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Author:hortensia
花男にはまって幾星霜…
いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。
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二次は総二郎派!(笑)
総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
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粉雪舞い降りる君の肩先 14

昨日もとい今朝牧野の部屋を出てから半日ぶりに顔を合わせた。
牧野はどこか気恥ずかしそうだ。
あまり俺と目を合わせてくれない。
昨夜いっぱい泣いてしまったことや、うっかり寝入ってしまったのを気にしているんだろうか。
そんなの、気にしなくていいのに。
そう思いながら車に乗せた。

「今日はどこに行くの、美作さん?」
「うーん、どこ行こうか?
昨日遠出したから、今日は近場がいいかな。
牧野はまた明日からはバイトなんだろうし。
あんまり疲れない方がいいだろ?」
「あ、何処か行きたい所がある訳じゃないんだ?
なんか、いつもきっちり決めてる美作さんっぽくない。」
「だって、ただ牧野と会いたいだけだから。
行き先なんてどこでもいいんだ。
どこか静かで、ゆっくり出来て、牧野と話せるところなら。
だから、うちの邸は却下な。
お袋も双子も煩いから。」
「う、うん・・・。」
「行き先は俺が決めていい?」
「ん、 お任せします・・・。」

運転していると、ちらりと盗み見る横顔しか見えなくて。
早く車を降りて、向かい合わせになりたいな・・・と思う。
結局、品川にある美作家御用達のホテルに行くことに決めた。
お袋と妹達も気に入っていて、時々家族で食事する。
そこなら景色のいい個室があって、牧野の喜ぶ顔が見れそうなスイーツが出てくるのを知っていた。

「え? ここって・・・」

案内されたスイートのリビングに入ってちょっと驚いている牧野が小声で聞いてくる。

「ここはホテルの客室で食事だけさせて貰えるんだよ。
家族でよく使うんだ。
これまでは双子も小さくて、食事する時も騒がしかったろ。
親父の『美味い物を食いたい、双子も一緒に連れて行きたいけれど、まだマナーを守れない。じゃあどうする?』っていうのを叶えてくれた店がここなんだ。」
「へぇ・・・、いつも連れて行ってくれる色んなお店も凄いけど・・・。
お食事の為だけにこんな広いお部屋使えるなんて凄いね。」
「プライベートが保たれて、ゆっくり出来て。
恥ずかしがり屋な牧野にもぴったりだろ。」
「・・・あたしの為にここにしてくれたの?」
「いいや、牧野と2人きりを思い切り堪能したい俺の為。」

そう言って微笑み掛けながら視線を送ると、牧野の頬が林檎のように真っ赤に色付く。

「もうっ! 贅沢過ぎ。」
「いいだろ、これくらい。
だって今日は初めて牧野と2人きりで過ごす、俺の誕生日なんだから。」
「お誕生日・・・?
え? 今日何日? 2月28日? 28日じゃん!
あー、もー、あたしってば、この前はあたしの誕生日、あんな風に祝ってもらったんだから、細やかでもあたしの精一杯で美作さんのお祝いさせてもらおうって思ってたのに!
この頃色んな事考え過ぎて忘れてたなんて!
ごめんなさいっ!」

さっきまで初々しく頬を赤く染めていた牧野は、今度は泣きそうに眉を八の字型に寄せた困り顔になった。
それについ笑いそうになるのを、ぐっと堪える。
だって牧野は真剣に困っているのだから。

「そんなの、今おめでとうって言ってくれたらいいだろ?」
「違うもん、そういう事じゃないの。
あたしに出来る事なんてたかが知れてるけど、それでも美作さんを全力でお祝いしようって思ってたのに・・・。」
「じゃあ牧野主催のバースデーは来週仕切り直ししよう。」
「・・・うん。」
「俺はダブルで嬉しいな。
今日は誕生日で牧野と一緒に過ごせて、来週は牧野にもう一度全力で誕生日を祝って貰えるなんて。」

ちょっと俯き加減になってしまった牧野にそう声を掛けても、まだ悲しそうな表情を浮かべてる。
そんなところも可愛いけれど、今はただただ笑顔になって欲しくて、「牧野。」と名前を呼んだ。
ぱちぱちと睫毛を瞬かせながら俺を見る。

