Halloween的なものを書かねば・・・!と、祭りが終わってすっかりスカスカな脳味噌を絞ってみました。
社会人の2人です。
__________
あきらが2週間だけ帰国すると言ってきた。
「折角なら久し振りに集まるか?」と言ったのは俺。
こんな時、皆に声を掛けて、お膳立てをするのはいつもならあきらの役目だが、そのご当人の帰国祝いだからさせる訳にもいかず。
俺は手っ取り早くやっつける為に、牧野を巻き込むことにした。
「もしもーし、つくしちゃん? 俺。」
「・・・俺って言うだけで分かってもらえるって思い込んでるのが、あんた達らしいよねぇ。
美作さんだけだよ、電話してきてちゃんと名乗るのは。」
「何だよ、すぐに俺だって気付いてんじゃんか。
こんないい声独り占めできんだから嬉しいだろ?
分かってる、分かってる。照れ隠しだろ、それ。」
「・・・一体何処まで自信過剰なの?
それで、用件は?」
「ああ、あきらが月末から2週間くらい帰って来るんだってよ。
それで久々に皆で一杯やろうかって話になって。
お前、連絡係な。皆の都合聞いて日時決めて。
で、俺、会場押える係。」
「西門さんの係って、電話一本で済むけど、あたしの方が負担が大きいでしょ、それ。」
「細かいこと言うなって。
俺が連絡回すより、牧野がやった方が話が早いだろ?
ほら、類なんか、俺からのLINEは未読スルーだからな。」
「・・・んー、わかった。で、美作さんのスケジュールは?」
「それはメールが来てたから後で転送する。」
「じゃあ、それ見て、皆に連絡取ってみる。」
「頼んだわ! 今度なんか美味いモン奢ってやっから。」
「あーっ! 丁度食べたい物あったんだ。
パティスリーMのレモンチーズケーキ!
予約も取れないし、長時間並ばないと買えないの。
西門さんならすぐ買えるでしょ。あれ、ホールで!」
「つくしちゃん、太るぜ、それ…」
「冷凍しといて、ちょっとずつ食べるからぜーんぜん平気!
じゃあ、宜しくねー!」
何ともカロリー高そうな見返りを要求されたな。
まあ、あいつはちょっとふくよかになった方がいい位細っこいから、謹んで進呈するとしますか。
結局、調整役牧野のお陰で、忙しい筈のメンバー全員が集まれる日も決まり、無事に帰国祝いの宴開催と相成った。
大勢で集まれるのも久し振り。
賑やか過ぎるっちゃそうかもしれないが、気の置けない仲間との食事や酒の席は、笑い声が絶えず、楽しいものだ。
「美作さん、さらにカッコよくなっちゃったよね。
何ていうの、纏う空気が大人っぽいっていうか、雰囲気があるっていうか・・・
さてはあっちで素敵な恋人でも見つけた?」
「残念ながらご期待には沿えないなぁ。
寝る間も惜しんで、仕事、仕事の毎日だよ。
仕事が恋人・・・だなんて言いたくないけど、まさにそんな状態。
って言うか、牧野、お前こそ綺麗になったよ。
さては新しい恋でも始めたか?」
あきらのからかいに、あっという間に茹蛸状態になった牧野がムキになって否定する。
「そ、そ、そんな事ないよっ!
あたしも仕事が恋人だもんっ!」
「先輩が綺麗に見えるようになったとしたら、私と滋さんのお陰ですわよね。
お休みの日に、彼方此方連れ回して、磨きを掛けているんですもの。」
「えー? でも同じ事してるのに滋ちゃんと桜子には、アッキーは綺麗になったって言ってくれないじゃん!
やっぱりつくしには、何か秘密があるんじゃないの?」
「ふふふ。元から美しい花園と、全く手入れされていなかった雑草だらけの原っぱを、そこそこ小ざっぱりと整えたのを見比べた時、後者の方が進歩があるように見えるものなんですよ、人は。」
「・・・桜子、あんたね、何気に酷い事言ってるよ!」
女共3人がギャースーやり取りしてるのを苦笑しながら酒を酌み交わす。
そんなのも懐かしく、学生時代に戻ったような気分だ。
でも、まあ、あきらじゃねえけど・・・
牧野は綺麗になったよな。
歳を重ねたから子供っぽさが抜けて、化粧もそこそこ上手くなったせいかと思ってたけど・・・
ふとした瞬間にこちらをはっとさせる表情をする時があって、自分の目を疑うんだ。
「あれ? これって牧野だよな?」って。
それは恰も、固く閉じていた花の蕾が綻び出したかのような、目を惹く美しさがあるんだ。
まあ、こうやって喧々囂々と煩くやり合ってる時には学生時代の牧野に戻っちまってるけど。
その次の週末、牧野の食いたがっていたケーキを手に入れた俺は、また電話を掛けた。
「お前の言ってたケーキ、邸に届いてるけど。」
「えー! やったあ! さすが西門さん。
仕事早いねー。ホント予約とれないんだよ、特にホールでは!」
「俺、後で出掛けるついでにつくしちゃんちまで持ってってやろうか?」
「 いいの? 配達までしてもらっちゃって、至れり尽くせりだね。
じゃ、美味しい紅茶準備して、お待ちしてまーす!」
調子のいい奴め・・・と苦笑いしながらも、ケーキを渡した時の牧野の弾ける様な笑顔を夢想して、何故だかちょっと幸せな気分になったりして。
ん・・・? 何で俺が幸せにならなきゃいけないんだ?
