今日からしばらく、甘ーい2人でもいかがでしょうか?
5夜連続で総つくSSになります。
ほら、連載の2人、ちょっとシリアスなんで(笑)
例によって社会人になったつくしと総二郎。仲良しな2人です。いや、今日はバカップルか?
__________
2人の休みが運よく重なった。
そんなことは滅多にないから、今日の俺はすこぶる機嫌がいい。
牧野の部屋で、手作りランチを食べた昼下がり。
「ほら。」
後片付けを終えてキッチンから出て来た牧野に、何の前振りも無く、無造作に手渡した小箱にはMの文字。
鈍感牧野でさえ名前位は知っている、あの有名宝飾店の物だ。
流石にアクセサリーが入っていると分かったらしい。
「えっ? 何? 今日って何の日だっけ?
ゴメン、あたし全然覚えてないんだけど。」
オタオタしてる牧野を尻目に
「別に何の日でもねーよ。
ちょっと銀座で茶道具見たついでに寄ってみた。
土産だよ。」
と言ってやる。
「お前が好きそうだなと思ったから。
カジュアルなもんだから気軽に着けろよ。」
「えー、ありがとう、西門さん。
中見てもいい?」
顔を綻ばせた牧野がベルベットの小箱を開ける。
現れたのは、クラシックなデザインの、小さなダイヤが付いたパールのピアス。
「綺麗ー!これ、耳に付けたらゆらゆら揺れるかな?」
「あぁ。そういうのが牧野の好みだろ?」
「うん、そうなの。さすが西門さん!
ちょっと着けてみる!」
いそいそと鏡の前で試している牧野。
散々『高い物は貰えない』とか、『お返しが出来ない』とかほざいて、俺からのプレゼントを悉くダメ出しして来たこいつに、『人の思いがこもった物を突き返すのは心意気を踏みにじる行為だ。素直に感謝して受け取るのが、贈ってくれる人に対して敬意を払う事になるんだ。』と繰り返し言いくるめたお陰で、なんとかこうやって受け取ってもらえるようになった。
まぁ、あまり値が張るものは未だにダメだけど。
そうそう、そうやって素直に喜んでりゃいいんだよ。
プレゼントには贈る楽しみっつーもんがあるんだから。
お前の喜ぶ顔が見たいから、どこに行っても、お前好みのささやかな品を探してる俺って、かなり健気じゃねぇ?
「ねえねえ、どうかな?」
満面の笑みで俺に向き直って聞いてくる牧野が愛おしくて。
思わずこっちにも笑みが浮かぶ。
両の耳元で真珠が一粒ずつ揺れている。
「うん、いいんじゃねぇか?」
軽く頷きながら牧野を眺めていたら、ぴょこんと胸の中に飛び込んで来た。
「西門さん、ありがと!」
俺を見上げてそう言った後、ちょっと背伸びして、頬にチュっとキスして来た。
はぁー? お前は中学生か?
いや、今時は小学生でもキス位するな。
「つくしちゃん、お礼のキスならこっちだろ?」
そう言って、柔らかく抱き締め、牧野の顔に唇を寄せていく。
この瞬間湯沸かし器女は途端に真っ赤になった。
面白くて、唇に触れる直前でストップして様子をみる。
目をぎゅうっと瞑って、俺からのキスを待っている。
必死に笑いを堪えたが、身体が震えるのは隠せなくて。
その様子に気付いた牧野がぱちっと目を開けた。
「あ、あたしをからかって遊ぶなー!」
さっきより更に赤くなってるかも。
面白過ぎる。
「バーカ、声デカすぎ。耳痛ぇだろ。
何、つくしちゃんはキスして欲しかったのか?」
「違うっ!うっさい、エロ門!」
「何だよ、俺はつくしちゃんからのお礼のキス、待ってたのに。」
「離せっ。つくしちゃん、つくしちゃん言うなっ!」
「キスしてくれるまで離さねぇ。
ほら、優しい彼氏に感謝の意を表せよ。」
顔を寄せてキスしやすいようにしてやってるのに、まるっきり無視して俺の腕から逃れようともがいてる牧野。
はぁ。こんなじゃれあいでさえ、俺を幸せにするんだよな。
俺、ホントいかれてる。
お前ってすげえ女だよ。
そう思うとくつくつ笑いが止まらなくなった。
「何笑ってんのよっ!」
ぷんすかって言葉は、こいつの為にあるな。ぴったり過ぎる。
あぁ、もういいか。
駆け引き、要らないよな。
今は俺が素直になるよ。
だって、お前にキスしたいんだから。
この気持ちが伝わるように・・・
そう願いながら、右手で頤をすっと持ち上げ、唇に一つ、長くて甘いキスを落とした。
やっと静かになった牧野に、額を合わせながら言ってやる。
「真珠ってな、古代ローマの人達は月の雫って呼んでたんだってよ。
お前の耳に月の雫が揺れてるなんて、ロマンチックだろ?」
「月の雫?」
「そ。いい響きだよな。」
「うん、素敵。大事にするね。」
そう言って、頬を染めた牧野の唇が、一瞬俺のそれを掠めていった。
やっとお礼のキスが貰えたな。
-fin-
今回のささやかなお品、10万円程でございますー。カジュアルって・・・
総二郎にしてはホントにささやかだと思いますが、つくしにバレたら叱られるね、きっと(笑)

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ほら、連載の2人、ちょっとシリアスなんで(笑)
例によって社会人になったつくしと総二郎。仲良しな2人です。いや、今日はバカップルか?
