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Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
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お兄様はいらない! 1

美作商事秘書部所属、専務付秘書。
それが今の牧野の肩書。
そしてもうひとつの肩書は・・・
俺、美作あきらの婚約者。

俺と類の牧野争奪戦の結果、牧野のハートを射止めたのは俺だった。
牧野の初恋の相手だった類は、牧野の中でとっくに恋心は昇華され、自分を最もよく理解してくれる親友・・・という存在になっていたらしい。
そして、もしかしてこいつも参戦してくるのでは?と疑いの眼で見ていた総二郎は、

「俺はつくしちゃんの事は、からかい甲斐のあるダチくらいにしか思ってないぜ!」

と、嘘かホントか分からないような言葉を口にして、争奪戦にはエントリーせず、俺と類の駆け引きをニヤニヤしながら見守っていた。
類のじわじわ攻撃&ビー玉の瞳ビーム光線と、俺の家族を巻き込んでのアットホーム大作戦のガチンコバトル。
牧野が俺の腕の中に落ちてきた時の嬉しさは半端なかった!
学生時代から美作家に出入りしていた牧野は、お袋の口説き文句にころっと落ちて、美作への就職を決めた。
そしてお茶の稽古で通っていた西門でも、いつの間にか総二郎のお袋さんと仲睦まじくなっていて・・・
西門家は男三人兄弟。
1人くらい女の子が欲しかった・・・と常々言っていた総二郎のお袋さんは、すっかり牧野の母親代わりのつもりらしく、

「つくしちゃんを西門でしっかり行儀見習いさせて、どこに出しても恥ずかしくない女性にしてみせます!」

などと意気込み、総二郎まで巻き込んで、大々的な牧野の花嫁修業を進めている。
俺もそれにはOKを出した訳なんだけれど。
今となっては、「ちょっと失敗したか?」と思わないでもない。
会社では毎日一緒の俺達。
でも職場な訳だから、ベタベタくっついている訳でもなく・・・
そういうのに煩い牧野の事。
きっちり線を引かれてしまっている。
アフターファイブや休日は俺と過ごすより、西門にいる時間の方が長い。
類と一緒にいられるよりマシ…と思っていたけど、類はしょっちゅう俺の執務室に顔を出して、何だかんだと牧野にちょっかいをかけている。
目障りな事、この上ない!
今日も会社の福利厚生の一環として行っている茶道部の指導で、総二郎が来社している。
牧野はその補佐で茶道部の稽古に行ってしまった。
俺はイライラを抑え込んで独りで残業と相成った。
茶道部での稽古を終えて、牧野と総二郎が談笑しながら俺の部屋に入ってくるのを認めて、またイライラが募る。
屈託のない笑顔を総二郎に向けつつ話し込んでる牧野と総二郎に、つい声を荒げてしまった。

「おいっ!」
「あ、美作さん、残業お疲れ様です。」
「よっ、あきら。」
「総二郎、お前どういうつもりだよ?
牧野は俺の秘書なんだ。
いてくれないと仕事が捗らないんだよ。」
「ああ、悪いな、
今日はいつも手伝いに連れてくる内弟子が、他に行っててな。
それで牧野に半東を頼んだんだよ。
別にちょっと位いいだろ?
毎日ここで一緒に過ごしてるんだから。
な、つくしちゃん?
専務と秘書の密室LOVE。
なーんかやらしくねえ?」

勧められてもいないのに勝手にソファにどかりと座り、にやりと笑って、牧野の方に流し目を送ってる総二郎。
そんな言葉にぷりぷり怒ってる牧野の膨れた頬が可愛くて、イライラしていた事をつい忘れ、くすっと笑ってしまった。

「西門さんって、ホントどうしようもない事考えてるよね・・・
ここは神聖なお仕事の場ですから!
変な想像で、あたしと美作さんの職場を汚さないでよ。
あ、美作さん、コーヒー新しくしましょうか?
ついでに西門さんも飲む?」

会社にいる間、俺には敬語で話す牧野。
だけど総二郎にはいつもの調子で話しかけてる。
それが何故か無性に嫌だ!

