朝、目を覚まして、隣にある温もりを感じてほっとする。
そうだ、俺にはコイツがいるんだよな・・・
その思いが、いつも尖ってささくれ立っていた俺の心を柔らかくしてくれる。
寝相の悪い俺の可愛いオンナは、こんな狭いシングルベッドの上だっていうのに、ちょっと俺から離れて、ベッドから落ちる寸前のところにいるから、腕を伸ばして俺の方に引き寄せた。
「ん・・・」と微かな声が唇からは漏れてくる。
まだまだ夢の中にいる筈だけど、ぴたりと身体を添わせれば、自然と俺の脚にひやりとした脚を絡ませてきた。
ったく、寝相悪いから布団から脚はみ出て、こんなに冷たくなっちまうだろ。
しょうがねえなあ、ホントに・・・
そう苦笑しながらも、冷えた脚をしっかり俺の脚でサンドイッチしてやると、段々互いの体温が溶け合い、こいつの脚も温かみを取り戻してく。
こうやって2人でいることが、こいつにとっても自然な事になったんだな・・・というのがじんわりと嬉しい。
だって、あんなにガードが堅かった鉄パン処女がだぜ?
その鉄パン脱がせるのにも相当時間掛かったけど、ありのままの姿で俺の隣にいてくれるようになるのには、かなりの忍耐と辛抱強さを求められたワケで。
そこまでの長い道程を、ブチ切れずにしのぎ切れた自分を褒めてやりたい程だ。
どうもこいつは自分の体付きに全く自信がないようだけど。
俺はそんな事全然気にしてないのにな。
多少ボリュームが足りなくたって、くびれが無かったからって、そんなのどうってことない。
こいつがこいつであるから、俺は好きなんだ。
どんな姿形をしていたって、こいつが「牧野つくし」である限り、俺はずっと隣に寄り添っていたい。
今度は顔に手を伸ばして、やっぱり冬の朝の空気に冷やされた、柔らかな頬を掌で包んで温めてやる。
ぷにぷにと弾力がある感触を楽しみながら、冷たかったそこが段々俺の掌と同じ温度になってくるのを待っていた。
ほら、俺がこんな事してやるなんて、お前だけだぜ。
ぷくぷくほっぺで俺を幸せな気分にしちまうのも、この世でお前ひとりだけだけど。
優しくさすってやると、眠りながら幸せそうに微笑むから、それを見てるとつられて自分も顔が緩んでく。
温まった頬から手を離して、今度は髪を梳き流してやると、擽ったそうに頭をゆらゆら振るから、ついくすりと笑ってしまった。

こいつ、ホントいくつになっても子供みたいだよなあ。
このまま齢とっても、ずっとこのままなのか?
子供産んでも?
オバサンになっても?
婆さんになっても?
その姿を夢想した。
俺の赤ん坊を抱いて笑ってるところを。
庭を駆け巡る子供を止めようと、一緒に走っている背中。
着物を着て、子供と入学式の記念写真に納まる場面。
邸の中をしっかり取り仕切る、頼もしい様子・・・
「こうあって欲しい」という俺の未来への願望は尽きることが無く。
優しく笑う婆さんになって、俺を見詰めてくれるところまで考えた時、はっとした。
俺、もう決めてるんじゃん、こいつの未来。
ずっと漠然と考えてはいた。
一生添い遂げるなら、こいつしかいないって。
でも西門の家に入れって言うのはなかなか勇気がいることで・・・
こいつにいっぱい苦労させると分かってるのに、そんな世界に引っ張り込むのを、どこかで躊躇してた。
でも・・・
やっぱり俺にはお前じゃなきゃダメだ。
嫋やかな身体を両腕を回してぎゅうっと力いっぱい抱き締めた。
離さない。
もう絶対に・・・
「んー、く、るし・・・」
寝惚け声の訴えに、ちょっと腕を緩めて、朝の挨拶代わりのキスを落とす。
「おはよ、つくしちゃん。」 チュっと音を立てるバードキス。
