sweet sweet my lover ー前編ー
えっと、あの・・・、なんて言うか・・・
今夜の美作さん、色気の蛇口がぶっ壊れてます!
だだ漏れなんてもんじゃない。
ジャージャー全開で流れ出てるとでも言いましょうか。
とにかく、ヤバいの!
ヤバいんですぅ!
夜ちょっと遅くなってからあたしの部屋へとやって来た美作さんは、最初からいつもと様子が違ってた。
ちょっと気怠そうで、纏う雰囲気がとても甘い。
「ごめん、遅くなった・・・。」
ドアを開けたあたしを、そう言いながらいきなり玄関で抱き締めてきた。
いつもそんな事しないから物凄くびっくりする。
普段なら出会い頭に急に抱き締めてきたりはしない。
顔を合わせたらまずにっこり笑い掛けてくれて。
あたしが「いらっしゃい。」って言ったら「お邪魔します。」って返してくれて、部屋に入って。
それから軽くハグしてくれて、唇にちゅっと小さなキスをくれる。
それだけで真っ赤になっちゃうあたしが何とか落ち着くまで優しく見守りつつ隣に座っててくれるのが美作さんだ。
だけど今夜は・・・、妙に情熱的というか・・・
ぎゅうぎゅう抱き締められながら
「随分と飲まされちゃったんだ。
酒臭くて嫌じゃない?」
なんて溜息混じりに聞かれても、あたしの脳味噌が正常な判断を下せる訳ない。
お酒の匂いもするけれど、顔を寄せている胸元からほんのり漂うのは、美作さんがいつも付けてるフレグランスのラストノート、ホワイトムスクの香り。
その香りに酔いそうだ。
「嫌じゃ、ないよ・・・。」
「そう? 良かった。
ただいま、牧野。」
ここはあたしの部屋で。
美作さんちじゃないし、2人で暮らしてたりもしないから、「おかえり。」って言っていいのか分からなくて「ん・・・」と小さく返したら「おかえりって言ってくれないの?」と言われちゃった。
途端に照れと気恥ずかしさで頬っぺたがかあーっと熱くなる。
「お、おかえりなさい。
お仕事、お疲れ様。」
「あー、それ、いいな。
疲れた身体に沁み渡る。」
「・・・疲れてるなら、真っ直ぐお邸に帰っても良かったのに。」
「こんな時こそ牧野の笑顔を見て、声を聞いて、こうやって温もりを確かめたいんだよ。
それに・・・」
そこまで言った美作さんが、やっと腕の力を弱めて、あたしの身体と美作さんとの間に少し隙間が出来た。
ちょっとほっとしたのも束の間、美作さんの甘く響く声が頭の上に降ってくる。
「日付が変わったら俺の誕生日なんだから。
その瞬間を牧野と過ごしたいと思ったんだよ。」
勿論知ってる。
明日がお誕生日だってこと。
あたしだって世界で一番最初に『お誕生日おめでとう』を言いたいって思ってたんだから。
そっと仰ぎ見ると、そこには極上の微笑みを浮かべた美作さんがいた。
眇めた目からこちらに向けられる視線がいつもより熱いような気すらする。
視線に温度は無い筈なのに!
このままだと玄関で立ったまま、甘いキスまで落ちてきそうな雰囲気に、慌ててあたしは美作さんに声を掛けた。
「ありがと、疲れてるのに来てくれて。
中、入って。
部屋、あったかくしてあるから。」
「ああ、ごめん。
玄関になんて立たせてたら、牧野が寒いよな。」
そう呟いて、美作さんはあたしの背中に回していた腕を解いた。
身体が離れたのに、顔はほてほてと熱く、心臓はドキドキしっぱなしだ。
コートとジャケットを皺にならないように掛けておきたくて預かった。
「ネクタイも一緒にいい?」
「うん、勿論。」
振り返ると、美作さんがネクタイの結び目に指を掛けて、緩めているところだった。
普段そんなシーンを目の当たりにする事は殆どないからか、目がそこに釘付けになる。
ネクタイを慣れた手付きで解いていく指先が妙にセクシーに見えてしまうのは、あたしが美作さんの事意識し過ぎているからなのかな?
そうしてしゅるりと首元から引き抜かれたネクタイが、あたしの手元に舞い降りる。
「ありがとう、牧野。」
「えっ? いや、あの、これくらい、お安い御用よ。」
「なあ・・・、新婚家庭ってこんなかな?」
「はぁっ?」
「いや、いつか2人で暮らしたら、こんな日々が毎日やって来るのかな?なんて、さ。」
美作さんはまた甘く微笑んで、ネクタイ片手に固まったあたしは、咄嗟に言葉が出てこない。
ちょっ・・・、この人今何か爆弾発言しなかった?
