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hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

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Call my name -prologue-

お願いです。
お願いだから、あの人の側にいさせて下さい。
見詰めているだけでいいんです。
あの輝きを自分だけのものにしたいだなんて、そんな大それた事は望みませんから。
何も持たない私の、たった一つの宝物なんです。
真っ暗な闇の中に、蒼白く光り輝く一等星。
それをそっとそっと見ていられるだけで、私の心にぽうっと灯りが点るんです。
いつかあの人の隣に添う人が出来たらば、きっと私の心は張り裂けるかのように痛むでしょうけれど。
でもやっぱり目を逸らすことは出来ないだろうと思うんです。
側を離れて生きていく事なんて、想像する事さえ無理なんです。
だから、お願いです。
あの光が届く所にこの身を置かせて下さい。
その為には何だってしますから。
お願いです。
お願いです。
どうか私を、あの人の傍らに。


__________



この半年くらい、裏でこっそり書いていた総つくSSのプロローグです。
切ない2人の話なので、皆様にウケないかもー?と思って寝かせてたんですが(苦笑)
ちょっとあきらのお話を書くのに息切れしてるので、気分転換にUPしてみました。
総二郎も「ちっとも俺の出番がねえじゃねえか!」と怒ってる頃かも。
あれもこれも書き散らしちゃってスミマセン。
モチベを維持するのも大変なのでー。
色々試行錯誤しながら書いております!ご容赦下さいませ!


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Call my name 1

西門に来るように牧野を誘ったのは、司のNY行きがきっかけだった。
道明寺を支える為にNYへ行くと決めた司。
日本で司を待つと決めた牧野。
司がいなくなった寂しさから牧野の気を紛らわせるのに役立てばと思ったのと、少しでも道明寺に受け入れられやすい状況を作る為に、行儀見習いとして茶道の稽古をつける提案した。
ダチからは月謝は取らないと言ったら、その代わりに掃除を手伝うと言って譲らない。
大したことは出来ないけれど、掃除ならば得意だと胸を張る牧野に、掃除も内弟子達の仕事の一つだから、そんな事は無用だと断ったのだが、持ち前の図々しさを発揮して、掃除や片付けをしている内弟子に纏わりついて、一緒に其処彼処を掃除するようになった。
苦笑しながらもやりたいようにさせていたのだが、それがいつの間にかお袋の目に留まり、気が付いた時にはお袋と牧野は「つくしさん」、「おば様」と呼びあう仲になっていた。
約束の4年が過ぎても司が牧野を迎えに来ることはなく、それでも健気に司を待ち続けていた牧野に、驚くような話を持って来たのもお袋だった。
それは、就職活動をせず、大学を卒業したらお袋の秘書として勤めて欲しいという突拍子もない提案。

「おば様の秘書だなんて!
あたしなんかじゃとても務まりません!
沢山のお弟子さんもいらっしゃいますし、あたしじゃなくても・・・
お使いや雑用ぐらいなら出来ると思いますけど・・・
秘書なんて無理です!」
「そうかしら・・・?
この邸に弟子は大勢いるけれど。
つくしさんのように、細かな事によく気の付く方ってそうはいらっしゃらないのよ。
私の知らない事を色々ご存じなのも、とても助かるわ。
ね、住み込みではなくて通いでならご両親とも離れずに済むし、ちょっと考えてみては下さらない?」

秘書・・・というより、お袋専用の雑用係みたいなものかもしれないが。
一般企業にOLとして勤めるよりも『西門流家元夫人秘書』になった方が、司の隣に立つ時に風当たりが弱くなるだろう。

