照れ屋×照れ屋の恋模様
俺が眠り込んでいると思ってる時の牧野が可愛くて、いつもついつい狸寝入りをしてしまう。
夜中、ふと目を覚ましたらしい牧野が、こっそりとベッドを降りて、部屋着を着ていたり。
冷蔵庫を開けて飲み物を飲んでいたり。
牧野がベッドから抜け出そうとゴソゴソし始めた時に俺も目が覚めてるんだけど、目を瞑ったまま耳を欹てて、牧野の動きをトレースしてる。
やりたい事をし終えたら、忍び足でベッドに戻ってくる気配がする。
そろりそろりとベッドに上って、俺の方に近付いて。
暫く動きを止めて俺の事を見詰めているらしい。
そのうち、指先やら掌で、俺の顔のあちこちを撫でるから、擽ったくなるのをぐっと堪えて寝たふりを続ける。
何故ってこの後が一番幸せなタイミングだから。
眠っている俺に向かって、小声で牧野が言うんだ。
「大好きだよ、西門さん。」って。
そして優しい優しいキスをひとつ、唇に落としてく。
嬉しくて、顔がにやけそうなのをなんとか抑え込んで。
牧野が俺の隣にそうっと滑り込んできたら、寝惚けた振りをしてぎゅうっと抱き締めるんだ。
大事な大事な俺の宝物。
いつもは牧野があまり口にしてくれない本音をこっそり漏らすこの時間が、やけに愛おしくて大切で、密かに心待ちにしている俺がいる。
ちょっと部屋をふらついてきた牧野はほんのり冷えていて、早く同じ体温になるように、ぴったりと互いの身体を密着させた。
牧野は俺が寝惚けて抱き枕にしてると思い込んでるから、素直に力を抜いて身体を預けてくれる。
ああ、これだよ、これ。
牧野無しでは俺は生きてらんないな。
この温もりがなきゃ、落ち着かないし、ぐっすり眠れない。
こうやって俺の腕の中にいてくれる夜は満ち足りた気分でいられる。
毎晩こうしていたいけど、なかなかそうはいかないから。
せめて一緒にいられる時は1分でも1秒でも長く牧野を抱き締めていたいんだ。
今夜もまた牧野がこっそりベッドを抜け出してく。
早く戻って来い!と願いながら寝たふりをしていたら、ひたひたひたと裸足の足が床を踏み締める音がして、次にベッドに上ってくる気配がした。
もうすぐ愛の言葉とキスが降ってくる・・・とこっそり胸を高鳴らせて待っている俺。
牧野の身体がこちらに近づいて・・・、常とは異なる言葉が聞こえてきた。
「お誕生日おめでとう、西門さん。
これからもずっとおめでとうって言えるといいなぁ・・・。」
そう呟いて、いつも通りキスするんじゃなくて、牧野から俺にぎゅうっと抱きついてきたから、寝たふりをするのも限界になる。
あっという間に互いの身体の位置が入れ替わり、ベッドに転がされ俺を見上げる形になった牧野は、薄闇の中で目をぱちくりさせた。
「え? 何?
おっ、起きてたのっ?」
「起こされたの、つくしちゃんのハグで。」
「お、起こして悪かったけど。
まだ深夜だよ。も一度寝たら?」
「日付も変わって折角誕生日になったんだし。
さっきのやつ、もう一度言ってくれよ。」
「やっぱ起きてたんじゃん!」
「ほら、つくしちゃん。
お誕生日様にお祝いのキスだろ?」
「・・・そういうのいいってば。」
起きてる俺にはつれない態度。
何でこんなに照れ屋なんだか。
じゃあこっちからプレゼント貰いにいくとするか。
そろりそろりと顔を近付けてく。
思わず舌舐めずりしそうになるから、唇をぐっと引き締めて。
襲われる!と思い込んで、両目をぎゅうっと瞑り、やけに肩に力が入ってる牧野を見下ろす。
ああ、こんな過剰な反応すら可愛くて、ずっと見ていたい。
だってこんな表情、俺にしか見せないんだぜ。
愛しくてたまんないだろ。
何も起こらない事を不思議に思ったのか、ゆっくりと瞼が持ち上がって、間近で視線がぶつかった。
「つくしちゃん。」
「な、何よっ?」
「も一度言って、さっきのやつ。ほら。」
「いいよ、もう!
聞こえてたんでしょ!」
「んー、じゃあこっちだけでいいよ。」
ちゅっと一瞬だけ唇を盗む。
え?攻撃はこれだけで終わり?といった風情で、目をぱちぱちさせてる牧野の、頬に、鼻先に、額に、瞼に、何度も何度もキスを落とした。
こんな事でも照れまくってジタバタしてるのがまた面白くもあり、可愛くもあり。
結局、俺は、牧野が何してたって可愛いんだ。
そんな牧野を独り占め。
今夜も俺は最高の幸せを貰ってる。
いよいよブレーキが掛からなくなってきた俺は、ほのぼのとした触れ合いから、牧野が甘い吐息を零すようなキスへとシフトチェンジする。
今夜は俺が、眠り込んだ牧野に愛の言葉を囁くんだ。
「幸せな誕生日をありがとう。」って。
「もうお前を離さない。」って。
俺もたいがい照れ屋なんだよ。
_________
お誕生日SSでしたー。
「distance」じゃなくて、こっちを先に出したら良かったんですけど…
書き終わってなかったのよ^^;
これにて2022年の総誕の為のお話はお終いです!
だけど次はクリスマスが来るね…
そしてつく誕も…
既にカレンダーと睨めっこを始めてます!
さあて…、どれから書きましょうか?
おススメのクリスマスソングやバースデーソング、あったら教えて下さいね!
