聖なる夜の三つ巴の戦い! -後編-
食事が始まった時にはアルコールを口にしていなかった牧野は、雰囲気に流されてあきらの作る軽いカクテルを2杯、3杯と飲んで、ちょっと頬が色付いている。
食後のデザートを食べ終えたら、毎年恒例の、俺らから牧野へ、牧野から俺らへのプレゼント交換タイムになった。
「メリークリスマス、牧野。俺からはこれ。」
あきらがさり気なさを装いつつポケットから取り出した小さな包みの中は、凝ったデザインのバレッタ。
「うわあ、キレー!」と顔を綻ばせた牧野のまとめ髪に器用に挿してやってる。
「うん、思った通りだ。似合ってるよ、牧野。」
「えー! ありがとう、美作さん!
ちょっと大人っぽくて、すっごく素敵なデザインだね。嬉しいっ!」
大喜びしてる牧野の心を奪還すべく、類が牧野にプレゼントを手渡す。
ガサガサと包装紙を解いて、牧野がひと時絶句した。
「類、これ・・・」
「欲しかったんでしょ。
あんた、本屋で何度もこの本見てた。」
「でも、でも、この写真集、お値段高くて・・・。」
「またそういう事言う。
あんたが折に触れて何度もこの本のページを捲って大切に読むなら、値段なんてあってないようなものでしょ。
それに俺だってこう見えて時々働いてるから。
自分の力で稼いだお金でプレゼントを買ってあんたに喜んでもらえたら、それは働き甲斐があるなって思えるんだ。」
「えー・・・、ホントありがとう。」
牧野はちょっと涙目だ。
オイオイ?
今の、どこに泣くポイントがあった???
牧野・・・
類は自分の金でその本を買ったかもしれないが、その何百倍って親の金で毎日贅沢三昧しながら暮らしてるんだからな!
分かってんのか???
とか言いつつ、俺だってそうか・・・。
俺が1人でちょっとモヤっている間に、牧野は鼻をスンスン鳴らして、何とか涙を引っ込めたみたいだ。
そして俺の番が回って来た。
ころんとしたマカロンみたいな小さなアクセサリーケースを、態と包装無しのそっけない感じで牧野の手元に押し付ける。
「ほらよ。」
「あ、なあに、これ?
小銭入れ? お薬ケースかな?
Tってイニシャル入ってて嬉しい!
ありがとう、西門さん。」
珍しく俺に対して素直な牧野が、ぱあっと明るく笑って、こっちを見上げてくる。
うるうるしてる目から発せられるビームは効果絶大。
俺のハートを撃ち抜いてく。
「馬鹿、お前。
プレゼントはその中だっつーの。」
牧野がファスナーをぐるりと開けると、中から白い箔押しの一粒ピアスが現れた。
「うわ・・・、可愛いピアス!
真珠じゃないよね。なんかキラキラしてる。」
「この前仕事で金沢行ったから。
金沢って金箔が有名だろ。
その技術を活かしてアクセサリー作ってる店があるんだよ。
それはシルバーも混ぜてあるからそういう色になるらしいぜ。」
「流石西門さん。趣味がいいね。」
そう言われて鼻も高々だ。
「つけてやろうか?」
「え? あ、自分でやれるから!」
あきらにはされるがままになってた癖に。
俺の事は拒むなんて、詰まらない。
そう思ったところで、すかさず類に釘を刺される。
「総二郎、牧野に触んないで。」
「はあ? ピアスつけてやろうか?って言っただけだろ!」
「そんな事言って・・・
牧野に触るのが目的でしょ。やらし・・・。」
「そんな事狙ってねえよ!」
いや、ホントはちょっと・・・、大いに狙ってた。
牧野の柔らかそうな、ちょっとひんやりしている耳朶にそっと触れて、そんな事されるのに慣れてない牧野がひくりと肩を揺らして・・・
そこに俺の手で優ーしくピアスを挿してやり、擽ったそうに首を縮こめつつも、ぽっと頬を赤らめる牧野が現れる・・・ってところまで想像してたさ!
わりーかよ?
絶対絶対、類だってあきらだってよからぬ妄想してる筈だ!
「ちょっとー、2人とも何言い合ってんの?