__________
2人の休みが運よく重なった。
そんなことは滅多にないから、今日の俺はすこぶる機嫌がいい。
牧野の部屋で、手作りランチを食べた昼下がり。
「ほら。」
後片付けを終えてキッチンから出て来た牧野に、何の前振りも無く、無造作に手渡した小箱にはMの文字。
鈍感牧野でさえ名前位は知っている、あの有名宝飾店の物だ。
流石にアクセサリーが入っていると分かったらしい。
「えっ? 何? 今日って何の日だっけ?
ゴメン、あたし全然覚えてないんだけど。」
オタオタしてる牧野を尻目に
「別に何の日でもねーよ。
ちょっと銀座で茶道具見たついでに寄ってみた。
土産だよ。」
と言ってやる。
「お前が好きそうだなと思ったから。
カジュアルなもんだから気軽に着けろよ。」
「えー、ありがとう、西門さん。
中見てもいい?」
顔を綻ばせた牧野がベルベットの小箱を開ける。
現れたのは、クラシックなデザインの、小さなダイヤが付いたパールのピアス。
「綺麗ー!これ、耳に付けたらゆらゆら揺れるかな?」
「あぁ。そういうのが牧野の好みだろ?」
「うん、そうなの。さすが西門さん!
ちょっと着けてみる!」
いそいそと鏡の前で試している牧野。
散々『高い物は貰えない』とか、『お返しが出来ない』とかほざいて、俺からのプレゼントを悉くダメ出しして来たこいつに、『人の思いがこもった物を突き返すのは心意気を踏みにじる行為だ。素直に感謝して受け取るのが、贈ってくれる人に対して敬意を払う事になるんだ。』と繰り返し言いくるめたお陰で、なんとかこうやって受け取ってもらえるようになった。
まぁ、あまり値が張るものは未だにダメだけど。
そうそう、そうやって素直に喜んでりゃいいんだよ。
プレゼントには贈る楽しみっつーもんがあるんだから。
お前の喜ぶ顔が見たいから、どこに行っても、お前好みのささやかな品を探してる俺って、かなり健気じゃねぇ?
「ねえねえ、どうかな?」
満面の笑みで俺に向き直って聞いてくる牧野が愛おしくて。
思わずこっちにも笑みが浮かぶ。
両の耳元で真珠が一粒ずつ揺れている。
「うん、いいんじゃねぇか?」
軽く頷きながら牧野を眺めていたら、ぴょこんと胸の中に飛び込んで来た。
「西門さん、ありがと!」
俺を見上げてそう言った後、ちょっと背伸びして、頬にチュっとキスして来た。
はぁー? お前は中学生か?
いや、今時は小学生でもキス位するな。
「つくしちゃん、お礼のキスならこっちだろ?」
そう言って、柔らかく抱き締め、牧野の顔に唇を寄せていく。
この瞬間湯沸かし器女は途端に真っ赤になった。
面白くて、唇に触れる直前でストップして様子をみる。
目をぎゅうっと瞑って、俺からのキスを待っている。
必死に笑いを堪えたが、身体が震えるのは隠せなくて。
その様子に気付いた牧野がぱちっと目を開けた。
「あ、あたしをからかって遊ぶなー!」
さっきより更に赤くなってるかも。
面白過ぎる。
「バーカ、声デカすぎ。耳痛ぇだろ。
何、つくしちゃんはキスして欲しかったのか?」
「違うっ!うっさい、エロ門!」
「何だよ、俺はつくしちゃんからのお礼のキス、待ってたのに。」
「離せっ。つくしちゃん、つくしちゃん言うなっ!」
「キスしてくれるまで離さねぇ。
ほら、優しい彼氏に感謝の意を表せよ。」
顔を寄せてキスしやすいようにしてやってるのに、まるっきり無視して俺の腕から逃れようともがいてる牧野。
はぁ。こんなじゃれあいでさえ、俺を幸せにするんだよな。
俺、ホントいかれてる。
お前ってすげえ女だよ。
そう思うとくつくつ笑いが止まらなくなった。
「何笑ってんのよっ!」
ぷんすかって言葉は、こいつの為にあるな。ぴったり過ぎる。
あぁ、もういいか。
駆け引き、要らないよな。
今は俺が素直になるよ。
だって、お前にキスしたいんだから。
この気持ちが伝わるように・・・
そう願いながら、右手で頤をすっと持ち上げ、唇に一つ、長くて甘いキスを落とした。
やっと静かになった牧野に、額を合わせながら言ってやる。
「真珠ってな、古代ローマの人達は月の雫って呼んでたんだってよ。
お前の耳に月の雫が揺れてるなんて、ロマンチックだろ?」
「月の雫?」
「そ。いい響きだよな。」
「うん、素敵。大事にするね。」
そう言って、頬を染めた牧野の唇が、一瞬俺のそれを掠めていった。
やっとお礼のキスが貰えたな。
-fin-
今回のささやかなお品、10万円程でございますー。カジュアルって・・・
総二郎にしてはホントにささやかだと思いますが、つくしにバレたら叱られるね、きっと(笑)



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