プロフィール

hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

アクセスカウンター
カテゴリ
最新記事
ランキングボタン
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ



ご訪問有り難うございます
カウントダウンタイマー
花男Blogリンク
君を愛するために
明日咲く花
お友達Blogリンク
恋花-koibana-
沫雪の唄
ブログ村ランキング
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR

糸 前編

総二郎生誕祭 2016!開幕です。
Happy Birthday 総二郎!
という事で、幸せな2人がやって来ました♪


__________



「ねえ、つくし! 今ちょっと話せる?」

優紀からのこの台詞で始まる電話は、いつもちょっとでは終わらない。
下手すると小一時間かかったりもする。
でも今は部屋に独りきりだし。
時間には余裕がありそうだ。
ふふっと小さく笑って、「なあに? 今日はどうしたの?」と尋ねてみた。

「聞いてよ、雅人さんったら酷いの!
今朝起きて、喋ろうとしたら、喉が痛くて掠れ声しか出なくて。
隣に寝てた雅人さん起こして、カスカスの声で、『ねえ、どうしよ? こんな声になっちゃった・・・』って言ったら、あの人なんて言ったと思う?
開口一番、『俺に風邪うつさないでよ。」って言ったのよ!
どー思う、これ?
普通、『大丈夫?』とか声掛けるもんじゃない?」

雅人さんと言うのは、優紀の去年結婚したご主人様。
まだまだ新婚さんの2人。
ラブラブな惚気をいつも聞かされているんだけど、時々行き違いがあるみたい。
まあ、優紀の言う通りだと思う。
いくら夫婦だと言ったって、互いへの思いやりは大切。
病気の時は特に優しくして欲しいって思うのが人情だ。

お怒りの様子の優紀の声は、確かにいつもより掠れ気味。
きっとまだ喉も痛むんだろう。
話なんかしないで、マスクして、喉を休ませてあげた方が優紀の為でもあると思うんだけど。
一頻り愚痴っちゃわないと、この怒りは治まらないっぽい。

「喉から来る風邪なのかな?
具合大丈夫なの、優紀? 病院は?」
「朝イチで行ったよー、雅人さんの朝ご飯並べてから!」

そ、そうか、そこも優紀の怒りポイントだったのか。
いつも言ってるもんね。
『雅人さんは上げ膳据え膳で、台所回りの事なーんにもやってくれないの。
そういうお家で育ったから、知らないみたいなのよね。
今時そんなの時代遅れだって。』
とかなんとか。

「それで? どうだったのよ、お医者さんの診察結果は。」
「風邪だって。
喉の炎症止めと、総合感冒薬と、トローチ貰って来た。
でも帰って来て1回分飲んでトローチ舐めたんだけど、まだ全然喉の痛みが取れないんだよね。」

そりゃそうだ。
さっき飲んで今もう治っちゃうなんて薬、あったとしたら逆に怖いでしょ。

「うーん、どうしたらいいだろね。
お部屋加湿して、マスクして。
ほら、あれ、大根を蜂蜜に漬けたシロップとか。
喉にいいんじゃなかったっけ?」
「あ、うん、そうかも・・・
洗濯物、部屋干しにしようかな、今日は。」
「うん、そうしなよー。
お買い物、行ける?
何なら手伝いに行こうか?」
「いいよ! いいよ!
喉痛いだけで、身体はピンピンしてるし。
つくしの方が大変なのに。
大丈夫だからね! 絶対来ないでいいから! ホントに心配しないで!」

ご主人様に心配してもらえなくて怒って電話してきた筈なのに、あたしには心配しないでって言っちゃう優紀が可愛くて。
電話のこちら側であたしはつい微笑んでしまう。

「そーお?
でも何か困った事あったら言ってよ。
あたしはいつだって優紀の味方なんだから。」
「うん、つくし、ありがと。
そう言ってくれるだけで元気出る。
私だってつくしが困った時には駆け付けるからね!」
「うん、頼りにしてる。」
「あー、でも、あーんなにメロメロに甘やかしてくれるご主人がいたら、私なんか出る幕ないかも?」

優紀のそんな言葉に、急に頬っぺたがぽーっと熱くなる。
つい空いている手で頬っぺたをそっと押さえた。

「ちょ、ちょっと止めてよ!
べ、別にメロメロなんかじゃないしっ!
友達と家族はまた別の大切さがあるっていうか・・・
って、優紀だって、よく雅人さんのこと惚気てるくせに!
この前だって、誕生日に素敵なディナーに連れてってもらって、優紀の好みピッタリのバッグプレゼントされたって、あたしに見せびらかしたじゃないのー。」
「あ、そうだったね。
ふふふ。じゃあ、お互いまだラブラブ夫婦でいられてるって事だね。
なんかつくしと話せたらスッキリした!
お洗濯して、大根の蜂蜜漬け作ってみる!
ありがと、つくし。またねー!」
「うん、喉、お大事にね。」

通話が終わった携帯電話を膝に載せて、一息ついた。
もう12月。
外は冷たい空気が満ちているんだろうけど、ガラスを隔てたこの部屋の中では、お日様の光に当たってるとその暖かさがじんわりと感じられる。
暫くその温もりを堪能していたら、ちょっとドアを開けておいた隣の部屋から声が聞こえてきた。

「お父ちゃま、起きよー! もう朝よー!」
「んー・・・、今日はお仕事お休みなんだよ。
だからもうちょっと寝かせて・・・」
「だめよ、だめよ、あーちゃんもお父ちゃまもお寝坊しちゃったから、早く起きないと朝ご飯お母ちゃまが全部食べちゃう!」
「あー、そうか・・・ それは困るな。
じゃあ、起きるかー。」

全く失礼しちゃう。
人の分の朝ご飯まで食べたりしません!
まあ、待ちきれずに自分の分はもうとっくに食べちゃったけど。
2人の分は温めるだけで食べれるようにちゃんと用意してありますからねっ!

