スレチガイ -side つくし-
プチイベント・『霜降月なのに熱い夜×4!!!!』開催中!
チャット会と並行してUPするSS一つ目は管理人のお話です。
__________
窓の外で銀色に輝くススキの穂が淡い秋の空をバックに、さわさわと風に揺れているのを見つめていた。
特に何かを考えてた訳じゃない。
ぼんやりと「ああ、すっかり秋だなぁ。綺麗だなぁ。」って思ってた位で。
だから、不意に項に口付けられた時、ビックリして変な声が出てしまった。
慌てて首に手を当てつつ、後ろを振り返ると、してやったりといった風のニヒルな笑みを浮かべて立っている人がいる。
「何するのよ? びっくりするじゃん。」
「別にいいだろ。つくしちゃんの後ろ姿があんまりにも魅力的だから、自然と吸い寄せられたんじゃね?」
「嘘ばっかり。
いっつも色気ねえ!とか散々言ってくるくせに。
白々しいんだよ、西門さんは。」
「お前、俺が何言ったって信じないってスタンス、ホント失礼だぜ。」
口答えしようと思ったのに、視界の端から真近まで、スラリとした綺麗な指が、まるで舞を踊っているかのようにすうっと伸びてきたから、意識がついそっちに向いた。
態と頬っぺたを掠めるように滑らされた指の行き先はあたしの耳の辺り。
纏めきれなかった後れ毛をあたしの耳に掛けている。
擽ったくて、ドキっとして。
思わず首を竦めた。
「司が帰って来るってよ。」
その声に、ついと視線を上げて、声の主を見詰めると、さっきのあのニヒルな笑みは消えていて、無表情になっている。
いや、無表情という仮面を被っているというのが正しいのかもしれない。
「ふうん・・・」
それだけ呟いて、またくるりと背を向けた。
何だって2人でいられる穏やかな時間に、波風を立てるような事を言ってくるんだろう?
『司』という名前を出す時、この人は明らかに『類』や『あきら』という他の2人の親友の名前を口にする時とは違う意味を込めてくる。
その度にあたしは信用されてないんだな・・・と思わずにいられない。
どんなに言葉を尽くしても、どれだけ自分を曝け出しても、この人の中であたしはずうっと、『司を好きだった女』というレッテルが貼られたままなのだ。
「会いたいか?」
「・・・別に。あたしの事分からないんだから、会ったって話す事ない。
西門さんの方が会いたいんじゃない?
もう随分前に会ったっきりでしょ?
たった3人しかいない友達のうちの1人なんだから。」
「類じゃあるまいし。
俺の人間関係、もうちょい幅広いっつーの。」
そうは言っても、本当に心を許せる友達は、あの3人しかいないのに。
「今度こそ会ったら自分の事思い出すんじゃねえかって思わねえの?」
「・・・思わないよ。
もう全部終わった事。
今更思い出して欲しいとか思わないもん。」
「お前、嘘吐きだな。」
「嘘じゃない。」
「ま、俺もペテン師みたいなもんだから、似合いだけど。」
そう言ってふふっと小さく自嘲した人は、またあたしの項に唇を押し当てた。
身八つ口から無遠慮に挿し入れられた手が、あたしの弱いところを探り当てて撫でていくから、堪え切れずに身体を捩る。
「なあ、つくしちゃん、ヤらせて。今すぐ。」
態とこの静けさと陽の光に満ちた場にそぐわない、下卑た言葉であたしを煽る。
「こんなに明るいうちからはヤダ。」
「明るいとメチャクチャ乱れちゃうから恥ずかしいって?
