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Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
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pretend «side総二郎» -前編-

「もうここに来たら駄目だよ。今日でお終い。」

牧野はそう言って静かに微笑んだ。

「・・・何でだよ?」
「そんなの・・・、当たり前じゃん。
結婚決まったんでしょ?
最初から『どちらかにホントに好きな人が出来るまで』って約束だったもん。」
「・・・俺が結婚するのは、好きな女なんかじゃねえ。」
「そんな屁理屈・・・。」、

そこまで言って牧野は盛大な溜息を吐いた。
呆れた・・・と言わんばかりの表情を浮かべて。
そして俺を諭す調子で話し出す。

「あのね、結婚する人とは、2人で幸せにならなくちゃいけないの。
相手の女の人は西門さんの事、好きだから結婚してくれるのかもしれないし。
とーっても面倒なお家にお嫁に来てくれるんだもん。
大切にしてあげなくちゃ。
守ってあげなくちゃ。
そして2人でいつか生まれてくる大切な子供を育てるんでしょ。
今はそんな気持ちになれなくても、きっと段々と家族になってくものなんだよ。
だから、もうあたしのとこに来ないで。」
「牧野・・・。」

近付いて抱き寄せようとしたのに、手を振り払われた。
心臓が真っ二つに裂かれていくかのような痛みが走る。
牧野がゆるりと頭を左右に振る。

「駄目だよ。」

きっぱりとした口調で、俺の目をしっかりと見詰めながら拒否してくる。
牧野らしいと思うけれども、牧野らし過ぎてその潔さが今はとても痛かった。

「・・・待っててくれないか?
直ぐには無理でも、何年かしたら・・・
子供さえ出来たら・・・」
「やだよ、そんなの。
ねえ、自分がされて悲しくて辛かった事を、今度は自分の子供にするなんて、酷いとは思わないの?
お願いだからちゃんと幸せになって。
結婚する人と、その人が生んでくれる子供と。」
「俺はそんな事望んじゃいねえ。」
「あたしが! あたしがそれを望んでるの!
きちんと家族を作って、誰よりも幸せに暮らして欲しいんだよ・・・。」
「お前が隣にいなくて、幸せになんかなれる訳ねえだろ!」

そう叫んだら牧野の目に涙が浮かんだ。
なのに目を何度も瞬いて誤魔化して、必死で笑おうとしてる。

「駄目だよ、そんな事言ったら。
分かってるでしょ。
ホントは分かってるんだよね。
気が進まない縁談が決まって、ちょっと愚痴言ってるだけなんでしょ。」
「牧野!」
「今までありがと。
楽しい事いっぱいあったね。
でも・・・、あたし、ホントは苦しい事もいっぱいあったの。
だから、今日で終わりにする。
お互いにっこり笑って終わりにしよ?
次に会った時、ちゃんと友達として会えるように。」

分かっていた。
牧野が苦しんでいる事は。
俺もずっと苦しかった。
こんなに大切な温もりをいつか手放さねばならないと思いながら抱き締めていたから。
束の間の幸せは儚く脆いもので。
会えなくなるのは明日なのか、明後日なのかと怯えながら重ねる2人きりの時間は甘くほろ苦くて、息をする度に胸が痛んで仕方なかった。

友達?
友達になんか戻れない。
戻れる訳がない。
こんなに牧野を想っているのに。
牧野無しには生きられないのに。
今日で牧野を失うと思ったら、手が戦慄いて心臓さえ止まりそうなのに。
でも牧野が本気でそう言っているのが伝わってくるから、俺は言うべき言葉も、牧野へと手を伸ばす術も失くすんだ。



縁談はそれなりの家の女と。
それは俺が次期家元になると決められた時から、当たり前になっていて。
いつかはそんな日が来てしまうと分かっていたから、馬鹿みたいに女遊びを繰り返した時もある。
牧野と一緒に時間を過ごすようになった時も、最初は遊びの振りをした。
『どちらかにホントに好きな人が出来るまで』の期間限定の気楽な関係。
お互い本当に惹かれ合っていたのに、そういう建前が無ければ一緒にいられなかった。
牧野は二度と司の時みたいな思いをしたくなかったのだろうし。
俺はどんなに俺にとって必要だったとしても、牧野を西門に迎え入れる事は叶わないと知っていたから。
だから、2人して嘯いたんだ。
これは本気の恋ではないと。
そして俺達は誰にもこの事を告げなかった。
世界中の誰からも祝福されない関係だと分かっていたから。

牧野は絶対に俺と2人きりでは外を歩かなかった。
会うのは必ず牧野の部屋で。
俺達は何処にも行った事がない。
どんなに誘っても、食事にすら行かなかった。
近所にちょっと買い物に出る・・・という時も、牧野は俺を部屋に置いて必ず独りで出掛けていった。

