総二郎生誕祭 2016!開幕です。
Happy Birthday 総二郎!
という事で、幸せな2人がやって来ました♪
__________
「ねえ、つくし! 今ちょっと話せる?」
優紀からのこの台詞で始まる電話は、いつもちょっとでは終わらない。
下手すると小一時間かかったりもする。
でも今は部屋に独りきりだし。
時間には余裕がありそうだ。
ふふっと小さく笑って、「なあに? 今日はどうしたの?」と尋ねてみた。
「聞いてよ、雅人さんったら酷いの!
今朝起きて、喋ろうとしたら、喉が痛くて掠れ声しか出なくて。
隣に寝てた雅人さん起こして、カスカスの声で、『ねえ、どうしよ? こんな声になっちゃった・・・』って言ったら、あの人なんて言ったと思う?
開口一番、『俺に風邪うつさないでよ。」って言ったのよ!
どー思う、これ?
普通、『大丈夫?』とか声掛けるもんじゃない?」
雅人さんと言うのは、優紀の去年結婚したご主人様。
まだまだ新婚さんの2人。
ラブラブな惚気をいつも聞かされているんだけど、時々行き違いがあるみたい。
まあ、優紀の言う通りだと思う。
いくら夫婦だと言ったって、互いへの思いやりは大切。
病気の時は特に優しくして欲しいって思うのが人情だ。
お怒りの様子の優紀の声は、確かにいつもより掠れ気味。
きっとまだ喉も痛むんだろう。
話なんかしないで、マスクして、喉を休ませてあげた方が優紀の為でもあると思うんだけど。
一頻り愚痴っちゃわないと、この怒りは治まらないっぽい。
「喉から来る風邪なのかな?
具合大丈夫なの、優紀? 病院は?」
「朝イチで行ったよー、雅人さんの朝ご飯並べてから!」
そ、そうか、そこも優紀の怒りポイントだったのか。
いつも言ってるもんね。
『雅人さんは上げ膳据え膳で、台所回りの事なーんにもやってくれないの。
そういうお家で育ったから、知らないみたいなのよね。
今時そんなの時代遅れだって。』
とかなんとか。
「それで? どうだったのよ、お医者さんの診察結果は。」
「風邪だって。
喉の炎症止めと、総合感冒薬と、トローチ貰って来た。
でも帰って来て1回分飲んでトローチ舐めたんだけど、まだ全然喉の痛みが取れないんだよね。」
そりゃそうだ。
さっき飲んで今もう治っちゃうなんて薬、あったとしたら逆に怖いでしょ。
「うーん、どうしたらいいだろね。
お部屋加湿して、マスクして。
ほら、あれ、大根を蜂蜜に漬けたシロップとか。
喉にいいんじゃなかったっけ?」
「あ、うん、そうかも・・・
洗濯物、部屋干しにしようかな、今日は。」
「うん、そうしなよー。
お買い物、行ける?
何なら手伝いに行こうか?」
「いいよ! いいよ!
喉痛いだけで、身体はピンピンしてるし。
つくしの方が大変なのに。
大丈夫だからね! 絶対来ないでいいから! ホントに心配しないで!」
ご主人様に心配してもらえなくて怒って電話してきた筈なのに、あたしには心配しないでって言っちゃう優紀が可愛くて。
電話のこちら側であたしはつい微笑んでしまう。
「そーお?
でも何か困った事あったら言ってよ。
あたしはいつだって優紀の味方なんだから。」
「うん、つくし、ありがと。
そう言ってくれるだけで元気出る。
私だってつくしが困った時には駆け付けるからね!」
「うん、頼りにしてる。」
「あー、でも、あーんなにメロメロに甘やかしてくれるご主人がいたら、私なんか出る幕ないかも?」
優紀のそんな言葉に、急に頬っぺたがぽーっと熱くなる。
つい空いている手で頬っぺたをそっと押さえた。
「ちょ、ちょっと止めてよ!
べ、別にメロメロなんかじゃないしっ!
友達と家族はまた別の大切さがあるっていうか・・・
って、優紀だって、よく雅人さんのこと惚気てるくせに!
この前だって、誕生日に素敵なディナーに連れてってもらって、優紀の好みピッタリのバッグプレゼントされたって、あたしに見せびらかしたじゃないのー。」
「あ、そうだったね。
ふふふ。じゃあ、お互いまだラブラブ夫婦でいられてるって事だね。
なんかつくしと話せたらスッキリした!
お洗濯して、大根の蜂蜜漬け作ってみる!
ありがと、つくし。またねー!」
「うん、喉、お大事にね。」
通話が終わった携帯電話を膝に載せて、一息ついた。
もう12月。
外は冷たい空気が満ちているんだろうけど、ガラスを隔てたこの部屋の中では、お日様の光に当たってるとその暖かさがじんわりと感じられる。
暫くその温もりを堪能していたら、ちょっとドアを開けておいた隣の部屋から声が聞こえてきた。
「お父ちゃま、起きよー! もう朝よー!」
「んー・・・、今日はお仕事お休みなんだよ。
だからもうちょっと寝かせて・・・」
「だめよ、だめよ、あーちゃんもお父ちゃまもお寝坊しちゃったから、早く起きないと朝ご飯お母ちゃまが全部食べちゃう!」
「あー、そうか・・・ それは困るな。
じゃあ、起きるかー。」
全く失礼しちゃう。
人の分の朝ご飯まで食べたりしません!