「ついでって何だよ、ついでって。
『お師匠様、お疲れ様でございます。』って言って、こっちが頼まずとも飛び切り美味しいコーヒー淹れてくるのが弟子ってもんだろ?」
「だってもうお稽古終わってるもん。
それにおば様が仰ってたよ。
『総二郎さんの事は兄と思って、遠慮なしにね。』って。
だからあたし、西門さんには遠慮しないの。」

兄? 総二郎が牧野の兄だって?
まあ、よくからかう時に「オニーサン」という単語を口にしてはいるけど。
それとこれとは違うよな?
総二郎が牧野の兄だとしたら、行く行くは俺の兄にもなってしまうじゃないか!
何だ、それ?
物凄く気持ち悪くないか?

「ふーん?
それならオニーサマの事だって妹は敬うもんだろ?
ほら、つくしちゃん、コーヒーどうした?」
「・・・今淹れてきます。」

ぱたんとドアが閉まって、総二郎と2人になる。

「あきら、まだ仕事あんのか?
それなら俺が牧野連れてくから。
お袋が、『是非つくしちゃんも一緒にお夕食を。』ってうるせえんだよ。」

いい加減にしろよ、総二郎。
心の広ーい俺にも、我慢の限界ってやつがあるんだ。

「牧野はこの後、俺と食事だ。
お袋さんには悪いけど、コーヒー飲んだら独りで帰ってくれ。」

ムカつく思いを言葉に滲ませたつもりなのに、総二郎は全くそれを無視してきた。

「牧野連れて帰れないなら、俺も邸には戻らなくていいな。
俺もお前らと一緒にメシ行くわ。」

おいおい、俺、誘ってないからな!
断ってるんだからな!
恋人たちの時間を邪魔してないで、何処かの女にでも電話して、夜の街へ繰り出せばいいだろ!

目の前のソファで、我が物顔で寛ぐ悪友を苦々しい顔で睨み付けた。


__________


はい、新連載スタートですー。
今迄のあきつくとは全然違うお話。
80000キリリクの第二弾です。
も、ホントいつのキリリク書いてんの?って話で、申し訳ないですが・・・
リク主様、本当にお待たせしました。
何とか頑張っていきたいと思います。
キーワードは『シスコン総二郎』で!
そんな総二郎、書いたことないから、これから頭を抱えるであろう自分の姿が目に浮かびます(苦笑)


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お兄様はいらない! 2

もうすぐ美作さんと結婚する。
こんな、何も持たない雑草のあたしを望んでくれた美作さんと、応援してくれた双子ちゃん、快く迎え入れて下さった美作さんのご両親には、本当に有り難いって思ってる。
あの温かい家族の一員になれるって、なんて幸せな事だろう・・・。
でも、この美作家という日本を代表する名家と貧乏庶民のウチとの結婚話が、すんなりと色んな方に認めてもらえたのは、F4の面々や滋さん、桜子からのバックアップと・・・
何より西門さんのお母様・家元夫人のお陰と言っても過言じゃないと思う。
西門さんに勧められるがままに、お茶のお稽古に通っているうちに、あたしはちょっとずつ家元夫人と顔見知りになった。
ただ一介の通い弟子ならば、顔を覚えて頂くことすら難しいんだろうけど、西門さんが一対一で直に稽古をつけてくれている珍しい例だし、「牧野はあきらの恋人だから。」とあたしの事を紹介したから、次にお邸でばったりお会いした時にも覚えていて下さっていて。
そうしてご挨拶だけしていたのが、段々立ち話になり。
立ち話が、いつの間にかお茶を飲みつつのお喋りになった。
お話ししてみると、西門さんのお母様は、美しく整ったお顔立ちや、西門さんの荒んだ生活態度から想像していた、『冷たくて、厳格な家元夫人』なんかじゃなくて、ころころとよく笑われる、朗らかで懐の広い、お優しい方だった。

「ねえ、つくしちゃん。
そんなに悩まないで。
貴女があきらさんに相応しくないと、非難する人がいるならば、相応しくなってしまえばいいのですよ。」

美作さんとお付き合いを始めた当初、道明寺との過去の経緯や、自分の出自なんかの所為で、口さがない人の声が気になってしまって。
美作家に迷惑なんじゃないかと、悩んでいた。
暗い顔してお稽古に臨んで、西門さんにも「集中しろ!」と怒られ、ますます凹んでお茶室を出て来たところで、家元夫人とばったりお会いした。
あたしの落ち込んだ様子を見てとったんだろう。
優しいお声を掛けて下さり、ゆっくりあたしの泣き言を聞いた上で、そんな事を仰ったんだ。