そう考えた俺の後押しもあり、結局牧野は大学卒業後にお袋の秘書として勤める事になった。
相変わらずのビンボー暮らし。
家族4人で狭いアパートに住んで、バイトしながら大学に通っていたけれど、これからは安定した収入が得られるのが有り難い・・・と世界を牛耳る大財閥の次期当主の恋人とは思えない事で喜んでいた。
何にでも真面目に取り組む牧野は、お袋に重宝され、どこに行くにも連れて歩かれるようになる。
邸に住まう内弟子と違って、基本的に9時5時、週休2日という待遇で働く牧野。
「あたしだけ楽させてもらって他の方に申し訳ないよ・・・」なんて遠慮もしていたが、俺からするといつか司の元へ嫁ぐ為の準備なんだから、こんなもんでいいだろう・・・という考えでいた。
お袋のスケジュールの合間に与えられる休みの日も、大学出たての小娘のくせに一家の大黒柱として頼られている牧野は、遊び歩いたりせず家事を手伝ったり、親父さんの仕事を手助けしたりと、常にフル回転。
そんな牧野を、俺は「じっとしていられない貧乏性だ。」と揶揄って笑ったりしていた。
その一方で、もやもやとしたものがいつも胸に巣食っているのを消せなかった。

一体いつ司は牧野を迎えに来るんだ?
牧野を道明寺に入れるのは、並大抵の努力では叶わないだろうことは重々分かってる。
誰にも文句を言わせない位、司が力を付けた時。
その暁に、司は牧野をその手に引き寄せるんだろう。
だが、それはいつの事だよ?
牧野は・・・待たされ過ぎじゃないか?

当の本人が文句も言わず、司を信じて待っているのに、俺が口出しする事なんか出来やしなかった。
長すぎる春を一番不安に思っているのは、牧野自身だろうから。
でも牧野は決して弱音を吐かないで、いつも笑顔で過ごしている。
いつの間にかそんな存在が身近にある事が、日常になった自分がいた。

状況が一変したのは、道明寺の経営危機が明るみになった時だった。
リスクヘッジのために多角化していた業務形態。
その一つの、アメリカで買収した自動車製造販売業が不振に陥った。
経営が道明寺に変わった事で、いい方へと向かっていくのでは・・・と期待していた従業員達が、より一層求められたコストダウン、リストラに耐えかねて、度重なるストライキを決行。
それを上手く抑え込めなかった事から、キャッシュ・フローが悪化し、多額の赤字を計上することになった。
道明寺はその自動車部門を手放そうとしたが、結局買い手は付かないまま、破産に追い込まれる。
ビジネスは一つつまずくと連鎖していくものだ。
健全な経営をしていた他業種にも影響が色濃く表れ、道明寺は形振り構わず立て直しに奔走せざるを得なくなった。
司から牧野への連絡はぷつりと途絶え、テレビや新聞で道明寺の動向を知る事しか出来ず、牧野は不安を募らせていく。

それでも牧野はまだ笑ってたんだ。
「道明寺も頑張ってるんだから、あたしはあたしの出来る事を頑張る!」って言って。
「きっと落ち着いたら何もなかった振りして、電話してくるって。」と強がってた。
そう、あの日が来るまでは。


__________



説明くさい導入部でした(^_^;)
悪しからず。
ざっくり設定でエモーショナルな部分を先走って書いてたので、辻褄合わせに後から書き足してます(苦笑)
プロローグを読んで頂いて、「人魚姫をモチーフにしてますか?」と何人かの方からコメを頂いたのですが。
全く考えてませんでした!
ほほう、そうか!と逆に思ったくらい(笑)
今からそのテイストを取り入れられるか考えます!

とうとう関東も梅雨入りです。
今も外はしとしと雨。
週末は予定があるから晴れて欲しいなぁ!
てるてる坊主の出番かな?


