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hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
https://potofu.me/hortensia

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隣にいて欲しいのは君 後編

アフタヌーンティーセットはこれでもか、これでもかと言わんばかりに様々なセイボリーとスイーツが載ってくる。
それに合わせるのは、なんと15種類もの紅茶に、23種類のジャム。
牧野は目移りしてしまって、選びきれないみたいだ。
まあ、いくら牧野が食い気の女だと言っても、全部の紅茶やジャムを試すのは無理だろう。
取り敢えず、1杯目の紅茶にはアッサムの中でも香り高くすっきりとした飲み口のハティアリを選んだ俺に倣って、牧野も同じものを。
ジャムはブルーベリーやストロベリーといった王道ではなく、牧野が普段食べないようなジャムを・・・と、ラ・フランスと無花果とルバーブを勧めてみる。
言われるがままに「じゃあ、それで・・・」と言いつつも、まだ未練たっぷりにメニューと睨めっこしているから面白い。
恭しく運ばれてきたティースタンドにはクリスマスカラーがあしらわれたスイーツとボリューミーなセイボリーが盛られていた。

「ね、ね、西門さん、写真撮ってもいい?」
「・・・どーぞ、お好きな様に。」

後日その写真を見返して、涎でも垂らす気か?と揶揄おうかと思ったけど、余りにも楽しそうに携帯を向けている牧野がいたから。
その表情を堪能する方を選んだ。
何枚か写真を撮った牧野は、気が済んだのか、小さな声で「頂きまーす!」と言って手を合わせている。
アフタヌーンティーでそんな事してる奴を初めて見た。

「ねえ、西門さん・・・」

心なしかこっちに身を乗り出して、キラキラした瞳を俺に向け、小声で尋ねてくる。
何だよ、可愛いじゃねえか。

「まだなんかあるのか?」
「アフタヌーンティーってお作法あるの?」
「一応塩気のあるものから食べて、それからデザート系を食べるのが習わしだけど。」
「なるほど、なるほど、分かった。
でさ、サンドイッチは手で持っていいの?」
「・・・お前、それ以外にどうやって食う気だ?
カトラリー使ってサンドイッチ食べてる奴をお前は見た事あんのか?」
「念の為の確認よ!
だってこんな凄いの食べたこと無いんだもん!」

もう一度椅子に座り直した牧野は、嬉々として取り皿にセイボリーの数々を載せだした。

「このロールサンド、チキンとトマトが入ってる!
クリスマスっぽい!
それでチキンが柔らかいっ!」
「スモークサーモンとクリームチーズ、合うー!!」
「ねえ、このゼリー寄せ、もしかして蟹とキャビアじゃない?」
「サンドイッチ、全部中身が違う!」
「ローストビーフ、ジューシー過ぎる・・・」

俺に話しているんだか、独り言なんだか分からない呟きの一つ一つが可笑しい。
やっぱりこんなに楽しそうに食事する奴は他にいない。
空になったティーカップに2杯目の紅茶を注いでやった時に、きょとんとした表情を浮かべて俺に聞いてきた。

「西門さんは食べないの?」
「摘まんでる。」

別に腹減ってねえし。
俺は牧野が食うのを見に来てるんだ。

「どれもこれも美味しいのに・・・」
「俺の分も食っていいぞ、つくしちゃん。」
「西門さんの分まで食べたら、スイーツの方が入らなくなるじゃん!
自分の分は自分で食べるのよ!」

妙に気合の入った牧野に気圧されて、渋々俺も食べ進めることになった。
自分の分のセイボリーを食べ終わった牧野は、新しい紅茶を選ぶためにまたメニューを見詰めてる。
ミルクティーが好きな牧野に、「これなんかいいんじゃないか?」と勧めたのは、セイロンのウバのブロークン。
コクのあるミルクティーになるから、きっと気に入る。
うんうんと大きく頷いたから、ミルクもたっぷり持ってきてくれるようにギャルソンにオーダーした。

焼き立てのスコーンにはクロテッドクリームが添えられている。
ラベンダーの香りがするショートブレッド。
ドライフルーツがたっぷり詰まったパウンドケーキに、ナッツの風味が豊かなピーカンナッツパイ。
クリスマスツリーのオーナメントのようにカラフルなマカロンは様々なフレーバーになっている。
真っ赤なベリーが詰まったフルーツタルトにはスノーフレークのピックが刺さっていて。
チョコレートケーキにはアラザンが散らされて、聖なる夜に雪が降っているかのようだ。
ショートケーキの上の苺はサンタクロース宜しくクリームの帽子を纏っていた。
ほんのり赤ワインが香るゼリーの中には白い雪ダルマが閉じ込められて・・・
牧野はワーキャー言いながらそれらを次々に口に詰め込んでいる。