それ以降、西門さんを通じて、度々お邸に呼ばれるようになった。
初めはお茶のお稽古だったのが、段々普通のお食事だったり、家元夫人のお出掛けのお供だったりするようになり。
いつの間にかあたしは、「お家元夫人のお気に入りの牧野さん」という事になっていた。
家元夫人のお側にいると、学ばせて頂く事は沢山あって、自然と今迄知らなかったマナーやお作法を勉強していく事になる。
そして、お供して出掛けた先では、あたしを他人に紹介する際に、

「娘のように思って可愛がらせてもらっているお嬢さんですの。
もうすぐ次期家元のお友達との婚約を控えてらっしゃるのでね。
今は私の元で、花嫁修行の真っ最中なんですのよ。
ねえ、つくしちゃん?」

などど仰るもんだから、噂はどんどん広がっていく。
そうなると、あたしの悪口を言えば、西門流のお家元夫人の悪口を言っているとも解釈されてしまう・・・という事で、煩かった外野がどんどん静かになっていき、いつの間にかあたしと美作さんとの婚約が整う事になっていたのだった。

西門さんは

「あのお袋が、こんなにつくしちゃん贔屓になるなんてなぁ。
お前ってホントにセレブキラーなんだな。
男のみならずに、中年のオバサンにまで効果あるなんて、どんなパワーなんだよ?」

なんて言って笑ってたけど。
何だかんだ言いながらも、家元夫人と一緒に、あたしの事を学ばせたり、守ったりしてくれたみたいだ。

西門のお邸に出入りする回数が増えて、西門さんと話す機会も前より多くなった。
お邸にいる時は、猫を被ってる西門さん。
お茶室にいる時は遊び人は鳴りを潜め、真面目な次期家元をそれは見事に演じてる。
いや、本当は、こっちが本物で、遊び人が仮の姿なのかな?
でも、お稽古が終われば、最も簡単にいつもの軽薄な調子に戻って話し始める。
あまりにもギャップがあるから、どちらが本物なのか、よく分からなくなって来た。

今日は2人でお茶のお稽古を終えた後、水屋で片付けを手伝っていたら、急に「イテテ!」と西門さんが声をあげた。
「どうしたの?」と聞くと、「目に何か入ったみてえ。」と言いながら、蛇口を捻って水を出し、目をバシャバシャ洗ってる。

「ダメだ。まだ痛え・・・」
「あたし、鏡取って来ようか?」
「いや、それより牧野が見てくれた方が早くねえ?」
「え? だって西門さん、背が高くて、あたしからじゃ見えないもん。」
「俺が寝っ転がるから、覗き込むようにしたらいいだろ。」

そう言ってさっさと、お茶室の畳にごろりと横になってる。

えーーー?
お茶室でこんな姿晒していいの?
仮にも次期家元様だよ?

「つくしちゃん、早く見てくれよ。
痛えんだってば。」
「わ、分かったから・・・」

おずおずと顔の横に膝を進めると、図々しくも、あたしの膝の上に頭を載せてきた。

「何してんのよっ!?」
「ああ? お前から見やすいようにしてやってるだけだろ?
いいから、早くしてくれ。」

何であたしが西門さんを膝枕しないといけないのよー!
美作さんにだってした事ないのに!

恐る恐る顔を覗き込んで。
痛がってる左眼の瞼をそっと引っ張り上げたり、アカンベーの時みたく下げてみたりしたけれど。
特に何か入ってるようにも見えなくて。

「ねえ、ゴミとか睫毛とか入ってるように見えないんだけど・・・」
「でもマジ痛えんだわ。
もっと顔近づけて、よく見てくれよー。」

仕方ないから、もうちょっと良く見えるように・・・と顔を近づけてみたら、背後から

「総二郎、入るぞ。」

と聞き慣れた声がした。
ハッとして身体を起こすと、そこには美作さんの姿が!
あ、もしかして迎えに来てくれた?なんて胸をときめかせたのはほんの一時だけ。
だって、すっごく怖そうな顔してこっちを見てるんだもん。