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Call my name 2

ある朝、牧野が出勤してこないと、お袋が気を揉んで、俺の部屋にやって来た。
いつもなら8時半には邸に着くように来ている牧野。
時計の針は既に9時半を回っている。
携帯に電話をしても一向に出ないのだという。
試しに俺も牧野の携帯を鳴らしてみたが、やはり繋がらなかった。

「電車が遅れたりしてるんじゃねえの?」
「それならつくしさんから遅くなりますって連絡してくる筈でしょう。
そういうことを怠ったりしないのがつくしさんですもの。」

そう言われてみればそうだった。
義理堅い牧野が無断で遅刻したり欠勤したりするとは考えにくい。
それならば連絡できない何かが起こっているのかもしれない・・・と漠然とした不安が胸に広がる。

「家に電話してみれば?」
「それが、どなたもお出にならないのよ・・・」

お袋が忙しなくぱちぱちと瞬きを繰り返しながら、そう呟く。
牧野一家が全員出払っている状況を想像してみた。

もしかして夜逃げか?
あの親父さん、またどこかから借金でもしたんだろうか?
それにしたって、あの牧野が一言もなくいなくなったりするとは思えない。

「お袋、まあ、落ち着けって。
きっとそのうちなんか連絡してくるだろ。
夕方迄に何のコンタクトも無かったら、俺が牧野の家まで行ってみるよ。」
「ああ、本当に心配だわ。
どうしたのかしら、つくしさん・・・」

結局この日、待てど暮らせど牧野から連絡は無く。
訪ねていったアパートも留守だった。
嫌な予感が的中していない事を念じながら、胸騒ぎを宥める空しい努力をしていた俺の元に翌朝届いた知らせは、想像よりも遥かに悪いものだった。



仕事が休みだったその日、牧野は親父さんの仕事の手伝いで、レンタカーを借り、遠方まで荷物を運んでいたそうだ。
行きは急いでいたから高速道路を使ったが、帰り道は節約の為にか下道を走ったらしい。
夜になって見通しが悪かったのか、長時間の運転で疲れていたのか・・・
はたまた目の前を小動物でも横切ったのか・・・
どんな理由かは分からないが、牧野の親父さんはハンドル操作を誤って、車はガードレールの狭間から崖の下へと転落した。
夜間の単独事故。
その日は誰にも気付かれる事なく、翌朝、通り掛かった人からの通報で、崖下に落ちた車が発見された。
レスキュー隊が潰れた車に辿り着いた時には、親父さんは既に亡くなっていて・・・
牧野は病院に緊急搬送された。
意識不明の重体。
数か所の骨折に加え、内臓にも多大なダメージがあった。
頭部もひどく打っていて、緊急手術は十数時間にも及んだそうだ。
たとえ目が覚めても、余りの激痛に耐えられないだろうとの判断で、眠らせたまま治療をしていくことになったという。
白い包帯であちこちを巻かれ、命を繋ぐための沢山の機械に囲まれて、ベッドの上に横たえらえた牧野とガラス越しに対面したのは、事故発生から5日後の事だった。

蝋人形のようにぴくりとも動かずに眠っている包帯だらけの牧野を目にしても、現実が受け止められない。
あれがつい先日まで俺の前で笑っていた牧野なんだとは到底思えない。
悪い夢を見ているかのような気分だった。

「医者は何て・・・?」
「楽観視は出来ないって言われました。
もっと状態が落ち着いて、眠らせる為の薬を止めたとしても、意識が戻る保証はないって。
たとえ目が覚めても、何らかの後遺症は残るんじゃないかって話でした。」
「・・・そうか。」

憔悴しきっている進。
親父さんは、進とお袋さんだけでそっと見送ったと聞いた。

「本当に大変だったな。
俺で力になれる事があったら、遠慮せずに言ってくれ。
動かせるようになったら、東京の病院に姉ちゃんを移そう。
俺の兄貴は医者なんだ。
兄貴のいる病院で、しっかり診てもらおうと思う。」
「有り難うございます、西門さん・・・」

ガラス越しに動かぬ牧野を見つめながら、司が暴漢に刺された時の事を思い出していた。

あの時、牧野が必死に司を呼んで・・・
司は奇跡的に息を吹き返した。
今度は司が牧野を呼び戻すべきなのに・・・
あいつはここに来る事すら出来ない。
果たして、この辛い知らせを受け取っているのだろうか?
それすら定かじゃない。



牧野。
牧野。
牧野。
もう一度目を開けろ。
お前、雑草なんだろ?
踏まれても踏まれても立ち上がって来る雑草なんだろ?
皆がお前を待ってるんだ。
目を覚まさなきゃ駄目なんだ。
帰って来いよ、牧野。
頼むから・・・
目を覚ましてくれ・・・


__________



ううう、つくしを痛い目に遭わせてしまいました( ;∀;)
なるべくつくしに痛い思いをさせないお話を書こうと心掛けているのですが・・・
どうにもこれ以外の設定を思い付けず。
滅多に登場しないパパも殺してしまった!
パパ、ごめん!


