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hortensia

Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
コミックは類派!
二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
まず初めに「ご案内&パスワードについて」をお読み下さい。
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I swear…

クリスマス。
クリスマスってなんだろう?
何で世間がこんな盛り上がってるのか、ちっとも分からない。
だって、2000年以上前に生まれた誰かの誕生日だって言われても、全然その人を祝いたい気持ちにならないし。
赤い服に白い髭のお爺さんがプレゼント配る夜って伝説もぴんと来ない。
だけど牧野はすごく楽しそうなんだ。
部屋の中に小さなツリーを飾って、「クリスマスディナーは何にしよう?」とか、「ケーキは小さいのを買おっか?」なんて、何日も前から俺に聞いてきた。
俺は牧野といられるならいつだって幸せだし、牧野が作ってくれる食事が食べられるなら何でも食べたいし、牧野がケーキを頬張って蕩けるような笑顔を見せてくれるなら、毎日だってケーキを買ってくるのに。
何故?
何故牧野はこんなにクリスマスを心待ちにしてるんだろう?

「楽しそうだね、牧野。」
「えー? うん。
もうすぐクリスマスだからねっ。
何かワクワクしちゃうよね!」

そう言ってニコニコしてる。
結局その理由はよく分からないまま、牧野が笑顔ならいいやってところに落ち着くんだ。

クリスマス当日の俺の役目は、「類が美味しいって思ってるパン屋さんのバゲットを買ってきて!」というもので、焼き上がりの時間にはいつも行列が出来るという人気のブーランジェリーに並んだ。
こんな面倒な事でも、牧野の為なら頑張れる。
ブーランジェリーのついでにパティスリーにも寄って、チョコクリームに包まれた小さなブッシュドノエルも買った。
それを携えて牧野の部屋を訪ねると、牧野は飛び跳ねんばかりに大喜びしてくれたから、その頑張りも無駄じゃない。
そして今、エプロン姿の牧野は鼻歌を歌いながら、キッチンでご機嫌に料理している。
今夜のメニューは、牧野手作りのフライドチキンに、熱々のシーフードグラタン。
グリーンサラダにはプチトマトと星型に抜かれた黄色のパプリカが飾られている。
スープはじゃがいものポタージュなんだそうだ。
どれも美味しそうで、そこに牧野の笑顔というスパイスが足されたら、この世で一番幸せな食卓になる。
何故かいつもよりちょっと早目の時間に夕食が始まる。
シャンパンの代わりに、牧野が冷蔵庫で冷やしていたスパークリング林檎ジュースなるもので乾杯した。
料理はどれもこれもシェフ牧野のお陰でとても美味しく、牧野は俺が買ってきたバゲットを気に入ってくれた。
向かい合って食事して。
牧野があれこれ言いながら楽しそうにしているのを見て、俺も楽しくなる。
デザートにさっき買ってきたブッシュドノエルを食べ終わったら、牧野が

「さ!類、出掛けよう!」

なんて言い出した。

「・・・これから? どこ行くつもり?」
「ここから歩いて行ける、イルミネーションやってるとこあるから、そこ観に行こ!
寒いからあったかくしてね。」

俺、それ、全然興味ない。
だけど牧野が行きたいなら、行くという選択肢しかないよね。

コートを着込んで、俺はマフラー、牧野はストールを巻いて外に出た。
思ったよりもずっと冷え込んでいる。
クリスマス寒波とかいうもののせいなんだろう。
夜道を手を繋ぎながら歩く。
寒い中でも牧野はすこぶる機嫌がいい。
口からは白い息を吐きながらも、ずーっとお喋りが止まらない。

「あのね、ご飯の材料買いに行ったら、すれ違ったおじさんのコートの合わせ目のところから猫ちゃんが顔出してたの!
猫ちゃんを抱っこしてお散歩って珍しくない?
可愛いし、羨ましいし、あったかそうだし、なーんかすっごくほっこりしたんだよー。」
「牧野、猫欲しいの?」
「うん、でも今じゃないよ!
いつかねー。
ちゃんとペットを飼ってもいい所に住めるようになった時に、お迎えしよっかなって。」
「ふうん・・・。」

今すぐそんな物件を用意して、猫を買ってくる事だって簡単だけれど。
牧野はそれを喜ばないだろう。
じゃあどうしたら牧野が納得する形でそれを実現出来るのか?
きっと答えはひとつなんだ。
俺の中ではとっくに決めてる。
いつかその日を迎えようって。
それは猫を飼う飼わないに関わらず。
絶対に叶えてみせる、俺の夢。

