本日で拙宅開設より1年半となりました!(ちょっとハンパだわね・・・)
それに合わせて「萌えセリフ祭り2015」開幕しまーす!
6夜連続で3つのお話UPを予定しております。
今夜と明日は「総二郎に言われたい台詞」第1位でした、「俺の全部、お前にやるよ。」を使ったお話です。
大学生の総二郎とつくし。
総二郎の片想い・・・というシチュでございますー。
__________
俺はタイミングを逃し続けてるんだと思う。
気のいいダチというポジションから脱却するタイミング。
あの小さな手を捕らえてこちらに引き寄せるタイミング。
澄んだ瞳を真正面から見詰めて好きだと告げるタイミングを。
放っておいても俺の周りにはちょっと視線を投げかけるだけで吸い寄せられてくるオンナノコが絶えなくて。
そんな女たちの扱いはお手の物。
いつ、どんな風に笑いかけりゃ俺の手に落ちてくるのか・・・とか。
後腐れのない軽ーいオツキアイの仕方とか。
朝が来て独りになった時に、前夜の事はきれいさっぱり忘れ去る記憶消去法とか。
そんな事には長けてるのに、あの女の事となると途端に分からなくなる。
どうしたらあの笑顔を俺だけのものに出来るんだ?
どうしたらあの瞳には俺だけを映せる?
どうしたらあの唇は俺だけの名前を紡ぐようになるのか・・・?
傍から見たら俺達は高校時代からつるんでる、腐れ縁のグループなのかもしれない。
類がいて。
あきらがいて。
時々桜子がいて。
そしてその中心にはいつも牧野。
男3人、女2人の変則的な組み合わせ。
誰かと誰かが付き合ってる訳じゃない。
ただ4人がそれぞれのポジションで牧野を大事に思ってるという共通項がある。
牧野自身がそれに気付いているのかどうかは微妙だけど。
牧野の笑顔を見ていたいだけ・・・なんてさらりと宣う、天使のような類。
牧野にとって俺はお兄ちゃまなんだろうよ・・・と随分大きな3人目の妹を甘やかすあきら。
何をおいても『先輩第一主義』の牧野教の妄信的信者・桜子。
そして俺は・・・
随分前からこの『もはや罪だ!』と言える程鈍感で、純真無垢、鉄パン穿きっぱなしの牧野つくしという女に惚れているのに、何も行動出来ない、ビビりな男に成り下がってる。
そのせいで、いつもあきらに揶揄われ、桜子は滅法感じ悪い笑い顔で俺を見てくる。
類からは「もし牧野の笑顔曇らせるような事したら、総二郎でも容赦しないよ、憶えといて。」なんて警告を受けていた。
あいつ等のそんなプレッシャーが多少足枷になってるとしても・・・
一番問題なのは、俺が思い切って一歩踏み出せないことなんだ。
長年培ってきた『ダチ』という立場を棄て去って、新たな立ち位置を牧野の隣に築くにはどうすりゃいい?
俺は、男のロマンとか豪語してきたけど、簡単に落ちてくるお手軽な女ばかり選んでただけで、本気で女口説いたことがないんだ。
特に鉄パン穿いてる女なんてな。
面倒臭いだろうと敬遠してたし。
だからこの分野は圧倒的な経験不足・・・
俺の辞書に載ってないんだよ、真っ新な女を落とすテクニックは。
土曜の朝。
秋晴れで雲一つないベイビーブルーの空が広がっているのを窓越しに見遣る。
あいつは今日何するつもりかな?
こんな空の下、爽やかな風に吹かれてきゃらきゃらと笑う牧野は、きっと俺の目を楽しませてくれる。
そう思ったら、電話を掛けずにいられなくなった。
「はい、もしもし?」
「牧野?」
「お早う、西門さん。どうしたの? なんかあった?」
「いや、どうもしないけど・・・
お前、今日何か予定あるの?」
「え? 今日? ううん、お天気いいから洗濯してるとこ!
