プロフィール

hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

アクセスカウンター
カテゴリ
最新記事
ランキングボタン
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ



ご訪問有り難うございます
カウントダウンタイマー
花男Blogリンク
君を愛するために
明日咲く花
お友達Blogリンク
恋花-koibana-
沫雪の唄
ブログ村ランキング
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR

私、風邪を引きました 前編

バイトを終えて、お店の裏口から出てきたら・・・
視界の端にちらっと黒塗りの高級車が入り込んでくる。

あー、もー、あの男は、 何だってこんな時に・・・
あたしは今それどころじゃないんだけど!
面倒臭いから知らん振りして逆方向に歩いちゃおうか?
それともだだーっと一気に車の脇を駆け抜けちゃうとか?

そう考えながら足を前に運び始めた時に、ぐいっと物凄い力で腕を引っ張られて、あたしは呆気なくバランスを崩した。

「ぎゃあっ!」

後ろにずっこけるみたいな感じで倒れ込んだ先には、がっしりした誰かさんの胸板があり、体勢を立て直すよりも早く、ひやりとした掌があたしのおでこに触れた。

「ふん、やっぱりな。」
「な、な、何よ? 何なのよ?」
「お前、こんな熱あるのにバイトなんかしてんじゃねえよ!」
「バイトは休めないって何度言ったら分かるのよ?
お店、人手不足なんだから、女将さん困っちゃう・・・」
「あー、つべこべうるせえ。行くぞ。」
「え? どこも行かないよ。あたしは部屋帰るんだってば・・・」

あたしの話を全く聞いていないこの男は、疲れと発熱のせいで力が入りにくいあたしの身体をぐいぐい引っ張って、車の後部座席に押し込んだ。
そして隣にどかっと座って「どこか夜間救急ある近場の病院探して。」とか運転手さんに横柄な態度で告げてる。

「ちょっと! 勝手な事しないで。
あたし病院なんて行かないっ!
もう帰って寝るんだから。」
「うるせえ、病人の癖に口答えすんな!
大体お前は自分の体力、過信し過ぎなんだよ。
こんなヒョロヒョロの身体で、碌なモン食ってなくて、寝てるだけで治る訳ねーだろ。」
「総二郎様・・・
ここから一番近いところですと、高輪の方で受け入れしている病院があるとの事ですが。」
「ああ、じゃあ、そこにやって。」
「あ、あの、すみません!
あたし、病院行きませんから!
すぐ降りますから!」

そう言ったら、隣の席の人にギロリと睨み付けられた。

「ふざけんな。絶対に病院連れてくからな。」
「病院なんか行かないって言ってるでしょ!
何であたしの話聞かないのよ?」
「お前こそ俺の言う事全然聞いてねえじゃねえか!
あーーー!!! ったく!
分かった。病院じゃなきゃいいんだな?
大野さん、目黒。目黒に回して。」
「畏まりました。」

車がすうっと動き始める。

「ねえ、目黒って?」
「キーキーうるせえ。ちょっと黙っとけ。」
「何よ、黙っとけって!
あたしは自分がどこに連れてかれるのか、知る権利があるでしょ?」

そう食って掛かった筈なのに、身体がふわっと浮いたような気がして、次の瞬間、あたしはシートに横になってた。
それもこのいけ好かない男の膝を枕にして!

「お前・・・ ホントは喋るのも辛い癖に。
なんだってそんなにギリギリまで頑張っちまうんだよ。
いいから着くまで寝とけ。」

不意に優しい言葉を掛けられて。
急に強張っていた身体から力が抜けてしまった。
目を覆うようにあてがわれた大きな手がひやりとして気持ちが良くて。
意固地になっていた気持ちがすうっと解れていく。
ずーっとズキンズキンと痛んでいた頭も、横になったらすこし楽になった気がした。

「はぁ・・・」

胸の中から熱い呼気が溢れてくる。
何故だかちょっと泣きそうだ。
瞼の裏がじんじんする。

人の手があたしに触れている感触ってこんなに安心しちゃう事だったんだっけ?
あたしはそんな事、忘れていたみたい。

段々とあたしの熱を吸い取って、温まりつつある掌を感じながら、また熱い吐息をふう・・・と吐いた。
背筋がゾクゾクするせいで身体をふるっと震わせたら、掌がおでこから離れて行き・・・
多少の振動と衣擦れの音の後に、ぱさりと上半身に何かが掛けられた。
薄目を開けて見遣れば、それは思った通り西門さんが着ていた柔らかそうなカシミアのコート。

「い、いいよ。
西門さんが風邪引いちゃう。」
「こんな暖房効いてる車内にいて、風邪なんか引かねえよ。
お前は黙って寝てろ。」

そう言ってまたあたしの瞼を指でなぞって、目を閉じさせちゃう。
目を瞑っているのに目が回るのは・・・
熱のせいなのか、この人のせいなのか?
束の間、あたしの意識は遠のき、気が付いた時には車はどこかのマンションの前に停まっていた。

「牧野、着いたぞ。歩けるか?」
「ん・・・」

ぎしぎしする身体を起こそうと力を入れようとしたら、それよりも早く西門さんの手で座席に座らされてた。
車のドアが開けられ、西門さんがあたしの手を取って、車から降ろしてくれる。
西門さんのコートを羽織らされ、熱でぼうっとしたまま、手を引かれるままに後をついていった。

「ねえ、ここ、どこ?」
「すぐに分かる。」

インターホンに向かって「あ、俺。」としか言わないから。
誰に向かって話してるのかちっとも分からないし。
頭がくらくらして、真面な思考が働かない。
もう抵抗する気もなくなって、西門さんの手に導かれるまま、知らないマンションの廊下を歩いて行くと、少し先のドアの前に女の人が1人立っている。

え? この男、あたしを自分のオンナのマンションに連れて来たの?
何それ? 一体どういうつもり?

