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hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

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冬薔薇-ふゆそうび- 前編

あの人の唯一無二の存在になりたい。

どうしてそう思うようになってしまったんだろうか。
そんな願い、叶いっこないのに。
痛い程良く知っているのに。
誰の事も愛さない。
誰も愛さない代わりに誰とでも夜を共にする、メチャクチャ不実な男。
そしてあたしには決して越えられない高い高い塀の向こうの世界の住人。
なのに、どうしてあたしの目はいつもその姿を追い掛けてしまうんだろう・・・



「牧野って男の趣味が悪い。」

あたしの初恋の君は不機嫌そうに顔を歪めてそんな事を言う。

「ああ、それには俺も同感。」

いつも優しいお兄ちゃままでその隣でうんうんと頷いてる。

「普通、司と別れたなら、その後俺と付き合うでしょ。」
「いやいや、俺だよな。」
「なんであきらなんだよ?
牧野は昔俺のこと好きだったんだから。
また俺のこと見てくれるようになるのが、自然な流れだろ?」
「類ー、牧野の中でお前との事はすっかり過去になってるって。
淡い初恋の思い出は青春の1ページになり。
野獣との草臥れ果てた恋の後は、俺みたいな穏やかな男とゆったりと過ごしたいって思うだろ。
だから俺に振り向いてくれるのが筋ってもんだ。」
「穏やかな男って、不倫なんかするんだ?
牧野はそういう不潔な関係、嫌いだと思うけど。」
「俺だって牧野が俺だけを求めてくれたら、全てのマダムとすっぱり手を切るさ。
でもなぁ、肝心な牧野がなぁ・・・」

目の前で繰り広げられる、稀代のイケメン2人の下らない言い争いを、あたしは少々呆れつつ、ひとり紅茶が入っているティーカップに口を付ける。

あー、美作さんちの紅茶はやっぱり美味しいなぁ!
一緒に出してもらったシフォンケーキもふわっふわで、口に入れるとなくなっちゃう!
美味しい、美味しい、美味しい・・・

「ねえ、今あんたの話をしてるんだけど。」
「へ? あたし?」
「そう、お前の事だ、牧野。」
「あ、うん。
今日は美作さんちであたしの誕生日なんか祝ってくれてありがとね。
このケーキすっごく美味しいよ!
お誕生日にこんな美味しい物頂けて、あたし、幸せー。」
「・・・それは単なるお茶請けだろ。
バースデーケーキは別に用意してあるから。」
「えーっ? そうなの? これで十分なのに。
ごめんね、気を遣わせちゃって。」

そう言って目の前の2人の方に顔を上げてみると、類はソファに身を埋めながら何だかじとーっとした目であたしを見てるし。
美作さんは膝に片手を突きつつ、指先で顎を軽く支えて、まるで『考える人』みたいなポーズになっちゃってる。

「牧野さあ、いい加減はっきりさせたら?」
「な、何をよ・・・?」
「だから、目からラブラブビーム出してるだけじゃなくて、気持ちをちゃんと伝えてみたらって事だ。」
「あたし、目からラブラブビームなんか出してないもん!」

そう言い放ったら、2人ともはあ・・・と溜息を吐く。
そして顔を見合わせて、何やらこそこそ話してる。

なーんか感じ悪い! 感じ悪いのよ、そういうの!
それにこの距離だもん、まるっと聞こえてんのよ!

「あいつ、自覚ないのか?
それとも誤魔化せてるって思ってる?」
「んー、自覚ないんじゃないの?
牧野って鈍感だから。」
「それにしたって・・・ 自分の気持ちには一応気付いてんだよな?」
「まあ、それはね。
そうじゃなかったら、もっとムキになってあれこれ反論してくるでしょ。」
「そう言われればそうか。」

だから、聞こえてるんだってば!
煩いよ、2人とも。
あたしをそっとしといてよ。
どうにもならないんだから。
自覚だってちゃんとありますー!
ついついあの人を目で追っちゃうのも、意識してやってる訳じゃないんだもん。
声が聞こえる度にドキンとして、身体が跳ねちゃうのだって、止められないんだもん!
仕方ないじゃない・・・