ね、似合う? 似合う??」
牧野がピアスを俺がやったものに着け替えて、後れ毛を耳に掛けながら聞いてくる。
可愛い。
すげー可愛い。
似合ってる。
俺の好きな白い色のピアスってのがまた牧野の無垢な感じに合うんだよな・・・
「・・・いいんじゃね?」
本心なんか素直に漏らせないから、こんな程度の返事しか出来ない、不甲斐ない俺。
「えへへ。ありがと、西門さん。
はい、あたしから皆にはこれ。」
俺達3人にそれぞれ手渡されたクリスマスのラッピングの中身は・・・、牧野手作りのブックカバーとコースターだった。
「冬の夜長に、文庫本片手にあったかい飲み物でも・・・と思ってさ。
良かったら使ってね。」
「・・・サンキュ。」
「ありがと、牧野。」
「これ、いいな。
使わせてもらうよ、牧野。」
「うん! 美作さんがね、よくコーヒー飲みながら本読んでるじゃない。
それ見ていて思い付いたんだー!」
折角のプレゼントもあきらから連想した物と聞くとちょっと面白くない。
「ブックカバーの内側にはこっそりイニシャル刺繍してあるんだよ。
だからさっき西門さんから貰ったアクセサリーケースにTってイニシャル入ってた時、同じだ!と思って嬉しくなっちゃった。」
こんな事言われたら、あっさり頬が緩みそうで困る。
牧野が俺を思いつつ、一針一針Sって縫い込んでたかと思うとじわじわと喜びが込み上げてくるし。
同じくイニシャル入りのプレゼントを用意してた牧野と俺とのリンクが嬉しい。
「えーっとね、これは絵夢ちゃんと芽夢ちゃんへので。
こちらはおばさまへのプレゼントなの。
美作さんに預けちゃっていいかな?」
「ああ、勿論。
毎年俺の家族の分までありがとう、牧野。」
「いやいや、毎年図々しくこちらにお邪魔しちゃってるの、あたしの方だし。
今年は双子ちゃんに会えなくてちょっと寂しいなあ。
でもイタリアで家族水入らずのクリスマス、してらっしゃるんだろうし。
イタリアで迎えるクリスマス、素敵だろうねー。
美作さんは追い掛けて行かないの?」
「・・・家族旅行が楽しいって歳でもないしな。
行ったら双子の世話してばかりで休まらないし。
こっちでのんびりするよ。」
分かってんぞ。
あきらは絶対に牧野とクリスマスをここで過ごす為に残ったんだ。
あわよくば他の日も会おうとか思ってんだろ?
あーあ、俺はここから暫くは滅茶苦茶忙しくなるんだよな・・・
あきらと牧野のデート企画を邪魔する役目は類に任せるしかねぇ。
ま、俺に言われなくても類はしっかりその任務を遂行する事だろうが。
この後更に上機嫌になった牧野は、「だって美作さんが作るカクテルって美味しいんだもーん!」と言って杯を重ね、見事な酔っ払いになった。
身体は骨が抜けたかようにふにゃふにゃとしてて、呂律も怪しい。
「桜子にさーあ、皆へのプレゼントは何がいーと思うー?って相談したんだけど。
あーの子ってば、ヘンテコリンな事言うんだよぉ。
『先輩がぁ、頭にちょこんっとリボンを着けてぇ、プレゼントはあ・た・し!とか言うのが一番喜ばれるんじゃないですかぁ?』なーんて。
そーんなのプレゼントになんないのにねぇ!」
えへへとしまりなく笑ってる牧野の目は半分閉じている。
そんなプレゼント・・・、貰いたいに決まってんだろ!
問題は俺達は3人で、牧野は1人しかいねえとこだ!
3人で共有・・・はとてもじゃないが無理だ。
出来る気がしない。
自分だけで独占したいって俺達誰もが思ってる。
ちらっと類とあきらに視線を流すと、奴等もこっちを見ていた。
空中にバチバチ火花が飛んでるが、酔っ払い牧野は気付かない。
暫く睨み合いが続いていたが、類が牧野の方へと顔を向けたから、一時休戦になった。
「牧野、もう帰ろ。送ってくから。」
「えー? やだぁ! まだ帰らなーい!
折角のクリスマスの夜なんだもーん。
もっと皆で飲もうよぉ!」
「あんたもう限界でしょ。眠そうだもん。」
「ダイジョーブ、ダイジョーブ!
美作さぁん!