「ん・・・ おはよ、西門さん・・・」 また一つチュっ。
柔く唇を合わせる度に、目は閉じたままながらも、うふふと笑いつつ受けてくれる。
それが嬉しくて、俺は顔中にキスの雨を降らせた。
唇に、頬に、鼻先に、瞼に、額に、蟀谷に。
「ふふふ、擽ったいよ、西門さん。」
「しょうがねえだろ、お前、可愛いんだもん。」
「なあに、それ。」
くすくす笑いながらも、まだ目を開ける気にはならないらしい。
「なあ。」
「んー?」
「目開けろ。」
「まだ眠くて開かないー。」
「無理矢理目覚まさせて欲しいのか?」
そう言って、片手をするりと身体の上を滑らせたら、「ひゃあっ!」と叫んで、やっとぱっちり目を開けた。
「や、あの、もう目開いたからっ!」
それ以上の事はしてくれるな!という牽制のつもりらしい言葉を口にしながら慌ててるから、ついつい笑いが込み上げる。
「なぁ、牧野。」
「な・・・ 何?」
びくびくしながら俺を疑り深い目で見てる。
そんなに警戒するなよ。
まあ、別の意味で驚かせるとは思うけど。
「俺と結婚してくれ。」
「・・・え?」
「俺と一緒になって、俺の子供産んで。
爺さんと婆さんになるまで、ずっとずっと仲良く暮らそうぜ。」
飛び切り甘い声で話して、極上の笑顔で笑いかけてるつもりなのに、目の前のオンナは、目を丸くして絶句するばかりで。
ぱちりぱちりと瞬きを繰り返してる。
「なぁ? 何とか言えよ、つくしちゃん。」
「・・・本気?」
「本気も本気。大真面目で言ってるっつーの。
冗談でプロポーズなんか出来るか!」
「・・・だって、プロポーズって・・・ 裸でベッドでするものなの?
冗談にしか聞こえないでしょ。」
う・・・、そう言われたらそうなんだが・・・
俺の中でピンときたのがさっきだったんだからしょうがねえ。
「じゃ、どうしたら本気だって分かってくれるワケ?」
「う・・・んと、それは・・・」
「・・・分かった。今日はこれから邸に行くぞ。」
「え? それって?」
「親父とお袋に報告するんだよ、コイツと結婚決めましたって。」
「あ、あたし、まだ返事してないけど!」
「・・・断る可能性ってあるのか?」
そう言って、さっきまでの優しいキスとは違う、濃厚なのをひとつ。
ぷはあと息を吐き出した、色気の欠片もないオンナの額にこつりと自分の額を当てた。
「なぁ、俺無しで生きてけんの、つくしちゃんは?」
そう言ったら、不意に涙目になった。
それを見たら胸がきゅんと痺れる。
「俺はお前無しじゃ生きてけない。
だからさ・・・ 俺と一緒にいてくれよ。」
涙目からぽろっと一粒涙が溢れて。
「うん・・・」と小さく顎を引いたから、ほっとして肩の力が抜けた。
またぎゅうっと抱き締めて、目を瞑る。
「牧野つくし」である限り・・・じゃねえな。
「西門つくし」にしちまうから。
「これからずっと一緒にいようぜ。」
「ん・・・」
涙声が胸に響く。
きっと今日が今迄生きてきた中で一番幸せな朝だ。
__________
1月27日は「求婚の日」だそうで。
ギリギリ滑り込みでこんな話を書いてみました。
今日から4話連続で、ONCE UPON A TIME の K+M様の素敵イラスト「甘々 総ちゃん」をお借りして、イラスト付SSイベントを開催します!
K+M様、いつも有り難うございます!
このイラストは、K+M様のお部屋の拍手ボタンを押すと拝見できるものなのですが・・・
一目見た時から大好きで、この度お願いしてお借りすることになりました。
皆様お待ちのあのお話の番外編も届いてます!
この後の更新予定は、1月29日0:00、1月30日0:00、1月31日0:00 となっております!