ドアが開いて、お寝坊親子2人がパジャマ姿で現れた。
おめめがぱっちり開いてる娘と、まだ半分瞑っている旦那様。
朝の挨拶を口にする。

「お母ちゃま、おはよー!」
「・・・はよ、つくし。」

旦那様は大欠伸まで披露してくれちゃって、全く。
態とつんとすましてそれに応える。

「お、そ、よ、う、お二人さん。」
「なんでおそようって言うのよ、お母ちゃまー!」

そう言いながらこちらに飛び込んできた娘をぎゅうっとハグした。

「だーって、もう10時なんだもん。
いくら土曜日だってお寝坊し過ぎでしょ。
昨日の夜、お父ちゃまが帰ってきたーって喜び過ぎなんだよ、あーちゃんは。
早寝早起き三文の徳だよ。」
「・・・意味わかんない。なあにそれ?」
「お父ちゃまに聞いたら?
あーちゃんにも分かりやすいようにお話ししてくれるよ、きっと。」

そそくさとバトンをパスして、自分はキッチンへ。

ソファに身を沈めて、もうひと眠りしようと思ってたろうけど甘い、甘い。
この『なんで? どうして? なあに?攻撃』はとってもしつこいのだ。
その洗礼で目を覚ますがいいわ。ふっふっふ。

お味噌汁を火にかけて温め直し、小さな子供用の茶碗と、あたしの手にはちょっと大きな旦那様用の茶碗にご飯をよそいながら、この後の予定を頭の中で反芻する。

きっと今日は楽しい1日になる。
いや、絶対にしてみせるから!
12月3日。
今日はあたしの旦那様のお誕生日だ。


__________



西門家のバースデー当日の朝の風景・・・でございました。
このお話のタイトル「糸」の種明かしは後編で!
結婚後の2人の話って、殆ど書かないんですけど。
お誕生日だから出血大サービスだ(笑)


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

糸 後編

昨夜はお休みしてスミマセンでした!
12月2日のチャット会から始まった総二郎生誕祭 2016!も、今夜のこのお話でラストです!
いいお誕生日になったかなー?


__________



12月3日。
今日は俺の誕生日だ。
今年は偶々土曜日で、天気も雲一つない快晴。
ぽかぽかとした日差しが心地いい小春日和となった。
家族3人水入らずで過ごす為に仕事は休みをもらってる。
特にどこに行きたいとか、何をしたいといった希望も無くて。
少し遅めの朝食を摂りながら、娘に「あーちゃん、今日は何したい?」と聞いてみたところ、「あーちゃんね、メリーゴーランドに乗りたい!」と眼をキラキラさせて言うもんだから、それじゃあ行くしかないだろ!と、近場の遊園地に行くことにした。
目当てのメリーゴーランドは、近付いて見てみれば、禿げたペンキを何度か上塗りした、ボロ・・・と言うか、歴史が感じられるものだったけど、娘はそんな事は気にせず大はしゃぎ。
上下にアップダウンする白馬に跨って、周囲を囲む柵の向こう側で写真を撮ろうとしているつくしに手を振り、きゃらきゃらと笑っている。
「お父ちゃまも、お隣のお馬さんに乗ろうよー!」と誘われはしたが、流石にそれはこっ恥ずかしく、娘の表情がよく見えるように、白馬の斜め前に立ち、スマホで動画を撮るべく、レンズを向けるだけに止めさせてもらった。
くるりくるりと回るメリーゴーランドは、もったりと動き出したと思ったら、すぐにスピードを緩めていく。
動いていた時間より、白馬の上でスタンバイしていた時間の方が長かったくらいだ。
その事に気付いたのか、関係ないのかは分からないが、娘は1回乗っただけで満足せずに、降りた途端に「も一回乗りたい!」と、つくしに強請っていた。
そこは、このしっかり者の奥さんが許す筈はなく。

「あーちゃん、折角来たんだから、色んな乗り物に乗らないと勿体ないよ!
あっちにはお船にのってぷかぷかするのもあるし。
ほら、あれなんか、電車の車掌さんになれるんだよー。」
「え? どれ? どこにあるの、お母ちゃま?」
「んー? 行ってみようかー?」
「うん! 行く!」

等と、あっさり懐柔して、次のアトラクションへと引っ張っていったのだった。
混み合っている休日の遊園地で遊び回り、おやつを食べたいと言う娘の希望を叶えるのと俺達の休憩を兼ねて、近くのホテルのティールームに落ち着いた。
普段食べないだろう山盛りのフルーツパフェに夢中になっていたけれど、はしゃぎ過ぎて疲れたんだろう。
半分も食べないうちに、「もう食べないの・・・」と呟き、「お父ちゃま、抱っこー!」と膝によじ登って来て、うつらうつらと舟を漕ぎ始めた。
そんな様子も可愛らしくて、ニマニマ笑いつつ腕に抱いていたら、つくしに横目できりりと睨まれた。

「全く・・・ あーちゃんには甘いんだから!
こんなの食べ切れる訳ないんだから、注文しちゃダメじゃん!
どうしてあっさり許しちゃうかなー?」
「別にいいだろ?
今日は俺の誕生日だぜ?
俺の好きにさせてくれよ。
それに余ったってつくしが食べるだろ?」
「食べるわよ、そりゃ!
残したりするの勿体無いし!
でも、教育上良くないでしょ。」

怒りながらもスプーンは進んでいる。
パフェは次から次へとつくしの口の中に消えていった。
俺は笑いを堪えるのに必死だ。
ここで笑い声を上げようものなら、更に怒りのお言葉が追加されるのは目に見えてるから。
目を伏せて、娘の様子を見ているふりをしてやり過ごした。
残されたパフェと、自分が注文したケーキセットを食べ終わったつくしは、流石に食べ過ぎたのか、ふうと溜息を吐きながら、腹を摩ってた。