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Call my name 3

ピッピッピッ・・・と規則正しい音がずっと響いてる。
何の音だろう?
ピッピッピッピッ・・・
あまり大きな音ではないけれど、ちょっと耳障りなその音。
誰か止めてくれないかなぁ・・・と思ったりする。
瞼をゆっくりと持ち上げてみる。
見えてくるのは真っ白な世界。
また瞼を閉じてみても、また何もない白い世界。
何度かそれを繰り返して・・・
結局再び目を瞑ってしまった。
目を開けてることすら怠い。
身体を動かそうにも、力が全然入らない。
辛うじて指先だけを微かに動かせただけだった。
頭の中は霞がかったみたいにぼうっとしていて、何も考えられない。
まだずっとピッピッピッピッ・・・という音が続いてる。
煩くはないけど、気になってしまう電子音。
それを聞いているうちにまた意識がどこかにすうっと溶けていく。
次に目を開けた時、電子音の他に誰かの声が聞こえて来た。

「つくしっ?」

ツクシ?
ツクシって何だろう?
真っ白な世界の中に、急に女の人の顔が飛び込んできた。

「つくし、気が付いたの?
ねえ、分かる? ママよ!
ああ、つくし!
良かった・・・
あんたは絶対に目を覚ますって、ママ信じてた!」

ママ・・・?
この人は・・・一体誰だろう?
何を言っているのかな?

「あ、あの、つくしが!
娘が目を覚ましたんです!
来て頂けますか?」
「お待ち下さい。」

女の人は、頭の上の方で誰かと喋っている。

「つくし・・・
良かった・・・
本当に良かった・・・」

私の右手を握り締めながら、泣いている。
どうして泣いているんだろう?
誰だか分からないけれど、どうしてだか知らないけれど、泣かないで欲しいな。
誰かが涙を流すのを見るのは、胸が苦しくなるから。
『泣かないで。』って言いたいけれど、口は上手く動かなくて、声は出てこなかった。
気が付けば、沢山の人に囲まれて、訳の分からない事を次から次に言われて・・・
いままでいた白い静かな世界から強引に引っ張り出された。



そこから長い長い時間を掛けてやっと理解したこと。
私の名前は『牧野つくし』。
『24歳』になったところ。
『ママと自分の事を呼ぶ母親』と、『進という名の大学生の弟』がいる。
父親は交通事故で亡くなったそうだ。
その時の事故で、私も瀕死の重傷を負い、ずっと意識がないまま寝たきりだったらしい。
そして私は、その全てが分からなかった。
24年間生きてきた間の記憶がなくなっていた。
何一つ覚えていなかった。
どんなに頭の中を探っても、記憶のページは全て真っ白。
何も思い出すことが出来なかった。

自分の手を見て、これが手だ・・・という事は分かる。
だけど、この手で今迄何をして来たのかは分からない。
鏡を覗き込むと、知らない女が写っている。
にこりともしない、空ろな目をした地味顔の女。
これが『牧野つくし』の顔。
鏡を見る度にぎょっとする。
部屋の中に知らない誰かがいるようで。
毎日誰かが部屋を訪ねて来た。
それは看護師さんや療法士さんや担当医さんだったり、家族である『ママ』や『進』だったり。
『牧野つくし』の友人だという人達も来る。
だけどその誰もを見ても何も胸から湧き起こって来るものはなかった。
ただ家族や友人達は、言葉少なに対応する私を見るにつけ、寂しそうな表情や悲しそうな表情を浮かべるから、居た堪れない気持ちになる。
誰もが去って1人になった部屋で、白い天井を見上げながら考える。

自分は一体誰なんだろう?
どうして何も思い出せないんだろう?