「総二郎くん、こっち、こっち。」

綺麗な女の人が西門さんに向かって手を振っている。
途端に胸がムカムカしてきた。
踵を返そうにも、 西門さんに手をがっちり握られてるし、もうその人は目前に立ってるしで、逃げ出せない。

「あなたが牧野さんね。
顔、真っ赤だ。辛いでしょ? 大丈夫?
早く中に入って。」
「ありがと、ミヤコさん。助かる。」
「ふふふ、ウチは夜間急患診療所じゃないわよー。
高くつくよ、総二郎くん。」
「ミヤコさんの好きなワインを好きなだけ届けさせるから。
それで勘弁してよ。」
「それはそれは。でも美味しいつまみもないとねえ。」
「はいはい、チーズだろ。仰せのままに。
だから、早くコイツのこと診てやってよ。」

気安い感じに言葉を交わしてるけど、西門さんの方がちょっと手玉に取られてるような、あたしの知らない不思議な力関係の女の人。
一体この人は西門さんの何なんだろう?
診てやってよ・・・って、お医者さん?

頭の中にはハテナが飛び交いながら、促されるままその人の部屋であろう中に入ってしまった。
ソファに座らされ、体温計を手渡される。

「ちょっと失礼。」

両手で首のリンパ節を探られる。

「口開けてー。
あーって声出してみて。」
「あー・・・」
「うん、喉ちょっと赤いねえ。」

ぴぴぴっと鳴った体温計。
自分で数値を確認する間もなく、女の人に取られてしまった。

「8度3分。まだこれから上がるかも知れないなあ。
総二郎くん、ちょっとキッチン行って、温かいお茶淹れて来て。」
「・・・はいはい。」

西門さんがリビングを出て行く。
目の前の人があたしにパチリとウインクした。
小さな声で悪戯っぽく囁く。

「邪魔者はいなくなったから。
ちょっと胸の音聞かせてね。」

どこかから取り出した聴診器を耳に当て、あたしに服を捲るように促してきた。

「吸ってー、吐いてー、はい、もう一回吸ってー、吐いてー。
うん、胸の音は綺麗。
肺炎とかじゃないから、安心してね。
風邪だなあ、これ。
大人しくして、栄養取るのが一番早く元気になる近道。」

あたしの服を整えるのを手助けしてくれながら、女の人はそう言った。

「あ、あの・・・ お医者様なんですか?」
「え? あ、うん、そうだけど。私の事、聞いてないの?」
「はあ。何も・・・」
「ホント、しょうがないな、あのコは。
何を照れてるんだか。」

西門さんの事、あのコって呼んじゃうこの人は一体・・・?

そう思った時、目の前の美しい女医さんはにっこり笑って自己紹介した。

「初めまして、牧野つくしさん。
お噂はかねがね。
西門 京です。宜しくね。」


__________


Happy Birthday 総二郎!
12月3日、本日は総二郎のお誕生日です♪
今年のBirthday SSはつくし視点でのお話となりました。
それも風邪引かされてるしー(苦笑)
これは、先日まで管理人がしつこい風邪と戦っていた影響が色濃く出ております(^^;
優しく看病してくれるいいオトコは・・・生憎いなかったけどな!
新キャラ・ミヤコさん登場です。
まあ、皆様、想像通りの方ですよ(笑)
つくしは鈍感だから分からないけど!
まだ全然お誕生日っぽくないですが・・・ラストまでには誕生日っぽくなる・・・筈!
という事で、お楽しみ頂ければ幸いです!


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

私、風邪を引きました 中編

「西門・・・み・・・やこさん?」
「うん、あのコの義理の姉です。
あ、兄嫁って言った方が分かりやすいかな?」

西門さんを『あのコ』って呼ぶ人に初めて会った。
西門さんのお兄さんという人が、家を出てしまったというのは知っていた。
だから次男坊の西門さんが西門流の次期家元になったっていうのも。
でも西門さんの口からお兄さんの事が語られる事はなかったし、どんな人で、どこに住んでて、どんなお仕事してて、独り者なのか結婚してるのかどうかという事も、一切知らなかった。

「西門さんの・・・お義姉さんだったんですか。」
「ホントに何も話してないのねー。
あのコって秘密主義なの?」
「さあ・・・?」
「別に秘密主義なんかじゃねえよ。」

声がする方に顔を向けたら、ちょっと苦々しい表情を浮かべつつ、お盆に湯飲みを載せて運んでくる西門さんがいた。

「勤務時間外に彼女の診察してくれた優しいお義姉様にそんな口利いていいと思ってる?」
「そんな鼻ぺちゃで貧相な体型の気ばっか強い女、彼女なんかじゃねえし。
ほら、茶、淹れたぞ。」

目の前のテーブルにことりと湯飲みが置かれる。
京さんが、その一つをあたしに手渡してくれた。

「牧野さん、食事は摂れそう?」
「うーん、正直食欲はないですね・・・」
「そうだよねー、まあ暫くは食べれそうなものだけ食べて。
水分補給だけはしっかりとね。
高い熱続くようならまたこのコに言って、診せに来て。
お薬、5日分渡しとくから。
熱が下がる迄は無理せず大人しくしてること。
牧野さんは一人暮らし?」
「あ、はい・・・」
「そうなのかぁ。ご家族と一緒じゃないのね。
総二郎くんに看病なんか出来るの?
あ、もしかして、西門のお家に連れて帰るつもり?
それ、騒がれちゃうわよー。
お義母様なんか、落ち着いた振りして内心ドキドキしちゃうタイプだし。」
「ミヤコさん・・・ 勝手な想像で目輝かせんのやめてくれ。
西門になんか連れてかねえよ。
コイツの部屋に送ってくから。」
「あ、送り狼禁止よ!
ゆっくり身体を休めるのが一番の薬なんだから。」
「はぁ・・・ マジで勘弁してくれ・・・
俺は病気の牧野に手を出す程、相手に困っちゃねえ。」

目の前で、浮き浮きとした表情を浮かべる京さんと、すっかり尻に敷かれてる西門さんの、妙ちきりんなやり取りが繰り広げられてるのを、ぼーっとしつつ見ていた。

へえ、西門さんって、歳上のサバサバしたお姉さんタイプに弱いんだぁ。
セクシーなお姉さんを口説くのとかお得意なんだと思ってたけど。
義理のお姉さんじゃ、お得意のフェロモン攻撃も効かないもんね。
ふふふ、もしかして弱点見つけたり?