そんな2人を車に乗せれば、既に眠っていた娘だけじゃなく、つくしまで眠りの国へ旅立つのは至極当然の事で。
俺はバックミラーに映る二人の寝顔をチラチラ見ながら、黄昏時の街中を走り抜けてく。
外は日が暮れて、もう寒くなり始めているだろうが、車内は昼間の小春日和の温度を保っているかのような、温かくて柔らかな空気で満ちている。
寝ている2人を起こさぬように、ブレーキングには気を付けて。
そっとそっと安全運転で車を走らせる。
こんなことをするのって、幸せなんだな・・・と思ったりしながら。


家に戻って、つくしの作った心尽くしの夕食と、娘もデコレーションを手伝ったという、苺が多少乱雑に飾られたバースデーケーキを食べた。
ケーキの上のキャンドルを吹き消したのは、俺じゃなくて娘だったが。
どうもケーキを食べるという事よりも、キャンドルの火をふうと吹き消すところが大事らしい。
花より団子の母親と、ちょっと違っているのは、俺の血が入っているからなのか、単なるお年頃だからなのか。
ケーキを食べた後に、娘がどこかから持って来たのは、リボンを巻いた筒状の画用紙。
「お父ちゃま、お誕生日おめでとー!」という台詞と共に手渡されたそれを広げてみたら、中には俺の似顔絵と、「おとうちゃまだいすき おしごとがんばってね あやより」とクレヨンででかでかと書かれた文字が見える。

「おー、あーちゃん、ありがとな。
絵も字も上手になったなあ。
お父様は嬉しいよ。
これ、額に入れて飾ろう。
なあ、つくし?」

そう言って、娘を抱っこしつつつくしの方に顔を向けたら、ハイハイと言いながらうすら笑いを浮かべてる。

あいつ、また『あーちゃんに甘い』って思ってんだろ?
娘が誕生日に俺の為に似顔絵書いてくれてんだぜ。
それも大好きって書き添えて。
そりゃ嬉しくって頬も緩むって。
それがフツーだろうが。
ん? まてよ・・・
ああ、そうか、そうか。
俺が娘にデレデレしてるから、ヤキモチ焼いてんのか。
ふふん、可愛いとこあるよな、俺の奥さんは。
お前を甘やかすのは、コドモがぐっすり寝た後で。
俺が一番大事なのは誰なのかって、たーっぷり教えてやろう。

そう思い付いたから、流し目と甘い微笑みを送っとく。
つくしはこれに弱いから。
案の定、ちょっと頬を染めて、慌てて「あたし、お片付けしなきゃ!」なんてキッチンに逃げ込んで行く。
俺は娘を高い高いしてやって、笑い声を上げさせながら、自分も笑ってた。


娘を寝かしつけて、リビングに戻ってきたつくしが、温かい飲み物を手にソファまでやって来た。
よいしょ・・・なんてオバサンくさい掛け声を口にしながら、俺の隣に座る。

「お疲れさん。」
「そっちこそ1日お疲れ様。
折角のお誕生日なのに、ゆっくり出来なかったし。
あーちゃんの我儘を聞く日になっちゃったけど。
大丈夫だった?」
「何言ってんだよ。サイコーの誕生日だろ。
俺と、お前と、綾と3人で一緒に過ごして。
綾の喜ぶ顔いっぱい見て。
お前の作った美味いメシ食って。
綾からはプレゼントももらって。
今日はすげえ幸せな一日。」

そう言って身体をずらして、つくしを背中から抱き締めたら、俺に凭れ掛かりながら、くすっと笑ってる。

「それって、殆ど普段の休日と変わらないと思うんだけど・・・
あーちゃんはお父ちゃまといればいつだってご機嫌だし。
あたしは毎日ご飯作ってるし。
特別な事してないじゃない。」
「特別な事なんかしなくたっていいんだよ。
俺には、家族で過ごす時間が宝物なの。
ま、こうやって綾がいなくて2人でイチャイチャするのも大事だよな?」
「全く、父親になってもエロ門なんだから。」

まだ何にもしてないのにこの台詞。
そんな男だと重々承知で嫁いできたってのに。
でもつくしがこの腕の中にいてくれるだけで、俺は本当に幸せで心が満たされてく。

本当なら全く違う人生を歩んでいただろう、俺とつくし。
英徳で出逢わなかったら、きっと一生互いを知らぬままに過ごしていったことだろう。
でも俺達は巡り合った。
そして一緒に生きていくことを決めた。
それって、一生に一度あるかないかの奇跡的な出逢いだと思う。

「でもそんな俺が好きだろ?」
「あたしはエロ門が好きなんじゃない!
好きになっちゃった人が偶々エロ門だったの。」
「同じ事だろうが。
どっちみちお前は俺にベタ惚れだよな。」
「誰がっ!」
「おおっと。そんな大声出すと、胎教に良くないんじゃね?
腹の中で聞いてるチビがいるんだから。」

そう耳元で囁いたら、慌てて腹をそっと摩ってる。
今、つくしの腹の中には、俺達の2人目の子供がいる。
次に俺達のところに来てくれる天使は、男の子だそうだ。
一緒に膨らんでいる腹に手を当てた。

「なあ、今度はどんな名前にしようか?」
「総二郎さんの方がセンスいいんだから、総二郎さんが決めた方がいいんじゃないの?
あたし、あーちゃんの名前を綾ってつけてくれた時、ホントに感動したんだよね。
だから、次のこの子の名前も期待してるんだー。
お父ちゃまが素敵なお名前付けてくれますよー。
だから元気に出てくるんだよー。」

『綾』という娘の名は綾織という織物に由来している。
縦糸と横糸を交差させて一枚の織物を作り上げる。
俺が縦糸で、つくしが横糸で。
2人で力を合わせて織り上げた綾織の布。
それが『綾』になる。
色とりどりの美しい糸が縦横に重なって、誰も見たこともない素晴らしい模様を生み出す。
だから俺達が糸になって、綾のこれからを彩ろう。
そう願って付けた名前だ。

