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花男にはまって幾星霜…
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粉雪舞い降りる君の肩先 12

涙を流している牧野を背中から抱き締めながら、頭の何処かで司の事を考えていた。
あの時『あきら、牧野を頼む。』と言った司の事を。
牧野を護る為に、自分を犠牲にすると決めた司の想いを。
俺はそれを踏み台にして、今牧野を手にした。
牧野をこの腕に抱き締めて、この世の誰よりも幸せになった筈だというのに、胸には鈍い痛みが走っている。
牧野と共に生きていくという事は、この身に幸せを浴びるように受ける・・・という事ではなく。
大きな覚悟が必要で、想像していた以上の責任がこの肩にのし掛かってくる事だったのだと改めて実感する。
そんな事を胸に刻む一方で、肩を震わせつつ涙を流している牧野を感じ、愛おしくて、護りたくて、ずっと俺の腕の中にこうして閉じ込めてしまいたくなる衝動が湧いてくるから、人の心というのは複雑なものだ。
暫くそうして背中から柔く抱いていたら、一頻り泣いて涙が止まったらしい牧野が、か細い声で「美作さん・・・」と俺を呼んだ。

「ん? どうした?」

「ううん・・・、何も・・・。何でもない。」

「そっか・・・。」

牧野を怖がらせないように、気持ちが少しでも落ち着くようにと、掌でゆっくりゆっくり腕をさすってみる。

「大丈夫だよ。」

「・・・何が?」

「何もかもが。大丈夫。心配いらない。
2人でいれば大丈夫だから。」

「・・・うん。」

何の根拠もないけれど。
2人でこうやって寄り添い合っていれば、どんな事も乗り越えていけると思った。
俺は牧野を護る為なら、何だってやり通す事が出来るから。

俺の腕の中で安らいで欲しい・・・という気持ちが伝わったのか、牧野の身体から少しずつ力が抜けていく。
背中を俺に預けて、頭を肩にことんと添わせてきた。

「ごめん、いっぱい泣いちゃった。」

「いいよ、いっぱい泣いても。」

「・・・泣きたくないもん。」

「牧野は今迄1人でこの部屋で泣いてきたんだろ?
これからは俺の腕の中で泣いて欲しい。
そうしたらこうやって抱き締めてあげられる。
牧野が1人で泣いてるって思ったら俺も辛いけど、俺の隣で安心しながら泣いてくれてるって感じられたら、俺はそれすら嬉しいんだ。
それって牧野の一番弱い所を俺には見せてくれているって事だから。」

「それ、物凄くかっこ悪い。」

「可愛いよ。」

「可愛くないよ。情けないばっかりだよ。」

「涙を流すのは情けないことなんかじゃないさ。
人の感情の表れのひとつだろう?
俺は頑張り過ぎてる牧野の、安心して息をつけるような、そんな場所になりたいんだ。
牧野はもう1人じゃない。
俺達は2人でいるんだから。
俺の前ではありのままの牧野でいて欲しいんだ。」

「ん・・・、ありがと。」

また鼻をすんっと鳴らしているところをみると、再び涙ぐんでいるのかも知れなかった。

「牧野、手を貸して。」

牧野の小さな手を両方とも俺の掌で包んでしまう。
そうすると、今迄片手を取ってポケットに入れていた時の何倍も愛おしさが湧いてきて俺の胸をじんじんと熱くした。
いつもするように、親指でそっと手の甲を撫でる。

「大丈夫だよ。
これからはずっとこうして手を繋いでいるから。
牧野が怖いと思うような事は俺が全て薙ぎ払ってみせるから。」

「ん・・・。」

どれだけそうやっていたんだろう。
一日中出掛けて、気持ちの乱高下もあって疲れていたのだろう牧野は、すうすうと寝息を立て始めたから、そうっと身体をずらして、その場に牧野を横たえた。
あそこに布団が入っているのだろう・・・と思いつつも、人の部屋の押し入れを勝手に開けるのは躊躇われる。
炬燵布団で身体を包んでみたけれど、肩口が寒そうに見えたから、俺のコートを毛布がわりに着せ掛けた。
元々座っていたところに戻って、そこから一晩中牧野の寝顔を見詰めていた。
身体は疲れてはいたけれど、眠ってしまうなんて、勿体無くて出来やしない。
牧野が寝返りを打って、顔をこちらに向けた。
小さな手を頬に当てて手枕にしている様子に、思わず表情が緩んでしまう。
まるで少女みたいなあどけない表情が見られた事に気持ちが和んだ。
もしかして、牧野を頑なにさせていたものをほんの少しだけでも解く事が出来たのかも知れない・・・と思いながら、その寝顔を見詰め続ける。
それだけで胸の中から牧野を想う気持ちがとめどなく湧いて来て、この部屋全体を満たしていくような気がした。

いつも側にいて、牧野を護れたらいいのにな。

別々の所に住んでいて、お互いやるべき事も違っていて。
四六時中一緒にいるだなんて無理な話なのは分かってはいても、1分でも1秒でも長く隣に在りたいと願ってしまう。
色々な事で傷付いて、だけどその痛みを感じない為に凍らせてしまった牧野の心を暖めるには、いつも手を差し伸べて、隣に立ち続けることが必要なんだろう・・・と、無邪気な寝顔を見詰めながら思う。
眠っている牧野に小声で「牧野。」と呼び掛けた。
眠っているのを起こしたかったんじゃない。
ただ好きな人の名前を口にしたかっただけ。
牧野はすやすやと眠り続けている。
たった3文字の、名字を声に出して呼んだだけなのに、体の中をきゅっと心臓を掴まれたような痛みが貫いていった。
誰かを真剣に想う事にこんな痛みが伴うなんて、俺は牧野を想って初めて知ったのだ。


_________



これも長らくストップしていましたねf^_^;
スミマセン…
こっそりコツコツ書いてたんですけどね。
所々お話に抜けがありまして。
書けてる所までの穴埋め作業が大変です。

この冬一番の寒波到来との事。
雪の降る地方の方々は、大変な思いをなさってるのでしょうか。
雪かき、雪下ろし、雪道を歩くのや車の運転…と注意しないといけない事いっぱい。
どうかお気をつけてお過ごし下さいね。

このあきらを書くのに、ちょっと雪とか降ってくれたら参考になるかも?とか思ってたんですけど。
ここは殆ど降りませんでしたー。
北国育ちなので、雪が懐かしいのです。
でも雪かきは重労働なので嫌いです笑


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