「うわあ、頬っぺた落ちるー!」

お前の頬っぺたは幾つあっても足りないな。
すぐに落ちちまうから。

「どれもこれも美味しい・・・
あたし今、チョー幸せー。
ねえ、西門さんもこれ食べてみて。
絶対絶対美味しいから!」

スコーンにクロテッドクリームと無花果のジャムを合わせてる。
言われた通りに口に運ぶと、期待を込めた目で「ね、美味しいでしょ?」と小首を傾げる。
「ああ。」と頷いてやると、「ほら、やっぱり!」と笑顔の花を咲かせた。

これを見られるから、つい俺は牧野を食べ物で釣ってしまうんだ。
自分の言葉や行動だけじゃ、こうも簡単に牧野を笑顔にさせられない。
他の女達は俺の言葉で簡単に笑ったりしな垂れかかったりしてくるのに、こいつは俺に対して眉を顰めるばかり。
でもこうやって美味いモン食わせとけば、こんな風にいとも簡単に心を開いちまうんだ。
食べ物の力、恐るべし・・・
っていうか、俺の魅力やフェロモン、食べ物に負けっぱなしってどーいうことだ?
何でこいつには効かない?

そう思いながらじっと牧野の食いっぷりを見詰めてみる。

「ん? どしたの? 食べないの?」
「・・・良く食うな。」
「だあって、こんなに出て来たんだもん!
食べなきゃ勿体ないでしょ!」

俺はもうスイーツを摘まむのも、紅茶を飲むのも止めて、再びシャンパングラスを手にすることにした。
別にボトルの中身を残すのが勿体ないって訳じゃない。
この勿体ない病のオンナが残りをがぶ飲みするのを阻止する為。
悪酔いでもされたら堪ったもんじゃない。
今日は俺の誕生日。
こいつを部屋に送り届けるまで、幸せそうに笑っているのを見ていたい。

ティースタンドの上の物を粗方食べ終わり、紅茶もお代わりし過ぎて、流石にもう食べれなくなったらしい牧野は、椅子の背凭れに身体を預けて、ふうと溜息を吐き出した。

「食べ過ぎちゃったよ。
それじゃなくても凄い量なのに、西門さんたら残すんだもん!
この罰当たりっ!」
「腹はち切れる前に食べ止める方がスマートじゃね?
俺は普段からそんなに腹一杯まで食わねえんだよ。」
「だってこんなに美味しいもの出されて、食べないなんて無理じゃん!
もう今日は晩御飯いらなーい!
っていうか入らない!」

そう言って、胃の辺りを摩ってる牧野に、ついつい笑いが零れる。

「じゃあ食休みしたら腹ごなしにちょっとそこら辺歩こうぜ。」

「うん、いいけど・・・
そんなにシャンパン飲んで酔ってないの、西門さんは?」
「これぐらいで酔うかよ。
まあ、車は運転しねえけど。
帰りはタクシーでもいいだろ?」
「あたしは電車でも帰れるよ。」
「ちゃんと送ってくって。
俺が付き合わせたんだから。」
「うん・・・ ありがと、西門さん。」

何故か少し頬を赤らめて、唇をつんと尖らせながら返事をしてくるから、そんなところまで可愛く見える。

ああ、何でだ?
何で俺は、こんなチビで痩せっぽちで、色気の欠片も無いビンボー女が好きなんだ?
そのちょっとした表情の変化に、心を浮き立たせて・・・
笑い顔みりゃ幸せになっちまってる。
だけど、こいつは俺を単なる友達だとしか思ってねえんだ。
腹立つな!

このホテルのガーデンのクリスマスイルミネーションはちょっとしたものらしい。
丁度日も暮れて来た。
絶対に牧野はキラキラ輝くイルミネーションが好きな筈。
そう当たりを付けて、今日はここに連れて来た。
日中はコートを着ていると暑いくらいだったのに、夜の帳が下りた今はぐっと空気が冷えてきていた。
でもなぜか冷えた空気の中の方がイルミネーションが映える気がする。
ガーデンに足を踏み入れると、そこはまるでミルキーウェイだ。
大小様々なライトが地上に星空を作り出していた。