恥ずかしくて頬っぺたが熱くなってきたから、ぷいとそっぽを向いた。
美作家の双子ちゃんと夢子さんが、お仕事で海外にいるパパさんのところで年末年始を迎えるとの事で、既に旅立ってしまったお邸の中は、いつもよりぐっと静かだ。
2人がまだごにょごにょ言ってるのを無視して、ソファから立ち上がる。
窓から見える冬のお庭は、お花なんかあまりないだろうと思っていたのに、美しい薔薇がいくつも咲いているのが見えた。

冬に咲く薔薇もあるんだ・・・

淡いピンク、濃い紅色、ちょっとくすんだサーモンピンク、花びらの淵だけ鮮やかなピンクで他の部分はクリーム色の花もある。
綺麗だなぁ・・・と見入っていた。
寒空の下咲き誇る色とりどりの薔薇は凛としていて、どこか潔い雰囲気が漂う。

冬の薔薇でもいい香りがするのかな?
後でお庭に出させてもらおうか・・・

そんな事を考えていた時、突然、この美作家の柔らかな午後の空気を震わせる声が耳に飛び込んでくる。

「よう、ちょっと遅くなった。」

嘘っ?
今日はあたしと美作さんと類との3人だって聞いてたのに!

恐る恐る振り返ると、そこには甘やかに微笑んだ漆黒の髪と瞳を持つ、あの人が立っていた。

「あーあ、来ちゃった・・・」
「別に無理しなくても良かったんだぜ?」
「あぁん? 牧野の誕生祝いするって言ったのはお前らだろ。
何で俺だけ除け者にしようとするんだよ。
俺だってつくしちゃんに会いたいワケ。
なんてったって20歳になるんだろ?
盛大に祝わないとなあ。
牧野、今夜オトナになってみるか?
オニーサンが手取り足取り教えちゃうぜ。」
「・・・こっの、馬鹿っ! エロ門っ!
エロ門になんか祝ってもらわなくて結構!
オトナになんてならなくてもいいし。
あたしの事揶揄うの止めてよっ!」

物凄い剣幕で言い返してもどこ吹く風だ。

「何だよ。冗談だろ、冗談。
軽ーいご挨拶だって。
そんなムキになるなよ。」
「総二郎が来たせいで、一気に場の空気が澱んだね。」
「何言ってんだよ、類。
爽やかな風が吹き抜けたの間違いだろ。」
「総二郎が爽やかだった事なんかあるか?
どっちかっていうと、女を惑わす妖気を纏ってるよな。」
「あきら、うるせーよ。
俺ってば茶道界のプリンスとか言われてんの。
白馬にゃ乗らないけど、真っ白なマセラティに乗ってる王子様な訳。
王子様に女の子達が憧れちゃうのは自然な事だろ?」

そう言ってちろっとあたしに流し目を寄越す。
不覚にも目を逸らせずに、まともに受けてしまって。
何か文句を言ってやろうと思ってたのに、それがうぐっと喉に詰まってしまった。

ああ、もうホントに。
どうしてあたしはこんなちゃらんぽらん男が気になって仕方ないんだろう・・・
腹立つ。
腹立つ、腹立つ、腹立つーーーーーっ!

親指を握り込んで、拳をぎゅうっと硬くして。
大声を出して暴れたいのを何とか堪えた。


__________



12月28日、つくしのお誕生日です♪
Happy Birthday Tsukushi \(^o^)/
冬のお庭に咲く薔薇って好きです。
お手入れや施肥が大変なんでしょうけどね。
今夜の総二郎の車はMaserati Ghibli S Q4。
総二郎の好きな色と白馬の王子的乗り物って事で白にしときました。
外見もそうなんだけど内装がねー、とても良さげ!
お話の続きはまた明日です!