牧野が目指していたのは、駅前の商業ビルとビルとの間の細長い公園だった。
そこが光溢れるプロムナードになっている。
クリスマスの夜だから、人が集まっているのかと思いきや、然程混んでもいない穴場のようだ。

「ここをねー、類と歩きたかったんだよ。」
「そうなの?」
「うん、すごく綺麗でしょ?
一緒に素敵なものを見て、綺麗だねって言い合って、類がにっこりしてくれたら、あたし幸せだろうなって。
そう思ってたからさ。」

そんな事を言う牧野が無茶苦茶愛おしい。
俺こそいつも思ってるよ。
牧野が俺に向かって笑ってくれたら、それ以上の幸せはないって。

横を向いてこめかみの辺りに唇を押し当てる。
俺の唇も牧野の顔も冷えていて、体温が感じられないけれど、牧野は「ひぁっ!」とか変な声を上げて立ち止まった。
それをいい事に俺は牧野の耳元に唇を寄せて囁く。

「ねえ、牧野、キスしていい?」
「え・・・?」
「キスしたい。今すぐ。」
「だ、だめっ! ここ、外っ! 人が通るよ!」

途端に慌て出して後退りしようとした牧野の顎先をそっと持ち上げて。

「大丈夫、皆イルミネーションに夢中で、誰も俺達の事なんか見てない。」

と嘯いて唇を盗んだ。
牧野は俺よりずっと冷えていて、小さな氷の欠片を口に含んで融かしてくみたいな感覚。
何度キスしても足りない。
もっともっと・・・と夢中になりかけた時、牧野の手が俺の肘の辺りをぱたぱたと叩いているのに気付いて、そっと顔を離した。
俺の目前ではぁ・・・と甘い吐息を漏らすから、その吐息すら逃がしたくなくて、もう一度唇を寄せようとしたのに。
牧野は潤んだ目で俺を睨んでいる。

「ん?」
「あたし、だめって言ったのに!」
「ごめん、でも・・・」

どうにも我慢が出来なかった・・・なんて言うのはあまりにも格好悪すぎて、つい苦笑いしてしまう。

「牧野の事が好き過ぎて。
自分を止められなかった。
ごめん。怒ってるの?」
「怒ってないけど!
外でこんな事しちゃダメなの!」
「ダメなの?」
「ダメでしょう?
誰が見てるか分かんないのに!」

怒ってないと言いつつぷりぷりしてる牧野が面白い。
こっそりキスしてたらバレにくいのに、こんな大きな声で喋ってたら人目を引く・・・って言ったら、もっと怒るんだろう。

「分かった。じゃあもう帰ろ。」
「何で? 折角来たのに!」
「だって・・・、キス出来ない夜の散歩より、キス出来る牧野の部屋の方が俺はいいんだもん。」
「な、な、な、何言うのよ、類はー!」

あーあ、いつでも隠れてキスしなきゃいけない2人じゃなくて。
いつどこでキスしても咎められないようになりたい。
それって日本にいるんじゃ無理かも。
四六時中キスしてる人がゴロゴロいる、フランスにでも住もうかな。
そうしたら、いつか牧野も感化されて、怒らなくなる筈。
うん、そうだ。
2人でフランスに住んで、猫を飼う。
そんな未来を目指そう。

クリスマスのイルミネーションの煌めきの中で、俺はそんな事を思う。
でも今は・・・、隣でお怒り気味の牧野とここを歩いて、機嫌を直そう。
どこかで温かくて甘い飲み物を買って牧野を温めよう。
そうしたらすぐにまた笑ってくれる筈だから。
そして部屋に戻ったら、想いのこもったキスをいっぱい贈ろう。
だって、人目さえなければ、牧野は怒る理由がないもんね?

俺にとってのクリスマスは、牧野との未来予想図を描くきっかけの日だったみたいだ。
今なら素直に言えるよ、『Merry Christmas!』って。


_________



ギリギリ25日中にUPという形になりました^^;
忙しくて、なかなか書き終わらなくてー。
あきら、総二郎って書いて、類を無視するとブリザード吹いちゃうかも?と何とか慌てて書き上げました!
類のお話、久々ですねー。 
ルイルイスキーの方にお楽しみ頂けたでしょうか?
今夜のロケーションは品川インターシティでした。
派手派手じゃなくて、混み合ってなくて、歩くだけで楽しいところです。

さてさて。
クリスマスも終わって年末へ向かって一直線ですね。
何も終わってないよ、大掃除も、買い出しも、年賀状も!
あー、何で毎年こうなのか?
人ってなかなか学べない生き物ですね…


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