「あー、牧野、俺冷たい水飲みたいんだけど、冷蔵庫勝手に開けてもいいか?」
「す、す、す、直ぐ持ってくから美作さんは座ってて!」
「うん、ありがとう。」
水、水、水!
とりあえずグラスに水を入れる!
そしてそれを運ぶ!
それが目下のあたしの任務!
さっきの問題発言は、後からゆっくり吟味しよう。
我ながらドタバタしながらガラスのグラスに冷やしてあったミネラルウォーターをとぷとぷとぷ・・・と注ぐ。
少しだけ息を整えて、ソファの背凭れに身体を預けてる美作さんの所まで持って行った。
「美作さん、お待たせ・・・。」
「あー、ありがとう。」
いつもはあたしが美作さんを見上げているのに、今は逆だ。
立っているあたしの方が顔の位置が高いから、美作さんがあたしを見上げてて・・・
ふっと表情を緩めた様に、心臓がきゅんっと締め付けられた。
美作さんがお酒に弱いなんて思った事ない。
いつも程々に飲むようにセルフコントロールしてたのかもしれないけれど、皆と飲む場面でもそれなりに飲んだとしてもけろりとしていた。
だからこんな風に酔ってる美作さんは初めて見る。
手渡したグラスの水を一息で飲み切ってしまった美作さん。
「もう一杯飲む?」
「いや、もう大丈夫だ。
それより牧野、ここ座って。」
「う、うん。」
美作さんの手からグラスを取って、テーブルにことりと置いた。
隣におずおずと座ったら、あっという間に美作さんの手が腰に巻き付いて、ぴたっとくっつく様に引き寄せられてしまう。
緊張で身体を強ばらせる前に、美作さんの頭がこてん・・・とあたしの頭に当たった。
そうしたら、まるで猫が人に甘えてくる時みたいに、あたしのこめかみの辺りに柔く頭を擦り寄せてきたから、今度こそぴきーんと身体がフリーズする。
み、み、美作さんが、あたしにすりすりしてるー???
_________
バースデーSSをサラッと1話でね!とか思って、全然1話で収まらない、いつものパターンです^^;
もう少しだけお付き合い頂きたいと思います。
本日あきらのお誕生日ですね。
おめでとう、あきらー!
拙宅では愛でていくから、見切れキャラでも頑張って生きていってくれー!←どんなエールよ?
チャットルームは本日いっぱい開放しておきますので、良かったらあきらへのお祝いメッセージを叫びにいらして下さいませ。

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
今夜の美作さん、色気の蛇口がぶっ壊れてます!
だだ漏れなんてもんじゃない。
ジャージャー全開で流れ出てるとでも言いましょうか。
とにかく、ヤバいの!
ヤバいんですぅ!
夜ちょっと遅くなってからあたしの部屋へとやって来た美作さんは、最初からいつもと様子が違ってた。
ちょっと気怠そうで、纏う雰囲気がとても甘い。
「ごめん、遅くなった・・・。」
ドアを開けたあたしを、そう言いながらいきなり玄関で抱き締めてきた。
いつもそんな事しないから物凄くびっくりする。
普段なら出会い頭に急に抱き締めてきたりはしない。
顔を合わせたらまずにっこり笑い掛けてくれて。
あたしが「いらっしゃい。」って言ったら「お邪魔します。」って返してくれて、部屋に入って。
それから軽くハグしてくれて、唇にちゅっと小さなキスをくれる。
それだけで真っ赤になっちゃうあたしが何とか落ち着くまで優しく見守りつつ隣に座っててくれるのが美作さんだ。
だけど今夜は・・・、妙に情熱的というか・・・
ぎゅうぎゅう抱き締められながら
「随分と飲まされちゃったんだ。
酒臭くて嫌じゃない?」
なんて溜息混じりに聞かれても、あたしの脳味噌が正常な判断を下せる訳ない。
お酒の匂いもするけれど、顔を寄せている胸元からほんのり漂うのは、美作さんがいつも付けてるフレグランスのラストノート、ホワイトムスクの香り。
その香りに酔いそうだ。
「嫌じゃ、ないよ・・・。」
「そう? 良かった。
ただいま、牧野。」
ここはあたしの部屋で。
美作さんちじゃないし、2人で暮らしてたりもしないから、「おかえり。」って言っていいのか分からなくて「ん・・・」と小さく返したら「おかえりって言ってくれないの?」と言われちゃった。
途端に照れと気恥ずかしさで頬っぺたがかあーっと熱くなる。
「お、おかえりなさい。
お仕事、お疲れ様。」
「あー、それ、いいな。
疲れた身体に沁み渡る。」
「・・・疲れてるなら、真っ直ぐお邸に帰っても良かったのに。」
「こんな時こそ牧野の笑顔を見て、声を聞いて、こうやって温もりを確かめたいんだよ。
それに・・・」
そこまで言った美作さんが、やっと腕の力を弱めて、あたしの身体と美作さんとの間に少し隙間が出来た。
ちょっとほっとしたのも束の間、美作さんの甘く響く声が頭の上に降ってくる。
「日付が変わったら俺の誕生日なんだから。
その瞬間を牧野と過ごしたいと思ったんだよ。」
勿論知ってる。
明日がお誕生日だってこと。
あたしだって世界で一番最初に『お誕生日おめでとう』を言いたいって思ってたんだから。
そっと仰ぎ見ると、そこには極上の微笑みを浮かべた美作さんがいた。
眇めた目からこちらに向けられる視線がいつもより熱いような気すらする。
視線に温度は無い筈なのに!