寄る辺ない気持ちが胸に広がり、漠然とした不安に取り巻かれる。
それでも何も出来る事は無いから・・・
ふう・・・と溜息を吐き出して、私は今夜も諦めながら目を瞑る。


__________



ベタな展開でスミマセン(^_^;)
つくしが記憶を失くすお話だったのでした。
記憶喪失モノって、花男二次の王道的ネタで。
一度書いてみたい!とか思いつつ、今までやって来なかったんですよね。
楽しみながら書いております。
読む方にもお楽しみ頂けたら幸いです。

週末、台風の影響で大変な地方もあるのでしょうか?
どうかお気をつけ下さいね!
ここも午前中迄は雨降るのかなー?
洗濯物がなかなか乾きづらくなりますよね。
そろそろ除湿機出動かもしれない!


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Call my name 4

「牧野さんの場合、『高次脳機能障害』というより、『全生活史健忘』という症状に近いと思われます。」

『高次脳機能障害』は聞いたことがあった。
だが、『全生活史健忘』という言葉は初めてだ。

「『全生活史健忘』というのは、今迄の自分の人生を全て忘れてしまう病気です。
自分の名前、家族の事、友人、仕事など、生活に纏わる全ての記憶が欠落している症状を指します。
事故による脳挫傷が関係していると思われますが、原因ははっきりとは分かりません。」
「治療法は? 記憶を取り戻す方法はあるんですか?」
「記憶の手がかりとなるものに少しずつ触れて、忘れている部分を呼び覚ますという治療を行います。
催眠療法を取り入れている症例もあります。
これまでの報告例では、記憶が戻った方もいます。
ただ、外傷が原因での『全生活史健忘』の症例は少なく、我々としても手探りでの治療となります。
更に、牧野さんは身体の怪我のリハビリも行わなくてはなりません。
心身ともに負担になり過ぎないよう、ゆっくりと双方の治療を進めていきましょう。
ご家族の皆さんは、すぐにでも記憶を取り戻して欲しいと思われるでしょうが、焦りは禁物です。
患者さんがご自分を責めたり、心に負担がかかり過ぎないように、リラックスして日々を送ることも重要になってきます。
どうぞご家族で支えてあげて下さい。」

進が聞かせてくれた、担当医から家族への病状説明の録音。
「記憶が戻った方もいます。」という言葉に縋りたい一方で、その裏には戻らなかった人もいるという事実があるのだろう。
これを聞いて、楽観視できる家族は果たしてどの位いるのか?
誰もが難しい戦いに挑まねばならない。
牧野本人も、そして支える家族も。

「医者がこう言ってるんだ。
焦らずやっていこうぜ。
姉ちゃんはきっと良くなるよ。
俺にも出来る事があったら、何だって手を貸すから。
そんな暗い顔するな、進。
俺達はいつも笑ってようぜ。
そうしたら、牧野もきっと笑うようになる。」
「は・・・い、そうですね・・・
そうですよね。
一番不安なのは姉ちゃんでしょうから。
それを助けなきゃ・・・ですよね。」

俺の気休めにしかならない台詞に無理矢理笑おうとしている進は、泣き笑いのような情けない表情になってる。
それが記憶の中の牧野の表情とダブって・・・
ああ、2人は姉弟だなぁ・・・と改めて認識したりもする。
進の中にかつての牧野の面影を見付けて、胸のどこかがぎゅっと絞られた様な感覚が俺を襲った。


眠りから覚め、東京の兄貴のいる病院へ転院して来た牧野。
まだまだ身体は自由に動かせず、記憶も全く戻っていなかった。
表情が乏しく、口数も極端に少ない。
殆ど笑うこともなく、おどおどとして、目線ばかり彼方此方に泳がせている。
無理もない。
自分が何者か分からず、周り全てを知らない人間に囲まれて生きる毎日。
どれだけ心許ない事だろう・・・
想像しても想像し切れないその胸の内。
こちらは優しく話し掛けているつもりだけれど・・・
突然病室に知らない男が現れて、「何年も前からの友達だ。」と聞かされたって、牧野が警戒したくなる気持ちも分かる気がする。