そこに玄関の方から声が聞こえて来た。

「ただいまー。
キョー? お客さんかー?」
「あ、帰って来た。」
「げ、兄貴・・・」

ふんわりと幸せそうに顔を綻ばせた京さんと、露骨にイヤそうな顔した西門さんが対象的過ぎて、ついくすっと笑ってしまったら、西門さんに「笑ってんじゃねえよ、病人の癖に。」と睨まれた。

「祥一郎、お帰りー。
総二郎くんが彼女連れて来てるのよ。」
「へえ、珍しい事もあるもんだな。
いらっしゃい。総二郎、久し振り。」

西門さんのお兄さんが帰宅されたから、お留守に図々しくも上がり込んでしまったあたしは、せめて挨拶位ちゃんと・・・と慌てて立ち上がろうとしたのに、西門さんにおでこをとんと指1本で押されているだけでソファから身体を起こせない!

「や、ちょっと止めて!
あたしご挨拶したいんだから・・・」
「病人は大人しくしとけ。
兄貴、こいつ、牧野。
ちょっと熱あるからミヤコさんに診てもらってた。
今、連れて帰るから。」
「こんなカッコでスミマセン。
お邪魔しております・・・」

何とか西門さんの指先を払い除けて、あたしはぺこりと頭を下げた。
西門さんのお兄さんは、お顔立ちは兄弟である西門さんと勿論似ているし、背格好も西門さんと同じくらいなんだけど、眼鏡をかけた理知的な雰囲気の方で。
何て言うか・・・ 西門さんから妖しいフェロモンを抜いて、代わりに大人の落ち着きでコーティングしたような、カッコよさ!
公官庁にお勤め!とか、銀行員!とかしっくりくるタイプかも。
京さんと美男美女カップルだけど、お兄さんが『静』で、京さんが『動』って感じかなあ・・・?

「牧野さん? あのいつも話題に上る牧野さんか。
初めまして。総二郎の兄です。
いつもこいつがお世話になってます。
なあ、彼女、産婦人科医のキョーじゃなくて、俺が診た方がいいんじゃないか?」
「失礼ねー。私だってちゃんと診られます。あなただって外科医のくせに。
専門外なのは祥一郎も一緒じゃない。」

あ、お兄さんもお医者さんなのかあ・・・
そう言われれば、白衣が似合いそう。
って、いつもいったいどんな噂されてるんだろ?
西門さんの事だから、ろくな事言ってない筈・・・
やだなー。

「何で牧野を兄貴に診てもらわなきゃなんねえんだよ・・・
触らせるかっつーの!
ほら、牧野、帰るぞ!」

一人でぶつくさ何事かを呟いてた西門さんが、あたしの手をぐいーんと引っ張って、ソファからひっぺ剥がした。
「うわっ!」っと思わず声が溢れる。
されるがままに身体が泳ぎ、今度は勢いが付き過ぎて前のめりになった。
それをぽすん・・・と西門さんの胸で受け止められて、不覚にも肩がびくんと跳ねちゃって、それと同時に心臓がどっくんと派手に鳴る。

な、なんでお兄さんご夫妻の前でこんな事すんのよー?
あたしと西門さん、別に何もないけど!
ないけど何だか恥ずかしいじゃん!

ソファの上に置いてあった、あたしのコートを手荒に着せ掛け、次に自分のコートでもあたしをぐるぐるに包んじゃって。
ねえ、苦しいよ。

「ミヤコさん、お陰で助かったよ。
サンキュ。
もしかしたら、また世話になるかもだけど。」
「どういたしまして。
お安い御用よ。
牧野さん、お大事にね。
今度は元気な時に遊びに来て。
ゆっくりお喋りしたいから。」
「あ、有り難うございます・・・」

あたしが西門さんのお兄さんちに来る事なんて、もう無いと思うけど。
取り敢えず御礼の言葉を口にした。
熱のせいで、どこかふわふわした感覚に包まれながら、玄関へと歩く。

あー、身体辛いなぁ・・・
早く部屋帰って寝ちゃいたい・・・

「じゃ、ミヤコさん、兄貴、お邪魔様。」
「きゅ、急にお訪ねしてしまってすみませんでした。有り難うございました。」

その場を辞する言葉を口にして、2人でエレベーターに向かってマンションの廊下を歩き始めたら、背後から追いかけるようにお兄さんの声が届いた。

「総二郎!」
「あぁ? 何だよ?」
「今日、誕生日だろ? おめでとう。」
「・・・憶えてたのか?」
「家族の誕生日くらい憶えてるもんだろ。
良い夜をな。」
「病人抱えて良い夜も何もあったもんじゃねえよ。」
「それもそうか。」

お兄さんが少し笑って。
西門さんは苦いものでも食べちゃったかのように、顔を歪めて。
あたしは背筋をゾクゾクさせながら、はあ・・・と熱い溜息を吐いた。
寒気がする背中をそっと押されて乗ったエレベーターの箱。
その中で柔く腰を引き寄せられる。
何するのよ?と隣に立つ人の顔を見上げて視線で抗議したら、

「立ってんのも辛いんだろ?
こっちに身体預けとけ。」

と気遣わしげに言われてしまったから、もう文句も言えなくなる。

あたしだって知ってたんだよ。
今日が西門さんのお誕生日だって。
今日、熱なんか出さなかったらさ・・・
バイトが終わったら、電話してみようって思ってたんだから。
だって誕生日は1人で過ごすっていつも言ってたじゃない?
今夜なら、他の人に邪魔されずに会えるのかな・・・なんて思ってたんだよ。
こんな筈じゃなかったのにな・・・

2人きりになって、緊張の糸が切れたのか。
それとももう、身体が限界だったのか。
あたしは西門さんに凭れ掛かりながら、すうっと真っ白な世界に引き込まれていってしまった。


__________



はい、ミヤコさん。
皆様のご想像通り、兄嫁さんでしたー。
何で「京さん」というお名前にしたかと言うと、お兄ちゃんに訓読みの「みやこ」じゃなくて、音読みの「きょう」って呼ばせたかったのです。
ただそれだけです。
独りよがりな拘りでした!