これをUPしようとしたら、なんと家のWi-Fiが繋がらなくなって。
めっちゃ格闘しました・・・
PC何度もシャットダウンして、暫くおいて立ち上げて・・・
ルーターも電源抜いて、放電して、また立ち上げて・・・
でもダメで。
途方に暮れつつ、試行錯誤してたら・・・3時間後に急にフツーに繋がりました。
何だったの、あれー!
めっちゃ辛かったわー!

お話のUPを優先してしまって、コメントへのお返事が滞ってます。
年内にお返事するべく頑張りますので、お待ち下さいませm(__)m
明日も1日病院付き添いだから、スマホでお話書いてきます!


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冬薔薇-ふゆそうび- 後編

ムカムカする気持ちを必死で抑え、深呼吸しながら、自分に言い聞かせる。

このオトコがちゃらんぽらんなのは今に始まった事じゃないんだから。
うわーーーっ!ってがなり立てたって、現状が変わることもない。
それなら黙ってたらいいのよ。
折角の誕生日に自分の気持ち乱すような馬鹿な真似、することないもんね!

そんな時、プルルルルっと携帯の着信音が部屋に響き渡った。

「ちょっと失礼。」

美作さんが携帯片手に部屋を出て行く。
あの調子だと相手は女の人なんだろう。
単純なあたしは一度に二つのことなんか考えられない。
そんな些細な事に気を取られて、今迄抱えていたムカムカが、ふいっとどこかに逃げてしまう。

こーんな年の瀬に若いツバメに電話してくる人妻って、どんな人なのかしらね?
色々忙しい季節だってのに。
余裕があるご家庭の奥様は、お節の準備や大掃除も、ぜーんぶ人任せなのかしら?

余計なお世話だと知りつつも、ついつい要らぬ妄想を繰り広げた。
そんなあたしとは違って、美作さんの様子に無頓着な輩がいる。
よそのお宅のリビングなのにまるで自分の部屋のソファのように寛ぎまくってる。
それを見ていたら、眠そうな長毛種の猫と、毛並みがつやつやした黒猫がじゃれあってるみたい・・・なんて変な事を思い付いちゃって。
いかん、いかん!と軽く頭を振った。

「悪い、俺、出掛けなきゃならなくなった。
牧野の誕生祝いの夕食、明日でもいいか?」
「え? いや、あたしはもうすっかりお祝いしてもらった気分だから、これで十分なんだけど。」
「ふぁーーーーー・・・ 俺、眠い・・・
牧野の誕生パーティーだっていうから頑張って来たけど。
それなら家帰って寝ていい?」
「何だよ、折角予定繰り上げてきたってのに。
ホストが出掛けるってあり得ねえだろ、あきら。」
「まあまあ、許してくれよ。
人の恋路を邪魔する奴は窓の月さえ憎らしいっていうだろ?
俺は急用が出来て、類は昼寝希望。
総二郎は時間あるんだろうから、牧野と2人でどっか行ってくれば?」
「え? いや、そんな・・・
いいよ、あたしももう帰るから。」
「そんなつれなくすんなよ、つくしちゃん。
2人でバースデーデートしようぜ!
どこでも連れてってやるよ。」
「いや、いいです・・・ 遠慮します・・・」

心臓持たないでしょ、このオトコと2人でどこか行くなんて!
遠慮しますって言ってるのに!
美作さんったら、あたしの言葉、聞こえないフリした!

「じゃ、総二郎、宜しく頼んだ。
俺、もう着替えて出るわ。また連絡するから!」

このお邸の主である美作さんがその場からさっといなくなってしまったから。
何となく居辛くなって、あたし達も失礼することにした。
いや、居辛かったのはあたしだけかもしれないけど。
エントランスを出て、車が停めてあるところまで歩いていると、あたしの横の類が、盛大にふわわわーと欠伸をする。

「ねえ、牧野。」
「何?」
「俺とあきらからの誕生日プレゼント、あげるよ。」
「え? さっきもう貰ったじゃん。」
「うん、でももう一つあげる。」
「いいよ、いいよ、気持ちだけで十分。」