それでも牧野は頑張っていた。
医者に言われた事をちゃんとやろうと、懸命にリハビリに取り組む毎日。
暫く眠らされていた身体からは筋肉が落ち、最初は自力でベッドに身体を起こす事さえ困難だったところから、少しずつ少しずつ身体を動かし、まず立ち上がれるようになった。
歩行器に縋って数歩歩いては休み、また数歩進んでは苦痛に顔を歪め・・・
それでもそれ以外に生きる縁がないかのように、牧野はリハビリを重ねた。
病棟の中しか歩き回れなかったのが、自分の足で屋上の庭園まで行けるようになり、そのうち一人で病院の中庭まで散歩できる程に回復した。
その一方で、身体は回復してきても、全く戻らなかったのは記憶だ。
病室を訪れる誰もが、牧野との思い出の品や一緒に撮った写真、好きだった食べ物などを持ち込むけれど、そのどれにも牧野が反応を示す事は無かった。
写真の中の自分と仲間を見ても、いつもすまなさそうに謝るばかりだ。

「ごめんなさい、何も・・・
何も思い出せないんです。」
「つくし・・・」
「先輩・・・」

滋の期待を込め過ぎた視線は牧野を突き刺しているのではないか?
桜子の一瞬泣きそうに歪められた表情は、それだけで牧野を追い詰めるんじゃないのか?
そんな場面を見るにつけ、「お前等、そういうの止めろよ!」と言いたくなる。
あんなに心を許していた類の事すら分からない牧野。
仕事の合間にふらりと病院に現れる類は、いつもと変わらずそっと隣にいるだけ。
焦りもせず、何かに期待する事も無く、好き勝手に自分の近況をぽつりぽつりと話して「じゃ、またね、牧野。」と帰っていくのだそうだ。
牧野のお袋さんは、事故前と同じように牧野の許に足を運ぶ類の事を、とても有り難いと言っていた。
そして・・・
司からは相変わらず何の連絡も無かった。
こちらからプライベート用の電話に連絡を取ろうとしても一向に繋がらず、東京の邸やNYの道明寺本社にメッセージを託しても、何の返事も来ない。
そもそも今NYにいるのかさえ定かじゃなかった。
でも誰もが心のどこかで期待している。
司さえ牧野の前に現れたら、記憶が戻るんじゃないかって。
あんなに牧野を激しく強く愛していた司と、それを信じて待ち続けていた牧野。
2人が会いさえすれば、この状況を打開できるんじゃないかと、願わずにいられない。
俺達のそんな思いをよそに、牧野は一人淡々と、目の前の事を一つずつクリアしていく日々を送っていた。
いや、それしか出来る事が無かったんだろうけれど・・・


__________



今週は忙しくて・・・ なかなか更新できずにスミマセン(^_^;)
空っぽの記憶。
動かない身体。
見知らぬ場所と周りの人。
こんなの、どんなに心細いんでしょうか?
自分だったら・・・と妄想しても、妄想しきれません!

火曜日、「花晴れ」をリアタイチャットしながら動く総二郎を見て、お運び頂いた皆様と盛り上がりました!
自分的にはここまでの10話で一番気分が上がるOA日でしたよ( ´艸`)
6月26日(火)の最終回にも総二郎登場!につき、リアタイチャット、またやります♪
良かったら皆で集まってあーだーこーだ言いながら観ましょうー。
火曜日の時点で来週の番組表にはMJの名前がクレジットされてたんだけど・・・
今消えてます。
シークレットなのに先走った告知だったのか、出演予定が無くなったのか・・・?
でも予告に総二郎は映ってたからね!
そちらに大注目!で参ります!


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