いつもと違って、ちょっとオトナ(?)なつくしのお話。
__________
「何でつくしちゃんは他のオトコに抱かれた次の夜、俺んとこ来るワケ?」
ベッドの上でしどけない姿を晒してる牧野に、そんな言葉を投げてみる。
昨夜の情事を連想させる、躰に残った紅い跡。
気に入らなくて、さっきそれを全部上書きしてやったから、一層紅い花を散らしたかのような背中になった。
怠そうに躰を此方に向けて、ちらっと俺に視線を走らせる。
「別に… いいでしょ、そんな事。
西門さんだって毎日違う女の人と寝てるんだし。
それと一緒じゃない?」
「ふっ。何言ってんだか。
全然違うだろうが。
ああ、お前、あの男じゃ満足出来ないとか?
あいつ、そんなに下手なのか?」
「さあ? 普通なんじゃないの?
特に不満に思ったりはしてないけど。」
「じゃあ、なんだよ?
上手くいってないのか?」
「…上手くいくも何も、付き合ってないし。」
「はぁ? ちょくちょくデートして、時々ホテル行って、それで付き合ってないっての?」
牧野には一回り年上の彼氏らしきオトコがいる。
友達の友達とかで、何かの飲み会で知り合ったらしい。
牧野の望んでた普通の恋愛って言うのより、相手がちょっとオッサンか?とは思うけど。
まあ、バツが付いてる訳でもなし。
有名どころの会社で働いてるサラリーマン。
正直何処に惚れてるのかは、ちっとも分からない。
顔はまあまあ整ってて。
牧野よりは背が高いけど、精々170cmそこそこってとこだろう。
偶然すれ違いざまにちらりと見かけた事があるだけだから、それ以上の事は知らない。
牧野がぽろりと漏らす言葉の端々から想像してるだけだ。
で、そいつと夜を共にした次の日、牧野は必ず俺の前に現れる。
そして言葉じゃなくて視線と態度で、抱けと迫ってくる。
「…付き合って無いらしいよ。
オトモダチみたい。」
「お前、それ、セフレって事?」
「知らない。他に女の人の影も無いけど。
兎も角あたしはオトモダチなんだって。」
牧野の投げ遣りな言葉と態度に、何だか胸の奥がもやっとする。
「お前、それでいいワケ?」
「だーかーら、いいも悪いもないの。
付き合っても無いんだから。」
牧野ははぁと深い溜息をひとつ吐き出した。
これ以上話す気は無いらしい。
どうしたもんかと考えを巡らすうちに、牧野の細い指が、俺の胸の上で遊び出す。
やがて互いの唇が近付いて重なった。
蕩けるような甘い口付けは、すぐに深く奪うようなものに変わってく。
一度熱を交わし合った躰は、簡単にその熱さを取り戻せるものだ。
昨夜の記憶を消したいのなら、お望み通りに。
牧野を思いっきり翻弄してやろうと、躰中に指と唇を滑らせているうちに、俺が牧野に夢中になった。
夜のうちはあんなに艶めいていたのに、朝の光の中では、子供のように無防備な寝顔になる。
そっと頬を指の背で撫で上げたら、口元をむにむにさせながら、俺の胸に顔を寄せた。
さらさらと溢れて顔に掛かっている黒髪を梳き流してやると、擽ったかったのか、「ん…」と小さな声をあげて身じろぎする。
どうすりゃいい訳…?
俺の前で、警戒心を全部解いてしまった野良猫みたいな甘え方をするから。
そして一方では、鉄パンを守ってたガチガチのお固い勤労処女だった事なんか忘れさせる程、最も簡単に躰を拓くから。
俺は牧野の事が分からなくなってきた。
寝返りをうって俺から離れていった背中が半分露わになる。
点々と散りばめられた紅い跡が見え隠れして、自分がやった事なのにどきりとさせられた。
ったく、牧野だってのに。
いや、牧野だからか。
指先で紅い跡を、星座を描くように辿ってく。
猫が伸びをするみたいに、背中を反らしてその刺激をやり過ごそうとするから、腕を伸ばして、その背中を自分の胸に抱き込んだ。
耳元に唇を寄せて、朝の挨拶代わりに、熱い吐息を吹き込んでやる。
「つくしちゃん、朝だぜ。
起きないとチ・コ・ク!」
「ひゃあ!」と叫び声を上げ、耳を押さえながら飛び起きた牧野。
キョロキョロして、サイドテーブルの携帯に飛び付く。
そして息を詰めて画面をじっと見つめる事、10秒あまり。
その携帯をほっぽり出し、ばふっとベッドに倒れ込んできた。
「西門さん、朝から脅かさないでよ!