そういうのを見たいんだろうが。」
妖しい手の動きを遮ろうとするけど、この人の力や、手先の器用さに勝る筈もなく。
どんどん身体は自分の意思とは関係無く、力が入らなくなってしまう。
どんなにあたしの事抱いたって、結局信じてはくれないのに・・・
抵抗虚しく、最も簡単に帯締めも帯揚げも解かれてしまって、帯がすとんと足元に落とされた。
折角綺麗なお着物着せて貰ったのに、それを着付けた人が脱がせてるんだから。
何の為に着せたのよ?と頭の片隅で思ってしまう。
とうとう襦袢姿にさせられて、隣の部屋に押し込まれた。
予想はしていたけれど、そこは広々としたベッドルーム。
「ねえ、お着物皺になっちゃう・・・」
さっき隣の間に脱ぎっぱなしにした高価そうなお着物の事を口にしたら、いきなりベッドに押し倒された。
「余裕だな、お前。
でもすぐにそんな事考えられないようにしてやるけどな。」
口よりももっと何か言いたげな黒く煌く瞳を見上げる。
なぜかその眼を見ていると、切なくなって、目の裏がじんと熱くなってきた。
何を言ってもその胸には届かない。
身体を繋げたって、二人がひとつになれる時はほんの一瞬で。
それでも、その一瞬だけでも、身も心も全てあなたのものなのだと感じてくれるなら。
「西門さん・・・」
愛しい人の名前を呼ぶ。
その名を口にするだけで、胸が締め付けられる程、あたしにとって大切な名前を。
ありったけの想いを込めて、その名を呼ぶ。
それを飲み込むかのように、激しく唇を塞がれ、吸われ、侵食されて。
気付けば襦袢は襟と裾を割られ、辛うじて腰紐だけが身体に巻き付いているかのようになっていた。
裸でいるよりも恥ずかしい姿でいることに気付き、身体がどんどん熱くなる。
嫌だと言っても赦してはもらえず。
明るい部屋の中で、はしたない姿を晒すあたしは、この人の思惑通り、いつもより早く融け出した。
そんなあたしを思うがままに動かして、どんどんどんどん狂わせてく。
まるで荒波の中に放り込まれたかのように翻弄された。
でも軋む身体よりも、もっともっと心がひりつく。
貫かれる衝撃と快感が身体を突き抜けていくけど、同時に胸に鋭い痛みも走るから、勝手に目尻からぽろりぽろりと涙が零れ落ちた。
その涙の粒をぺろりと熱い舌で舐め取られる。
「泣くほどイイ?
お前って、SEXなんか知りませんみたいな顔して、ホントはメチャエロいよな。」
あたしの零す涙を勝手に随喜の涙だと思い込んでるこの人は、言葉でもあたしを嬲ってく。
目の前にいるのに。
この手でしっかり掴んでいるのに。
身体を深く繋げてるのに。
あたし達の気持ちはいつも擦れ違ってる。
どうしたらいいのか分からないまま、激しい波に飲み込まれ、身体がバラバラになりそうな中、譫言のように名前を呼ぶ。
その名を口にすることしかあたしには出来ないから。
身体中の力が抜けてしまい、意識もゆらゆらと揺れ出した時、またあの熱い唇が項に押し当てられて、今度はきつく烙印を押された。
いつも付けられる所有の印。
それが付けられて心底ほっとする。
こうしてくれてる間は、あなたはあたしを手放さない。
そう思えるから。
深く息を吐き出して、目を瞑る。
あたしはやっと眠気に身を任せた。
__________
イベントSSは甘ーいのを書きたかったのに、思いっきり切ない2人になってます(^_^;)
単に「項にキス!」の場面を書きたかっただけなのにー!
なかなか思い通りに動いてくれない2人です。
-side 総二郎-に続きます!

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チャット会と並行してUPするSS一つ目は管理人のお話です。
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窓の外で銀色に輝くススキの穂が淡い秋の空をバックに、さわさわと風に揺れているのを見つめていた。
特に何かを考えてた訳じゃない。
ぼんやりと「ああ、すっかり秋だなぁ。綺麗だなぁ。」って思ってた位で。
だから、不意に項に口付けられた時、ビックリして変な声が出てしまった。
慌てて首に手を当てつつ、後ろを振り返ると、してやったりといった風のニヒルな笑みを浮かべて立っている人がいる。
「何するのよ? びっくりするじゃん。」
「別にいいだろ。つくしちゃんの後ろ姿があんまりにも魅力的だから、自然と吸い寄せられたんじゃね?」
「嘘ばっかり。
いっつも色気ねえ!とか散々言ってくるくせに。
白々しいんだよ、西門さんは。」
「お前、俺が何言ったって信じないってスタンス、ホント失礼だぜ。」
口答えしようと思ったのに、視界の端から真近まで、スラリとした綺麗な指が、まるで舞を踊っているかのようにすうっと伸びてきたから、意識がついそっちに向いた。
態と頬っぺたを掠めるように滑らされた指の行き先はあたしの耳の辺り。
纏めきれなかった後れ毛をあたしの耳に掛けている。
擽ったくて、ドキっとして。
思わず首を竦めた。
「司が帰って来るってよ。」
その声に、ついと視線を上げて、声の主を見詰めると、さっきのあのニヒルな笑みは消えていて、無表情になっている。
いや、無表情という仮面を被っているというのが正しいのかもしれない。
「ふうん・・・」
それだけ呟いて、またくるりと背を向けた。
何だって2人でいられる穏やかな時間に、波風を立てるような事を言ってくるんだろう?
『司』という名前を出す時、この人は明らかに『類』や『あきら』という他の2人の親友の名前を口にする時とは違う意味を込めてくる。
その度にあたしは信用されてないんだな・・・と思わずにいられない。
どんなに言葉を尽くしても、どれだけ自分を曝け出しても、この人の中であたしはずうっと、『司を好きだった女』というレッテルが貼られたままなのだ。
「会いたいか?」
「・・・別に。あたしの事分からないんだから、会ったって話す事ない。
西門さんの方が会いたいんじゃない?
