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Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
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この部屋、ペット禁止です! 21

朝日を受けてピカピカ光っている車に乗せられ、木々の間から光の粒が降り注ぐ道を抜けて連れて行かれたのは、キラキラと水面が輝いている相模湖が一望出来るカフェだった。
何だか朝から目がチカチカする。
空いているお好きな席にどうぞ・・・と言われ、ひとつ残っていた窓側のテーブルにペットと向かい合わせで着くと、すぐにお冷のグラスが運ばれて来た。
モーニングを2人前、それにコーヒーとミルクティーを頼む。

「このお店もお兄さんご夫妻のお薦めなの?」
「ああ、景色も楽しめるし、近所だし。
メシ作るの面倒な時に来てるみたいだな。」
「ふうん、仲良しなご夫婦だねえ。
偶のお休みにお2人でセカンドハウスに来て、デートみたくカフェで朝ご飯食べて、のんびり過ごされるなんて、素敵。」

そう言ったら、途端にふふっと吹き出したペット。
人が素直に口にした言葉を笑い飛ばすなんて、ホントに失礼なオトコだ。

「まあそう言ったら聞こえはいいな。」
「そう言ったら・・・って、実際そうなんでしょ?」
「んー?
2人とも料理や片付けなんて面倒だから、外で食べ歩いてるんだろ。
その証拠にキッチンなんてピッカピカでろくに使った跡が無かったろうが。」
「普段お忙しいんだろうから、息抜きする時には思いっきりお休みしたっていいでしょ。」
「つくしちゃんもな。」
「あたし?」
「そ。毎日朝から晩までコマネズミのように働いてるんだから。
今日はのんびりすりゃいいんだよ。」

悪戯っぽい笑みを浮かべてあたしを見ているペットがいる。
あれ? あれれ?
もしかして、もしかしてさ・・・
昨日からのこの唐突なドライブやお泊まりは・・・
この人の気紛れなんかじゃなくて、全部あたしを労う為だったりするの?

目をぱちぱちさせながら考えるけど、上手いこと答えまで辿り着けない。
そうしているところにモーニングが2つのトレーに載せられてやって来た。
厚めに切られたトーストの上では黄金色のバターが溶け始めている。
横にはマーマレードと苺ジャムが添えられてて、とっても魅力的。
隣のプレートにはスクランブルエッグとちょっと焦げ目の付いたソーセージ、そして瑞々しいミニサラダが彩り良く並んでいた。
ミルクティーの奥にはヨーグルトと、カットオレンジ。
自分で作らず人に朝ご飯用意してもらうだけで嬉しいのに、なんて美味しそうなんだろう!
「頂きまーす。」と言って、まずはミルクティーをこくりとひと口。
ほっとする優しい味が口の中に広がって、思わずほう・・・と溜息が溢れる。
次はトーストに齧り付いた。
外はカリッと、中はもちっと、そしてバターがじゅわっと滲み出してくるのがなんとも幸せだ。

「んー、美味しっ。」
「何食べさせても『美味しい』『美味しい』って言うな、つくしちゃんは。」
「ほっといて! あたしの観察なんかしてないで、食べなさいよ。」
「食べさせ甲斐があるなって思っただけだろ。」

何気なくコーヒーカップを持っているだけなのに、なーんか絵になってしまう向かいのオトコをぎっと睨み付けてから、食べるのに没頭している振りをしていたけど、いつの間にか本当に夢中になった。
思いの外お腹が減っていたらしい。
食後にお代わりの紅茶を頂きつつ、窓の外の湖を見遣る。
青空を映し込んだ水面はレトロガラスを敷き詰めたみたいで。
湖の縁は濃い緑色の山が連なって、その上には綿飴をちぎったみたいなほわほわした白い雲が浮かんでいる。

「良いとこだねえ、ここ。」
「気に入ったろ?」
「んー? うん、まあね。」
「またいくらでも連れて来てやるよ。」
「いやいや、そういう事言ってるんじゃないんだけど。」
「さーて、腹拵えも済んだし、散歩行くか。」
「え? 東京に帰るんじゃないの?」
「元々散歩しに来たのに、それをやらないで帰る訳ねえじゃん。」

あたしは着替えも持って来てないから、昨日仕事行った時のままの服だし。
足元だって、こんな所を散策する用の靴じゃない。
何よりあたしは部屋に戻って洗濯したいのよね・・・
出来ればペットをお邸に帰した後で!
ペットに見られたくない洗濯物、色々あるのよ!