「綾の名前は俺が付けたんだから。
今度はつくしが考えたらいいんじゃねえの?」
「うーん、でも男の子なんだから、お父様やお母様にも何かお考えがあるかもしれないし。」
「俺達の子なんだから、親父やお袋には口出しさせねえよ。」
「そーお?
皆、名前付けたくてうずうずしてると思うけどなあ・・・」

暢気な声でそう話すつくしが愛おしくてたまらない。
かけがえのない愛すべき相手に出逢えたこと。
その幸せを噛み締めつつ、つくしと2人、ソファの上で身体を寄せ合う。

「ありがとな、つくし。」
「え? 何が?」
「俺んとこ来てくれて。」
「じゃあ、あたしもありがと。」
「んん?」
「あたしと一緒にいてくれて。
あたし、すっごく幸せ!」

やっぱり今日は、最高の誕生日だろ。


__________



この「J-POPで総つく」というのは、11月のチャット会にいらして頂いた方に、「総つくにハマりそうなJ-POPを推薦して頂いて、それを元に管理人がお話を書く!」という企画をお願いした事から始まりました。
今回、その時に挙げて頂いた1曲、中島みゆきの「糸」を元ネタに書かせて頂きました♪
色々なJ-POPをご提案頂いたので、これからも折に触れて書いていこうと思ってます。

総二郎生誕祭 2016!如何でしたか?
お楽しみ頂けましたでしょうか?
お話を書く時間が足りなくて青息吐息だったのですが。
(昨夜はとうとうダウンしてしまいました。眠くてどうにもならなかったー!ゴメンナサーイ!)
りく様はお願いしたらあっという間にさらりと書いて送って下さるから、こりゃ、自分も書かないとヤバイ!と、余計に焦りました(苦笑)
いや、自業自得なんですけどー。
りく様のお蔭で、久し振りに「水恋」の2人に出逢えて幸せな気分になりましたし。
チャット会も沢山の方にお出で頂いて、楽しい時間を過ごさせて頂きました。
コメントでの応援もとても嬉しかったです。
また来年、こうやってお祝いできるようにコツコツ頑張ります!
どうも有り難うございましたm(__)m


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

Hold your hand 前編

Joyeux Noël (*´▽`*)
クリスマスイヴのお話を何とか捻り出しました。


__________



「ねえ、あたし、クリスマスって大好き!」

そう言ってこちらを見上げた煌めく笑顔は、夜を彩るどのイルミネーションよりも輝いて見える。

「どうせあれだろ?
美味いモンが食えるとか、プレゼントもらえるからとか、そんなんだろ?」
「ちっがーーーう!
何かこうさぁ、街中がキラキラして。
行き交う人も仲良さそうなカップルだったり、楽しそうな家族連れだったりして、そこら中に幸せがいっぱい溢れてるでしょ。
それ見てると、こっちまで心がほっこりするんだもん。」

街を歩いてる奴等が全員リア充の訳ねえだろ。
お前の目は節穴なんだよ。
非リア充のさみしーい輩が目に入らないだけだ。
そこかしこに、背中を丸めつつ一人歩いてる草臥れたサラリーマンや、家事に追われて疲れが顔に出てるオバサンや。
独りぼっちで歩いてる女子も、男だけでそぞろ歩いてるモテなさそうな一団だっている。
だけど、お幸せなお前の目は、上手いことそういう奴等を映さないらしいな。

「こんないいオトコと手ぇ繋いで歩いてるから自分も幸せなんだって言わねえの?」
「はあ・・・ いつも思うんだけどさ、自分の事いいオトコとか言うの恥ずかしくない?」
「別に。ホントの事だからな。」

そう言って、ちろっと視線を送ってやると、ちょこっと唇を尖らせながらも、頬を染めてる。

その頬の赤みは、寒いからだけじゃねえだろ?
ああ、ホントいくつになっても可愛いよな、お前って。

繋いでいる手にちょっと力を込めて、きゅっと握ってみる。
嫋やかな小さな手は、いつも通り温かくて、繋いでいるところからじんじんとした感覚と共に温もりが届く。
俺が握り締めた手もまた俺の左手を握り返してきた。

「手を繋いで歩くのって、久し振りだね。」
「そうだよな。
お前の右手はいつだって綾を捕まえるので塞がってるから。」
「だってあーちゃん、手を放すとぴゅーっとどこかに行っちゃうんだもん。
あたし、怖くって。
あの行動力は一体誰から受け継いだんだろ・・・?」
「そんなのつくしに決まってるだろ。」
「えーっ? あたしー?」

お前以外に誰がいるってんだよ。
英徳のジャンヌ・ダルクとか呼ばれてた女なんだぜ。
綾は、顔立ちは俺に似てるけど、性格はまるでミニつくしだって。

まだぶつくさ言ってるけど、俺はそれを無視して言葉を紡ぐ。

「こうやって2人でのんびり歩けるのは今だけだな。」
「そうだねえ。
来年にはこの子が出てきちゃうもん。
そうしたらあたし達もこんな風に2人で出掛ける・・・なんてまた当分出来なくなるね。」

コートの上から、ちょっと目立ち始めた腹に手を当てている。

「きっと祖父さん祖母さんがほっとかないから、案外すぐに預けて出掛けられるかも知れねえぜ。」
「何言ってるのよ。
お義父様もお義母様もお忙しいんだから、そんな訳にはいかないってば。」
「そうかー?
今日だって嬉々として綾を攫っていっただろ。」
「あーちゃんはおじいちゃま、おばあちゃまに、大好きな修三郎おじちゃまでいてくれて、まるでお姫様みたいなクリスマスパーティーだろうけど。
きっと大変だよー。
あの子、今迄一人っ子だったから我儘だもん。
誰かさんがあーちゃんに甘いから余計に。」