「お前ら、何やってるんだ?」
「よお、あきら。
今ちょっとつくしちゃんに膝枕してもらって・・・」
「違うでしょ!
目にゴミ入ったって言うから見てあげてただけでしょうが!」
「・・・何でもいいから、牧野の膝から頭を下ろせ!」
「待ってくれよ、まだ目に何か入ったまんまなんだ。
つくしちゃん、さっさと見てくんねえ?」
「牧野、帰るぞ!」

どうしよ?と思っているうちに、あたしは美作さんの手にぐいっと引っ張られ、立たされてしまい、その所為で西門さんの頭はどしんと畳の上に落ちてしまった。

「いってー!
何すんだよ?」
「それはこっちの台詞だろ。
人の婚約者の膝の上に、気軽に頭載せたりするな!」
「あきらくーん、そんな事言っていいのかー?
俺は牧野の師匠で、オニーサマなんだぜ。」

後頭部を摩りつつ、身体を起こした西門さんと、美作さんの睨み合い。
っていうか、睨んでるのは美作さんだけで、西門さんは片目を瞑りつつもニヤついてる。

「関係ないだろ、そんなの。
牧野連れて帰るからな!」

ぐいぐい手を引かれて、お茶室を引っ張り出された。
磨き込まれた廊下を歩いてく美作さんの背中を見ながら、あたし、もしかしてピンチ?なんて思ってた。


__________


こんな2話目になりました~。

北国はですね、涼しいを通り越して寒いです。
あんまりの寒暖の差に、風邪をこじらせて、エライ目にあいました。
なかなか更新出来なくてすみませーん。
今日はお昼にあのお話の続きもありますからね!
お楽しみに!


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お兄様はいらない! 3

近頃、あきらをからかうのが面白くって仕方ない。
牧野と付き合うようになって、いや、本気で牧野に惚れた時から、あきらはがらっと変わった。
女は勿論牧野一筋。
あんなにこまめに人妻との逢瀬を重ねてたあきらがねぇ。
暇な夜には俺と街へ繰り出して飲んだり遊んだりしてたのに、それも一切しなくなった。
まあ、夜遊びするのは1人でも出来るから、その点は別に気にしちゃいないけど。
元から牧野って女はからかい甲斐のある奴で、俺は事あるごとにちょっかいを出して、過剰な反応を見ては笑わせてもらってた訳だけど、ここへ来てあきらまでもがそんな輩になっちまったもんだから、俺の楽しみは2倍になった。
牧野といると、変なところが似ちまうのか?
全く、牧野には変な影響力があるよな。
いつの間にかウチのお袋まで陥落させちまって、あの能面のような顔綻ばせて「つくしちゃん、つくしちゃん」と連呼してる有様だ。
挙句の果てにあきらと牧野の結婚が上手くいくように協力しろときたもんだ。

「つくしちゃんが美作さんのところにお嫁入りするのには、いくらあきらさんがつくしちゃんには苦労させまいと思っても色々障害があるでしょう?
それを少しでも減らして、幸せな花嫁さんにしてあげるのに、総二郎さんもちょっと手助けしてくださいな。」

まあ、司んちのお袋さんが牧野を毛嫌いしていたトラウマが牧野にもあるだろうし。
あきらんところは司んち程、政略結婚を求めちゃいないとは思うが、「美作商事」という会社を盤石にしたいがために、いいとこのお嬢を娶るのが簡単で手っ取り早い手段だ・・・という考えを持つ役員連中もいるにはいるんだろう。
すっかり牧野贔屓になったお袋は、花嫁修業と称して、牧野を色んな所に連れ出し始めた。
沢山人が集まるところに、自分の若かりし日に着ていた着物を着せ、俺の妹分だと言って見せて歩く。
そうすることで、「牧野つくしの後見には西門の家元夫人が付いている」との噂が広まって、上流社会での風当たりが弱まっていった。
お袋は俺にも牧野を妹扱いするように求めてきて、俺が亭主の茶事で態々牧野に半東をさせたり、土日にある会議やら研修会に同行しろと言う。
牧野には

「総二郎さんの秘書みたいなお仕事をね、ちょっと手伝ってやって欲しいのよ。
会社がお休みの時だけでいいから、お願いできないかしら?
美作商事の専務秘書さんには簡単なお仕事で、つまらないと思うんだけど・・・
つくしちゃんがやってくれると、とても助かるのよ。
ほら、総二郎さんに率直に物を言えるのはつくしちゃんだけでしょう?」