総二郎、お誕生日だからこそ、予定がガラガラ。
ま、ホントはつくしのために空けてたんだろうけどね!
熱のあるつくしを慌ててお姫様抱っこしているところを想像して頂いて。
今宵はここまででございます!

昨夜は総二郎生誕祭にお集まり頂き、有り難うございました!
今年も皆様と一緒に「おめでとー!」と言えてとっても楽しかったです♪
自分の事じゃないのに、何故か嬉しくなっちゃうんだよなぁ。
総二郎は幸せモノですね!


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

私、風邪を引きました 後編

気が付いた時、あたしは自分の部屋のベッドにいた。
しっかり布団に包まってるのに、寒くて寒くて堪らない。
ガタガタ震えながら、布団の中で芋虫の如く身体を縮めて丸くなった。

さ、寒いよー!
でも喉カラカラ・・・ 口の中乾き切ってる。
頭もガンガンするし。
気持ちも悪いー。
誰か助けてーって気分だけど、あたし一人暮らしだし。
あれ? でもあたし、どうやって帰ってきたんだろ・・・?
バイト終わりに西門さんに掴まって・・・
西門さんの義理のお姉さんという方に診察してもらって。
西門さんのお兄さんにも会って・・・
それからどうしたっけ?

朦朧とした意識の中で、記憶の糸を手繰り寄せてみたけれど、一向に思い出せない。
兎に角この辛さから逃げる為に、もう一度寝てしまおう・・・と、震える身体を自分で抱き締めつつ目を瞑った。

風邪なんて久しぶりに引いちゃったな・・・
あたし、体力には自信あったのに。
このところすっごく忙しかったってのはあるよね。
学校とバイトばっかりで。
夜家に帰って来てからは、学校の課題やレポートも遅くまでやってたし。
でもいつ風邪菌にとりつかれちゃったんだろ?
早く元気にならなくちゃ・・・

ぼんやりしていた意識がはっきりとしたのは、おでこに飛び切り冷たいものがぺたっとくっついた時だった。
「ひあっ!」と声を上げて、目を開けたら、そこにはあたしを覗き込んでいる西門さんがいた。

「わりぃ、起こしたか?」
「・・・ふえ?」
「ミヤコさんから貰った薬あったろ。
起きたならあれ飲め。」
「うん・・・?」

何で西門さん?
ここ、あたしの部屋だよね?
おかしいじゃん、こんな所に西門さんがいるなんて。
夢? うん、夢なんじゃないかな。

「おい、牧野、寝るな!
薬飲んでからにしろって言ってんだろ!」

西門さんのちょっと大きな声に、ふと現実に引き戻される。
目を瞬かせている間に、重たい身体を起こされて。
ヘッドボードと身体の間に、ふわんふわんするものが詰められた。
これ何だろ?と手で探ってみると、どうやら羽毛布団みたい。
こんな高級そうなもの、あたしんちにある訳ないのに。
「ほら!」と、差し出されたのは、水のペットボトルと、数種類の薬。
甲斐甲斐しくも、ペットボトルの口を緩め、薬を包装から取り出した上で、あたしの掌に載せてくれてる。

「あ、ありがと・・・
でも、何で・・・?」
「お前、どんどん熱上がってんだよ。
そんなの置いて帰れる訳ねえだろ。」
「ご、ごめん・・・
もういいよ、大丈夫だよ。
西門さんに風邪うつんない前に帰って。」
「病人は余計な事考えないで、とっと寝ろ!
で、早く治せ。」
「ん・・・」

薬を飲んで、トイレに立った時に気が付いた。
あたしは出掛けた時の服のままで寝ていたらしい。
楽な服に着替えたい・・・と思って、西門さんに見られないように、脱衣所に籠って部屋着になった。
ベッドに戻ると、西門さんがあたしに布団を掛けてくれる。
さっき背中に詰めてくれた羽毛布団でしっかりとあたしを包んで、その上にふわりと毛布を掛けてくれるのを、まるで他人事の様にぼうっと見ていた。

「ねえ、このお布団・・・」
「お前が寒い寒い言うから買ってきた。
もう寒くないか?」
「まだ背中ゾクゾクするけど、大丈夫・・・」
「ったく、お前のダイジョウブは全く当てになんねえな。
俺はここにいるから。
安心して寝ろ。」

安心して寝ろ・・・だなんて。
西門さんに見守られてるなんて、逆に落ち着かないよ。

西門さんの指先がゆっくりゆっくりあたしの頬っぺたを撫でているのが擽ったい。

「まだまだ熱いな。
早く熱下がりゃいいんだけどな・・・」
「ごめんね・・・」
「病人は余計な事気にすんな。」

怠すぎて、瞼を開け続けているのも辛い。
起きていようと思うのに、勝手にずぶずぶと身体がベッドに沈んでいくみたいに、眠りに引きずり込まれてく。

ああ、何か大切な事があったんじゃなかったけ?
何だかちっとも思い出せないけど・・・


次に目が覚めた時は、朝だった。
そして・・・目の前に西門さんの寝顔のどアップがあったもんだから、起き抜けに「ぎゃーーーーー!」と叫んでしまった。

「お前・・・ 朝っぱらからうるせえ!
寿命が縮まるだろうが!」
「だ、だ、だって!
何で西門さんがあたしの隣に寝てんのよっ!」
「言っとくけどな!
どんなに布団掛けても寒い寒いって震えてるから仕方なく添い寝してやったんだかんな!
そうじゃなきゃ、こんな狭苦しいところに無理矢理入り込むワケねーだろ!身体いってえ!
それに、夜中に俺の首に腕回して抱き付いてきたのはお前の方だ!
ぎゅうぎゅう引っ付いて来て、人の目前で風邪菌たっぷりの息吐きやがって!」
「う、嘘だ!
あたし、そんな事・・・」
「ふん。ぜってー憶えてねえくせに!」

うっ・・・
ホントに憶えてないから、反論出来ない・・・
唯、昨日の夜は寒くて寒くて。
でも途中から暖かくなって、震えずに済んだのは何となく分かる。
あたし、西門さんを湯たんぽ代わりにしちゃったのー?