さっきの美味しいの、もう1杯下さーい!」
あきらも苦笑いしている。
「牧野、客間用意させるから泊まってけよ。
もうこの分じゃ部屋に戻る車の中で寝るだろ。」
「そんなこと、ない・・・もん・・・。」
そう言ってる声がもう眠そうだ。
だけど、あきらしかいない邸に牧野を泊めて、明日の朝もあきらに牧野を独占されるなんて許せない。
「お、それじゃ、俺も泊めてもらおっかな。
帰るの怠くなっちまった。外もえらく寒そうだし?」
「車なんだから外の気温なんか関係ないだろ?」
「んー? あきら、俺を泊めると不都合な事あんのか?」
「いや、別に、そんな事は・・・」
「じゃ、俺も泊めてもらおうっと。
あきら、俺の部屋は牧野の隣にして。」
「何だよ2人して。
いつでも帰れるように車待たせてる癖に。」
軽く溜息吐きながらあきらが困り顔しつつ笑ってる。
抜け駆けなんてさせねえよ?
「ねえ、牧野寝ちゃったよ。あきら、部屋どこ?」
ソファで船を漕ぎ出した牧野に類が歩み寄る。
ちょーっと待て。
牧野を抱き上げ運ぶ役目は俺がやる!
慌てて俺もソファに近付く。
同じ事を思ったらしいあきらもこちらに向かって来て、牧野抱き上げ権の争奪に参戦してきた。
また3人での睨み合いが始まる。
俺、類、あきら。
俺達3人の戦いは終わる事が無さそうで怖い。
誰か1人だけが牧野の心を射止める日なんか来んのか?
そんな事を思いながら、聖なる夜の無言の戦いは続くのだった。
_________
やっとクリスマスSSを書き終わりました^^;
ちょっとペース配分間違えて、後編がボリューミーになってしまいました。
悪しからず・・・
まあ、こんな3人の中から1人抜け出すなんて無理そうです。
つくしは「みーんな友達!」と思ってるから、いつでも楽しくて3人から構われるのは居心地いいかもですけど。
鈍感は罪ですなぁ。
病人から貰ってしまった酷い風邪も、やっと少し抜けて来ました。
こっちに感染した本人はもうケロッとしてるというね(苦笑)
鼻風邪だったので、柔らかティッシュの消費が花粉症の時並みでした。
在庫無くなってきたから買いに行かなきゃー!
まだまだ寒い日が続きそうですから、皆様も首、手首、足首を温めて、風邪引かないようにお過ごし下さいね。

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
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「メリークリスマス、牧野。俺からはこれ。」
あきらがさり気なさを装いつつポケットから取り出した小さな包みの中は、凝ったデザインのバレッタ。
「うわあ、キレー!」と顔を綻ばせた牧野のまとめ髪に器用に挿してやってる。
「うん、思った通りだ。似合ってるよ、牧野。」
「えー! ありがとう、美作さん!
ちょっと大人っぽくて、すっごく素敵なデザインだね。嬉しいっ!」
大喜びしてる牧野の心を奪還すべく、類が牧野にプレゼントを手渡す。
ガサガサと包装紙を解いて、牧野がひと時絶句した。
「類、これ・・・」
「欲しかったんでしょ。
あんた、本屋で何度もこの本見てた。」
「でも、でも、この写真集、お値段高くて・・・。」
「またそういう事言う。
あんたが折に触れて何度もこの本のページを捲って大切に読むなら、値段なんてあってないようなものでしょ。
それに俺だってこう見えて時々働いてるから。
自分の力で稼いだお金でプレゼントを買ってあんたに喜んでもらえたら、それは働き甲斐があるなって思えるんだ。」
「えー・・・、ホントありがとう。」
牧野はちょっと涙目だ。
オイオイ?
今の、どこに泣くポイントがあった???
牧野・・・
類は自分の金でその本を買ったかもしれないが、その何百倍って親の金で毎日贅沢三昧しながら暮らしてるんだからな!
分かってんのか???
とか言いつつ、俺だってそうか・・・。
俺が1人でちょっとモヤっている間に、牧野は鼻をスンスン鳴らして、何とか涙を引っ込めたみたいだ。
そして俺の番が回って来た。
ころんとしたマカロンみたいな小さなアクセサリーケースを、態と包装無しのそっけない感じで牧野の手元に押し付ける。
「ほらよ。」
「あ、なあに、これ?
小銭入れ? お薬ケースかな?