「だって西門さんみたいな目立つ人と歩いてたら、あたしまるで引き立て役になっちゃうもん。
やだよ。」

口ではそう言っていたけれど、俺の将来に傷が付かないようにと気遣ってくれていたからに違いない。
『道明寺司の元恋人が、今度はその親友と付き合っている』だなんて、直ぐにそこら中に広まってしまう。
そしてその親友とは『西門流次期家元』なんだから、あらゆる憶測を呼ぶだろう。
俺の評判なんて、今迄の悪事のせいで散々なものだから、もう一つ傷が増えたってどうって事ない・・・と最初は思った。
だけど・・・、傷付くのは俺じゃなくて牧野の方なのだと気付いたから、俺達はずっと牧野の部屋でしか会わなかったのだ。
本当は2人で行ってみたいところが沢山あった。
これ食べさせてやったら喜ぶんだろうな・・・って店の料理だっていくつもあった。
見せてやりたい景色だっていっぱい思い付く。
眩しい太陽の下、それに負けずに輝くだろう牧野の笑顔を見たかった。
一面真っ白な銀世界の中に立たせて、頬を赤くしながら瞳を煌めかせるだろう牧野に笑い掛けたかった。
でもどれも想像しただけ。
俺達はいつも同じ部屋の中で、いつかやってくるだろうタイムリミットの事を忘れた振りをしながら、楽しげに語らい、牧野の手料理を食べ、笑い合って、そしてひっそりと抱き合っていた。


_________



もうこれはあきつくではなくて、100%総つくなんですけども^^;
この-side総二郎-では、あきらの「pretend」に至る部分や、その後の部分をちょっと書いていきたいので、同じカテゴリに入れました。
それにしても、お気の毒な総二郎の話というのは、管理人大好物でして。
思い付いたらスラスラと書けちゃいました(爆)
元々は拍手コメントで「総二郎ver.も」と言って下さった方がいらしたのがきっかけでした。
まあ、どう書いても悲しく切ないお話になってしまうと思うのですが・・・(なんせ1行目で結婚させられてるしね)。
あきら編、総二郎編と、読み比べながらお楽しみ頂けたらなぁと思っています。

書いてみたら、このお話もちゃんと「pretend」というタイトルに違わないものになってました。
本気で好きだったのに、『どちらかにホントに好きな人が出来るまで』という建前で、いつかやってくる別れに備えてた2人ですね。
総さんの語り、あと2話くらい続きます。

今日の月は満月だそうです。
ウルフムーン。
狼男と関係が?とか思ったけど違ったわーf^_^;
厳冬期に狼が飢えて吠えてたことに由来するみたいですね。
寒いけど、ちょっと月観てみようー。


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Comment

きな粉様

いつも有り難うございます(^O^)
お気の毒な総二郎をイメージしたら、あれよあれよとお話が出てきました(笑)
かなり可哀そうなお別れシーンになっちゃいました。
お読み頂けて嬉しいです。
また宜しくお願いします!

おおいぬのふぐり様

いつも有り難うございます!
このお気の毒な総二郎のシーン、思いついたらスーラスラ書けました(笑)
管理人、お気の毒総二郎、好きなんだわー。
つくしはねー、大好きでもこういう時はきっぱり拒絶がデフォルトですよね。
その日が来たら、総二郎を送り出そうと決めてた筈だし。
それにやっぱり、どんなに好きでも別れが見えてた関係は苦しかったと思います。
そう、これあきつくへのステップの恋だからー!(爆)
総二郎は偶にはウーバー取ろうぜ!とか言ったかもしれないけれど…
一つでも多く手料理食べてほしかったつくしは、いつもご飯作ってたんでしょうね。
「なんで類くんと司は知ってたんだろ?」とのご質問がありましたので…
必死にこじつけのお話を書かせて頂きました。
お納めくださいませ。
また宜しくお願いします!

y様

またまた拍手コメント、有り難うございます!
そうなんです。
y様が「総つくバージョンもぜひ見たいです」と送って下さったので、「ほうほう、そうなのかー?」と思って。
その後、総つくのオープンチャットでも皆様のご意見など伺って、「よーし、書いてみよう!」と決めたのでした。
きっかけを有り難うございました!
まあ、絶対に切ないお話にしかならないのですが(総二郎とつくしは別れるって決まってますからね(^^;)、お気の毒な総二郎は書きやすくてー。
一気にだだーっと書いてしまいました。
ラストまでお楽しみ頂けたら幸いです。
また宜しくお願いします!
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