なんて言って丸め込んだ。
牧野は牧野で、

「そんな・・・、あたしなんかで良かったら、西門さんのお目付け役、しっかりやらせてもらいます!」

とか胸張って答えちゃってるし。
オイオイ、俺は牧野なんかいなくたって、ちゃーんと自分の仕事熟してるっつーの!
そもそも俺の補佐は内弟子がするから、牧野なんか必要ねえだろ。
まあ、俺が公私ともに目を掛けてるっていうのを人目に晒すのが目的なんだろうから、言いたい事はぐっと飲み込んで、牧野を色んな所に連れ回した。
人から聞かれた時には、「母が目を掛けている者で、私の妹分です。」との台詞をくっつけて。

牧野が妹・・・
最初は、「何だ? そのあり得ない設定は!」と思っていたものの、何度も繰り返し説明しているうちに、段々と自分の中にも刷り込まれていくようで。
ちょこまかと俺の周りを動き回る、この元気いっぱいの女に、今迄とは違った気持ちが湧いてきた。
俺相手に丁丁発止のやり取りをしてる牧野と向かい合ってると、妹がいたらこんな感じだったのかな・・・?とか。
家を出ていった兄貴や、弟の修三郎よりも、牧野との方が距離が近い気がするな・・・なんて思ったりする。
手のかかるじゃじゃ馬な妹分。
それが今の俺にとっての牧野のポジションなのかもしれない。

今日もまたお袋に言われて、車で牧野を迎えに行かされた。
牧野はお袋の「華道展見物」とやらに付き合わされるらしい。
何で俺が? 家の車、回しゃあいいじゃねえか?とも思うけど。
渋々ながらも迎えに行って、また車の中で軽くじゃれ合って。
年甲斐もなくぷっくり膨らました頬や、文句を言いたげな尖がった唇を横目でチラチラ見ながら、ひとり愉快になっていた。

デパートのギャラリーで行われる華道展。
それこそ、上流階級の奥方様の集う場所・・・
つまり、噂好きのオバサン達の中に、素知らぬ顔して突っ込んでいくって事だ。
お袋はいいだろうけど、牧野がなあ・・・
どうしたって好奇の目に晒される。
嫌な気分にならなきゃいいけど。

邸に戻り、牧野をお袋に託して自室で気儘に過ごしていたら、内弟子が「奥様がお呼びです。」と言いに来る。
今度は何だ? 華道展会場まで送れって言うんじゃないだろうな?なんて思いながら、母屋の廊下に続く引き戸を開けたら、すぐ目の前に夏物の小紋を着せられた牧野の姿があった。
淡い桜色の地に観世水をあしらったその小紋は、牧野を女性らしく上品に見せていて、黒い帯は大人っぽさを演出してる。

「ふーん、つくしちゃん、なかなか似合ってるじゃん、その小紋。
いつもより女っぽく見えるぜ。」

パチリとウインクを送りながらそう言ってやると、褒めてやってるっつーのに、ぷいと顔を逸らした牧野。

「どうせ馬子にも衣装ですよ。
おば様のお着物なんだから、中身がどんなであれ、素晴らしく見えるのが当たり前だもん。」
「ふん、僻み根性出してんじゃねえよ。
似合うって褒めてんだから、素直に受け取っとけっつーの!」

近寄って、額をつんとついてやれば、「何すんのよっ!」と顔を紅くしながら睨み付けてくる。

「お、いいのか? そんなふくれっ面して。
あきらに写メっちまうぞ。」
「もーーー! やめてよねっ!」

いつもながらのやり取りをしていたら、そこにお袋がやって来た。

「ああ、総二郎さん、お願いがあるのよ。
つくしちゃんとお庭で写真を撮ってから出掛けたいのよ。
良く似合ってるでしょ、あのお着物。
ずっと箪笥の肥やしになっていたから、着てもらえて嬉しくって・・・」

そう言って、淡く頬を染めているお袋。
まるで知らない女の顔を見ている気分だ。
写真だあ?
それこそ、そこらにいる内弟子か使用人に撮らせりゃいいものを、何で俺を呼び付けるんだよ?
それでも「はい、総二郎さん、お願いね!」などと言われて、カメラを渡されれば、撮る以外なくなり。
庭の蓮の池の前に行き、2人を池の向こう側に立たせてシャッターを切る。
そのうちひとつ悪戯を思い付き、お袋に「俺の携帯でも1枚撮ってくれよ。」とポジションチェンジを願い出た。
眩しい夏の日差しの中、牧野の隣に立った。