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ありがとう、西門さん。」
珍しく俺に対して素直な牧野が、ぱあっと明るく笑って、こっちを見上げてくる。
うるうるしてる目から発せられるビームは効果絶大。
俺のハートを撃ち抜いてく。
「馬鹿、お前。
プレゼントはその中だっつーの。」
牧野がファスナーをぐるりと開けると、中から白い箔押しの一粒ピアスが現れた。
「うわ・・・、可愛いピアス!
真珠じゃないよね。なんかキラキラしてる。」
「この前仕事で金沢行ったから。
金沢って金箔が有名だろ。
その技術を活かしてアクセサリー作ってる店があるんだよ。
それはシルバーも混ぜてあるからそういう色になるらしいぜ。」
「流石西門さん。趣味がいいね。」
そう言われて鼻も高々だ。
「つけてやろうか?」
「え? あ、自分でやれるから!」
あきらにはされるがままになってた癖に。
俺の事は拒むなんて、詰まらない。
そう思ったところで、すかさず類に釘を刺される。
「総二郎、牧野に触んないで。」
「はあ? ピアスつけてやろうか?って言っただけだろ!」
「そんな事言って・・・
牧野に触るのが目的でしょ。やらし・・・。」
「そんな事狙ってねえよ!」
いや、ホントはちょっと・・・、大いに狙ってた。
牧野の柔らかそうな、ちょっとひんやりしている耳朶にそっと触れて、そんな事されるのに慣れてない牧野がひくりと肩を揺らして・・・
そこに俺の手で優ーしくピアスを挿してやり、擽ったそうに首を縮こめつつも、ぽっと頬を赤らめる牧野が現れる・・・ってところまで想像してたさ!
わりーかよ?
絶対絶対、類だってあきらだってよからぬ妄想してる筈だ!
「ちょっとー、2人とも何言い合ってんの?
ね、似合う? 似合う??」
牧野がピアスを俺がやったものに着け替えて、後れ毛を耳に掛けながら聞いてくる。
可愛い。
すげー可愛い。
似合ってる。
俺の好きな白い色のピアスってのがまた牧野の無垢な感じに合うんだよな・・・
「・・・いいんじゃね?」
本心なんか素直に漏らせないから、こんな程度の返事しか出来ない、不甲斐ない俺。
「えへへ。ありがと、西門さん。
はい、あたしから皆にはこれ。」
俺達3人にそれぞれ手渡されたクリスマスのラッピングの中身は・・・、牧野手作りのブックカバーとコースターだった。
「冬の夜長に、文庫本片手にあったかい飲み物でも・・・と思ってさ。
良かったら使ってね。」
「・・・サンキュ。」
「ありがと、牧野。」
「これ、いいな。
使わせてもらうよ、牧野。」
「うん! 美作さんがね、よくコーヒー飲みながら本読んでるじゃない。
それ見ていて思い付いたんだー!」
折角のプレゼントもあきらから連想した物と聞くとちょっと面白くない。
「ブックカバーの内側にはこっそりイニシャル刺繍してあるんだよ。
だからさっき西門さんから貰ったアクセサリーケースにTってイニシャル入ってた時、同じだ!と思って嬉しくなっちゃった。」
こんな事言われたら、あっさり頬が緩みそうで困る。
牧野が俺を思いつつ、一針一針Sって縫い込んでたかと思うとじわじわと喜びが込み上げてくるし。
同じくイニシャル入りのプレゼントを用意してた牧野と俺とのリンクが嬉しい。
「えーっとね、これは絵夢ちゃんと芽夢ちゃんへので。
こちらはおばさまへのプレゼントなの。
美作さんに預けちゃっていいかな?」
「ああ、勿論。
毎年俺の家族の分までありがとう、牧野。」
「いやいや、毎年図々しくこちらにお邪魔しちゃってるの、あたしの方だし。
今年は双子ちゃんに会えなくてちょっと寂しいなあ。
でもイタリアで家族水入らずのクリスマス、してらっしゃるんだろうし。
イタリアで迎えるクリスマス、素敵だろうねー。
美作さんは追い掛けて行かないの?」
「・・・家族旅行が楽しいって歳でもないしな。
行ったら双子の世話してばかりで休まらないし。
こっちでのんびりするよ。」
分かってんぞ。
あきらは絶対に牧野とクリスマスをここで過ごす為に残ったんだ。
あわよくば他の日も会おうとか思ってんだろ?