まあ、待ちきれずに自分の分はもうとっくに食べちゃったけど。
2人の分は温めるだけで食べれるようにちゃんと用意してありますからねっ!
ドアが開いて、お寝坊親子2人がパジャマ姿で現れた。
おめめがぱっちり開いてる娘と、まだ半分瞑っている旦那様。
朝の挨拶を口にする。
「お母ちゃま、おはよー!」
「・・・はよ、つくし。」
旦那様は大欠伸まで披露してくれちゃって、全く。
態とつんとすましてそれに応える。
「お、そ、よ、う、お二人さん。」
「なんでおそようって言うのよ、お母ちゃまー!」
そう言いながらこちらに飛び込んできた娘をぎゅうっとハグした。
「だーって、もう10時なんだもん。
いくら土曜日だってお寝坊し過ぎでしょ。
昨日の夜、お父ちゃまが帰ってきたーって喜び過ぎなんだよ、あーちゃんは。
早寝早起き三文の徳だよ。」
「・・・意味わかんない。なあにそれ?」
「お父ちゃまに聞いたら?
あーちゃんにも分かりやすいようにお話ししてくれるよ、きっと。」
そそくさとバトンをパスして、自分はキッチンへ。
ソファに身を沈めて、もうひと眠りしようと思ってたろうけど甘い、甘い。
この『なんで? どうして? なあに?攻撃』はとってもしつこいのだ。
その洗礼で目を覚ますがいいわ。ふっふっふ。
お味噌汁を火にかけて温め直し、小さな子供用の茶碗と、あたしの手にはちょっと大きな旦那様用の茶碗にご飯をよそいながら、この後の予定を頭の中で反芻する。
きっと今日は楽しい1日になる。
いや、絶対にしてみせるから!
12月3日。
今日はあたしの旦那様のお誕生日だ。
__________
西門家のバースデー当日の朝の風景・・・でございました。
このお話のタイトル「糸」の種明かしは後編で!
結婚後の2人の話って、殆ど書かないんですけど。
お誕生日だから出血大サービスだ(笑)

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Happy Birthday 総二郎!
という事で、幸せな2人がやって来ました♪
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「ねえ、つくし! 今ちょっと話せる?」
優紀からのこの台詞で始まる電話は、いつもちょっとでは終わらない。
下手すると小一時間かかったりもする。
でも今は部屋に独りきりだし。
時間には余裕がありそうだ。
ふふっと小さく笑って、「なあに? 今日はどうしたの?」と尋ねてみた。
「聞いてよ、雅人さんったら酷いの!
今朝起きて、喋ろうとしたら、喉が痛くて掠れ声しか出なくて。
隣に寝てた雅人さん起こして、カスカスの声で、『ねえ、どうしよ? こんな声になっちゃった・・・』って言ったら、あの人なんて言ったと思う?
開口一番、『俺に風邪うつさないでよ。」って言ったのよ!
どー思う、これ?
普通、『大丈夫?』とか声掛けるもんじゃない?」
雅人さんと言うのは、優紀の去年結婚したご主人様。
まだまだ新婚さんの2人。
ラブラブな惚気をいつも聞かされているんだけど、時々行き違いがあるみたい。
まあ、優紀の言う通りだと思う。
いくら夫婦だと言ったって、互いへの思いやりは大切。
病気の時は特に優しくして欲しいって思うのが人情だ。
お怒りの様子の優紀の声は、確かにいつもより掠れ気味。
きっとまだ喉も痛むんだろう。
話なんかしないで、マスクして、喉を休ませてあげた方が優紀の為でもあると思うんだけど。
一頻り愚痴っちゃわないと、この怒りは治まらないっぽい。
「喉から来る風邪なのかな?
具合大丈夫なの、優紀? 病院は?」
「朝イチで行ったよー、雅人さんの朝ご飯並べてから!」
そ、そうか、そこも優紀の怒りポイントだったのか。
いつも言ってるもんね。
『雅人さんは上げ膳据え膳で、台所回りの事なーんにもやってくれないの。
そういうお家で育ったから、知らないみたいなのよね。
今時そんなの時代遅れだって。』
とかなんとか。
「それで? どうだったのよ、お医者さんの診察結果は。」
「風邪だって。
喉の炎症止めと、総合感冒薬と、トローチ貰って来た。
でも帰って来て1回分飲んでトローチ舐めたんだけど、まだ全然喉の痛みが取れないんだよね。」
そりゃそうだ。
さっき飲んで今もう治っちゃうなんて薬、あったとしたら逆に怖いでしょ。
「うーん、どうしたらいいだろね。
お部屋加湿して、マスクして。
ほら、あれ、大根を蜂蜜に漬けたシロップとか。
喉にいいんじゃなかったっけ?」
「あ、うん、そうかも・・・
洗濯物、部屋干しにしようかな、今日は。」
「うん、そうしなよー。
お買い物、行ける?