「好きな子に2週にわたって祝ってもらえて、嬉しくない男がいると思う?」
「でも・・・。」

八の字眉は直らない。

「笑って。
牧野が俺に向かって笑ってくれたら、それが最高のプレゼントになる。」

そう言ったら笑うんじゃなくて、逆にもっと泣きそうにくしゃりと表情を崩した。

「もー、何で美作さんはそんなに優しいのよ・・・?」
「好きな子に優しくしたいのなんて普通だろ。」
「・・・あのさ、好きな子、好きな子、言わないで。
誰も聞いてなくても恥ずかしいよ。」
「ほらな、ここに来て正解だったろ。
恥ずかしがり屋の牧野つくしさん。」

文句を言いたげな唇がちょっとつんと尖って、それからちょっと溜息をふう・・・と吐き出してから、牧野はぱふんと苦笑いを溢した。

「もう・・・、美作さんには敵わないよ。」

敵わなくて当たり前だ。
だって俺はこんなにも牧野に心を掴まれている。
もし互いを想う気持ちを天秤にかけたら、一気に俺の方に傾くのだろう。
それだけ俺は牧野を強く深く想っているけれど、それに対して牧野の気持ちはまだあやふやなんじゃないだろうか。
今はまだそれでもいい。
一歩一歩、互いの心が近付いていければ。
いつの日か、牧野の凍り付いた感情を全て融かして、本当の意味で牧野の心が自由になった時、その心ごと牧野をしっかりと抱き締めたい。

苦笑いを浮かべていた牧野が一転、表情を明るく輝かせたのは、苺づくしのアフタヌーンティーのセットが運ばれて来たからだった。
上段は華やかなスイーツ、中段は温かな料理、下段はサンドイッチ。
籠に入った焼きたてのスコーンに、苺がグラスの底に宝石のように沈んでいるノンアルコールカクテルも、牧野と俺の前に並べられていく。
最後に香り高い紅茶がポットからティーカップへと注がれて、バトラーが部屋を出ていくと、目を丸くしている牧野は、テーブルの上の物と俺とを交互に見つめた。

「・・・これ、すごく素敵だね。」
「牧野の好みだろうと思って、こういうの。」

こくりと頷いて目を細める牧野が現れて、俺まで嬉しくなる。

「季節毎に違うアフタヌーンティーが用意されるんだけど、春は苺だな。」
「美味しそうなだけじゃなくて、見た目も可愛い物だらけだね。」

苺のマカロン、苺のムース、苺のミルフィーユ、苺のチーズケーキ、苺のミニパフェ。
スイーツは本当に苺だらけだ。
スコーンに添えられているのも、クロテッドクリームとストロベリージャム。
セイボリーのサンドイッチの中にも、苺のフルーツサンドがあるのが見える。

「食べるの勿体無いとか言うなよ。
美味しく食べてこその料理だからな。」
「そうだね、じゃあ美味しく頂こうか。」

はにかみ笑いを浮かべる牧野と苺のカクテルで乾杯する。

「お誕生日おめでとう、美作さん。」
「ありがとう、牧野。」

どれを口にしてもその度に感激して表情を崩す牧野を前にして、俺は綺麗に並べられた料理よりも、牧野を見詰めていたかった。
きっとまだこれはほんのスタートラインで、越えなくてはならない事は山程あるのかもしれないけれど、今はそれを忘れていたい。
俺はこの時、牧野を見ているだけで胸がいっぱいだった。


_________



何年掛けてここまでやって来たのかしら?と言うほどに時間掛かってる2人の話ですが。
あきらのお誕生日シーンをお誕生日当日にUP出来て良かったです。
ただ、これでハピエンとならない…
あとどのくらい書いたらこの話終わるの?笑
ラストシーンはもう書き終わっているので、そこに繋げられるようにコツコツと頑張ります!

あきらのお誕生日のお祝いに駆け付けて下さった方々、ありがとうございました。
いつも皆でお祝い出来て、嬉しい&楽しいです!


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