干し終わったら、近所のサイクリングロードに自転車漕ぎに行こうかと思ってるの。
きっと気持ちいいからさー。」
「ふうん・・・ そっか。
じゃあそのサイクリング、俺も付き合うわ。
何時にお前んち行けばいい?」
「なあに? 西門さんも自転車漕ぎたくなっちゃった?
いいよー、あたしのお気に入りコース、一緒に連れて行ってあげる!
ちょっと支度するから・・・
11時でどお?」
「了解。じゃ、後でな!」
俺の下心を気取られることなく、あっさりと取り付けられた、2人だけの約束。
あいつがこれをデートだとは思ってない事は明白だが、俺の胸はときめいてく。
チャリか。
ちょっと整備しないと乗れないだろうな、久し振りだから。
ガレージに向かう足取りは軽く、口元はついつい緩んでく。
そして手入れしたチャリを転がして、約束の時間よりちょっと早いくらいに牧野のアパートの下に着いた。
女の子を待たせないってのは俺の流儀だけど・・・
ワクワクが抑えられなくて、早く来ちまうってのは、遠足に行く小学男子みたいじゃねえの?
そんな事に思い至り、自分の子供っぽさに溜息を吐きつつ、空を見上げる。
やがてひとつの部屋のドアが開き、騒々しい女が現れた。
「あ、西門さん、もう来てたんだ!
ちょっと待っててー! 今行くからー!」
ぶんぶんとこちらに手を振り、部屋の中から大荷物を持ち出して、よいしょと肩に掛けて。
リズミカルに階段を駆け下りて来た牧野が、俺の前にすとんと立った。
「お待たせっ! あれ? 西門さんの自転車は?」
「あー、あそこ。」
スタンドが付いていない俺のチャリは、牧野のアパートの壁に立て掛けてある。
「え? あれ、籠付いてないの?」
「クロスバイクだからな。
ドリンクホルダー位しか付いてねえ。」
「うーん、じゃあしょうがないから、あたしの自転車の籠に無理矢理入れるしかないよね・・・」
だって俺のチャリは、国際的な自転車レースでも入賞者出してるメーカーの、スポーツタイプの最高級モデルだぜ。
フレームはカーボン使ってて、軽量化されてんの。
だからスタンドだって泥除けだって付いてねえんだ。
荷物をごっそり載せる籠だなんて付いてる訳がねえよ。
牧野は肩に担いでた大荷物を、駐輪場に停めていた自分のママチャリの前籠に苦心して詰め込んでる。
「何でサイクリング行くのにそんな荷物要るんだよ?
少し減らせば?」
「えー、ダメっ! 全部必要なんだもん!
んー・・・ ほら、入った! ね? じゃ、行こっか?」
振り返った牧野の小首を傾げたにっこり笑顔に、ハートをズキュンと撃ち抜かれ、「お、おう・・・」と慌てて返した。
「西門さん、サイクリングコースまでの道、知らないでしょ?
あたしが先走るから付いてきてー!」
ずっしりと重たそうな変速無しのママチャリをぐいぐい漕いで行く牧野の背中・・・ というか左右に揺れてるヒップを見ながらの道行き。
こ、これは、蛇の生殺しっつーか、絵に描いた餅っつーか・・・
何だろう、この胸に広がるモヤモヤ感・・・
いや、ムラムラ感か?
ちょっとした勾配がついた道になると、途端に牧野のスピードが落ちる。
こっちは10段変速だから、よっぽどの急坂じゃない限り余裕の走りが出来るんだけど。
あいつ、頑張ってんなあ。
ホント、こういう姿って牧野っぽいよな。
サラサラと黒髪を靡かせて、懸命に漕いでいる牧野の後姿ばっかり見ている俺は、幸せな気分でペダルを踏み込んでいく。
__________
という訳で、萌え台詞まだ出て来ませんでしたっ。
明日までお待ち下さい!
お友達のりく様(@恋花-koibana-)と共催しています「萌えセリフ祭り2015」。←タイトルショボくてスミマセン(^_^;) やっつけ仕事です!