「西門さん、近いよ。もうちょっと離れて立って!」
「別にこんぐらい普通だろ?
小さい事気にすんなって。」

そんな事を呟き合いつつ、とびっきりの笑顔で写真に納まる。

「総二郎さんはつくしちゃんといるといいお顔をするのよね。」なんて呟くお袋の言葉はまるっと無視して、「暑いんだから、早く車に乗って出掛けたら?」と、2人を華道展に送り出した。

自室に戻って、さっき撮られた写真を見る。
綺麗に着物を着こなした牧野と、満面の笑みを浮かべる俺の2ショット。
さてさて。あきらに送ってやるとしますか。

「つくしちゃんの着物、よく似合ってんだろ。
あきらも見に来たら?
直接目にしたら、惚れ直すんじゃねえの?」

これで、息せき切って俺んちに駆け込んでくるあきらが今日も見られるって訳。
俺って悪いよなあ。
でも楽しくって止めらんないな、これ。


__________


はー、やっと1話に纏められました。
お待たせして申し訳ないです。
連日連夜眠くてですねー。
さあ、書くぞ!と思いつつ寝落ちしてました。
悪戯っ子総二郎。
あきらとつくしをからかって遊んでおります。

毎日暑いですね。
エアコンと扇風機のW使いで過ごしてます。


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お兄様はいらない! 4

「美作さん、離して頂けますか?」

手の甲をぎゅっと抓られる。
それでもどうにかならないものかと、苦心していたら、今度はぴしゃりと叩かれた。

「専務、お仕事なさってください!」
「・・・牧野。」
「就業時間外とはいえ、ここは職場なんですからっ!
いつ誰が入ってくるかも分からないんですしっ!」
「人払いなんかとっくにしたよ。
もう電話も繋がないように言ってあるし、この部屋に近付く奴もいない。」

その他人行儀な言葉遣いを崩したい。
俺だけが知ってる牧野を見せてくれよ・・・

そんな邪な思いを抱きつつ、書類を手にしてる牧野を背中から抱き締めてた。
牧野は俺の婚約者だってのに、この頃は西門での花嫁修業に牧野を取られっぱなしの上に、総二郎のイラつく言動の数々に、俺は余裕が無くなってる。
もっと牧野を感じたくてブラウスの襟元に唇を押し当てたら・・・
ヒールでがっつり足を踏まれた。
うっと呻きながら、思わず腕の力を緩めた途端、すかさず牧野がそこから抜け出し、こっちをぎろっと睨み付けてくる。

「いい加減にしてくださいっ!
あたしは西門さんの下らない言葉をホントになんかしたくないんですからっ!
会社を出るまでは専務と秘書!
それを肝に銘じて下さいねっ!」

そう言い捨てて、牧野は部屋を飛び出してった。

何だって俺の婚約者はあんなにお堅いんだ?
牧野は、恋人として俺と過ごす時間が短くても堪えないのか?
俺はこんなに切羽詰まってるっていうのに。

がっくりしながらデスクチェアーに崩れ落ちるように座った。

照れ屋で恥ずかしがり屋な牧野。
俺と付き合うまで、鉄パン処女を護っていた牧野。
人一倍責任感の強い牧野。
冷静にそれを考え合わせれば、オフィスで何かスル・・・なんて許してくれる訳もなかったんだけど。
それでも手を伸ばしてしまいたくなる程、俺の牧野不足は深刻で・・・
深い溜息を吐いて、残っていた書類を引き寄せた。
専務と秘書から、恋人同士に一刻も早く戻るために。

やっと目の前の仕事を片付け終わって、秘書部に内線電話をする。
電話に出たのは牧野ではない、別の社員だった。

「牧野を頼む。」
「牧野は既に退社しておりますが・・・」
「はあっ?」

俺に一言もなく帰ったって???

