涙を拭われて、初めて自分が泣いていたことに気が付いた。

「そんなに恋しかった、俺の事?」

目を開けてみると、今迄に見た事無い程優しく微笑む西門さんがあたしを覗き込んでる。

「俺はお前の事ばっかり考えてた。
手紙の返事なんか書こうものなら、その想いがだだ漏れしそうで、書けない位。
煩悩だらけで悟りなんか開けねえっつーの。」
「…そんなんで修行になったの?」
「ほら、そこは俺一流の演技で何とかな。」

ぱちりと色気たっぷりにウインクなんかしてくるこのオトコ。
とても禅寺帰りとは思えない。

「詐欺師っ!」
「いいんだよ、お前への気持ちは本物なんだから。
それ以外に大事な事なんてねえんだよ。
1年離れてそれに気付けたんだから、あの日々も無駄じゃなかったってことだな。」

どうしちゃったの、この人。
まるであたしのこと、好きみたいじゃない。

「ふふふっ。つくしちゃんは1年経っても何にも変わってないねー。
そのでかい声の独り言も。
じゃ、そろそろ行くぞ!」
「ふえっ? ど、どこ行くのっ?」
「お前、朝っぱらから自分の部屋の前でずっとラブシーン繰り広げたいのか?」
「そ、そんなのっ!」

あたしがやってんじゃないでしょ!
あんたが勝手に繰り広げたんでしょ!

ぐいぐい腕を引っ張られ、近くに停められていた黒塗りの高級車に押し込まれる。

「ちょっ! あたし会社行かなきゃ!」
「あー、お前、今日休みな。
あきらに許可はとっといた。」
「何勝手な事してくれてんのよっ!
あたし皆勤賞狙ってるんだから下ろしてよっ!」
「だーめ。今日のつくしちゃんは俺とデート。」
「1人で決めないでよ! あたし会社…」

そこまで言ったところで、長い腕に絡め取られて。
ぎゅうっと抱き込まれる。
顔が西門さんの胸に当たって、鼻腔は懐かしい香りに包まれた。
思わず目を瞑って、その香りを胸に吸い込んだ。

「好きな女に1年振りに会ったんだから。
話したいことも沢山あるんだよ。
だから、今日1日俺にくれ。」
「好きな女…?」
「そ。俺はお前が好きで、お前は俺が好き。
相思相愛ってやつだよな!」

1年ぶりに突然現れて、無体な事いっぱいしてくれちゃって、その挙句にこの発言。
この人頭おかしくなってるんじゃない???

そう思いつつも、この温かな腕を解けない。
だってあたし、待ってたんだもん。
この腕に抱き締められる瞬間を。
この人の唇があたしの名前を呼ぶのを。
そう、それを夢に見る程に。

「只今、牧野。」

西門さんがもう一度言う。
今度はあたしも素直に返そう。

「お帰りなさい。
ずっと… ずっと待ってたよ。」


-fin-

__________


本日、拙宅開設1周年と言うことで。
何とか23日中に書き切れました!
ヨカッタ、ヨカッタ。

1周年記念SSはどうしようかなー?と考えた時、次々ネタが浮かんでしまって。
半年記念は総二郎語りだったから、今回はつくし語りにしよう!とか。
1年をキーワードにしよう!とか。
恋の和歌をヒントに…とか。
それをみんな詰め込んだらこんな話になっちゃいました(*-∀-*)ゞエヘヘ

タイトルは
「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを」
から頂きました。
この和歌は小野小町が詠んだもので 「夢三連作」の一つ目として非常に有名なものですよね。
出典は古今集の恋二巻頭です。
「恋しい、会いたいと思いながら眠りについたから、あの人が夢に出てきたのかな…
夢だと知ってたら、目を覚まさなかったのに…」
というような意味かと思います。
いつの世も、恋する気持ちは同じなのねー。


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