西門さんがあたしのおでこに貼り付いてる冷却シートをぺりぺり剥がしてる。
そして掌でおでこを覆って、熱があるかを確かめてるみたいだ。

「お前、熱下がったんじゃねえ?
身体、どうだ?」
「う・・・ん、昨日よりもいいみたい。」

ホントはまだ背中はぞわぞわするし、頭もぼんやりしたまんまだけど。
酷い寒気は去ったみたいだ。

「そりゃ、良かったな。」

狭いベッドの上で、ふわわわわと大きな欠伸をして、首をカキコキ鳴らしてる西門さん。
そのリラックスっぷりが、妙な色気を醸し出してて、つい見詰めてしまう。
無自覚なフェロモン放出、恐るべし!

そろそろベッドから降りて欲しい。
だって、距離が近過ぎる!
だけど、一晩人間湯たんぽにしてしまった手前、強く出られない。
仕方がないから、あたしがベッドを抜け出そう・・・と寝返りをうったら、背中からきゅうっと抱き締められた。

「ちょ、ちょっと! 何してんのよ!」
「お前、今日も一日寝とけよ!
熱下がったからってバイトとか行くんじゃねえぞ。」
「そ、そうじゃなくて。放してよっ!」
「何だよ、昨夜はあんなに必死に俺に縋りついてきたのに。
夜が明けたら掌返したようになるなんて、つれねえんじゃねえ、つくしちゃん!」
「や、それ、憶えてないし!」
「西門さん、西門さん・・・って俺の事呼んだくせに。」
「いや、絶対呼んでない、アリエナイ。」
「お前、熱ある時の方が可愛げあるな。」
「余計なお世話だっつーの! 放せー!」

ジタバタしても一向に放してもらえない。
背中越しに西門さんの温もりが伝わって来ちゃうから、心臓がドキドキしちゃう!
いーやー! また熱上がるー!

「何だよ、誕生日潰して看病してやったっつーのに。」

その言葉でふと我に返った。
暴れていた手足の動きを止める。

そ、そうだった。
西門さん、お誕生日だったんだ。
あたし、タイミング悪く熱なんか出して・・・
お祝いしてあげるどころか、看病されてしまった。
あー、こんな筈じゃなかったのに。

そう思ったらじわっと目に涙が湧いてきた。

あたしはいつも予定通りにはいかないんだよね。
何かタイミング悪いの。
持って生まれた運の悪さなんだろうか?
貧乏だと、そんなのも付いてくるの?

「ま、俺は、好きなオンナと過ごせてラッキーな一夜だったけど。」

は? この人、今なんて言った?
空耳?

「なんてったって、普段の牧野じゃありえないくらいの大胆さで抱きつかれたしなあ。
役得、役得。」

くくくと小さな笑い声が、耳に忍び込む。

「風邪治ったら、改めて仕切り直してやる。
だから今はこれだけでいいわ。」

がばっと身体を起こした西門さんに組み敷かれて。
嘘っ? ケダモノに食われる!と身を硬くしたら、降って来たのはおでこへの優しいキス一つ。
呆気に取られて、その顔を見上げてたら、お日様が輝くかのようにぱっと眩しく破顔した。

「早く治せよ、牧野。
俺、短気だからな。
あんまり長くは待ってやれない。」

嘘・・・
嘘・・・?
あたし、きっとまだ熱ある。
だって、だって、頬っぺた、自分で分かる程アツアツだし。
この人の話してる言葉の意味、全然頭に入って来ないもん!
寝ちゃおう。
こんな時は寝るに限る。
取り敢えず寝て。
その次の事は起きてから考えよう。

ふわふわの羽毛布団をおでこまで引っ張り上げて。
あたしは現実逃避することに決めたのだった。


__________



2017年のBirthday SS、ちっともお誕生日っぽくないまま終わっちゃいました!スミマセンっ!
単なる友達だった2人が一歩先に進むきっかけの夜・・・みたいな感じですかね。
いやー、総二郎は甲斐甲斐しかったんですよ。
お姫様抱っこでつくしの部屋に運び入れて。
寒い寒い言ってるつくしの為に、羽毛布団を買いに行き、包んでやって。
それでも寒い寒い言うから、ぎゅうっと抱き締めて寝てやって。
そうしたら、夜中に「西門さん・・・」なんて呟きながら、つくしから抱きついてきたんですよ。
百戦錬磨といえども、理性を総動員させて、般若心経を呟きつつ耐えたのです(笑)
という、一夜の話でありました。
こんなオチで申し訳ない(^_^;)

スミマセン、公開設定が下書きになってました!
遅刻でUPです!


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

私、風邪を引きました -side 総二郎- 前編

拷問だ。こんな拷問、あっていいのかよ?