どうぞお楽しみにー♪

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
そうだ、俺にはコイツがいるんだよな・・・
その思いが、いつも尖ってささくれ立っていた俺の心を柔らかくしてくれる。
寝相の悪い俺の可愛いオンナは、こんな狭いシングルベッドの上だっていうのに、ちょっと俺から離れて、ベッドから落ちる寸前のところにいるから、腕を伸ばして俺の方に引き寄せた。
「ん・・・」と微かな声が唇からは漏れてくる。
まだまだ夢の中にいる筈だけど、ぴたりと身体を添わせれば、自然と俺の脚にひやりとした脚を絡ませてきた。
ったく、寝相悪いから布団から脚はみ出て、こんなに冷たくなっちまうだろ。
しょうがねえなあ、ホントに・・・
そう苦笑しながらも、冷えた脚をしっかり俺の脚でサンドイッチしてやると、段々互いの体温が溶け合い、こいつの脚も温かみを取り戻してく。
こうやって2人でいることが、こいつにとっても自然な事になったんだな・・・というのがじんわりと嬉しい。
だって、あんなにガードが堅かった鉄パン処女がだぜ?
その鉄パン脱がせるのにも相当時間掛かったけど、ありのままの姿で俺の隣にいてくれるようになるのには、かなりの忍耐と辛抱強さを求められたワケで。
そこまでの長い道程を、ブチ切れずにしのぎ切れた自分を褒めてやりたい程だ。
どうもこいつは自分の体付きに全く自信がないようだけど。
俺はそんな事全然気にしてないのにな。
多少ボリュームが足りなくたって、くびれが無かったからって、そんなのどうってことない。
こいつがこいつであるから、俺は好きなんだ。
どんな姿形をしていたって、こいつが「牧野つくし」である限り、俺はずっと隣に寄り添っていたい。
今度は顔に手を伸ばして、やっぱり冬の朝の空気に冷やされた、柔らかな頬を掌で包んで温めてやる。
ぷにぷにと弾力がある感触を楽しみながら、冷たかったそこが段々俺の掌と同じ温度になってくるのを待っていた。
ほら、俺がこんな事してやるなんて、お前だけだぜ。
ぷくぷくほっぺで俺を幸せな気分にしちまうのも、この世でお前ひとりだけだけど。
優しくさすってやると、眠りながら幸せそうに微笑むから、それを見てるとつられて自分も顔が緩んでく。
温まった頬から手を離して、今度は髪を梳き流してやると、擽ったそうに頭をゆらゆら振るから、ついくすりと笑ってしまった。

こいつ、ホントいくつになっても子供みたいだよなあ。
このまま齢とっても、ずっとこのままなのか?
子供産んでも?
オバサンになっても?
婆さんになっても?
その姿を夢想した。
俺の赤ん坊を抱いて笑ってるところを。
庭を駆け巡る子供を止めようと、一緒に走っている背中。
着物を着て、子供と入学式の記念写真に納まる場面。
邸の中をしっかり取り仕切る、頼もしい様子・・・
「こうあって欲しい」という俺の未来への願望は尽きることが無く。
優しく笑う婆さんになって、俺を見詰めてくれるところまで考えた時、はっとした。
俺、もう決めてるんじゃん、こいつの未来。
ずっと漠然と考えてはいた。
一生添い遂げるなら、こいつしかいないって。
でも西門の家に入れって言うのはなかなか勇気がいることで・・・
こいつにいっぱい苦労させると分かってるのに、そんな世界に引っ張り込むのを、どこかで躊躇してた。
でも・・・
やっぱり俺にはお前じゃなきゃダメだ。
嫋やかな身体を両腕を回してぎゅうっと力いっぱい抱き締めた。
離さない。
もう絶対に・・・
「んー、く、るし・・・」
寝惚け声の訴えに、ちょっと腕を緩めて、朝の挨拶代わりのキスを落とす。
「おはよ、つくしちゃん。」 チュっと音を立てるバードキス。
「ん・・・ おはよ、西門さん・・・」 また一つチュっ。
