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hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

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桜の花びら掴まえて 前編

大学は新年度に入り、周りの雰囲気はどこかふわふわしてるけど、俺はいつもと変わらない。
そして牧野も。
いつも通り大学とバイトで大忙しだ。
そんな牧野の久し振りに予定がない週末。
時間があるからと言って、どこかに出掛けたい訳じゃない。
俺は牧野と一緒にいられればそれでいいから。
でも牧野はどこにいたってじっとしていられないみたいだ。
庭の八重桜が綺麗に咲いているからと、俺の家に牧野を呼んで、その木が良く見える大広間の障子を開け放った。

「牧野様をこちらのお部屋にお通しするのるのは初めてでしたでしょうかねえ?」
「そうです! お庭であの桜が咲いているのを見せて頂いたことはあったんですけど・・・
ここから見るとまるで高級な日本画みたいに綺麗ですねえ。」
「牧野様のお考えはとってもユニークでらっしゃる。
ウチのお坊ちゃまはこの通り、何を見てもいつもぼーっとしてらして。
なーんにも仰らないでしょう?
桜も庭も、お坊ちゃまには宝の持ち腐れなんでございますよ。
牧野様に楽しんで頂けて宜しゅうございました。」

小林さんが牧野の突飛な発言にくすくす笑いながら応えてる。
高級な日本画って・・・
中級や低級な日本画ってあるのかな?
それに小林さんも『お坊ちゃま』なんて言うなよ、もう二十歳過ぎの男のこと。
いつもは類様って呼んでるくせに、牧野と話してると、つられて小林さんまで発言がおかしくなってく。

「小林さん、類は・・・ 類さんは、これでも何も考えてない訳じゃないんですよ。
色々思ってても、胸に秘めてるタイプの人間なんです。」
「そうなんでしょうかねえ?
赤ちゃんの頃からお仕えしてますが、昔からこの調子で。
それでも牧野様とお知り合いになられてからは、ずっと表情豊かになられました。
笑顔も口数も増えて・・・
全部牧野様のお蔭ですね。」
「そんな、あたし、何もしてませんから。
変わったとしたら、類が自分から変わったんです!」

俺の事なんかどうでもいいだろ。
早く2人きりでのんびりしたいのに。
小林さんは牧野と話すのが楽しいらしく、あれこれ世話を焼いてる振りをしながら、そこに居座ってる。

「・・・もうそれぐらいにして。
牧野がお腹減らしちゃうから。」
「あら、大変失礼致しました。」
「止めてよ、類っ!
あたしが意地汚いみたいな言い方。」

そのタイミングでぐうーーーと牧野の腹の虫が鳴ったから。
牧野は顔を真っ赤にして、「や、ちょっと今のは・・・」とかなんとかもごもご言ってるし。
俺がそれ見た事か・・・と小林さんにちろっと視線を流すと、何故だか嬉しそうに微笑んでいる。

「それではこの辺で失礼させて頂きます。
牧野様、ごゆっくりお過ごしくださいませ。」

小林さんが出て行って、2人だけになった広い畳敷きの部屋は急に静かになった・・・のはほんのひと時だけだった。
座卓の上には、今日の昼飯が並べられている。
早速食べようと牧野をうながすと、わーきゃー言う声が止まらなくなった。
牧野がお花見気分を味わいたいだろうという板場の気遣いからか、松花堂弁当仕立てになっている。
とは言っても、四つ切箱に全てが収まる訳も無く、四角い弁当箱の他に、何かのなますが盛られた向附、赤い色がちらっと見えるから、多分海老か蟹のしんじょの上に菜の花があしらわれた汁椀、御造の三種盛、更に小さな釜が各々に添えられていて、その中では鯛めしが炊かれていた。
自分の分の蓋を取らなくても、目の前でひとつひとつ蓋を開けて、喜びの声を上げてる牧野の様子を見ているだけで、中身が分かる。
つい、ふふふと笑ってしまった。

「すっごく美味しそうだよー、類!」
「じゃあ、見てばっかりいないで食べたら?」
「うんっ! そうする。頂きまーす!」

大きな口を開けて、ぱくりと頬張り、一瞬遅れて幸せそうに目を瞑って味を堪能する。
そんな牧野を見ているのが幸せだ。

「何だろ、これ?
よく分かんないけどおっいしー!
ねえねえ、類、食べてみてよ、この黄色いの。
それでこれが何なのか、教えて!」
「・・・献立、書いたの持ってこさせればいいんじゃない?」
「そうじゃないよ!
2人であれこれ言いながら食べるのが楽しいんだもん。
ね、ね、ね?」

そんなに目をキラキラさせて言い募られると、食べてみるしかなくなる。
牧野の言う『黄色いの』を口に運ぶと、それは魚の黄身味噌焼きだった。
口の中のものが無くなってから、待ち構えている牧野に答える。