何なら手伝いに行こうか?」
「いいよ! いいよ!
喉痛いだけで、身体はピンピンしてるし。
つくしの方が大変なのに。
大丈夫だからね! 絶対来ないでいいから! ホントに心配しないで!」
ご主人様に心配してもらえなくて怒って電話してきた筈なのに、あたしには心配しないでって言っちゃう優紀が可愛くて。
電話のこちら側であたしはつい微笑んでしまう。
「そーお?
でも何か困った事あったら言ってよ。
あたしはいつだって優紀の味方なんだから。」
「うん、つくし、ありがと。
そう言ってくれるだけで元気出る。
私だってつくしが困った時には駆け付けるからね!」
「うん、頼りにしてる。」
「あー、でも、あーんなにメロメロに甘やかしてくれるご主人がいたら、私なんか出る幕ないかも?」
優紀のそんな言葉に、急に頬っぺたがぽーっと熱くなる。
つい空いている手で頬っぺたをそっと押さえた。
「ちょ、ちょっと止めてよ!
べ、別にメロメロなんかじゃないしっ!
友達と家族はまた別の大切さがあるっていうか・・・
って、優紀だって、よく雅人さんのこと惚気てるくせに!
この前だって、誕生日に素敵なディナーに連れてってもらって、優紀の好みピッタリのバッグプレゼントされたって、あたしに見せびらかしたじゃないのー。」
「あ、そうだったね。
ふふふ。じゃあ、お互いまだラブラブ夫婦でいられてるって事だね。
なんかつくしと話せたらスッキリした!
お洗濯して、大根の蜂蜜漬け作ってみる!
ありがと、つくし。またねー!」
「うん、喉、お大事にね。」
通話が終わった携帯電話を膝に載せて、一息ついた。
もう12月。
外は冷たい空気が満ちているんだろうけど、ガラスを隔てたこの部屋の中では、お日様の光に当たってるとその暖かさがじんわりと感じられる。
暫くその温もりを堪能していたら、ちょっとドアを開けておいた隣の部屋から声が聞こえてきた。
「お父ちゃま、起きよー! もう朝よー!」
「んー・・・、今日はお仕事お休みなんだよ。
だからもうちょっと寝かせて・・・」
「だめよ、だめよ、あーちゃんもお父ちゃまもお寝坊しちゃったから、早く起きないと朝ご飯お母ちゃまが全部食べちゃう!」
「あー、そうか・・・ それは困るな。
じゃあ、起きるかー。」
全く失礼しちゃう。
人の分の朝ご飯まで食べたりしません!
まあ、待ちきれずに自分の分はもうとっくに食べちゃったけど。
2人の分は温めるだけで食べれるようにちゃんと用意してありますからねっ!
ドアが開いて、お寝坊親子2人がパジャマ姿で現れた。
おめめがぱっちり開いてる娘と、まだ半分瞑っている旦那様。
朝の挨拶を口にする。
「お母ちゃま、おはよー!」
「・・・はよ、つくし。」
旦那様は大欠伸まで披露してくれちゃって、全く。
態とつんとすましてそれに応える。
「お、そ、よ、う、お二人さん。」
「なんでおそようって言うのよ、お母ちゃまー!」
そう言いながらこちらに飛び込んできた娘をぎゅうっとハグした。
「だーって、もう10時なんだもん。
いくら土曜日だってお寝坊し過ぎでしょ。
昨日の夜、お父ちゃまが帰ってきたーって喜び過ぎなんだよ、あーちゃんは。
早寝早起き三文の徳だよ。」
「・・・意味わかんない。なあにそれ?」
「お父ちゃまに聞いたら?
あーちゃんにも分かりやすいようにお話ししてくれるよ、きっと。」
そそくさとバトンをパスして、自分はキッチンへ。
ソファに身を沈めて、もうひと眠りしようと思ってたろうけど甘い、甘い。
この『なんで? どうして? なあに?攻撃』はとってもしつこいのだ。
その洗礼で目を覚ますがいいわ。ふっふっふ。
お味噌汁を火にかけて温め直し、小さな子供用の茶碗と、あたしの手にはちょっと大きな旦那様用の茶碗にご飯をよそいながら、この後の予定を頭の中で反芻する。
きっと今日は楽しい1日になる。
いや、絶対にしてみせるから!
12月3日。
今日はあたしの旦那様のお誕生日だ。
__________
西門家のバースデー当日の朝の風景・・・でございました。
このお話のタイトル「糸」の種明かしは後編で!
結婚後の2人の話って、殆ど書かないんですけど。
お誕生日だから出血大サービスだ(笑)



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