もう随分前に会ったっきりでしょ?
たった3人しかいない友達のうちの1人なんだから。」
「類じゃあるまいし。
俺の人間関係、もうちょい幅広いっつーの。」
そうは言っても、本当に心を許せる友達は、あの3人しかいないのに。
「今度こそ会ったら自分の事思い出すんじゃねえかって思わねえの?」
「・・・思わないよ。
もう全部終わった事。
今更思い出して欲しいとか思わないもん。」
「お前、嘘吐きだな。」
「嘘じゃない。」
「ま、俺もペテン師みたいなもんだから、似合いだけど。」
そう言ってふふっと小さく自嘲した人は、またあたしの項に唇を押し当てた。
身八つ口から無遠慮に挿し入れられた手が、あたしの弱いところを探り当てて撫でていくから、堪え切れずに身体を捩る。
「なあ、つくしちゃん、ヤらせて。今すぐ。」
態とこの静けさと陽の光に満ちた場にそぐわない、下卑た言葉であたしを煽る。
「こんなに明るいうちからはヤダ。」
「明るいとメチャクチャ乱れちゃうから恥ずかしいって?
そういうのを見たいんだろうが。」
妖しい手の動きを遮ろうとするけど、この人の力や、手先の器用さに勝る筈もなく。
どんどん身体は自分の意思とは関係無く、力が入らなくなってしまう。
どんなにあたしの事抱いたって、結局信じてはくれないのに・・・
抵抗虚しく、最も簡単に帯締めも帯揚げも解かれてしまって、帯がすとんと足元に落とされた。
折角綺麗なお着物着せて貰ったのに、それを着付けた人が脱がせてるんだから。
何の為に着せたのよ?と頭の片隅で思ってしまう。
とうとう襦袢姿にさせられて、隣の部屋に押し込まれた。
予想はしていたけれど、そこは広々としたベッドルーム。
「ねえ、お着物皺になっちゃう・・・」
さっき隣の間に脱ぎっぱなしにした高価そうなお着物の事を口にしたら、いきなりベッドに押し倒された。
「余裕だな、お前。
でもすぐにそんな事考えられないようにしてやるけどな。」
口よりももっと何か言いたげな黒く煌く瞳を見上げる。
なぜかその眼を見ていると、切なくなって、目の裏がじんと熱くなってきた。
何を言ってもその胸には届かない。
身体を繋げたって、二人がひとつになれる時はほんの一瞬で。
それでも、その一瞬だけでも、身も心も全てあなたのものなのだと感じてくれるなら。
「西門さん・・・」
愛しい人の名前を呼ぶ。
その名を口にするだけで、胸が締め付けられる程、あたしにとって大切な名前を。
ありったけの想いを込めて、その名を呼ぶ。
それを飲み込むかのように、激しく唇を塞がれ、吸われ、侵食されて。
気付けば襦袢は襟と裾を割られ、辛うじて腰紐だけが身体に巻き付いているかのようになっていた。
裸でいるよりも恥ずかしい姿でいることに気付き、身体がどんどん熱くなる。
嫌だと言っても赦してはもらえず。
明るい部屋の中で、はしたない姿を晒すあたしは、この人の思惑通り、いつもより早く融け出した。
そんなあたしを思うがままに動かして、どんどんどんどん狂わせてく。
まるで荒波の中に放り込まれたかのように翻弄された。
でも軋む身体よりも、もっともっと心がひりつく。
貫かれる衝撃と快感が身体を突き抜けていくけど、同時に胸に鋭い痛みも走るから、勝手に目尻からぽろりぽろりと涙が零れ落ちた。
その涙の粒をぺろりと熱い舌で舐め取られる。
「泣くほどイイ?
お前って、SEXなんか知りませんみたいな顔して、ホントはメチャエロいよな。」
あたしの零す涙を勝手に随喜の涙だと思い込んでるこの人は、言葉でもあたしを嬲ってく。
目の前にいるのに。
この手でしっかり掴んでいるのに。
身体を深く繋げてるのに。
あたし達の気持ちはいつも擦れ違ってる。
どうしたらいいのか分からないまま、激しい波に飲み込まれ、身体がバラバラになりそうな中、譫言のように名前を呼ぶ。
その名を口にすることしかあたしには出来ないから。
身体中の力が抜けてしまい、意識もゆらゆらと揺れ出した時、またあの熱い唇が項に押し当てられて、今度はきつく烙印を押された。
いつも付けられる所有の印。
それが付けられて心底ほっとする。
こうしてくれてる間は、あなたはあたしを手放さない。
そう思えるから。
深く息を吐き出して、目を瞑る。
あたしはやっと眠気に身を任せた。
__________
イベントSSは甘ーいのを書きたかったのに、思いっきり切ない2人になってます(^_^;)
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