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Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
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あるがまま 前編

もう一つのクリスマスSS。
七夕の「ひとつだけ」の2人のその後です。


゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆



あの七夕の夕方。
風邪を引いた牧野を見舞った。
その時見せられた何の飾り気も無い、ありのままの笑顔にやられて。
思い余って抱き寄せてキスをした。
あの日から俺達は付き合っている・・・んだと思う。
思う・・・と言うのは、「付き合おうぜ、俺達。」なんてダサい事、言ったことがないからで。
変に勝ち気で頑固なあいつの口からも「あたし達、付き合ってるんだよね?」なんていう台詞が聞こえてくる事も無い。
ただ互いの多忙なスケジュールの合間を縫って、それまで以上に2人きりの時間を持つようになった。
友達だった時間が長すぎて。
そう簡単には互いの距離を縮められない。
新しい世界に足を踏み入れる時、人は戸惑ったり躊躇したりするものだ。
遊び相手の女に気軽に出来たことも、牧野相手にはおいそれとは出来やしない。
何故だろうと考えて・・・
嫌われるのが怖いからだという、何とも情けない答えが出た。
これまでは相手にどう思われようと関係なかった。
そう思っていたからこそ、俺は気分次第で夜毎違う女を抱いたし、きっと女達も一時の感情なんてすぐにかき消え、あっさり俺を忘れて次の男の所へと去って行ったんだろう。
だけど、牧野は違う。
牧野にはずっと俺の事だけを想っていて欲しい。
俺から離れて行って欲しくない。
隣に寄り添ってくれる存在になって欲しい。
そう願っている。
想えば想うほど、牧野に触れる事が怖くなる。
抱き締めた腕を振り解かれたらどうすればいい?
寄せた唇を拒まれて、顔を背けられたら?
最悪な想像をしては、二の足を踏んで・・・
今迄の関係から抜け出して、それまで以上の存在になるには数か月を要した。
俺の腕の中で、カチコチになりながらも、逃げ出そうとはしなかった。
そっと顔を近づけていったら、きつく結ばれていた唇も、重なる度毎に段々と甘く融けていき・・・
牧野の『初めての男』になれたのは、12月3日。
俺の誕生日の夜。
やっとこの手にあるがままの姿の牧野を抱き締め、この上ない喜びを味わう。
柄にもなく心臓は高鳴り、息も乱れて、胸も苦しい。
幸せなのに、何故か目頭が熱くなるような感覚すら襲って来る。
胸の奥から湧き上がって来る愛しさで、自分がどうにかなってしまいそうだった誕生日。
俺にとって牧野の俺への想いが最大のプレゼントだった。

あの夜から3週間。
初めて2人で過ごすクリスマス。
24日のイヴはたまたま休日で、あいつの仕事も休み。
俺も何とかやりくりして、その日はクリスマスデートと相成った。
迎えに行くと、めかし込んだ牧野が部屋から飛び出してくる。
大人になったって落ち着きがないのがあいつらしい。
まあ、ヒールをコツコツと鳴らして、ゆったりと歩かれてきても違和感しかないから、これはこれでいいんだろう。

「お待たせっ!」

弾けるような笑顔がキラキラと眩しく目に映る。
車のドアを開けてやると、「えへへ、ありがと。」とはにかみながら、助手席にすとんと身体を滑り込ませた。
俺も運転席に座り直して、改めて隣の牧野を見詰める。
いつもと違ってアップに纏められた髪型。
いつもより頑張ったんだろうメイク。
今迄見たことのない落ち着いた色とデザインのコート。
普段はスニーカーばっかり履いている足元も、今日はブーツだ。
だけど、もう一つ。
いつもと決定的に違うところがある。

「お前、爪・・・」

「あー、あんまり見ないでっ!
ネイルするの久し振りすぎて上手くいかなかったんだから。」

そう言って、手をじゃんけんのグーみたいに握り締め、爪を隠してしまった。

「園にネイルしていっちゃいけないんだろ?」

「今夜家に帰ったら取るからいいのっ。」

「ふうん・・・」

牧野の勤めている幼稚園は、化粧はOK。
髪のカラーリングやパーマも、程々ならOK。
だけど、アクセサリー類とネイルは禁止・・・という決まりがあるそうだ。
だから、牧野の爪はいつもスッピン状態。
子供達に毎日触れる手だから、常に爪は短く切りそろえられ、ありのままの色のままだ。
牧野の小さな手の先の、桜貝のような爪が俺は好きだった。
人を好きになると、何処も彼処も好きになって、目に入れても痛くない・・・なんて事を言う輩を俺はこれまで鼻で笑っていたけれど。
それは本当の事だった。
牧野の事は、爪の先まで好きなんだから。
その牧野の小さな爪に、今日はエナメルが載せられていた。
妙に人工的な色のそれは、牧野の手にはそぐわないような気もする。
そう思って、次の瞬間自分を笑いたくなった。

どんな女がどれだけ派手なネイルをしてようと、どーだって良かったのに。
牧野の事になるとこんなに気になるって・・・
俺はホントどうかしちまってる!

何もない振りをして、車を走らせ始めた。
行き先は牧野が行きたがっていた渋谷。
クリスマス・イヴの渋谷なんて、どんなに人がごった返している事か。
それでも牧野が、「こんなイルミネーション見てみたいなあ・・・」なんて呟いてるのを聞いたら、行くしかない。
車はディナーを予約しているホテルに停めて、人の波が続く渋谷の街へと足を踏み出した。
公園通りから代々木公園までの緩やかな坂道。
街路樹は青いLEDで幻想的に光っている。
こんなに寒い夜だというのに、この青い道を歩きたい人々がぎっしりだ。
絶対にはぐれたくないから、牧野の手を握って、俺のコートのポケットに入れた。
恥ずかしそうに笑う牧野の頬も瞳も、光を受けて青く色づいてる。

「ねえ、来て良かったね。」

「そうか?」

「うん、だってすごく綺麗だし・・・
なんか、それを見て幸せそうな人達で溢れてて、あたしもとっても幸せな気持ちになる。」

俺といられるから幸せだって言やあいいのに。
こんな時にも赤の他人の幸せそうな姿を見て、それで自分まで幸せ感じるだなんて。
牧野って女は本当に変な女だ。

ポケットの中の手を握り直す。
小さくて、少しかさついてて、日頃の頑張りが偲ばれるその手。
俺はこの手の温もりを感じられるだけでいい・・・なんて思ってる。

こんな気持ちで聖夜を迎えられる日が来るなんて・・・
考えた事すらなかったのに。

人の流れに身を任せながら、隣を歩いている牧野を見下ろした。

やっぱりこいつがいるだけで、俺は幸せなんだ。


__________



クリスマスSS二つ目は「ひとつだけ」の後日譚となりました。
ちょっと納まりきらなかったので、後編に続く!

病人その2まで発生して、散々なクリスマスです・・・
頑張れ、自分!


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