そう言ったら類がくすっと笑った。
そしてあたしの耳元にすうっと唇を寄せてきた。
ぽそっと囁く台詞はまるで魔法使いが唱える呪文のよう。

「牧野に総二郎をあげる。」

あたしの足がぴたっと止まった。
耳から痺れるような感覚が、身体中に電流が流れたかのように広がって。
あたしは信じられない思いで隣のビー玉の瞳を見詰めた。
にこりと優しい天使の微笑を湛えた、あたしの初恋の君は、ダメ押しでもう一言付け加える。

「ホントはね、総二郎も牧野が好きなんだよ。」

ソウジロウモマキノガスキナンダヨ・・・

言葉の意味がすっと頭に入って来ない。
ぱちぱちと瞬きして。
ひとつ大きく息を吸ってー、吐いてー。
それでも類が何を言ってるのか分からなくて。
首を右に傾けてみて、「ん?」と呟いた。
今度は左に傾けてみて、「んん?」。
それを見た類がくくくっと声を零して笑い出す。

「牧野、何、その動き。
メトロノームの真似?
あんたってホント面白い。」

何であたしがそんなものの真似するのよ?
考えてんの!
あんたが言った言葉の意味を!
必死で理解しようとしているの!

「じゃ、頑張ってね。」

別れ際、ぽんぽんと肩を叩かれたのは覚えてるけど・・・
にっこり笑って、車の後部座席に吸い込まれていく類に、今日のお礼も別れの挨拶も言えず、手を振る事すら出来ない。
後ろからやって来た西門さんが、「類、またな。」と手を挙げた。
ぼうっとしたまま類のお家の車を見送って。
その場には西門さんとあたしの2人になった。

「それじゃあ、つくしちゃん。
デート行くか?
お前の好きなトコ、連れてってやるよ、何てったって誕生日だもんな、今日は。」

そうっと見上げたら、甘く微笑むその表情は、いつもよりぐっと優し気に見えて。
あたしの目が壊れたのだろうか? 何処かおかしくなったのだろうか?と思ったりする。

類がさっき言った事、ホントなの・・・?
聞きたいけど言えなくて。
口を開こうとして、また閉じて・・・を繰り返していたら、西門さんが怪訝そうに聞いてきた。

「牧野? どうした? 鯉みたいに口パクパクさせて。
どこ行きたいんだ?」

鯉じゃないわよ!
恋よ。恋!
あたしは恋をしているの!

「・・・薔薇が咲いているところに行きたい。」
「冬薔薇か。案外乙女だな、お前。」

乙女ですよ。
あなたが思ってるよりきっと、ずっと。
あたしは気の弱い、恋する乙女なの。
でも凛と咲く冬薔薇の力を借りたら、言えるかもしれない。
あたしのホントの気持ち。

「じゃあ行こうぜ。
とっておきの薔薇の咲く庭園、見せてやる。」

類、美作さん。
2人がくれたこんなチャンス・・・
あたし、勇気出してみてもいいのかな。
受け取っちゃってもいいの?
あたしへの20歳の誕生日プレゼント。

西門さんが自分の真っ白な車に向かって歩き出す。
あたしはこくりと息を呑み、ひとつ頷いた後で、その背中を追って駆け出した。


__________



つく誕SSでございましたー。
この後、薔薇の咲くお庭で、総二郎の頰も色付くのかなー?なんて思いつつ書いてみました。
それにしても類が「牧野に総二郎をあげる。」って(笑)
お前のもんなのかーい!ってツッコミたくなりながら書いてましたけど。
なんか、類なら言いそうじゃないですか?

今年も一年ノロノロ更新の拙宅にお越し頂き、愛でて頂き、有り難うございました!
お陰で何とか書き続けて来れました。
今年のお話の更新はこれが最後です。
新年は松の内にリスタート出来たらなと思っております。
来年もどうぞご贔屓に!
皆様、良いお年をお迎え下さい(*^o^*)


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