「木曜日はいつもお茶のお稽古があるとの事で、18時には退社しているようですが・・・」
「・・・分かった。」

すっかり忘れてた。
そうだった、今日は木曜日・・・
生真面目な牧野は休まずに稽古に行くのをモットーとしている。
さっき部屋に来たのは、書類を渡しがてら、その旨を伝えに来たのかも知れなかった。

迎えに行こう。
西門まで迎えに行って、ちゃんと謝って。
そして、牧野の好きな物でも食べに行って、牧野の幸せそうな笑顔を堪能しよう。

そう決めた俺は、車を西門邸に回させた。
早く行かないと、また総二郎のお袋さんに牧野を引き留められてしまうだろうから・・・と、迎えに来た旨をきっちり伝える。
稽古が終わるまで待たせてもらうと告げると、客間に通され、香り高い玉露を呈された。
素直に謝ったら許してくれるだろうか・・・とか、今夜はどこに牧野を連れて行こう・・・と頭をめぐらせていると、廊下から微かに話し声が聞こえてくる。

あの声は牧野と総二郎じゃないか?

そう思ったら待ちきれなくて、自ら襖を開けて廊下に出れば、明るく楽し気に笑う総二郎と、むくれ顏で何かを言い募っている牧野がこちらに向かって歩いて来るところだった。

「お、あきら、待たせたか?」
「いや・・・」

総二郎の事は待ってない!
俺は牧野を迎えに来ただけだ!

「ほら、つくしちゃん、お待ちかねの婚約者殿のお出ましだぜ。」

そう言いながら、牧野を俺の前に押し出した。
もう俺の目は牧野に吸い寄せられて、総二郎のニタニタ顔なんかどうでもいいって気分になってる。

お待ちかねって…
俺が来るのを期待してくれてたのか?

「・・・迎えに来てくれたの?」

さっきの今で気まずいのか、ちょっと小さめの声で聞いてくる牧野は、上目遣いで男心を刺激する。

「ああ、2人でメシでも行こうと思って。
いいだろ?」

こっくり頷く牧野に、ついつい俺の顔も緩んでしまう。

「おーおー、こんな人んちの廊下でラブシーン繰り広げてんじゃねえよ。
お兄様は妹をそんな子に育てた覚えはねえぞ!」
「ラブシーンじゃないし!
育てられてもないし!」

向きになった牧野が、総二郎に突っかかっていき、一瞬流れた甘い空気はあっという間に掻き消された。
牧野と総二郎、この組み合わせは鬼門だ!
俺の事を苛立たせる!

「もういいから・・・ 牧野、行くぞ。
総二郎、邪魔したな。」

牧野を急き立てて、玄関へと向かう。

「じゃ、つくしちゃん、あきら、また明日な!」という総二郎の声が追い掛けてくる。

また明日だと???

「何、明日って?」と小声で牧野に尋ねれば、「ん? あぁ、明日は月に一度の会社の茶道部に西門さんが来てくれる日なの。」なんて言う。

ほら、またこれだ。
牧野のプライヴェートタイムを総二郎に吸い取られる。
こういう事が続くから、俺がキレそうになるんだろ?
もう今は、一秒でも早くこの場を離れよう。
早く2人きりになって、俺達の間から総二郎を締め出さないと!

牧野の手をぐいぐい引いて、西門邸を飛び出した。


__________


そーっすねー、皆様のご期待を裏切る展開になっちゃいましたかねー?
うん、でも、これで作戦通りなんで(笑)
可哀想なあきらに今暫くお付き合いくださいませ!


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お兄様はいらない! 5

西門さんちまで迎えに来てくれた美作さん。
連れられて行ったのは、メープルの中のヌーベルシノワのレストランだった。
お味は勿論なんだけど、中華料理なのに、見た目はフレンチのような盛り付けが素晴らしくて、あたしが大好きなお店のひとつ。
その個室で2人でゆったりお食事をする。
会社では突然あたしの事抱き締めてきたりして、美作さんらしくないな・・・なんて思ったけど、今はいつもの優しい美作さんに戻ってる。
あたしが「美味しいっ!」と言って食べてるのを、嬉しそうに微笑みながら見てるから、ちょっと恥ずかしいんだけど。
お食事の合間、合間に思いつくままにお喋りしても、「うん、それで?」と相槌を打ちながら真剣に聞いてくれる。
ちょっと飲んだシャンパンの効果もあってか、あたしの口は滑らかで、次から次に美作さんに話したいことが飛び出してきた。

専務室で、ビジネスモードの美作さんは、オフタイムよりもちょっとクールで、それはそれでかっこいいんだけど・・・
やっぱりあたしは柔和に笑ってるリラックスした美作さんの方が好き。