りく様のお部屋では、同じ台詞を使った鷹×瑠璃のお話が公開されますので、良かったら読み比べてみて下さーい♪

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
それに合わせて「萌えセリフ祭り2015」開幕しまーす!
6夜連続で3つのお話UPを予定しております。
今夜と明日は「総二郎に言われたい台詞」第1位でした、「俺の全部、お前にやるよ。」を使ったお話です。
大学生の総二郎とつくし。
総二郎の片想い・・・というシチュでございますー。
__________
俺はタイミングを逃し続けてるんだと思う。
気のいいダチというポジションから脱却するタイミング。
あの小さな手を捕らえてこちらに引き寄せるタイミング。
澄んだ瞳を真正面から見詰めて好きだと告げるタイミングを。
放っておいても俺の周りにはちょっと視線を投げかけるだけで吸い寄せられてくるオンナノコが絶えなくて。
そんな女たちの扱いはお手の物。
いつ、どんな風に笑いかけりゃ俺の手に落ちてくるのか・・・とか。
後腐れのない軽ーいオツキアイの仕方とか。
朝が来て独りになった時に、前夜の事はきれいさっぱり忘れ去る記憶消去法とか。
そんな事には長けてるのに、あの女の事となると途端に分からなくなる。
どうしたらあの笑顔を俺だけのものに出来るんだ?
どうしたらあの瞳には俺だけを映せる?
どうしたらあの唇は俺だけの名前を紡ぐようになるのか・・・?
傍から見たら俺達は高校時代からつるんでる、腐れ縁のグループなのかもしれない。
類がいて。
あきらがいて。
時々桜子がいて。
そしてその中心にはいつも牧野。
男3人、女2人の変則的な組み合わせ。
誰かと誰かが付き合ってる訳じゃない。
ただ4人がそれぞれのポジションで牧野を大事に思ってるという共通項がある。
牧野自身がそれに気付いているのかどうかは微妙だけど。
牧野の笑顔を見ていたいだけ・・・なんてさらりと宣う、天使のような類。
牧野にとって俺はお兄ちゃまなんだろうよ・・・と随分大きな3人目の妹を甘やかすあきら。
何をおいても『先輩第一主義』の牧野教の妄信的信者・桜子。
そして俺は・・・
随分前からこの『もはや罪だ!』と言える程鈍感で、純真無垢、鉄パン穿きっぱなしの牧野つくしという女に惚れているのに、何も行動出来ない、ビビりな男に成り下がってる。
そのせいで、いつもあきらに揶揄われ、桜子は滅法感じ悪い笑い顔で俺を見てくる。
類からは「もし牧野の笑顔曇らせるような事したら、総二郎でも容赦しないよ、憶えといて。」なんて警告を受けていた。
あいつ等のそんなプレッシャーが多少足枷になってるとしても・・・
一番問題なのは、俺が思い切って一歩踏み出せないことなんだ。
長年培ってきた『ダチ』という立場を棄て去って、新たな立ち位置を牧野の隣に築くにはどうすりゃいい?
俺は、男のロマンとか豪語してきたけど、簡単に落ちてくるお手軽な女ばかり選んでただけで、本気で女口説いたことがないんだ。
特に鉄パン穿いてる女なんてな。
面倒臭いだろうと敬遠してたし。
だからこの分野は圧倒的な経験不足・・・
俺の辞書に載ってないんだよ、真っ新な女を落とすテクニックは。
土曜の朝。
秋晴れで雲一つないベイビーブルーの空が広がっているのを窓越しに見遣る。
あいつは今日何するつもりかな?
こんな空の下、爽やかな風に吹かれてきゃらきゃらと笑う牧野は、きっと俺の目を楽しませてくれる。
そう思ったら、電話を掛けずにいられなくなった。
「はい、もしもし?」
「牧野?」
「お早う、西門さん。どうしたの? なんかあった?」
「いや、どうもしないけど・・・
お前、今日何か予定あるの?」
「え? 今日? ううん、お天気いいから洗濯してるとこ!