今日、土曜日じゃん。
目覚まし掛けそびれたのかと思っちゃった。」
そう言い放つと、寝直すつもりなのか、肩迄上掛けを引っ張りあげて、俺に背を向けて包まってる。
隣に裸の西門総二郎が寝てるっつーのに、恥じらいもせず、特に意識もしないって?
おいおい、お前、一体どういうつもりなんだよ?
俺の事、何だと思ってるワケ?
お前がそういう態度なら、俺にだって考えがある。
そろそろと指を牧野に這わせてく。
柔らかな脇腹をそっと擽ると、早速抗議の声が飛び出した。
「擽ったいから、止めて!」
払いのけようとする手を捕えて、ぐっと握りしめる。
また躰を寄せて、項に顔を埋めた。
「つくしちゃん、あの男と別れろよ。」
「付き合っても無いんだから、別れるも無いよ。」
「またそれか。じゃあ、もう会うな。」
「何で西門さんがそんな事言うのよ。」
「もういい加減、お前を他の男と共有するの、我慢の限界なんだよ。」
「はあ? じゃあ、あたしは一体どんだけの女の人と、この躰、共有してんの?
そんな事言うなんて、ルール違反…」
そこまで言われた時、一気に身を起こして、牧野の肩をベッドに押さえつけた。
上から見下ろすと、組み敷かれた牧野は呆気にとられて俺を見上げてる。
「…お前さ、俺に他に女がいると思ってる?」
「思ってるよ。毎日とっかえひっかえなんでしょ?
男のロマンとか豪語してたじゃん。」
「じゃあ、お前に呼び出される時、いつでも駆け付けてやれるのは何でだと思う?」
「…たまたま暇だった…とか?」
「俺の背中に女の爪痕でも付いてたことあるか?
どこかにキスマーク付けてきたことあるか?
他の女の匂いをさせてお前を抱いたことがあるか?」
「…西門さん、言ってることが分かんないよ。」
この女… 鈍感っぷり晒してるんじゃねえ!
「いいか、良く聞けよ!
俺には牧野しかいねえの。
だからお前が他の男に抱かれてるかと思うと、ムカムカすんだよ!」
いや、ホントはムカムカなんてもんじゃんねえ。
腸煮えくり返りそうなほどイライラしてる。
「お前だってさ、他の男に抱かれたって虚しいばっかりだから、次の日俺のとこ来るんだろ?
それってどういう意味だか分かってんだろ?」
牧野がついっと視線を逸らす。
都合が悪くなったら逃げ出そうなんて、許さねえよ。
頤先を指で捕まえて、顔を覗き込んだ。
泣き出すちょっと手前みたいに、顔を歪めてる牧野がいる。
「俺のホントの気持ち、言ったんだから、お前も言えよ。」
「嫌だ。」
「嫌っていうことは自覚はある訳だ?」
「何よそれ? 知らないっ!」
どんどん頬が紅くなってく。
目がうるうると濡れていく。
もうそれだけでも分かっちまう。
「天邪鬼。」
「どっちがよ!」
そうだな、2人ともかもな。
くすりと笑ってから、俺だけのものになった牧野に熱い熱いキスをお見舞いした。
__________
やっとお話を書けました!
ちょっと集中して書けないので、続き物は難しくて。
思い付いたSSを仕上げてみましたー。
たった1話ですが、ちょっと長めに書いといたので許してねん♪(笑)
今日から5月ですね。
こちらはもう夏が来たか?というような陽射しでした。
どうぞ皆様、楽しいGWをお過ごしくださいね!