ケーキ食えて幸せになるのは牧野だろ?
何だか変な方に思考が引っ張られて行きそうで、頭を振って、それをどこかに追いやろうと努めた。
パティスリーの紙袋を携えて、牧野の部屋を訪ねれば、目当ての品を待ち侘びていた牧野から歓待を受ける。
「わー、西門さん、ありがと!
すっごくすっごく嬉しい!
まあ入って。一緒にケーキ食べよ!」
「や、俺はケーキは別にいいんだけど・・・」
「そんな事言わないでよ。
折角持ってきてくれたんだし!
誰かと一緒に食べた方があたしも美味しいんだもん。」
だもん。って、お前はコドモか?
結構いい歳になったっつーのに、いつまで経ってもお子ちゃま牧野だ。
結局牧野に押し切られて、テーブルで向かい合わせにそのチーズケーキとやらを食べることになったけど。
俺の胸の中は、何かもやっとしていて、落ち着かない。
その正体が分からずに、目の前のチーズケーキをじーっと見詰めてみる。
季節柄、ハロウィンのデコレーションが施されたそのケーキを前に、牧野はひとり大盛り上がりで、切り分ける前に写真を撮ったりしていた。
「うわー、見た目も可愛かったけど、味も最高!
おっいしー! ほっぺた落ちそう!」
一口頬張った牧野が、俺に大きな花が咲いたかのような笑みを見せる。
想像通りの、いやそれ以上に幸せそうな顔して俺の方を見て破顔している牧野に、きゅんと胸の奥が絞られたような感覚が走った。
きゅんって何だ、きゅんって?
え・・・? もしかしてこれって・・・
いやいや、この俺がそんな訳ねえだろ・・・
相手は牧野だし。
うん、きっと違う。断じて違う。
これは「恋」なんかじゃねえよな?
この俺が、よりによってそんな・・・
頭の中では必死に否定してみるけど、身体は正直で、耳の奥で血が流れる音がどくんどくんと聞こえ出した。
嘘だろ?
おいおい、一体どうしたんだよ、西門総二郎!
「あれえ? 西門さん、どしたの? 顔赤い。
熱でもあるの?」
すっと伸びて来た牧野の手が、ぴたっと俺の額に当てられて。
「うーん、ちょっと熱いかな・・・?
よく分かんないな・・・」
そう言って、今度は牧野が顔を近づけてくる!
お、オイ! 気軽にそんなくっついてくるんじゃねえよ!
そう思ってるのに避ける間もなく、額と額がぴたっとくっついて・・・
俺の心臓がばくんと音を立てた。
ほんの一瞬で牧野の顔はすうっと離れていき、俺が呆気にとられて固まっていると、元の位置に戻った牧野が、ふっと表情を緩める。
「大丈夫、熱ないよっ!
あ、でも暑いなら、何か冷たい飲み物出そうか?」
馬鹿! 飲み物なんかどーでもいいんだよ!
俺は・・・
俺は・・・
今、猛烈に混乱してんだ!
胸に湧いた恋心。
絶対この女は気付いてないし。
っていうか、俺も今気付いたばかりだし!
どうしたもんか・・・
Trick or Treat ?
今年のハロウィンは、花より団子の牧野には甘いお菓子を。
俺には神様の悪戯としか思えない感情を運んで来た。
目の前で幸せそうにケーキをパクつく牧野を前に、つい小さく溜息を吐く。
世界中で一番面倒な女だぜ、こいつは。
それを俺のものにするなんて・・・
やってやろうじゃねえか!
俺に出来ない事はない!・・・筈だよな?
牧野、今のうちにたっぷり栄養補給しとけよ。
これから怒涛の攻撃、繰り広げてやるからな!
__________
総二郎の恋心発覚場面でございましたー。
美味しいお菓子をあげたから、代わりにお前をいただきまーす!ってか?(笑)
ちょっと苦しいこじ付けですが、まあ、笑って許して下さいませ!

