会う度に牧野が不安定になっていく。
何かを抱えているというのは分かるが、この意地の塊みたいな女の本音を引き出すのは一筋縄ではいかない。
様子が気になって、折に触れて会ってはいた。
でも食べ物で釣っても、酒を飲ませても、決して口を割らない。
からかっても、優しく声を掛けても、全部撥ね付ける。
今夜も牧野の好きそうな乙女チックな店を予約して呼び出した。
声を掛ければやって来る。
でも自分の殻の中に閉じこもっているように見えた。
何とか言葉を引き出そうと、色々な話をしながら食事したが、どうにも俺が1人で空回りしているような感覚だ。
ちょっと突いたら「消えてなくなりたい。」と言って泣き出した。
お前、どうしちまったんだよ?
消えてなくなりたい程、何を悩んでいるんだ?
どうして俺に何も言わない?
お前は溌剌と笑ってるのが似合いだろ。
そんな萎れたお前なんか見てたくねえんだ。
泣いた後、黙りこくってしまった牧野を部屋まで送っていった。
何て言ってやったらいいのか分からず、思い付いたのはまるで心配性の親父のような台詞だけだった。
「とっとと風呂入って寝ろ。
しっかり寝たらまた気持ちも切り替わるから。
ああ、結構ワイン飲んだから、湯船は浸かるなよ。
シャワーにしとけ。
それからちゃんと水飲めよ。」
「…西門さん。」
「なんだ?」
俺を見つめる牧野の黒い瞳が揺れている。
また泣くのか?
何でそんな苦しそうな顔で俺を見るんだよ?
言えよ、言っちまえよ、牧野。
お前の抱えてるもの、俺にぶつけてみろよ。
「…お願い、もう少しだけ一緒にいて…」
縋る様な上目遣いで俺を見上げる。
その視線があまりにも切実だったから、つい息を呑んだ。
その空気を誤魔化そうと、いつも通りの軽口を叩く。
「なーんだ? つくしちゃん、やっと俺の魅力に気付いちゃった?
送り狼希望ならそう言えよ。
もう少しだなんて言わずに、朝まで一緒にいてやるよ。」
得意の軽薄な笑いを浮かべて、見下ろした。
いつもの牧野なら、「エロ門っ!」という言葉とパンチを繰り出してくるはずなのに、今夜は俺のシャツの裾を握って俯いてる。
こんな牧野、俺は知らない。
「おい、ホントにお前、どうしたんだよ?」
「……」
肩を掴んで顔を覗き込んでもまた黙りだ。
仕方なく、ポケットから携帯を取り出して、下に待たせている車に、邸に戻っているよう連絡を入れた。
「つくしちゃん、ほら、部屋に上げてくれよ。
2人でこんなとこ突っ立ってんの、馬鹿みたいじゃね?」
その言葉に促され、牧野が手を解いて、のろのろと靴を脱ぎ、暗い部屋に入っていく。
その背中を追い掛けた。
「牧野、灯りのスイッチ、どこだ?」
何度か来たことはあっても、さして詳しくない部屋の壁を見回して、照明をつけるためのスイッチを探す。
その答えが聞こえてくる前に、胸にどしんと衝撃を受けた。
「牧野?」
牧野の手が俺の襟首を掴む。
ぶつかる様に口に押し付けられる唇。
ありえない現実に思考が止まりかける。
「おい… 酔ってんのか?」
衿を握り締めてる手を解こうと指をかけると、余計に力を込めてくる。
その手は小刻みに震えていて。
牧野の熱い吐息を唇に感じた時、背筋にぞわりとした感覚が走った。
もう一度口付けられて、それを合図に牧野を掻き抱いた。
お前が胸に抱えてる何か。
それをぶっ壊すのに俺が必要なら手伝ってやるよ。
何も考えられない位に激しく。
俺の事しか分からなくなるように深く。
全てを焼き尽くすように熱く。
お前の事を抱いてやる。
牧野の髪に指を挿し込み、唇を貪った。
柔らかな唇と咥内を味わううちに、躰の奥底から欲望が溢れ出す。
指を滑らせ、牧野の服を1枚、また1枚と解いていたら、牧野が俺のシャツのボタンに手を掛けた。
肌蹴た胸に、牧野の唇が当てられる。
その熱さと吹きかかる吐息に煽られて、血が滾る気がした。
心臓がどくりどくりと音を鳴らす。
目を瞑れば、瞼の裏では眩い光が瞬く。
縺れ合うようにベッドに倒れ込んで。
しなやかな四肢が俺の身体に絡みつく。
柔らかでしっとりとした肌に指を這わせ、唇でも味わえば、牧野がそれに応えて震えるのが分かる。
暗闇で、何の言葉も交わさずに、唯々肌を重ね合せる。
耳に届くのは、牧野が喘ぐようにしている呼吸の音と、ぎしりぎしりと狭いベッドがきしむ音。
そこに必死に堪えているんであろう牧野の声を響かせようと、指を進める。
ほら、今だけでも忘れちまえよ。
お前を雁字搦めにしてるもの、全部脱ぎ捨てろ。
身も心も全て投げ出したら、俺が受け止めてやるから。
牧野の零す声と、悩ましげな動きに誘われ、どんどん衝動が募ってく。
俺の知らない牧野が次から次へと現れて、頭の中を混乱させた。
とうとう堪え切れずに自分の熱を牧野に穿てば、更に熱い牧野に捕らえられ、痺れるような感覚に支配される。
俺に翻弄されて蕩けていく牧野を、高く高く押し上げては突き落として。
何度きつく撓らせながら震える背中を感じたことだろう。
胸には今迄知らなかった想いが湧き起こる。
この夜から牧野は俺の中で特別な女になった。
__________
こんなんじゃダメって言わないで!