「やー、これステキ!
ねえ、西門さん!
すっごく綺麗だね、ここ!」

俺のコートの袖の端をくいくい引っ張りながら、興奮してぴょんぴょん跳ねる様に歩いてる。

「あっちの方にはクリスマスツリーみたく光らせてる木があるらしいぜ。
行ってみるか?」
「うんっ!」

どさくさに紛れて牧野の手を捉えた。

「人多いから。
はぐれるなよ。」
「う、うん・・・」

あんなにはしゃいでたのに、急にトーンダウンして借りてきた猫みたいなってる。
少しは男として意識されてるんだろうか?
仄かな期待を胸にガーデンの中の小径を手を握りつつ歩く。
ガーデンの奥にある大木は、無数のライトによって黄金色に光り輝いていた。
隣では牧野が口を半開きにして見入っている。

「うわあ・・・ キラキラ・・・」

手を引いて、その木の周囲を歩いてみる。
写真撮影スポットになっているところに、案内板が出ていた。

「『Happy Tree。
今あなたの隣にいる人にHappyを一つ贈ろう!
キスでもハグでも小さな約束でもOK!
この冬、Happy Treeの幸せの連鎖であなたもHappyになって下さい。』
だって・・・。」

イルミネーションが施されたスポットがいくつかあるのは知っていたけど。
こんなイベントをしているのは知らなかった。

「ふうん・・・
じゃあ、牧野は何して欲しい?
キスか? ハグか?」
「どどど、どっちも要らないよ!
あたしは今日美味しいものご馳走してもらって、ステキなイルミネーション見て、もう幸せだし!
西門さんは何がいいのよ?
って、キスもハグもダメだから!
何かあたしに出来る範囲の事言ってよ!」

キスもハグもダメなのか・・・
俺、今日誕生日なのに。
ひどくねえ?

「・・・誕生日おめでとう。」

「え? あたしまだ誕生日じゃないけど。」

「お前じゃねえよ。俺。
誕生日おめでとうって言ってくれよ。」

「・・・西門さん、今日お誕生日?」

「まあな。」

「お誕生日もクリスマスみたく独りで過ごすんじゃなかったの?」

「お前と一緒だな、今日は。」

「・・・何で?」

「さあ、何ででしょう?」

ちっとは考えろ!
俺がお前を今日誘った意味を!

暫くの間をおいて、牧野がぽそりと呟いた。

「・・・お誕生日おめでとう。」

「ん。」

自分から言い出したことながら、妙に照れ臭い。
真面に牧野を見れないから、キラキラと輝くツリーを見上げた。

「あたし、プレゼントも何も用意してないから・・・
代わりにもう一個言う事聞いたげる。
何して欲しい?
あ、変な事はダメだからね。
エロい事も言わないでよ!?」

何でムード満点のこの木の下で、お前はそういう事言うかね?
情緒もへったくれもあったもんじゃねえ。
それでもそんなオンナが好きなんだから困るよな、ホントに。

ゆっくりと牧野の方に顔を向ける。
寒さのせいか、頬が紅くなっている。
パチリパチリと瞬きしながら俺を見上げるあどけない表情。
まるで子供みたいだな・・・なんて思って頬が緩んだ。

「一つあるんだよな、お前にして欲しい事。」

「な、何?」

「隣にいて欲しい。」

「いるじゃん、もう。」

「今だけじゃなくて。
明日からもずっと。」

「ずっと? ずっとなんて無理でしょ。
だって・・・」

そこまで言ってぴたりと口を噤む。
信じられない・・・と顔に書いてある。
目を真ん丸にして、固まってる。
鈍感過ぎるこいつも、やっと何かを感じたらしい。

「女に二言はねえだろ、つくしちゃん?」

「嘘・・・」

男の純情を信じられないなんて、ホント許し難い。
だけど、仕方ねえよ。
こいつ、牧野だもんな。

握っていた手をしっかりと握り直す。
極上の笑みを浮かべて、耳元に駄目押しの一言を。

「好きだよ、牧野。
お前が好きだ。」


__________



総二郎のお誕生日SS。
2018年はこんな感じになりました。
お楽しみ頂ければ幸いです。
総二郎語りばっかりを書いてると、じゃあ、つくしはどう思ってんの?とか気になって来たけど・・・
今のところ全く書く予定はございません(^_^;)
最終話、増量でお届けしましたので、それで許して下さいー!

途中でPCがクラッシュしまして。
その復旧に手間取り、中編から後編をUPするまで、間が空いてしまいました。
スミマセン。
データは生き残ってて、ほっとしましたー。
やっと更新できる!

ああ、気付けば総誕も過ぎて、もう師走ですよ!
今年も1年早かった・・・
残りの3週間ちょっとも飛ぶように過ぎてくような予感。
大掃除も年賀状もまだ手をつけてません!(爆)
風邪やら胃腸炎が流行り始めましたね。
乾燥もしてるし・・・
どうぞ皆様ご自愛くださいませ!


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