うーん、結局そこに行きつくか・・・
ホントは俺よりも、親父やお袋がメロメロなんだけどな。
なんてったって初孫だし。
ウチには女の子が生まれなかったこともあって、蝶よ花よと猫可愛がりしてるじゃねえか。
そこには突っ込む気は更々ないらしいな。
鈍感な癖に、妙なところに鼻が利く。

「お蔭でクリスマスイヴに2人っきりでデート出来てんだから、文句言わなくてもいいんじゃね?」
「デートなの、これ?」
「2人きりで手ぇ繋いで、イルミネーション見るために出掛けてくるって、れっきとしたデートだろ。」
「ふうん・・・」

ふふふっと笑いを零してるのが分かったから、ちょっと首を傾げて、またつくしの方を覗き見る。
すると何故か勝ち誇ったような満面の笑みを浮かべていた。

funny face・・・ね。
絶世の美女じゃねえけど。
俺を魅了する笑顔は、こいつしか持ってない。
あ、綾は別枠。
あれは、オンナじゃなくて娘だからな!

「手を繋いでくれるのって嬉しい。
総二郎さんって女の人と手を繋ぐイメージなかったからさ。
初めて手を繋いでくれた時、すっごく驚いたし、ドキっとしたんだよね。
今でもまだ覚えてるもん。
腕組むよりも、手と手がこうやって重なってるのって、仲良しの印って感じしない?」
「俺達はいつだってラブラブだろ?」
「もーーーっ! 子供も2人目が生まれる位、お互いオジサンオバサンになってるんだから!
そういう事言わないでっ!」

何でだよ?
ラブラブだから、2人目だってやって来たんだし。
可笑しくないだろ?
俺達一緒にいるようになってから、ずっとこうやって手を繋いできたよな。
俺はいつまでもお前と手を繋いで歩くさ。
そう、それこそジーサンバーサンになってもな。
この手はお前の為にあるんだから。

また百面相してる奥さんの蟀谷にチュッと小さなキスを落すと、余計にジタバタしているから、俺はついつい笑ってしまう。
子供2人の母親になろうって女が、こんな細やかなキスひとつで照れているのが可笑しくて。

ほら、俺達、変わらずラブラブだって。

「身体冷える前に帰るぞ。
チビが凍えたら困るからな。」
「うんっ。」

嬉しそうな笑みを見て、俺もまた幸せな気持ちで満たされる。
しっかりと手を繋いだ俺達は、またイルミネーションの光の中をゆっくりゆっくりと歩いていった。


__________



今日は「糸(前編後編)」の続編でした。
「J-POPで総つく」、第2弾です。
クリスマスと言ったらこの曲!という名曲をお借りしております。
ネタバレは(しなくても分かるかもだけど・・・)後編で!

先日、ブログメイトのasuhana様のお部屋で、「J-POPで総つく」の番外編として、SSをひとつUPして頂きました(^^ゞ
こちらはエレファントカシマシの「悲しみの果て」がモチーフになっています。
良かったらお訪ね下さいね!
小さな花とコーヒーと。」というお話です♪

ふうー。クリスマスっすか。
実は管理人、つくしとは違ってクリスマス、そんな好きじゃないです・・・
そりゃ子供の頃は好きだったんだけど。
今は人に何かしてあげる立場になっちゃった!という事で、毎年プレゼントやクリスマスカードの準備と発送なんかに追われてるんですよね。
自分へのプレゼントも買いたい・・・
因みに今欲しいものは、ぐっすり眠れる枕と、ボロボロになったキッチン鋏の代わりの品です(^_^;)
それ、プレゼントじゃねーよ! 日用品だよ!
皆様は素敵なクリスマスイヴをお過ごしくださいね!


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

Hold your hand 後編

光の洪水のようなイルミネーションの中を歩いて行く。
つくしの瞳はそれを映して、まるで小さな宇宙のように輝いていた。
東京の端にあるこの遊園地は、毎年イルミネーションが凄いことで有名なんだそうだ。
つくしはかねがね来てみたいと思っていたらしい。
だけど、そんなイルミネーションデートが叶わないまま、俺の嫁になり。
そのうち腹に綾が入り、出産して5年。
夜暗くなってから綾を外に出すのを嫌ったつくしは、イルミネーションが見たいなんて言い出さなかったんだが。
今年は少し様子が違った。
お袋が綾とクリスマスを祝いたい・・・なんて言い出したからだ。
クリスマスだあ?
俺はこの家で一度もそんな事したことねえっつーの!
ここは茶道西門流の本家だぜ?
そりゃ、離れで暮らす俺とつくしは、2人でこっそりクリスマス気分を味わっていたし。
綾が生まれてからは、小さなツリーも買って、毎年サンタクロース(に成り代わった俺達)がプレゼントを綾の枕元に置いていた。
綾が幼稚園に入ると、勿論季節の行事が園でもあって、クリスマス会も執り行われる。
そこでは赤と白の衣装を纏ったサンタクロース(の中の人は誰かのパパらしい)が園児にプレゼントを配って歩く。
綾だって、毎年それをとても楽しみにしているのだ。
そんな話を聞きつけたお袋が、自分達も綾のサンタ代わりになるべく、クリスマスパーティーを提案してきたってワケ。
それも、綾さえいれば、俺とつくしはどうでもいいらしい。
ホント孫バカだ。
綾を母屋に連れて行って、これまた綾を可愛がってる修三郎と自分たちと4人でパーティーすると。

「ね、だから、総二郎さんはつくしさんとどこかでクリスマスディナーでもしてきたら?
お腹の中の赤ちゃんが生まれたら、当分そんな機会もなくなりますからね。
つくしさんもたまには貴方と2人でのんびり美味しいものでも食べてきたらいいと思うのよ。
あーちゃんといると、気が休まる時がないでしょう、母親ってものは。」