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あきらが2週間だけ帰国すると言ってきた。
「折角なら久し振りに集まるか?」と言ったのは俺。
こんな時、皆に声を掛けて、お膳立てをするのはいつもならあきらの役目だが、そのご当人の帰国祝いだからさせる訳にもいかず。
俺は手っ取り早くやっつける為に、牧野を巻き込むことにした。
「もしもーし、つくしちゃん? 俺。」
「・・・俺って言うだけで分かってもらえるって思い込んでるのが、あんた達らしいよねぇ。
美作さんだけだよ、電話してきてちゃんと名乗るのは。」
「何だよ、すぐに俺だって気付いてんじゃんか。
こんないい声独り占めできんだから嬉しいだろ?
分かってる、分かってる。照れ隠しだろ、それ。」
「・・・一体何処まで自信過剰なの?
それで、用件は?」
「ああ、あきらが月末から2週間くらい帰って来るんだってよ。
それで久々に皆で一杯やろうかって話になって。
お前、連絡係な。皆の都合聞いて日時決めて。
で、俺、会場押える係。」
「西門さんの係って、電話一本で済むけど、あたしの方が負担が大きいでしょ、それ。」
「細かいこと言うなって。
俺が連絡回すより、牧野がやった方が話が早いだろ?
ほら、類なんか、俺からのLINEは未読スルーだからな。」
「・・・んー、わかった。で、美作さんのスケジュールは?」
「それはメールが来てたから後で転送する。」
「じゃあ、それ見て、皆に連絡取ってみる。」
「頼んだわ! 今度なんか美味いモン奢ってやっから。」
「あーっ! 丁度食べたい物あったんだ。
パティスリーMのレモンチーズケーキ!
予約も取れないし、長時間並ばないと買えないの。
西門さんならすぐ買えるでしょ。あれ、ホールで!」
「つくしちゃん、太るぜ、それ…」
「冷凍しといて、ちょっとずつ食べるからぜーんぜん平気!
じゃあ、宜しくねー!」
何ともカロリー高そうな見返りを要求されたな。
まあ、あいつはちょっとふくよかになった方がいい位細っこいから、謹んで進呈するとしますか。
結局、調整役牧野のお陰で、忙しい筈のメンバー全員が集まれる日も決まり、無事に帰国祝いの宴開催と相成った。
大勢で集まれるのも久し振り。
賑やか過ぎるっちゃそうかもしれないが、気の置けない仲間との食事や酒の席は、笑い声が絶えず、楽しいものだ。
「美作さん、さらにカッコよくなっちゃったよね。
何ていうの、纏う空気が大人っぽいっていうか、雰囲気があるっていうか・・・
さてはあっちで素敵な恋人でも見つけた?」
「残念ながらご期待には沿えないなぁ。
寝る間も惜しんで、仕事、仕事の毎日だよ。
仕事が恋人・・・だなんて言いたくないけど、まさにそんな状態。
って言うか、牧野、お前こそ綺麗になったよ。
さては新しい恋でも始めたか?」
あきらのからかいに、あっという間に茹蛸状態になった牧野がムキになって否定する。
「そ、そ、そんな事ないよっ!
あたしも仕事が恋人だもんっ!」
「先輩が綺麗に見えるようになったとしたら、私と滋さんのお陰ですわよね。
お休みの日に、彼方此方連れ回して、磨きを掛けているんですもの。」
「えー? でも同じ事してるのに滋ちゃんと桜子には、アッキーは綺麗になったって言ってくれないじゃん!
やっぱりつくしには、何か秘密があるんじゃないの?」
「ふふふ。元から美しい花園と、全く手入れされていなかった雑草だらけの原っぱを、そこそこ小ざっぱりと整えたのを見比べた時、後者の方が進歩があるように見えるものなんですよ、人は。」
「・・・桜子、あんたね、何気に酷い事言ってるよ!」
女共3人がギャースーやり取りしてるのを苦笑しながら酒を酌み交わす。
そんなのも懐かしく、学生時代に戻ったような気分だ。
でも、まあ、あきらじゃねえけど・・・
牧野は綺麗になったよな。
歳を重ねたから子供っぽさが抜けて、化粧もそこそこ上手くなったせいかと思ってたけど・・・
ふとした瞬間にこちらをはっとさせる表情をする時があって、自分の目を疑うんだ。
「あれ? これって牧野だよな?」って。
それは恰も、固く閉じていた花の蕾が綻び出したかのような、目を惹く美しさがあるんだ。
まあ、こうやって喧々囂々と煩くやり合ってる時には学生時代の牧野に戻っちまってるけど。
その次の週末、牧野の食いたがっていたケーキを手に入れた俺は、また電話を掛けた。
「お前の言ってたケーキ、邸に届いてるけど。」
「えー! やったあ! さすが西門さん。
仕事早いねー。ホント予約とれないんだよ、特にホールでは!」
「俺、後で出掛けるついでにつくしちゃんちまで持ってってやろうか?」
「 いいの? 配達までしてもらっちゃって、至れり尽くせりだね。
じゃ、美味しい紅茶準備して、お待ちしてまーす!」
調子のいい奴め・・・と苦笑いしながらも、ケーキを渡した時の牧野の弾ける様な笑顔を夢想して、何故だかちょっと幸せな気分になったりして。
ん・・・? 何で俺が幸せにならなきゃいけないんだ?
