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花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
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雨待ちの日々 中編

夜を越えた・・・と言っても、ただ朝まで一緒にいただけで。
何も無かった。
本当に何も。
西門さんに優しく抱き留められていただけ。
キスのひとつも交わさなかった。
でも・・・
必ず0時を回る前にあたしの部屋を後にしていた西門さんが、一緒にいてくれる事。
あたしをからかう時に淡く触れるだけだった西門さんの手があたしの背中に置かれている事。
それはとっても大きな変化に思えた。



「ずっと独りで泣いてたのか?」

髪の毛にくっつきそうなところにある唇から、温かな吐息と共に落ち着いた声が降ってくる。

「・・・泣いたことなんかないよ。」

泣く事さえ罪だと思ってた。
涙にして自分のしでかした事を流し去ってしまうなんて、許されないと思ってた。
人を裏切り、傷付けた痛みを抱えていることが、唯一の生きていく為の免罪符だった。

「じゃあ、泣くのを堪えて震えてたんだ。
牧野らしいな。」

言い当てられて、つい身体がぴくりと跳ねた。
西門さんの大きな掌がゆっくり背中を撫でて、それを宥めてくれる。
小さな子供が泣いているのを『もう大丈夫だよ』って安心させる為に摩ってあげてる手みたいに、何度も何度も背中の上を行き来するのを感じてたら、本当に泣きたくなってきた。

「もう我慢しなくていいんじゃねえの?」
「え・・・?」

その台詞に驚いて、首を反らして西門さんの顔を見上げた。
柔らかな微笑みを浮かべて、あたしの乱れた髪の毛を、そっと耳に掛けてくれている。
その指先が温かい。

「泣きたいなら泣いたっていいんだよ。
独りで辛い事抱え込むな。
お前がそうやって我慢してたって、誰も幸せになんてならない。
お前自身だってそうだろ?
それなら、思いっ切り泣いて、胸に溜め込んだもの吐き出して。
新しい一歩踏み出した方がいいって思わねえ?」
「でも・・・」
「お前は悪くないよ、牧野。」
「だってあたし・・・」

あなたの親友を傷付けたの。
あんな苦し気に絞り出された人の声、聞いたことなかった。
雨に濡れて、悲しみと絶望の色を浮かべてた瞳があった。
あたしがそうさせちゃったの。
あたしが・・・

「お前は悪くないんだ。
俺達は皆分かってるよ。
きっとあいつも・・・
だからそんな風に自分を責めるな。」

そう言われて温かな眼差しで見詰められたら、じわじわと西門さんの顔が滲んでいった。

「泣いていいぜ、思いっ切り。
ああ、でも独りの時には泣くなよ。
俺がこうやって涙を拭いてやれないだろ。」

目の端から零れ落ちた涙を、西門さんの温かな指先で拭われる。
一度泣き始めたら、涙はぽろぽろぽろぽろ溢れてしまい、自分ではどうにも止められなくなった。
しゃくりあげながら泣き始めたあたしの頭をまた自分の胸に引き寄せて、シャツに涙を吸い取らせてる。
その広い胸の中は温かなゆりかごのようだった。
あたしはそこで、涙が枯れるまで泣いた。
そして泣き疲れて、そのまま寝てしまったらしい。
気が付いた時、西門さんの腕の中で丸く縮こまっている状態だった。
そろりそろりと首を伸ばして西門さんの様子を窺おうとしたら、ふふふと小さな笑い声が耳に届く。
はっとして、西門さんの胸から自分の身体を引き剥がした。

「ご、ご、ごめんっ!
あたし、寝ちゃってた!」
「ああ、少しはスッキリしたか?」
「え・・・? あ、うん・・・」
「そりゃ良かった。」

そう言って伸びてきた西門さんの右の掌は、あたしの頭にぽふぽふと優しく触れた。
その感覚に、とても安心させられる自分がいる。
窓の外からは、しとしとと雨が降る音や水がちょろちょろ流れる音がしているけれど、車の走る音や人の声は全く聞こえず、やけに静かだと思った。

「ね、西門さん、今何時?」
「んー? もうすぐ午前2時か。」
「えっ? か、帰らなくていいの?」

今迄必ず日付が変わる前にこの部屋を出て行っていた西門さん。
もう少しここにいて・・・と言ったのは自分だったけれど、今夜もいつもと同じ頃に帰ってしまうのだと思っていた。

「つくしちゃんはこの雨模様の丑三つ時に、俺を部屋から追い出すつもりか?」
「そ、そうじゃなくて・・・」
「牧野が望むだけここにいる。
さっきそう言ったろ。」
「あたしが望むだけ・・・?」

あたしは何を西門さんに望んでいるんだろう?
この人だってあたしの手の届かない人なのに。
住む世界が違う人なのに。
いとも簡単にその垣根を越えて、あたしのところにやって来ちゃうから、あたしはつい勘違いしてしまいそうになる。
でも今は、切実に、この温もりが必要だ。

「じゃあ、朝まで一緒にいて。」

自分ではそれなりの覚悟を持って、その言葉を告げたつもりだったのに。
優しく眇めた目をしながらひとつゆっくり頷いて。
「ああ、いいぜ。」って言った西門さんは、朝まで何もしなかった。
唯々あたしをその胸に抱き留めてくれてた。
2人で1枚の毛布に包まりつつ、身を寄せ合って迎えた朝は、温かくて、安らぎを与えてくれて、でも少しだけ切なくて。
西門さんのとくりとくりと鳴る胸の音は心地よくあたしの耳に届き、この時間が少しでも長く続けばいいのにと願わずにいられない自分がいる。
気付けば雨は上がっていた。


__________



短いのですが、キリがいいのでここで切りました。
据え膳食わない総二郎。
あり得るのか?
でも相手がつくしならあり得そう。
そう思って書いてます。
「夜を越えた」と言うキーワードのせいでR展開を期待されていた方には、肩透かしくらわせちゃったことをお詫びします(苦笑)

午後、雨が上がって清々しい風が吹き、太陽も顔を出しました。
真夏が来る前の爽快な時間を堪能すべく、窓いっぱい開けて、空気入れ替えしましたよ♪


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