ヒント、貰いたい!

ぽちっと押して頂けたら嬉しいです!
夜中、ふと目を覚ましたらしい牧野が、こっそりとベッドを降りて、部屋着を着ていたり。
冷蔵庫を開けて飲み物を飲んでいたり。
牧野がベッドから抜け出そうとゴソゴソし始めた時に俺も目が覚めてるんだけど、目を瞑ったまま耳を欹てて、牧野の動きをトレースしてる。
やりたい事をし終えたら、忍び足でベッドに戻ってくる気配がする。
そろりそろりとベッドに上って、俺の方に近付いて。
暫く動きを止めて俺の事を見詰めているらしい。
そのうち、指先やら掌で、俺の顔のあちこちを撫でるから、擽ったくなるのをぐっと堪えて寝たふりを続ける。
何故ってこの後が一番幸せなタイミングだから。
眠っている俺に向かって、小声で牧野が言うんだ。
「大好きだよ、西門さん。」って。
そして優しい優しいキスをひとつ、唇に落としてく。
嬉しくて、顔がにやけそうなのをなんとか抑え込んで。
牧野が俺の隣にそうっと滑り込んできたら、寝惚けた振りをしてぎゅうっと抱き締めるんだ。
大事な大事な俺の宝物。
いつもは牧野があまり口にしてくれない本音をこっそり漏らすこの時間が、やけに愛おしくて大切で、密かに心待ちにしている俺がいる。
ちょっと部屋をふらついてきた牧野はほんのり冷えていて、早く同じ体温になるように、ぴったりと互いの身体を密着させた。
牧野は俺が寝惚けて抱き枕にしてると思い込んでるから、素直に力を抜いて身体を預けてくれる。
ああ、これだよ、これ。
牧野無しでは俺は生きてらんないな。
この温もりがなきゃ、落ち着かないし、ぐっすり眠れない。
こうやって俺の腕の中にいてくれる夜は満ち足りた気分でいられる。
毎晩こうしていたいけど、なかなかそうはいかないから。
せめて一緒にいられる時は1分でも1秒でも長く牧野を抱き締めていたいんだ。
今夜もまた牧野がこっそりベッドを抜け出してく。
早く戻って来い!と願いながら寝たふりをしていたら、ひたひたひたと裸足の足が床を踏み締める音がして、次にベッドに上ってくる気配がした。
もうすぐ愛の言葉とキスが降ってくる・・・とこっそり胸を高鳴らせて待っている俺。
牧野の身体がこちらに近づいて・・・、常とは異なる言葉が聞こえてきた。
「お誕生日おめでとう、西門さん。
これからもずっとおめでとうって言えるといいなぁ・・・。」
そう呟いて、いつも通りキスするんじゃなくて、牧野から俺にぎゅうっと抱きついてきたから、寝たふりをするのも限界になる。
あっという間に互いの身体の位置が入れ替わり、ベッドに転がされ俺を見上げる形になった牧野は、薄闇の中で目をぱちくりさせた。
「え? 何?
おっ、起きてたのっ?」
「起こされたの、つくしちゃんのハグで。」
「お、起こして悪かったけど。
まだ深夜だよ。も一度寝たら?」
「日付も変わって折角誕生日になったんだし。
さっきのやつ、もう一度言ってくれよ。」
「やっぱ起きてたんじゃん!」
「ほら、つくしちゃん。
お誕生日様にお祝いのキスだろ?」
「・・・そういうのいいってば。」
起きてる俺にはつれない態度。
何でこんなに照れ屋なんだか。
じゃあこっちからプレゼント貰いにいくとするか。
そろりそろりと顔を近付けてく。
思わず舌舐めずりしそうになるから、唇をぐっと引き締めて。
襲われる!と思い込んで、両目をぎゅうっと瞑り、やけに肩に力が入ってる牧野を見下ろす。
ああ、こんな過剰な反応すら可愛くて、ずっと見ていたい。
だってこんな表情、俺にしか見せないんだぜ。
愛しくてたまんないだろ。
何も起こらない事を不思議に思ったのか、ゆっくりと瞼が持ち上がって、間近で視線がぶつかった。
「つくしちゃん。」
「な、何よっ?」
「も一度言って、さっきのやつ。ほら。」
「いいよ、もう!
聞こえてたんでしょ!」
「んー、じゃあこっちだけでいいよ。」
ちゅっと一瞬だけ唇を盗む。
え?攻撃はこれだけで終わり?といった風情で、目をぱちぱちさせてる牧野の、頬に、鼻先に、額に、瞼に、何度も何度もキスを落とした。
こんな事でも照れまくってジタバタしてるのがまた面白くもあり、可愛くもあり。
結局、俺は、牧野が何してたって可愛いんだ。
そんな牧野を独り占め。
今夜も俺は最高の幸せを貰ってる。
いよいよブレーキが掛からなくなってきた俺は、ほのぼのとした触れ合いから、牧野が甘い吐息を零すようなキスへとシフトチェンジする。
今夜は俺が、眠り込んだ牧野に愛の言葉を囁くんだ。
「幸せな誕生日をありがとう。」って。
「もうお前を離さない。」って。
俺もたいがい照れ屋なんだよ。
_________
お誕生日SSでしたー。
「distance」じゃなくて、こっちを先に出したら良かったんですけど…
書き終わってなかったのよ^^;
これにて2022年の総誕の為のお話はお終いです!
だけど次はクリスマスが来るね…
そしてつく誕も…
既にカレンダーと睨めっこを始めてます!
さあて…、どれから書きましょうか?
おススメのクリスマスソングやバースデーソング、あったら教えて下さいね!
ヒント、貰いたい!



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