母親だから・・・ってだけじゃないよな。
子育て中&妊娠中のつくしは、西門流に係わる事に表立って携わってはいないが、次期家元の嫁なのだ。
邸の中では『若奥様』。
家の中では綾の母親で、俺の妻で、主婦。
まあ、ここにいたらいつも気が張ってることだろう。
ここはひとつ、お袋の策に乗っかって、つくしを外に連れ出してやろう・・・と思い、どこに行きたいか聞いたところ、勢い込んで言い出したのが、この『イルミネーション見物』だったのだ。

クリスマス・イヴ当日の夜・・・
それも偶々土曜日ということもあり、遊園地の中は人でごった返してる。
でもつくしは念願のイルミネーションに夢中で、その混み具合は全く気にならないらしい。
はぐれない様に・・・と久し振りに繋いだ手は、付き合っていた時の恋人気分を思い出させた。



付き合いだして初めての冬。
ずっと想っていたつくしと、やっとのことで想いを通わせた俺は、とても浮かれていた・・・んだと思う。
それまでクリスマスなんて、絶対に女と過ごしてはいけないキケンな日で。
世間の浮かれ具合とは正反対に、誰にも捕まらない様にひっそりと身を隠すのが常だった。
だけど、そんな俺が初めてクリスマスを一緒に過ごしたいと思った女がつくしで。
クリスマスプレゼントを贈って喜ぶ顔が見たいと思ったのもつくしが初めてだった。

高価な物をやるとあーだこーだ文句を言うから、小さな、だけれども極上のダイヤモンドが埋め込まれたピアスとネックレスのセットを俺は用意していたんだけれど。
心の片隅に引っ掛かっていたのは、いつか2人でショーウィンドウから見たティーセット。

「欲しいなら買ってやるって。」
「ううん、あれ、すっごく素敵だけど。
あたしんちにはあれを入れとく食器棚すらないから、見てるだけでいいや。
ほら、豚に真珠になっちゃう。」
「・・・フツー自分で言うか、それ。
俺の彼女、豚なのかよ・・・
せめて、猫に小判ぐらいにしとけよ。」
「あ、そっか、そっちもあったね。」

馬の耳に念仏もある・・・というのは言わないでおいたが。
そんなやり取りがあったんだ。
その時のつくしの横顔がチラチラと脳裏を過る。

あいつはああ言ったけど・・・

急いで仕事を切り上げて、駆け付けたのは、閉店間際のいつかの店。
あいつが見惚れていたティーセットはまだ店にあり、俺はほっとしつつそれを包んでもらった。
それを傍らに置きながら、あいつが待つ部屋に向かう車の中、街の灯りはいつもよりも美しく目に映り、それをぼんやりと見ていた時、俺は何とも言えない気持ちで胸がじん・・・と熱くなった。

俺を待ってる人がいる。
俺の手の中には、その人を喜ばせるだろうプレゼントがある。

喜ぶであろう顔を瞼の裏に描きながら、車の揺れに身を任せ、やっと到着したアパートの前で車を降りる。
逸る気持ちを抑え切れず、一段飛びに階段を駆け上がり、コンコンとドアをノックした。
開いたドアからは、俺の大好きな向日葵の様な笑顔と、腕によりをかけて作ってくれてるんだろう晩飯の美味そうな匂いが溢れて来る。

「西門さん、いらっしゃい!」

耳に忍び込む声がくすぐったくて、俺はちょっと肩を竦めた。

暖かな部屋で、乾杯をし、手作りのクリスマスディナーを食べた。
ケーキを食べる時は、灯りを消してキャンドルに火を点ける。
ゆらゆらと揺れる光の中で俺は用意してきたプレゼントを手渡した。
まずはピアスとネックレスを。
それを身に着けて「どーお?」と聞いてくる、その小首を傾げた様が思いの外、胸を高鳴らせてちょっと焦ったんだ。
だけど、それを気取られないように、もう一つの大きな包みを目の前に置く。
「え、まだあるの?」なんて言いながらガサゴソと包みを開けて、中のティーセットを見つけた時、あいつは何だか泣き出す一歩手前みたいに顔をくしゃっとさせた。

「これ・・・」
「ああ、欲しそうに見てたろ。」
「でもあたし、要らないって言ったじゃない。」
「豚に真珠って言ってたな、確か。」
「しまうとこないし・・・」
「棚も買っちまったらいいんじゃね?」
「何言ってんのよ!
余計なお金使うの禁止!」
「言っとくけど、お前が毎日好みのカップでお茶飲むのって、全然無駄なことじゃねえからな。
俺は茶を点てる時に、抹茶茶碗を選ぶ。
美味しく茶を点てられるのはどれか。
今の季節に合っているのはどれか。
どの茶碗なら、今日の客人に相応しいのか。
でも一番大事なのは、その茶碗で茶を飲むことが嬉しい、美味しいって思ってもらえるかだ。
お前のティーカップも一緒なんだよ。
毎日これを使って『これで飲むとお茶が美味しい!』って思えたら、それだけで意味があるんだ。
分かるか?」
「う、うん・・・ 何となく・・・」

何で『何となく・・・』なんだよ!
こんなに真面目に熱心に解説してやったのに!