柔く唇を合わせる度に、目は閉じたままながらも、うふふと笑いつつ受けてくれる。
それが嬉しくて、俺は顔中にキスの雨を降らせた。
唇に、頬に、鼻先に、瞼に、額に、蟀谷に。
「ふふふ、擽ったいよ、西門さん。」
「しょうがねえだろ、お前、可愛いんだもん。」
「なあに、それ。」
くすくす笑いながらも、まだ目を開ける気にはならないらしい。
「なあ。」
「んー?」
「目開けろ。」
「まだ眠くて開かないー。」
「無理矢理目覚まさせて欲しいのか?」
そう言って、片手をするりと身体の上を滑らせたら、「ひゃあっ!」と叫んで、やっとぱっちり目を開けた。
「や、あの、もう目開いたからっ!」
それ以上の事はしてくれるな!という牽制のつもりらしい言葉を口にしながら慌ててるから、ついつい笑いが込み上げる。
「なぁ、牧野。」
「な・・・ 何?」
びくびくしながら俺を疑り深い目で見てる。
そんなに警戒するなよ。
まあ、別の意味で驚かせるとは思うけど。
「俺と結婚してくれ。」
「・・・え?」
「俺と一緒になって、俺の子供産んで。
爺さんと婆さんになるまで、ずっとずっと仲良く暮らそうぜ。」
飛び切り甘い声で話して、極上の笑顔で笑いかけてるつもりなのに、目の前のオンナは、目を丸くして絶句するばかりで。
ぱちりぱちりと瞬きを繰り返してる。
「なぁ? 何とか言えよ、つくしちゃん。」
「・・・本気?」
「本気も本気。大真面目で言ってるっつーの。
冗談でプロポーズなんか出来るか!」
「・・・だって、プロポーズって・・・ 裸でベッドでするものなの?
冗談にしか聞こえないでしょ。」
う・・・、そう言われたらそうなんだが・・・
俺の中でピンときたのがさっきだったんだからしょうがねえ。
「じゃ、どうしたら本気だって分かってくれるワケ?」
「う・・・んと、それは・・・」
「・・・分かった。今日はこれから邸に行くぞ。」
「え? それって?」
「親父とお袋に報告するんだよ、コイツと結婚決めましたって。」
「あ、あたし、まだ返事してないけど!」
「・・・断る可能性ってあるのか?」
そう言って、さっきまでの優しいキスとは違う、濃厚なのをひとつ。
ぷはあと息を吐き出した、色気の欠片もないオンナの額にこつりと自分の額を当てた。
「なぁ、俺無しで生きてけんの、つくしちゃんは?」
そう言ったら、不意に涙目になった。
それを見たら胸がきゅんと痺れる。
「俺はお前無しじゃ生きてけない。
だからさ・・・ 俺と一緒にいてくれよ。」
涙目からぽろっと一粒涙が溢れて。
「うん・・・」と小さく顎を引いたから、ほっとして肩の力が抜けた。
またぎゅうっと抱き締めて、目を瞑る。
「牧野つくし」である限り・・・じゃねえな。
「西門つくし」にしちまうから。
「これからずっと一緒にいようぜ。」
「ん・・・」
涙声が胸に響く。
きっと今日が今迄生きてきた中で一番幸せな朝だ。
__________
1月27日は「求婚の日」だそうで。
ギリギリ滑り込みでこんな話を書いてみました。
今日から4話連続で、ONCE UPON A TIME の K+M様の素敵イラスト「甘々 総ちゃん」をお借りして、イラスト付SSイベントを開催します!
K+M様、いつも有り難うございます!
このイラストは、K+M様のお部屋の拍手ボタンを押すと拝見できるものなのですが・・・
一目見た時から大好きで、この度お願いしてお借りすることになりました。
皆様お待ちのあのお話の番外編も届いてます!
この後の更新予定は、1月29日0:00、1月30日0:00、1月31日0:00 となっております!
どうぞお楽しみにー♪



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