「鰆かなんかじゃないの?
それに黄身味噌が塗られてる。」
「へえ、鰆。黄身味噌。」

鸚鵡返しに呟いて、今度はその隣に箸をのばす。

「わっ! モチモチ!
これはお麩だあ。
生麩ってなかなか食べる機会ないから、新鮮っ。
ウチで食べるお麩は、乾物なのよ。丸くておっきいヤツでさ。
それをお汁に入れたり、炒め物に混ぜたりするんだけど、同じお麩でも別物だよねえ。」
「んー、じゃあ、今度はその丸くて大きい麩の料理を、牧野が俺に食べさせてよ。」
「そんなの、いつでもすぐに作れるけどさ。
めっちゃ庶民の料理だよ?」
「俺、いつもあんたの作るもの、美味しいって食べてるでしょ。」
「うん、まあ・・・ 珍しいとか呟いてることもあるけど、残さず食べてくれるよね。」

牧野の手料理は、本当に俺にとっては珍しいものがいっぱい出てくるんだけど。
俺の為に作ってくれたと思えば、どれもこれも嬉しい。
いつだってその料理を、作ってくれる手間を、共に食事できる時間を大切に思ってる事、牧野にはあんまり伝わってないみたいだ。

「当たり前でしょ。俺はあんたが作ってくれる料理が一番好きだから。」

そう言ったら、急に顔を真っ赤に染めた。
夢中で動かしてた箸も止まってる。

「そっ、そっ、そんな訳ないじゃない!
こんなに美味しいお料理、いつも食べてるくせにっ!」
「俺は牧野に嘘なんか言わないよ。
ホントに思ってる事言ってるだけ。」
「もうっ! お世辞はいいってば!
類もぼーっとしてないで食べなさいよ!」

照れ隠しの為に、俺にあれこれ言うのもいつもの事。
怒られないように、そっと笑ってから、「はいはい。」と返した。
こんな調子で、俺達の昼食は進んで行く。
食後に小林さんがフルーツを運んできて、お茶を淹れてくれた。
お腹いっぱい!とか言ってたくせに、また幸せそうに琵琶を口に運んでる。
「ねえ、初物ってどっち向いて食べるんだっけ?」とか俺に聞きながら。

西でも東でもどっちでもいいじゃん。
絶対に迷信だから、それ。
俺の方を向いて食べる・・・が正解だよ、牧野。


__________



暫く更新が止まっていてスミマセンでした。
やっとお話UPです。
えーっと、類のお誕生日SSを書けなかったのが心残りでして(;^_^A
類に何か書いてあげなきゃなー!と思っておりました。
先日のチャット会で、「桜のお話で甘いのを・・・」というようなお声もありまして、染井吉野は散ってしまったけど、まだ八重桜が咲いてる!と慌ててこのお話を書きました。
前半は食べ物ネタにしてみました(笑)
桜ネタは後半にて!

いやあ、類誕前後から、本当に怒涛の日々でして。
全然PCを開けずにおりました。
年度末、年度始って仕事が忙しいですね!
そこに加えて病人が度々ダウンしまして。
そうなると今度は寝ずの看病がそこに追加される訳ですよ。
更にまだまだ飛んでる花粉!
これが鼻水を呼ぶんだ!
柔らかティッシュの箱がどんどん空きます。
あとひと月弱かなー、花粉は・・・
早く飛び終わってくれることを願うばかりです。

さてさて、書きかけの「難破船」の原稿がどっか行っちゃいましてね。
どの端末に、どうやって保存したのか、見つからない。
もしかして、あれは夢の中で書いたのだろうか?
そしてキリリクもちょこちょこ書いてます。
早く落ち着いていっぱいお話書きたいです!
どうか応援よろしくお願いします!


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桜の花びら掴まえて 後編

窓の外を、春の午後の柔らかな風が吹く。
その度に八重桜がはらはらと散って、まるで雪のように庭に降り注いでいく。
それにうっとりと見惚れている牧野の横顔を見詰めていた。

「すっごくキレーだねえ・・・
桜花爛漫ってこの事?
でも散り始めちゃってるから花吹雪かな?
いくらでも見てられる、この景色。
素敵なお庭だね。」
「外に出てみる?」
「うん! あの木の下まで行ってみたい。」

新緑の上に花びらの絨毯が敷き詰められ色が変わっている芝生を踏みしめて、八重桜の元までやって来た。
牧野は落ちてくる桜の花びらを掴まえるのに躍起になっている。
上を向いて、手をぱちん。
右にふらふらーっと歩いていってまたぱちん。
今度は左側によたよたよた・・・と歩いていって、花びらを掴まえ損ねてバランスを崩して、芝に膝を突いた。
両手を開いてみては、何もないのを見てがっくりする牧野。
何の為にそんな事してるのか、俺は不思議でならない。
掴まえなくたって、桜の花はこんなに沢山あるのに。