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
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「何でつくしちゃんは他のオトコに抱かれた次の夜、俺んとこ来るワケ?」
ベッドの上でしどけない姿を晒してる牧野に、そんな言葉を投げてみる。
昨夜の情事を連想させる、躰に残った紅い跡。
気に入らなくて、さっきそれを全部上書きしてやったから、一層紅い花を散らしたかのような背中になった。
怠そうに躰を此方に向けて、ちらっと俺に視線を走らせる。
「別に… いいでしょ、そんな事。
西門さんだって毎日違う女の人と寝てるんだし。
それと一緒じゃない?」
「ふっ。何言ってんだか。
全然違うだろうが。
ああ、お前、あの男じゃ満足出来ないとか?
あいつ、そんなに下手なのか?」
「さあ? 普通なんじゃないの?
特に不満に思ったりはしてないけど。」
「じゃあ、なんだよ?
上手くいってないのか?」
「…上手くいくも何も、付き合ってないし。」
「はぁ? ちょくちょくデートして、時々ホテル行って、それで付き合ってないっての?」
牧野には一回り年上の彼氏らしきオトコがいる。
友達の友達とかで、何かの飲み会で知り合ったらしい。
牧野の望んでた普通の恋愛って言うのより、相手がちょっとオッサンか?とは思うけど。
まあ、バツが付いてる訳でもなし。
有名どころの会社で働いてるサラリーマン。
正直何処に惚れてるのかは、ちっとも分からない。
顔はまあまあ整ってて。
牧野よりは背が高いけど、精々170cmそこそこってとこだろう。
偶然すれ違いざまにちらりと見かけた事があるだけだから、それ以上の事は知らない。
牧野がぽろりと漏らす言葉の端々から想像してるだけだ。
で、そいつと夜を共にした次の日、牧野は必ず俺の前に現れる。
そして言葉じゃなくて視線と態度で、抱けと迫ってくる。
「…付き合って無いらしいよ。
オトモダチみたい。」
「お前、それ、セフレって事?」
「知らない。他に女の人の影も無いけど。
兎も角あたしはオトモダチなんだって。」
牧野の投げ遣りな言葉と態度に、何だか胸の奥がもやっとする。
「お前、それでいいワケ?」
「だーかーら、いいも悪いもないの。
付き合っても無いんだから。」
牧野ははぁと深い溜息をひとつ吐き出した。
これ以上話す気は無いらしい。
どうしたもんかと考えを巡らすうちに、牧野の細い指が、俺の胸の上で遊び出す。
やがて互いの唇が近付いて重なった。
蕩けるような甘い口付けは、すぐに深く奪うようなものに変わってく。
一度熱を交わし合った躰は、簡単にその熱さを取り戻せるものだ。
昨夜の記憶を消したいのなら、お望み通りに。
牧野を思いっきり翻弄してやろうと、躰中に指と唇を滑らせているうちに、俺が牧野に夢中になった。
夜のうちはあんなに艶めいていたのに、朝の光の中では、子供のように無防備な寝顔になる。
そっと頬を指の背で撫で上げたら、口元をむにむにさせながら、俺の胸に顔を寄せた。
さらさらと溢れて顔に掛かっている黒髪を梳き流してやると、擽ったかったのか、「ん…」と小さな声をあげて身じろぎする。
どうすりゃいい訳…?
俺の前で、警戒心を全部解いてしまった野良猫みたいな甘え方をするから。
そして一方では、鉄パンを守ってたガチガチのお固い勤労処女だった事なんか忘れさせる程、最も簡単に躰を拓くから。
俺は牧野の事が分からなくなってきた。
寝返りをうって俺から離れていった背中が半分露わになる。
点々と散りばめられた紅い跡が見え隠れして、自分がやった事なのにどきりとさせられた。
ったく、牧野だってのに。
いや、牧野だからか。
指先で紅い跡を、星座を描くように辿ってく。
猫が伸びをするみたいに、背中を反らしてその刺激をやり過ごそうとするから、腕を伸ばして、その背中を自分の胸に抱き込んだ。
耳元に唇を寄せて、朝の挨拶代わりに、熱い吐息を吹き込んでやる。
「つくしちゃん、朝だぜ。
起きないとチ・コ・ク!」
「ひゃあ!」と叫び声を上げ、耳を押さえながら飛び起きた牧野。
キョロキョロして、サイドテーブルの携帯に飛び付く。
そして息を詰めて画面をじっと見つめる事、10秒あまり。
その携帯をほっぽり出し、ばふっとベッドに倒れ込んできた。
「西門さん、朝から脅かさないでよ!