デザートのライチのシャーベットとふるっふるの柔らか杏仁豆腐を食べ終わっても、あたしは美作さんに話し続けてた。
この頃、2人でゆっくり過ごす時間が少なくて・・・
他愛もない事をとりとめなく話したりする、普通の恋人同士・・・みたいな事をあまり出来てなかったから。
ついつい喋り過ぎてしまった。
そのうち、段々眠くなってきて、やっと相当時間が経ってることに気が付く。

「あ、ごめん、あたしばっかりペラペラとお喋りしちゃって・・・
もう遅いよね? そろそろ帰ろっか?」
「いや、牧野と過ごす時間は、俺にとっても大切だから。
もっと一緒にいたいよな・・・
今日はこのままここに泊まるのはどう?
そうしたら、時間を気にせず、話できるよ。」
「でも・・・ 明日も仕事だし・・・
着替えもないし・・・」
「そんなのどうにでもなるから、心配いらない。」

色気たっぷりにパチーンとウインクひとつされて、くらっとしちゃうあたしは、相当美作さんにやられちゃってる。
でも、でも…
ホテルにお泊まりするって事は、ただ単にお喋りして、お休みなさい!ってなるんじゃないよね・・・?
えーっと、うーんと、やっぱり、そういうコトがある訳よね・・・?
このところ、美作さんは、そういうコトになると、朝まで元気っていうか、あたしを離してくれないっていうか・・・
とっても情熱的なんだもん!
明日の仕事に絶対響いちゃう!
そして、そのせいで疲れてる顔でもしようもんなら、あの百戦錬磨の女誑しにすぐに見抜かれて、散々からかわれるに決まってる!
それだけは絶対にイヤ!

「・・・やっぱり今日は帰りたい・・・んだけど。
ダメ・・・かな?」

おずおずとそう言ってみると、美作さんの顔が曇る。

「・・・牧野は、俺と過ごすアフター5より、総二郎といる時間が長いの、知ってる?」
「に、西門さん?
そんな事ないんじゃない?
西門さんちに行ったって、ずっと一緒にいる訳でもないし。
おば様の方に沢山お世話になってると思う・・・」
「土日も総二郎の仕事に付き合ったりしてるじゃないか。」
「それはおば様にお願いされちゃったから。
あたし、おば様に何かご恩返ししたくて、出来る事は何でもしようって決めてるの。
だって、あたしがこうして美作さんの側にいられるのは、西門のおば様のお陰の部分が大きいでしょう?」

不機嫌さをどうにか押し込めようとしてるけど、キュッと一文字に結ばれた唇は、文句を堪えてるようにしか見えない。

「ね、どうしたの?
美作さんらしくないよ、こんなの。」
「・・・俺は、ただ牧野と一緒にいたいだけだよ。」

ちょっと低く響く声は、怒ってるからなの?

「あたしだってそう思ってるよ。」

照れ臭いけど、ぽそりと呟いてみる。

「今度の土日は、西門さんはお仕事で地方だから・・・
ずっと一緒にいられるよ。」

あたしのそんな言葉に、美作さんの表情が、途端にふわっと綻ぶ。

「分かった。
じゃあ、週末は2人でゆっくり過ごそうな!」

んーーー、結婚式の打ち合わせとかあって、美作さんちにお邪魔する事になってるから、ずっと2人きりって訳にはいかないけど・・・
いつもよりは一緒にいられる時間は長いはず!

あたしの横に歩いて来た美作さんが、手を取って立たせてくれた。

「じゃあ、今夜はこれだけで我慢する・・・」

そう言うと、あたしの腰と後頭部にするっと腕が伸びてきて、唇が近づいてくる。
え? お店の中だよ?と思って、慌てたけれど、しっかり捕まえられてて逃げられない。
きゅうっと抱き寄せられ、熱い唇が重なって。
甘い口付けに目眩がした。

「あんまり俺に焼き餅焼かせないで?」

焼き餅?
誰に焼くっていうのよ?
あたしがお世話になってる西門のおば様?
それともあのお兄様擬きの西門さん?
どっちも妬くような相手じゃないでしょ?

そう思ったけど、口にするとなんかエライことになりそうな気がして。
あたしはとりあえず黙っておく事にしてしまった。
だって、怒った美作さんは怖いんだもん!


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短めですが、今日はこんな感じでー。


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