ついつい口からは溜息が吐き出される。
鼻から息を吸い込めば、ふわんと甘い髪の香りに擽られ、目がくらくらしてきた。
熱っぽい身体からじわじわと伝わって来る体温で、こちらまで火照って来る。
これ以上身体が熱を持たない様に、狭いベッドの中でもなるべく距離を取るべく身を引いたが、互いの間にはほんの少しの隙間が出来ただけ。
殆ど意味がない。
自分を落ち着ける為に、目を瞑って小声で般若心経を唱える。
牧野はそんな俺をよそに、身を捩って寝返りを打ち、なんと俺に抱きついてきやがった!
俺をぬいぐるみか何かと間違えてるのかと思いきや、「西門さん・・・」なんて呟きながら、俺の首に腕を回してくるから、余計に身体がかーっと熱を持つ。

これじゃこの心臓バクバクいってんのを止めらんねえだろ。

ぎゅうっとしがみ付かれて、つい俺も片手をその背中に回した。
身体の密着具合がヤバすぎる。
熱が一ヶ所に集中しそうなのを遮るために、腰をなるべく外側にずらした。
下手するとベッドの下に落ちそうな狭さだというのに、それ以外に出来る事が無い!
なんてカッコ悪いポーズなんだろう!!

あー、ダメだ。もうダメだ。
俺はこの女に参ってる。
こんな風に俺の腕の中に転がり込んできても、何も出来ないくらいに惚れている。
大事で、大事過ぎて。
こっそり唇を奪うことすら出来ない。

唯々牧野を抱き締めて。
震えが止まるようにと背中をそっと撫でながら、その熱を感じてた。



大学でチラっと見かけた時に、ちょっとおかしいなって思ったんだ。
頬が妙に赤い気がして。
目もいつもよりちょっと潤んでいるような感じで。
酔っ払った時のアイツに似た様子。
だけどアイツが学内で酒を飲む訳もない。
となると、悪い予感が頭を過る。
それでアイツのバイト先を覗いてみた。
高校の時から勤めてる和菓子屋のカウンターに立つ姿は、ガラス越しに見ても、どこか覇気がない。
幸か不幸か、和菓子屋はあまり繁盛していなくて、暇そうにカウンターに頬杖突いたりしている。
早く仕事を終わらせる為に、生菓子全部買い占めて、今すぐ店から連れ出そうかと思ったけれど、それは確実にアイツを怒らせるような気がして、二の足を踏んでしまう。
そのうち、他のバイトの子と店内を片付け始めたから、そろそろ店仕舞いなのだと少しホッとした。
それでも気が気でなくて。
店の裏口で出て来たところを捕獲した。
背後から回って、すぐに確かめたのは額の温度。
案の定、熱くなっている。

「ふん、やっぱりな。」
「な、な、何よ? 何なのよ?」
「お前、こんな熱あるのにバイトなんかしてんじゃねえよ!」

心配な余り、ついつい言葉が荒くなる。

「バイトは休めないって何度言ったら分かるのよ?
お店、人手不足なんだから、女将さん困っちゃう・・・」
「あー、つべこべうるせえ。行くぞ。」
「え? どこも行かないよ。あたしは部屋帰るんだってば・・・」

ジタバタしているバカ女を車に乗せる。
病院に連れて行こうとしたら嫌がるから、仕方なく目黒に行くことにした。
目黒は・・・兄貴とミヤコさんのマンションがある。
夫婦で医者なんだから、何とかしてくれるだろう。
出来ればミヤコさんに診てもらいたいけど。
たとえ医者だろうとも、他の男が触れるだなんて、考えただけでもムカムカする。

この期に及んで抵抗していたから、ちょいと引っ張ったら、あっさり倒れて来た。
口は威勢がいいけれど、身体の方は限界がきてたらしい。
頑張り屋な牧野らしいっちゃらしいけど。
無理してくれんなよ!ってのが俺の本音だ。
少しでも休ませてやりたくて、俺の元では鎧を脱いでもいいんだって教えてやりたくて。
そっとそっと牧野に触れる。
ほてほてと熱い額と頬。
瞼を撫で下ろせば、されるがままに目を閉じて、深い息を吐き出した。
熱のせいで寒気があるらしく、身体を震わせている。
慌てて着ていたコートを脱いで着せ掛けた。

「い、いいよ。
西門さんが風邪引いちゃう。」
「こんな暖房効いてる車内にいて、風邪なんか引かねえよ。
お前は黙って寝てろ。」

なんでいつも人の事ばっか気にしてんだよ、お前!
今はお前が病気なんだから、一に自分だろうが!

どこまでも相手の事ばかり考えてる。
これが牧野だ。
分かっているけれど、とても歯痒い。
俺には甘えてくれていいのに・・・と思ったり、もしかして、他の男、特に類には自分の弱ったところを見せているんだろうかと、気になったり。
熱っぽい牧野に触れながら、俺は気もそぞろだ。
ミヤコさんにLINEすると、運よく在宅中で、兄貴はまだ帰ってないとの事。
熱がある牧野という後輩を連れて行くから診てやってくれと送ると、すぐにOKとの返事が来た。
熱でぼうっとしているらしい牧野の手を引いて、兄貴とミヤコさんの部屋に向かう。
何度か来たことがあるから部屋の場所は分かっているのに、病人がいると告げたせいか、ミヤコさんは玄関ドアの前に立ち、ブンブンと手を振っている。
物静かな兄貴と、明朗快活なミヤコさん。
正反対だけど案外いいコンビなんだろう。
着いた途端、早速見返りを要求されたけど、冗談なのは重々承知だ。
それにしても、病人を診てくれって言ってるのに、意味ありげな笑い顔して俺を見てくるミヤコさん。
頼み事をしている上に牧野の手前、何か言い返すことも出来ない。
素知らぬ振りして部屋に上がった。

リビングのソファに座らされた牧野。
何が起こってるのかよく分からないままに、ミヤコさんに診察されている。
それをミヤコさんの背中越しに見守っていたら、キッチンへと追い出された。

べ、別に、俺は牧野が心配だから見てただけで!
下着姿まで見てやろうとか思ってねえよ!
水着姿はプールや海で見た事あるし。
浴衣着付けてやった事もあるんだから、アイツの貧弱ボディはとっくに知ってんだ!