自分的にはパスなしで書けるのはこれくらいが精一杯…
ああ、それにしても今夜も俺様だねー(笑)
つくしの台詞は「…お願い、もう少しだけ一緒にいて…」となりましたが、皆様の予想はどうだったでしょうか?
一所懸命考えたんだよ、秘密会議までして!
いやー、書いてる途中で、PCフリーズして、大分消えましてね…
泣きそうになりました。
あー、新しいPC欲しいー!

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
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様子が気になって、折に触れて会ってはいた。
でも食べ物で釣っても、酒を飲ませても、決して口を割らない。
からかっても、優しく声を掛けても、全部撥ね付ける。
今夜も牧野の好きそうな乙女チックな店を予約して呼び出した。
声を掛ければやって来る。
でも自分の殻の中に閉じこもっているように見えた。
何とか言葉を引き出そうと、色々な話をしながら食事したが、どうにも俺が1人で空回りしているような感覚だ。
ちょっと突いたら「消えてなくなりたい。」と言って泣き出した。
お前、どうしちまったんだよ?
消えてなくなりたい程、何を悩んでいるんだ?
どうして俺に何も言わない?
お前は溌剌と笑ってるのが似合いだろ。
そんな萎れたお前なんか見てたくねえんだ。
泣いた後、黙りこくってしまった牧野を部屋まで送っていった。
何て言ってやったらいいのか分からず、思い付いたのはまるで心配性の親父のような台詞だけだった。
「とっとと風呂入って寝ろ。
しっかり寝たらまた気持ちも切り替わるから。
ああ、結構ワイン飲んだから、湯船は浸かるなよ。
シャワーにしとけ。
それからちゃんと水飲めよ。」
「…西門さん。」
「なんだ?」
俺を見つめる牧野の黒い瞳が揺れている。
また泣くのか?
何でそんな苦しそうな顔で俺を見るんだよ?
言えよ、言っちまえよ、牧野。
お前の抱えてるもの、俺にぶつけてみろよ。
「…お願い、もう少しだけ一緒にいて…」
縋る様な上目遣いで俺を見上げる。
その視線があまりにも切実だったから、つい息を呑んだ。
その空気を誤魔化そうと、いつも通りの軽口を叩く。
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こんな牧野、俺は知らない。
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その背中を追い掛けた。
「牧野、灯りのスイッチ、どこだ?」
何度か来たことはあっても、さして詳しくない部屋の壁を見回して、照明をつけるためのスイッチを探す。
その答えが聞こえてくる前に、胸にどしんと衝撃を受けた。
「牧野?」
牧野の手が俺の襟首を掴む。
ぶつかる様に口に押し付けられる唇。
ありえない現実に思考が止まりかける。
「おい… 酔ってんのか?」
衿を握り締めてる手を解こうと指をかけると、余計に力を込めてくる。
その手は小刻みに震えていて。
牧野の熱い吐息を唇に感じた時、背筋にぞわりとした感覚が走った。
もう一度口付けられて、それを合図に牧野を掻き抱いた。
お前が胸に抱えてる何か。
それをぶっ壊すのに俺が必要なら手伝ってやるよ。
何も考えられない位に激しく。
俺の事しか分からなくなるように深く。
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指を滑らせ、牧野の服を1枚、また1枚と解いていたら、牧野が俺のシャツのボタンに手を掛けた。
肌蹴た胸に、牧野の唇が当てられる。
その熱さと吹きかかる吐息に煽られて、血が滾る気がした。
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目を瞑れば、瞼の裏では眩い光が瞬く。
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暗闇で、何の言葉も交わさずに、唯々肌を重ね合せる。
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とうとう堪え切れずに自分の熱を牧野に穿てば、更に熱い牧野に捕らえられ、痺れるような感覚に支配される。
俺に翻弄されて蕩けていく牧野を、高く高く押し上げては突き落として。
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