今日、土曜日じゃん。
目覚まし掛けそびれたのかと思っちゃった。」
そう言い放つと、寝直すつもりなのか、肩迄上掛けを引っ張りあげて、俺に背を向けて包まってる。
隣に裸の西門総二郎が寝てるっつーのに、恥じらいもせず、特に意識もしないって?
おいおい、お前、一体どういうつもりなんだよ?
俺の事、何だと思ってるワケ?
お前がそういう態度なら、俺にだって考えがある。
そろそろと指を牧野に這わせてく。
柔らかな脇腹をそっと擽ると、早速抗議の声が飛び出した。
「擽ったいから、止めて!」
払いのけようとする手を捕えて、ぐっと握りしめる。
また躰を寄せて、項に顔を埋めた。
「つくしちゃん、あの男と別れろよ。」
「付き合っても無いんだから、別れるも無いよ。」
「またそれか。じゃあ、もう会うな。」
「何で西門さんがそんな事言うのよ。」
「もういい加減、お前を他の男と共有するの、我慢の限界なんだよ。」
「はあ? じゃあ、あたしは一体どんだけの女の人と、この躰、共有してんの?
そんな事言うなんて、ルール違反…」
そこまで言われた時、一気に身を起こして、牧野の肩をベッドに押さえつけた。
上から見下ろすと、組み敷かれた牧野は呆気にとられて俺を見上げてる。
「…お前さ、俺に他に女がいると思ってる?」
「思ってるよ。毎日とっかえひっかえなんでしょ?
男のロマンとか豪語してたじゃん。」
「じゃあ、お前に呼び出される時、いつでも駆け付けてやれるのは何でだと思う?」
「…たまたま暇だった…とか?」
「俺の背中に女の爪痕でも付いてたことあるか?
どこかにキスマーク付けてきたことあるか?
他の女の匂いをさせてお前を抱いたことがあるか?」
「…西門さん、言ってることが分かんないよ。」
この女… 鈍感っぷり晒してるんじゃねえ!
「いいか、良く聞けよ!
俺には牧野しかいねえの。
だからお前が他の男に抱かれてるかと思うと、ムカムカすんだよ!」
いや、ホントはムカムカなんてもんじゃんねえ。
腸煮えくり返りそうなほどイライラしてる。
「お前だってさ、他の男に抱かれたって虚しいばっかりだから、次の日俺のとこ来るんだろ?
それってどういう意味だか分かってんだろ?」
牧野がついっと視線を逸らす。
都合が悪くなったら逃げ出そうなんて、許さねえよ。
頤先を指で捕まえて、顔を覗き込んだ。
泣き出すちょっと手前みたいに、顔を歪めてる牧野がいる。
「俺のホントの気持ち、言ったんだから、お前も言えよ。」
「嫌だ。」
「嫌っていうことは自覚はある訳だ?」
「何よそれ? 知らないっ!」
どんどん頬が紅くなってく。
目がうるうると濡れていく。
もうそれだけでも分かっちまう。
「天邪鬼。」
「どっちがよ!」
そうだな、2人ともかもな。
くすりと笑ってから、俺だけのものになった牧野に熱い熱いキスをお見舞いした。
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やっとお話を書けました!
ちょっと集中して書けないので、続き物は難しくて。
思い付いたSSを仕上げてみましたー。
たった1話ですが、ちょっと長めに書いといたので許してねん♪(笑)
今日から5月ですね。
こちらはもう夏が来たか?というような陽射しでした。
どうぞ皆様、楽しいGWをお過ごしくださいね!



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