このままだと玄関で立ったまま、甘いキスまで落ちてきそうな雰囲気に、慌ててあたしは美作さんに声を掛けた。
「ありがと、疲れてるのに来てくれて。
中、入って。
部屋、あったかくしてあるから。」
「ああ、ごめん。
玄関になんて立たせてたら、牧野が寒いよな。」
そう呟いて、美作さんはあたしの背中に回していた腕を解いた。
身体が離れたのに、顔はほてほてと熱く、心臓はドキドキしっぱなしだ。
コートとジャケットを皺にならないように掛けておきたくて預かった。
「ネクタイも一緒にいい?」
「うん、勿論。」
振り返ると、美作さんがネクタイの結び目に指を掛けて、緩めているところだった。
普段そんなシーンを目の当たりにする事は殆どないからか、目がそこに釘付けになる。
ネクタイを慣れた手付きで解いていく指先が妙にセクシーに見えてしまうのは、あたしが美作さんの事意識し過ぎているからなのかな?
そうしてしゅるりと首元から引き抜かれたネクタイが、あたしの手元に舞い降りる。
「ありがとう、牧野。」
「えっ? いや、あの、これくらい、お安い御用よ。」
「なあ・・・、新婚家庭ってこんなかな?」
「はぁっ?」
「いや、いつか2人で暮らしたら、こんな日々が毎日やって来るのかな?なんて、さ。」
美作さんはまた甘く微笑んで、ネクタイ片手に固まったあたしは、咄嗟に言葉が出てこない。
ちょっ・・・、この人今何か爆弾発言しなかった?
「あー、牧野、俺冷たい水飲みたいんだけど、冷蔵庫勝手に開けてもいいか?」
「す、す、す、直ぐ持ってくから美作さんは座ってて!」
「うん、ありがとう。」
水、水、水!
とりあえずグラスに水を入れる!
そしてそれを運ぶ!
それが目下のあたしの任務!
さっきの問題発言は、後からゆっくり吟味しよう。
我ながらドタバタしながらガラスのグラスに冷やしてあったミネラルウォーターをとぷとぷとぷ・・・と注ぐ。
少しだけ息を整えて、ソファの背凭れに身体を預けてる美作さんの所まで持って行った。
「美作さん、お待たせ・・・。」
「あー、ありがとう。」
いつもはあたしが美作さんを見上げているのに、今は逆だ。
立っているあたしの方が顔の位置が高いから、美作さんがあたしを見上げてて・・・
ふっと表情を緩めた様に、心臓がきゅんっと締め付けられた。
美作さんがお酒に弱いなんて思った事ない。
いつも程々に飲むようにセルフコントロールしてたのかもしれないけれど、皆と飲む場面でもそれなりに飲んだとしてもけろりとしていた。
だからこんな風に酔ってる美作さんは初めて見る。
手渡したグラスの水を一息で飲み切ってしまった美作さん。
「もう一杯飲む?」
「いや、もう大丈夫だ。
それより牧野、ここ座って。」
「う、うん。」
美作さんの手からグラスを取って、テーブルにことりと置いた。
隣におずおずと座ったら、あっという間に美作さんの手が腰に巻き付いて、ぴたっとくっつく様に引き寄せられてしまう。
緊張で身体を強ばらせる前に、美作さんの頭がこてん・・・とあたしの頭に当たった。
そうしたら、まるで猫が人に甘えてくる時みたいに、あたしのこめかみの辺りに柔く頭を擦り寄せてきたから、今度こそぴきーんと身体がフリーズする。
み、み、美作さんが、あたしにすりすりしてるー???
_________
バースデーSSをサラッと1話でね!とか思って、全然1話で収まらない、いつものパターンです^^;
もう少しだけお付き合い頂きたいと思います。
本日あきらのお誕生日ですね。
おめでとう、あきらー!
拙宅では愛でていくから、見切れキャラでも頑張って生きていってくれー!←どんなエールよ?
チャットルームは本日いっぱい開放しておきますので、良かったらあきらへのお祝いメッセージを叫びにいらして下さいませ。



ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
- 関連記事
-
- sweet sweet my lover ー中編ー
- sweet sweet my lover ー前編ー