そんな俺の想いを知ってか知らでか、無邪気なこいつは爆弾を落としてきた。

「あのね・・・ これ見た時に、2人でこれでお茶を飲めたらきっとすごーく幸せだなって思ってたんだよ。
だからね、これからは西門さんが来た時には、これで美味しいお紅茶淹れるね!」

不意打ちの言葉に、俺を見詰めてきた少し潤んだその瞳に、心臓を撃ち抜かれ、思わず自分の胸にかき抱く。

「え・・・? ちょっ・・・ どしたの?」
「・・・クリスマス・イヴなんだからハグぐらいしたっていいだろ。」
「ん・・・」

ちょっと力を抜いて、俺に身を預けてくる仕草が、ホントに俺達恋人同士なんだな・・・としみじみ思えて。
さっきよりしっかり身体を寄せ合った。
こんなに幸せなのに。
好きな女を腕に抱いているのに。
何故か胸の奥から切ない気持ちが湧いてくる。

「ずっと一緒にいような、俺達。」
「・・・うん。」
「もう離さないからな。」
「・・・うん。」

俺の胸に顔を埋めてくるから、そっと頭を撫でてみる。

そうか、これは・・・
俺が大切なものを手に入れてしまったから初めて知る感情。
こいつが俺の許からいなくなってしまう事が怖いんだ。
人を本気で好きになるっていう事は、こんな感情を伴うんだな。
ただ好きでいるだけじゃないのか・・・

鼻の奥がじん・・・として。
目の奥が熱くなった気がしたけれど。
それをなんとか抑え込んだ。
いつまでも一緒にいられることを強く強く願いながら。



手を携え、光の道を歩きながら、あの時の事を思い出す。

俺はこの手を離さない。
これまでも、これからも。
何があっても。


__________


「J-POPで総つく」。
このお話はチャット会でご推薦頂いた、B'zの「いつかのメリークリスマス」が元ネタです。
ハピエンに書き換えてありますけど(笑)
あとねー、椅子を買う、電車で移動・・・というところが総二郎っぽくなかったので、ティーセットにしてしまいました。
お蔭でちょっと演説ぶってますけど(^_^;)
クリスマスSS、お楽しみ頂けたなら嬉しいです♪

えー、実は書いてる途中でアクシデントで消えまして・・・
突貫工事で書き直しましたが、遅刻でUPです。
イルミネーションね、自分が見に行きたいけど行けないのですよ・・・
なので、妄想内で代わりに行って頂きました!

リアル拙宅、またクリスマスなのに病人発生で火の車です。
ゆっくりしたいなあ・・・
年賀状もまだだよ・・・


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

Tears of joy 前編

新年すっかり明けましておめでとうございます。
皆様、のんびりとしたお正月を過ごされましたか?
管理人はバッタバタな年末年始でございましたよ(苦笑)
そんな拙宅ではございますが、今年もどうぞ宜しくお願いしますm(__)m

新年最初のお話は、お友達・りく様のお部屋 恋花-koibana- との連動企画です。


__________


ああ、あったかいなあ・・・
何か、物凄く安心できる・・・

そう思いつつ、瞼をゆっくり開いていくと、目の前には薄ぼんやりとしたカーテン越しの朝の光に浮かび上がった、端正な顔が見えた。

そっか。
あたし、西門さんと一緒だったんだっけ。
もう会えない・・・って思ってたのに、会えたんだ。

いつもクールぶって、当代第一の色男を演じているこの人も、眠りについている時は何の仮面も被っていなくて、邪気のない素顔を晒す。

綺麗な人・・・
3年経ったって全然変わってない。
いや、むしろ男っぷりは上がってるのかも。

そろりそろりと指を伸ばして、その頬にそっと触れた。
男の人とは思えないきめ細やかな滑らかな頬は、温かな身体とは裏腹に、ほんのりと冷えていて、白磁みたいだ。
目の辺りにサラサラとした黒髪が落ちて掛かっているから、起こさないように気を付けて、その髪を除けてみた。

びっしりと生えた艶やかな長い睫毛。
瞬きしたら、ぱさりぱさりと音がしそう。
すうっと通った鼻筋。
ちょっと薄いけど、形のいい唇。
まるで作りものみたいじゃない?
同じ人間でもこうも違うと、嫉妬するどころか、見惚れるだけだよねぇ。

そう思って、まじまじと寝顔に見入ってしまう。
この上なく幸せな朝なのに。
何故かじんわりと涙が滲むから、整った顔の輪郭がぼやけていく。

「会いたかった。
ずっと、ずっと会いたかったよ、西門さんに。」

囁くように呟いて、唇が触れるだけの小さなキスをした。
それだけで胸がいっぱいになる。
再び瞼を閉じて、身体の力を抜くと、まるで夢の中を漂っているような、ふわふわした感覚があたしを包んだ。

もう朝なんだけど。
もう少しだけ。
あと少しだけでいいからこうしていたい。
この幸せな温もりを感じるために、もう少しだけこうやって身体を寄せ合って。
もう少しだけ西門さんの存在を確かめていたい。
だって、あたし達、やっと会えたんだから。



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



3年前の春、あたしは一方的に西門さんとお別れをした。
今生の別れなんだと覚悟して。
どうしてかって言うと・・・
西門流の関係者だという人があたしの部屋を訪ねて来て、「次期家元の事を思うなら、身を引いて下さい。」と小切手を差し出したから。
あたしからすると、ああ、またか・・・って気分だった。
道明寺と付き合ってた時、道明寺のお母さんが5000万円をアタッシュケースに入れて持って来たのを思い出す。

お金持ちって、ホントに何でもお金で片が付くって思ってんのね。
でも、あたしが欲しいのはお金じゃないのに。

「分かりました。西門さんとはお別れします。
でもこれは受け取れませんのでお持ち帰り下さい。
あと、今日ここにいらした事は、西門さんの耳には入れないで下さい。
西門さんが気に病むと思いますから。」

と言って、その人を追い返した。

それからのあたしの行動は素早かった。
勤めていた会社に辞職願を出して、すぐに辞めさせてもらった。
年度末なのに、大量の有給休暇を余らせていたから、上司から文句は言われたけれど、何とかなった。
そして住んでいたアパートの部屋を引き払うためにありとあらゆる物を片付けた。
家具や家電は全部処分し、処分しきれない大事な物は、トランクルームに押し込める。
手元にはスーツケースひとつだけが残った。
まるでちょっと旅行に行くかのような姿になったあたしは、最後に西門さんとデートをした。
いつも通り、いつも通り・・・と自分に言い聞かせながらの最後の逢瀬は、何をしていても、何を見ても胸がずきりずきりと痛む。
あたしに甘く笑いかけてくれる度に。
その指がそっとあたしに触れる度に。
もう不意打ちにされても身体が逃げなくなったキスを落される度に。
喉の奥で押し止めている涙が零れ落ちそうになる。
それを堪えるために顔が歪みそうになるから、誤魔化すために、この日のあたしはひとりでケラケラとよく笑った。
眠れないままに最後の朝が来て、一晩中見詰めていた寝顔が、段々はっきりと浮かび上がって来るのと同時に、堪えてきた涙もじわりじわりと身体の中から湧いてきた。