「服もこんなだし、靴もヒールだし。
散歩って感じじゃないもん、あたし。」
「ああ、そっか。
んー・・・、ちょっと待ってろよ。」

そう言ってすっと入り口横のレジスターの前に立ったペット。
モーニングのお代金を払いながら、お店の奥さんに飛び切りの作り笑いして話し掛けてる。
何でこんな所で愛想振り撒いてるんだか・・・
あたしもティーカップに残っていた紅茶を飲み干して、後を追う。

「ありがとうございました。参考になりました。」
「いいえー。またおいで下さいね。」
「ご馳走様でした。また来ます。」

そう言って置き土産にいつもの決め顔をひとつ披露してる。
あたしも「ご馳走様でした。」と頭を下げてお店を出た。
一応ペットにもお礼を言う。

「ご馳走様でしたっ。」
「これくらいご馳走したうちにも入んねえよ。
つくしちゃんは毎日手料理食べさせてくれてたんだから。
こっちが礼を言わないとだろ。」

うーん、外食に連れ出された日も、デリバリー頼んでくれてた日もあったし。
冷蔵庫の中身、いっぱいにもしてもらったし。
どう考えてもあたしの方が得してると思うけど。
まあ、この人にとっては、密かに隠れられる場所が必要だったんだろうから、いいのかな・・・?

今度こそあたしの部屋に連れ帰ってもらえる・・・と思っていたのに、ちょっと走ったと思ったら、車は広い駐車場に入った。

「え? 何? どしたの? 何か忘れ物?」
「服と靴がいるんだろ?」
「はぁ?」
「さっきのカフェの奥さんに聞いたんだよ、近くで服と靴買える店。
ここがこの辺りで一番品揃えがあるんだってよ。
つくしちゃんの好きな、お財布に優しい店らしいぜ。」

そう言われて窓の外をよく見てみれば、安売りで名を馳せているアパレル店の看板が見える。
この人が一生足を踏み入れないような、びっくりディスカウント価格の店だ。
このあたしだって「これ安ーい!」と驚く掘り出し物があったりするくらい。

「・・・服なんか買わないわよ。帰るんだってば。」

そう言うあたしの言葉を聞かなかった振りをして、言葉を重ねるヤツがいる。

「サッサと服と靴買って、散歩行こうぜ。
湖畔を散歩したら、絶対気持ちいいって。」
「えーーー?」
「えー?じゃねえよ。
お前が行かねえなら、俺が勝手に見繕うけど?」

はあ・・・、溜息出ちゃう。
せめてこの車の中で大人しく待ってて欲しい。
この愛想振り撒き常習オトコがあのお店に入っていったら、お客さんも店員さんも大騒ぎだ。

「・・・分かったわよ。買えばいいんでしょ!」

車のドアを勢いよく開けて降りて、態とばーんと音を立てて閉めてやった。
このペットのペースで物事が進んでいくのが、どうにも居心地が悪い。
開店したてで人気の少ないお店の中で、無難なフレンチスリーブのシャツと、UVカットの札が付いていたさらっとした手触りのカーディガンと、動きやすそうなコットンパンツを選んだ。
お店の片隅では靴も売っている。
スリッポンが980円。
全部買っても5000円だ。
お会計の後に、お店の方に断って試着室で着替えさせてもらって車に戻ると、ペットは妙にニヤニヤしている。

「おいおい、随分と地味だなー、つくしちゃん。」
「大きなお世話ですっ!」
「まあ、俺しか見ないんだから問題ないか。」

ペットにはもう部屋着姿やスッピンまで見られてるから、安い服だろうと地味だろうとどうでもいい気分だ。

「散歩したら帰るよ! 分かってんの?」
「ハイハイ、分かってる、分かってる。」

この安請け合い、全く信用ならないわ・・・。


________________



随分と間が空いてしまいましたが、ペット総二郎のお話の続きを書きました。
書き始めると、今度は書き過ぎてしまって、ばっさばっさとお話を削ぎ落とす事に。
なかなか難しいのですσ^_^;

このお話を準備していたら、大きな地震に見舞われかなりびっくりしました。
日本は地震大国で、毎日どこかが揺れているので、常に心構えが必要なのですが、ついつい油断してしまいますね。
とりあえず家中の懐中電灯を点検して、スマホを充電しています。
余震がないといいんですが・・・
眠いけれどもなかなか寝付けない夜です。


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