ケーキ食えて幸せになるのは牧野だろ?
何だか変な方に思考が引っ張られて行きそうで、頭を振って、それをどこかに追いやろうと努めた。
パティスリーの紙袋を携えて、牧野の部屋を訪ねれば、目当ての品を待ち侘びていた牧野から歓待を受ける。
「わー、西門さん、ありがと!
すっごくすっごく嬉しい!
まあ入って。一緒にケーキ食べよ!」
「や、俺はケーキは別にいいんだけど・・・」
「そんな事言わないでよ。
折角持ってきてくれたんだし!
誰かと一緒に食べた方があたしも美味しいんだもん。」
だもん。って、お前はコドモか?
結構いい歳になったっつーのに、いつまで経ってもお子ちゃま牧野だ。
結局牧野に押し切られて、テーブルで向かい合わせにそのチーズケーキとやらを食べることになったけど。
俺の胸の中は、何かもやっとしていて、落ち着かない。
その正体が分からずに、目の前のチーズケーキをじーっと見詰めてみる。
季節柄、ハロウィンのデコレーションが施されたそのケーキを前に、牧野はひとり大盛り上がりで、切り分ける前に写真を撮ったりしていた。
「うわー、見た目も可愛かったけど、味も最高!
おっいしー! ほっぺた落ちそう!」
一口頬張った牧野が、俺に大きな花が咲いたかのような笑みを見せる。
想像通りの、いやそれ以上に幸せそうな顔して俺の方を見て破顔している牧野に、きゅんと胸の奥が絞られたような感覚が走った。
きゅんって何だ、きゅんって?
え・・・? もしかしてこれって・・・
いやいや、この俺がそんな訳ねえだろ・・・
相手は牧野だし。
うん、きっと違う。断じて違う。
これは「恋」なんかじゃねえよな?
この俺が、よりによってそんな・・・
頭の中では必死に否定してみるけど、身体は正直で、耳の奥で血が流れる音がどくんどくんと聞こえ出した。
嘘だろ?
おいおい、一体どうしたんだよ、西門総二郎!
「あれえ? 西門さん、どしたの? 顔赤い。
熱でもあるの?」
すっと伸びて来た牧野の手が、ぴたっと俺の額に当てられて。
「うーん、ちょっと熱いかな・・・?
よく分かんないな・・・」
そう言って、今度は牧野が顔を近づけてくる!
お、オイ! 気軽にそんなくっついてくるんじゃねえよ!
そう思ってるのに避ける間もなく、額と額がぴたっとくっついて・・・
俺の心臓がばくんと音を立てた。
ほんの一瞬で牧野の顔はすうっと離れていき、俺が呆気にとられて固まっていると、元の位置に戻った牧野が、ふっと表情を緩める。
「大丈夫、熱ないよっ!
あ、でも暑いなら、何か冷たい飲み物出そうか?」
馬鹿! 飲み物なんかどーでもいいんだよ!
俺は・・・
俺は・・・
今、猛烈に混乱してんだ!
胸に湧いた恋心。
絶対この女は気付いてないし。
っていうか、俺も今気付いたばかりだし!
どうしたもんか・・・
Trick or Treat ?
今年のハロウィンは、花より団子の牧野には甘いお菓子を。
俺には神様の悪戯としか思えない感情を運んで来た。
目の前で幸せそうにケーキをパクつく牧野を前に、つい小さく溜息を吐く。
世界中で一番面倒な女だぜ、こいつは。
それを俺のものにするなんて・・・
やってやろうじゃねえか!
俺に出来ない事はない!・・・筈だよな?
牧野、今のうちにたっぷり栄養補給しとけよ。
これから怒涛の攻撃、繰り広げてやるからな!
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総二郎の恋心発覚場面でございましたー。
美味しいお菓子をあげたから、代わりにお前をいただきまーす!ってか?(笑)
ちょっと苦しいこじ付けですが、まあ、笑って許して下さいませ!



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