ミヤコさんに遊ばれてる気がして、ちょっと身体のどこかがムズムズする。
言われるがままに煎茶を入れて、リビングの方の様子を窺うと、ミヤコさんが自己紹介しているところだった。
どうやら診察は終わったらしい。
食器棚の中には茶托もあったけれど、俺と牧野とミヤコさんが茶を飲むのには要らないだろうと、盆の上には湯飲みだけを載せて、リビングへと戻った。

「西門さんの・・・お義姉さんだったんですか。」

惚けた牧野の声が耳に届く。

「ホントに何も話してないのねー。
あのコって秘密主義なの?」
「さあ・・・?」

首を傾げてる牧野がそこにはいた。
身体の中のムズムズが一層激しくなり、ついつい否定の言葉が飛び出る。

「別に秘密主義なんかじゃねえよ。」

ミヤコさんは次々と俺を試すような言葉を口にする。
ついでに目もキラキラさせて、随分と楽しそうだ。
俺で遊んでいるに違いない。

「総二郎くんに看病なんか出来るの?
あ、もしかして、西門のお家に連れて帰るつもり?」

看病位俺にだって出来るだろ!
それに絶対西門の家には連れて行かねえ!
面倒過ぎる、そんな事。

「あ、送り狼禁止よ!」

そんな事言われなくても分かってるっつーの!
っていうか、俺も鬼畜じゃねえ。
熱で弱ってる牧野を食ったりしねえよ。
そもそもコイツがそんな事良しとする訳ねえし。
ったく、ミヤコさんは俺を何だと思ってんだ?
この兄嫁にはホントいつも遊ばれてる感じがしてならねえな。


__________



随分時間が経ってしまいましたが、「私、風邪を引きました」の総二郎sideのお話を考えてみました!
へー、ほー、そうなんだー、総二郎はそんな事考えてたんだー!みたいに楽しんで頂けたら幸いです。
今回は 前編中編 の途中までの裏話でした。

本日、2月3日。節分!
いや、そんなに自分の気分的は盛り上がってないですけど、豆は食べますよ( ´艸`)
結構好きです、福豆、ポリポリ齧るの。
年齢分一度に食べるのはちょっとキツイ量になって来たけどねっ。
因みに管理人、北国育ちなもので、子供の時は落花生撒いてました。
当たった鬼役のヒトは大豆よりも痛かったかも?(笑)


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

私、風邪を引きました -side 総二郎- 中編

ミヤコさんの掌で転がされているのを苦々しく思っているうちに、兄貴の声が玄関の方から聞こえて来てしまい、ついついチッと、小さく舌打ちする。
兄貴が帰ってくる前に、さっさと牧野を連れて帰る予定が狂ってしまった。
ミヤコさんの事を、自分だけが使っている「キョー」なんて愛称で呼んでる。
そんなミヤコさんにデレデレな兄貴を見るのも面倒臭くて、自ずと顔をしかめてしまった。
するとそれを見付けた牧野が俺の事を笑ってる。
熱があっても笑う余裕はあるらしい。
更に、もう熱でフラフラなくせに、兄貴に立って挨拶しようとしているから、額を小突いてそれを止めた。
何とか立とうともがいてるけど、ソファに座っていて重心が後ろにあるんだから、立てる訳もない。
牧野の動きなんかこの指一本で封じ込める。
兄貴が「牧野さん? あのいつも話題に上る牧野さんか。」なんて言ったもんだから、余計な事を・・・と睨み付けたい気持ちになった。

そもそも俺は兄貴と大して喋ったりしないのに。
牧野の話だってそんなにしてねえだろう?

そこへ「俺が診た方がいいんじゃないか?」なんてありえない台詞まで兄貴の口から飛び出す。
途端に激しいイライラがぐわーっと湧いてきて、思わず本音が口から零れ出た。

「何で牧野を兄貴に診てもらわなきゃなんねえんだよ・・・
触らせるかっつーの!
ほら、牧野、帰るぞ!」

かくなる上はさっさとこの場を退散するに限る。
牧野の腕を取り、ソファからぐいっと引っ張り上げたら、その勢いで小さくて軽い身体は真っ直ぐ俺の胸に飛び込んできた。
牧野をこんな風に牧野を抱き留めた事なんか今迄無かったから、アクシデントのような接触でも心臓がバカ騒ぎを始める。
そんな俺の動揺を誰にも悟られないように、何もないような涼しい顔して牧野にコートを着せて。
更に寒くない様に俺のコートもその上に重ね着させて、そそくさとその場を後にする。
来た時より牧野の足取りが重たくなっている気がする。
また牧野の手を取って、マンションの廊下を歩くけれど、その小さな手から伝わって来る熱さに胸が締め付けられた。
俺の斜め後ろを大人しく手を引かれて付いてくる牧野の事が気になって仕方ない。

さっさと部屋に送ってかないと。
早くコイツを寝かせないと!

そう思った時に、兄貴の声が廊下の後ろの方から追い掛けて来た。

「総二郎!」

こっちは急いでるっつーのに、何で呼び止める?

「あぁ? 何だよ?」
「今日、誕生日だろ? おめでとう。」

誕生日・・・。
そう言えばそうだった。
牧野の様子がおかしい事で頭がいっぱいで、すっかり頭から抜け落ちてた。
自分でさえ忘れてた誕生日なんて日を、兄貴が憶えてるなんてちょっと意外だ。

「・・・憶えてたのか?」
「家族の誕生日くらい憶えてるもんだろ。
良い夜をな。」

いい夜って言われてもな。
まあ、別の意味で寝られない夜にはなりそうだけど。

「病人抱えて良い夜も何もあったもんじゃねえよ。」
「それもそうか。」

兄貴がちょっと表情を崩す。
その優しく下がった目尻の笑い顔を久しぶりに目にして、どこか懐かしい気持ちに包まれたけれど。
兄貴には兄貴の道が、俺には俺の道があるんだ・・・と思ったら、懐かしさは胸の奥底に仕舞い込んでしまおうと、すぐに思い直した。