ごめんね。
黙っていなくなるの、バレたらきっとすっごく怒るよね。
でも・・・
あたしはあなたのお荷物にはなりたくない。
あなたより大切なものなんて、あたしにはないんだ。
だから・・・
だから手を離すね。
あたし達の間には、遥かに高い壁がある。
そしてあたしは、気持ちだけじゃそれを乗り越えられない現実を誰よりも知ってるから。

見納めになるだろう寝顔が涙で滲む。
目も鼻もじんじんと熱い。
忘れたくなくて、ずっと憶えておきたくて。
そっと掌でその頬を包んだら、ゆっくりと瞼が開き、寝惚け眼の西門さんがあたしを見遣る。

「何、お前泣いてんの?」
「ううん、欠伸したら涙出て来た。」
「ったく、色っぽくねえなあ、つくしちゃんは。」

そう言ってあたしをぎゅっと抱き寄せてくれた。
その腕の中はいつもと同じ様に温かいのに、これが最後だと思うと身体中を針で突き刺されているかのような痛みが走る。

ああ、ダメだ。
これ以上泣いたら、変に思われる。

肩越しに熱い吐息をこっそり逃がしつつ、西門さんの体温を感じて、痛みに苛まれて。
必死に涙を飲み込んだ。

いつもと同じ様に、会社の近くで車を降り、「ありがと、じゃあね。」と手を振った。
いつもは「またね」って言ってるあたしが、「じゃあね」って言ったことに、西門さんは気付かない。
それでいいんだと自分に言い聞かせた。

「ありがとう」は、今迄の全ての事に。
「じゃあね」は、「さようなら」の代わりなの。
『ありがとう、さようなら、西門さん。』

走り去る車を見送ったら、また涙が零れそうになるだろうから、くるりと背を向けて歩き出す。

1、2、3、4・・・30。
ゆっくり30歩進んで振り返ったら、当然西門さんの車はもうそこにはなくて。
これでお終いなんだ・・・と思ったら、口からは長い長い溜息が出て来た。
直ぐにでもわーわー泣き出したかったけれど、あたしにはやらなきゃいけない事がある。
その足で携帯電話を解約して、新しい番号の電話を買った。
郵便局には転居届を出す。
新しい住所は勝手に進のアパートにさせてもらった。
何通かの手紙をポストに投函し、コインロッカーに詰め込んでおいたスーツケースを引っ張り出して、電車に乗る。
行先は新宿の長距離バスターミナル。
知らない場所に行こうと思った。
今迄暮らしてきた東京とは、全然違う場所に行きたかった。

行き当たりばったりに買ったバスのチケット。
それは長野行きだった。
何で長野だったかっていうと、買ったばかりの新しいスマホで検索したら、チケット代がセールでたった1500円だったから。
こんな時でもついついお安い物、お得な物を選んでしまう自分が恨めしいけど、1500円で4時間ほど座っていたら知らない土地に着いているなんて素晴らしい。
なんてったって、無職で宿無しなんだから、お金はなるべく節約しないといけないのだ。
長野のイメージって言ったら、山、林檎、蕎麦、海無し県くらいしかないあたしは、ぼんやりとシートに身を預けて、流れてく高速道路の車窓を見ていた。
西門さんから離れていく自分を実感したくなくて、態と何も考えないようにする。
昨夜一睡もしていなかったあたしは、気付けば眠ってしまっていて、起きた時には長野駅の前に着いていた。
もう夕方。
ネットで見つけた駅前のホテルのシングルルームに泊まることにした。
食事をする為に外に出る気持ちにもなれなくて、コンビニで買ったお握りとお茶を小さなテーブルの上に置く。
ぽよんぽよんと跳ねるスプリングのベッドに腰を下ろした途端、緊張の糸が切れたのか、目から涙がぱたぱたっと落ち始めた。

取り返しのつかない事をしてしまった。
だけど、こうする以外の事を思い付けなかった。
西門さんはあたしと電話が繋がらない事にもう気付いているだろう。
もしかしたら部屋に駆け付けて、ドアを開けているかもしれない。
もぬけの殻になっているのを見て、何を思うんだろう?
聡いあの人の事だから、何があったかすぐに気付くんだろうか?
怒るんだろうか?
悲しむんだろうか?
それともあたしを・・・ 恨むんだろうか?

考えても仕方のない事が頭の中を巡っていく。
乱れた心を抱えながら、声を押し殺して泣きに泣いた。


__________


おおっと。
新年一発目なのに、可哀想な目に遭わされているつくしです。
哀しみの涙をタイトル通りの嬉し涙に変える大逆転は明日UPの後編にて!

実はりく様のブログ開設5周年のお祝いにSSを献上させて頂いたのですが、それを読まれたりく様から、「これ、総つくでもいけるんじゃない?」と言われまして。
うん、そうかもねー、じゃあ総つくにリライトしてみるかー?となったのがこのお話を書くきっかけでした。
りく様に贈ったお話は鷹瑠璃で鷹男語りで。
拙宅では総つくでつくし語りにしてみました。
双方読んでお楽しみ頂けたら嬉しいです♪
このお話と対になっている鷹瑠璃Versionの前編は「I'll never ever let you go 前編」です。
どうぞ宜しくお願いしまーす(^O^)/


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学