あーあ、俺はここから暫くは滅茶苦茶忙しくなるんだよな・・・
あきらと牧野のデート企画を邪魔する役目は類に任せるしかねぇ。
ま、俺に言われなくても類はしっかりその任務を遂行する事だろうが。
この後更に上機嫌になった牧野は、「だって美作さんが作るカクテルって美味しいんだもーん!」と言って杯を重ね、見事な酔っ払いになった。
身体は骨が抜けたかようにふにゃふにゃとしてて、呂律も怪しい。
「桜子にさーあ、皆へのプレゼントは何がいーと思うー?って相談したんだけど。
あーの子ってば、ヘンテコリンな事言うんだよぉ。
『先輩がぁ、頭にちょこんっとリボンを着けてぇ、プレゼントはあ・た・し!とか言うのが一番喜ばれるんじゃないですかぁ?』なーんて。
そーんなのプレゼントになんないのにねぇ!」
えへへとしまりなく笑ってる牧野の目は半分閉じている。
そんなプレゼント・・・、貰いたいに決まってんだろ!
問題は俺達は3人で、牧野は1人しかいねえとこだ!
3人で共有・・・はとてもじゃないが無理だ。
出来る気がしない。
自分だけで独占したいって俺達誰もが思ってる。
ちらっと類とあきらに視線を流すと、奴等もこっちを見ていた。
空中にバチバチ火花が飛んでるが、酔っ払い牧野は気付かない。
暫く睨み合いが続いていたが、類が牧野の方へと顔を向けたから、一時休戦になった。
「牧野、もう帰ろ。送ってくから。」
「えー? やだぁ! まだ帰らなーい!
折角のクリスマスの夜なんだもーん。
もっと皆で飲もうよぉ!」
「あんたもう限界でしょ。眠そうだもん。」
「ダイジョーブ、ダイジョーブ!
美作さぁん!
さっきの美味しいの、もう1杯下さーい!」
あきらも苦笑いしている。
「牧野、客間用意させるから泊まってけよ。
もうこの分じゃ部屋に戻る車の中で寝るだろ。」
「そんなこと、ない・・・もん・・・。」
そう言ってる声がもう眠そうだ。
だけど、あきらしかいない邸に牧野を泊めて、明日の朝もあきらに牧野を独占されるなんて許せない。
「お、それじゃ、俺も泊めてもらおっかな。
帰るの怠くなっちまった。外もえらく寒そうだし?」
「車なんだから外の気温なんか関係ないだろ?」
「んー? あきら、俺を泊めると不都合な事あんのか?」
「いや、別に、そんな事は・・・」
「じゃ、俺も泊めてもらおうっと。
あきら、俺の部屋は牧野の隣にして。」
「何だよ2人して。
いつでも帰れるように車待たせてる癖に。」
軽く溜息吐きながらあきらが困り顔しつつ笑ってる。
抜け駆けなんてさせねえよ?
「ねえ、牧野寝ちゃったよ。あきら、部屋どこ?」
ソファで船を漕ぎ出した牧野に類が歩み寄る。
ちょーっと待て。
牧野を抱き上げ運ぶ役目は俺がやる!
慌てて俺もソファに近付く。
同じ事を思ったらしいあきらもこちらに向かって来て、牧野抱き上げ権の争奪に参戦してきた。
また3人での睨み合いが始まる。
俺、類、あきら。
俺達3人の戦いは終わる事が無さそうで怖い。
誰か1人だけが牧野の心を射止める日なんか来んのか?
そんな事を思いながら、聖なる夜の無言の戦いは続くのだった。
_________
やっとクリスマスSSを書き終わりました^^;
ちょっとペース配分間違えて、後編がボリューミーになってしまいました。
悪しからず・・・
まあ、こんな3人の中から1人抜け出すなんて無理そうです。
つくしは「みーんな友達!」と思ってるから、いつでも楽しくて3人から構われるのは居心地いいかもですけど。
鈍感は罪ですなぁ。
病人から貰ってしまった酷い風邪も、やっと少し抜けて来ました。
こっちに感染した本人はもうケロッとしてるというね(苦笑)
鼻風邪だったので、柔らかティッシュの消費が花粉症の時並みでした。
在庫無くなってきたから買いに行かなきゃー!
まだまだ寒い日が続きそうですから、皆様も首、手首、足首を温めて、風邪引かないようにお過ごし下さいね。



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