干し終わったら、近所のサイクリングロードに自転車漕ぎに行こうかと思ってるの。
きっと気持ちいいからさー。」
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じゃあそのサイクリング、俺も付き合うわ。
何時にお前んち行けばいい?」
「なあに? 西門さんも自転車漕ぎたくなっちゃった?
いいよー、あたしのお気に入りコース、一緒に連れて行ってあげる!
ちょっと支度するから・・・
11時でどお?」
「了解。じゃ、後でな!」
俺の下心を気取られることなく、あっさりと取り付けられた、2人だけの約束。
あいつがこれをデートだとは思ってない事は明白だが、俺の胸はときめいてく。
チャリか。
ちょっと整備しないと乗れないだろうな、久し振りだから。
ガレージに向かう足取りは軽く、口元はついつい緩んでく。
そして手入れしたチャリを転がして、約束の時間よりちょっと早いくらいに牧野のアパートの下に着いた。
女の子を待たせないってのは俺の流儀だけど・・・
ワクワクが抑えられなくて、早く来ちまうってのは、遠足に行く小学男子みたいじゃねえの?
そんな事に思い至り、自分の子供っぽさに溜息を吐きつつ、空を見上げる。
やがてひとつの部屋のドアが開き、騒々しい女が現れた。
「あ、西門さん、もう来てたんだ!
ちょっと待っててー! 今行くからー!」
ぶんぶんとこちらに手を振り、部屋の中から大荷物を持ち出して、よいしょと肩に掛けて。
リズミカルに階段を駆け下りて来た牧野が、俺の前にすとんと立った。
「お待たせっ! あれ? 西門さんの自転車は?」
「あー、あそこ。」
スタンドが付いていない俺のチャリは、牧野のアパートの壁に立て掛けてある。
「え? あれ、籠付いてないの?」
「クロスバイクだからな。
ドリンクホルダー位しか付いてねえ。」
「うーん、じゃあしょうがないから、あたしの自転車の籠に無理矢理入れるしかないよね・・・」
だって俺のチャリは、国際的な自転車レースでも入賞者出してるメーカーの、スポーツタイプの最高級モデルだぜ。
フレームはカーボン使ってて、軽量化されてんの。
だからスタンドだって泥除けだって付いてねえんだ。
荷物をごっそり載せる籠だなんて付いてる訳がねえよ。
牧野は肩に担いでた大荷物を、駐輪場に停めていた自分のママチャリの前籠に苦心して詰め込んでる。
「何でサイクリング行くのにそんな荷物要るんだよ?
少し減らせば?」
「えー、ダメっ! 全部必要なんだもん!
んー・・・ ほら、入った! ね? じゃ、行こっか?」
振り返った牧野の小首を傾げたにっこり笑顔に、ハートをズキュンと撃ち抜かれ、「お、おう・・・」と慌てて返した。
「西門さん、サイクリングコースまでの道、知らないでしょ?
あたしが先走るから付いてきてー!」
ずっしりと重たそうな変速無しのママチャリをぐいぐい漕いで行く牧野の背中・・・ というか左右に揺れてるヒップを見ながらの道行き。
こ、これは、蛇の生殺しっつーか、絵に描いた餅っつーか・・・
何だろう、この胸に広がるモヤモヤ感・・・
いや、ムラムラ感か?
ちょっとした勾配がついた道になると、途端に牧野のスピードが落ちる。
こっちは10段変速だから、よっぽどの急坂じゃない限り余裕の走りが出来るんだけど。
あいつ、頑張ってんなあ。
ホント、こういう姿って牧野っぽいよな。
サラサラと黒髪を靡かせて、懸命に漕いでいる牧野の後姿ばっかり見ている俺は、幸せな気分でペダルを踏み込んでいく。
__________
という訳で、萌え台詞まだ出て来ませんでしたっ。
明日までお待ち下さい!
お友達のりく様(@恋花-koibana-)と共催しています「萌えセリフ祭り2015」。←タイトルショボくてスミマセン(^_^;) やっつけ仕事です!
りく様のお部屋では、同じ台詞を使った鷹×瑠璃のお話が公開されますので、良かったら読み比べてみて下さーい♪



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