「ゆっくり落ちてくるように見えるのに、掴まえようとするとするっと逃げちゃう!」

花びらなんて軽いもの、そっと掴めばいいのに、両手を合わせる時の風圧で飛ばされていってるとは考え付かないのかな?
ホントに牧野は面白い。

「ねえ、牧野。何でそんな事してんの?」
「えー? だって桜の花びらが地面に落ちるまでに掴まえると・・・」

そこまで言って急に口を噤んだ。

「掴まえると?」
「・・・っ! 教えないっ!」
「何それ? 言いかけておいて教えないとか。
あんたらしくないね。」

急にくるりと俺に背を向けた牧野の表情を見ようと、牧野の前に回り込むと、伏し目がちに、八重桜の花より頬を色付かせていた。
また俺から顔を背けようとしたから、その両手を取って引き留める。

「教えてよ、桜の花びらの秘密。」
「・・・別に秘密じゃないもん。」
「じゃあ教えてくれたっていいでしょ?」
「だって類、絶対に笑う。」
「??? 笑わないと思うけど。」

俺が牧野を馬鹿にするとでも思ってるんだろうか?
ただ何を思ってるのか知りたいだけなのに。
好きな相手が今何を考えているのか教えて欲しいって思うの、おかしくないよね?

「うぅーーー、笑うもん、きっと。」
「じゃ、笑わないって約束する。」
「・・・・・・」

そんなに言いにくいことって何だろう?
余計に気になる。
でも言いたくない事を無理に言わせるのは嫌だ。
『じゃあ、もういいよ。無理には聞かない。』と口にしようとした時に、不満気に唇を尖らせていた牧野がか細い声で囁いた。

「・・・恋が・・・ 叶うんだって。」
「ん?」
「だから・・・ 桜の花びらが地面に落ちるまでに掴まえると・・・恋が叶うんだって!」

今度はさっきよりも大きな声で言い切った牧野。
その言葉に、俺は笑うよりもきょとんとしてしまった。
思わず目を瞬く。
目の前の牧野は、顔中を真っ赤にさせて、俺とは目を合わせようとはしない。

恋が叶うって?
その為に花びらを掴まえようとしてた?
それって、どう考えても迷信だし。

「ふうん・・・ ねえ、あんたは一体誰と恋したいの?」
「へ?」

俺の言葉に、やっとこちらを仰ぎ見たその黒目がちな瞳をじっと見詰める。
そしてそっと微笑みながら告げた。

「もう叶ってるんだから、桜の花びらは必要ないでしょ?」
「・・・え?」

くいと手を引いて、華奢な身体を引き寄せる。
ちょっと身を屈めて、唇に小さなキスを落とした。
そうしたら、途端にジタバタと暴れてる。
でも手は離してあげないから。

「な、何すんのっ! ここ、類のお家のお庭なのにっ!
誰か見てるかもっ?」

ああ、まあ、小林さんがどこかで見てる・・・かもしれないけど。
そんなの大したことじゃない。

「あんたの恋の相手は俺でしょ。
だから、桜は掴まえないでこうして愛でているだけでいいんだよ。」

そう告げて幾分強引に牧野を俺の腕の中に抱き寄せた。
また突っぱねられるかと思いきや、あっさり牧野は俺の胸に顔を埋めて寄り添ってくれてる。
そんな牧野の頭越しに見る庭の景色は、いつもより明るく眩しい。
そっと目を瞑って、春の風と牧野の温もりだけを感じてみた。
桜の花の香りが漂う、優しい空気に囲まれて、目を閉じていても、胸の隅々まで明るい光で満たされてくような感覚に、言葉にならない幸せを覚える。
腕の中の牧野が、ぽそりと言葉を零した。

「これじゃ桜、見えないもん・・・」
「あ、そっか。」

腕の輪を緩めて、牧野と俺の間に隙間を作る。
そしてもう一度視線を合わせた。

「花びらじゃなくて、俺を掴まえてよ。」

牧野の瞳がちょっと潤むように光っている。
ぱちりぱちりと瞬きを何度か繰り返した後、俺の言葉通りに牧野の腕が俺の背に回って、ぎゅっと抱きついてきた。
自分から言い出した事だったのに、そんな牧野の仕草に驚いて、心臓がどくんと鳴り、身体の内側から痺れるような感覚が漣のように広がってく。

「一度掴まえたら、もう離さないんだから。」
「ふふふ、望む所だね。」

可愛いらしい牧野の言葉。
俺こそそう思っているんだ。

気持ちを形にしたくて、牧野をしっかりと抱き締め直す。
はらりはらりと散っている桜の花びらの中、心に刻むこと。

俺こそ二度と牧野を離さない。
そしてこの日を忘れない。
きっとこの桜が咲く度に、2人でこの日を思い出す。
何年経っても、幾つになっても。
それは凄く幸せな事だろう。


__________



モデルにしてた裏のお家のお庭の八重桜がほぼ葉桜になりましてね。慌てて続きを仕上げました!
桜が散る場面が好きです。
花びら舞う木の下、いつまでも立ってたい・・・と思います。
桜の次は藤でしょうか?
藤の花も好きな色なんだなぁ。
どこか近くで藤が綺麗に見える所を探したいです!


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