きっともう、西門の家で、こんな兄貴の顔を見る事は無いだろう。
兄貴はその笑顔を、俺にじゃなくて、ミヤコさんに、そしてこれから増えるであろう兄貴の家族に見せていけばいい。
俺は俺で、俺を幸せにしてくれる笑顔を手にするから。

エレベーターに乗ったら、牧野の身体がぐらりと傾いだ。
慌てて腰を抱いて支えると、何を勘違いしたのか、力ない視線ながら上目遣いで睨み付けてくる。
こんな時にやましい気持なんか抱く余裕、俺もないのに、ホント信用ないな・・・と苦笑いが込み上げる。

「立ってんのも辛いんだろ?
こっちに身体預けとけ。」

熱っぽく潤んだその目と上気した頬を見ていると、辛そうな牧野が気の毒で、いてもいられない気持ちになった。
「ん・・・」と弱々しく呟いた後、素直に俺に身体を寄せて来た牧野。
エレベーターがすうっと下りていく感覚と同時に、牧野の身体から力が抜けていき、がくりと倒れそうになったから、咄嗟に抱き留める。

「牧野? おい、牧野、大丈夫か?」

声を掛けても返事がない。
学校とバイトで疲れただろうし、熱もあるし、知らない場所に連れて来られ、初対面の人にも会って、それなりに気も使ったんだろう。
頑張り過ぎて、とうとうパワーがゼロになったらしい。
1階のエントランスホールにエレベーターが着いたから、俺は牧野の膝裏に手を入れ、抱き上げてそこから出た。

初めてのお姫様抱っこは、こんな所で使う予定じゃなかったのにな。
恥ずかしさで頬を染めて、キャーキャー騒ぐお前を見るつもりだったけど。
それは改めて・・・だな。

牧野を抱えて出て来た俺を見て、大野さんがアタフタしながら車のドアを開けてくれる。
顔から湯気が上がりそうな程熱い牧野と、その牧野が心配でどうにかなりそうな俺を乗せて、車は夜道を走り出した。
遅くなってしまったからか、思ったよりも道は空いていて、スムーズに牧野のアパートの前に着く。
牧野を部屋に運び込み、ベッドに横たえた。

「今日は俺、帰らないから。大野さんはもういいよ。」

牧野のバッグを運びがてら、玄関ドアの外で心配そうな顔をして立っていた大野さんは、俺に頭を下げて帰っていった。
2重に着せたコートを脱がし、布団と毛布の下に牧野を押し込む。
気休めかも知れないが、洗面所で見つけたタオルを濡らして額に載せた。
すると小さく身を縮ませて、「寒い・・・ 寒い・・・」と譫言を呟いてる。
ぐるりを見回しても、これ以上掛ける毛布等見付からず。
仕方なしに勝手に開けた押し入れにも、寝具は見当たらない。
エアコンの設定温度を上げたけど、それでも牧野は震えながら小さく丸まっているから、俺は牧野を温める為の布団を手に入れるべく一旦部屋を出た。
とは言っても、そんなもの自分で買った事が無い俺は、一体どこで買い物したらいいのか、見当がつかない。
普段、コンビニくらいは入ったりするけれど、流石に何でもあると謳っていても、寝具は取り扱っていないだろう。
仕方がないから通りに出て、タクシーを停め、行き先を聞いてきたドライバーさんに逆に質問してみた。

「あのー、寝具を買いたいんですけど、この時間、どこに行ったら買えますかね?」
「寝具って、布団の事?
それなら、駅前の大型スーパーじゃない?
あそこ10時までやってるし、布団売り場もあったと思うよ。」
「あ、じゃあ、そこまでお願いします。」

牧野が住んでいるところの最寄り駅。
その駅前にどどーんと鎮座している古臭い建物がそのスーパーで。
入った入り口の目の前が偶然寝具売り場だった。
どれを選んだらいいのか、店員に聞こうにも、誰も売り場にいない。
閉店時刻が迫りつつあるスーパーはがらんとしていた。
寝具の棚の間を行ったり来たりして見付けた、一番値の張る羽毛布団を買う事にした。
一番高いと言ったって、6万円しかしないのだ。
ちゃんと暖かいのか懐疑的になる。
羽毛布団が詰め込まれたドでかいケースを棚から引っ張り出して、レジへと運んでいくと、「いらっしゃいませー」と機械的に品物を受け取って台へと載せた店員がこんな事を言い出した。

「カバーの方は宜しかったですか?」
「は? 何ですか?」
「あのー、この布団にはカバーがセットになっていませんので、お入り用でしたら別にお求め頂くことになるんですが、宜しかったですか?」
「ああ、じゃあ、それも一緒に。」
「お色はピンクと水色とベージュをご用意してますが・・・」

布団カバーの色だあ?
何だってこの焦ってる時に、そんな事を考えなきゃならねえんだよ?
正直何でもいいが・・・
後々牧野に一番文句を言われなさそうな色は・・・

「ベージュで・・・」
「畏まりました。少々お待ち下さい。」

一旦レジを離れた店員がベージュのカバーが入っているパッケージを手に戻って来る。
早く牧野の元に戻りたい俺は、じりじりと待つばかりだ。
やっと会計が済んで、ホッとしたのも束の間、今度はノロノロと布団に紐を掛け出した。
プラスチックの取っ手を付けて、今度こそ手渡してもらえるのかと思いきや、なんとその取っ手に緩衝材を巻いている始末。

マニュアル通りの対応かも知れないが、俺は一分一秒でも早く、寒がってる牧野にこれを掛けてやりたいんだよ!

短気な俺はそう叫び出したいのをぐっと堪えた。


__________



「私、風邪を引きました」の総二郎sideの続きを書いてますー。
今回は中編 の途中からその後の場面・・・の裏話でした。
スーパーで布団を買う総二郎。
つくしsideを書いてる時から具体的に妄想してたので、楽しく書けました♪

節分豆、皆様食べました?
年の数だけ食べたら、結構口がモソモソになりました。
豆の数、多すぎ・・・(^_^;)


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学